時戻素

昔の跡,やがてなくなる予定のもの,変化していくもの,自身の旅の跡など・・・

(No.5) 紫の原の怪談

2008年10月30日 13時30分00秒 | 現在の中の過去
※今年度前期に提出したレポートの一部を編集してあります。

 今年の6月に「紫原の由来は何か?」と聞かれた。自分自身が小学校のころから聞いてきた説である「昔,この辺一帯がさつまいも畑であり,夕日にあたると紫色に見えたことから紫色の原っぱで紫原となった」と答えた。すると,尋ねてきた方から他の人が,「昔,このあたりに刑場があり,殺された人の血で紫色に染まったことから紫原になった。だから,紫原中でも幽霊が出る。」と言っているが,「それは本当か」と尋ねられた。紫原にはそれなりに長く住んでいるが,初めて聞いた説だったので,「本当ですか」と聞き返してしまった。その後しばらくして,台地を下りたところに涙橋があることを思い出して,そのことと刑場の位置を別の方と話していた。明確な結論は出なかったものの,幽霊も見たことがないので,おおよそ嘘であるということでその日は終わった。
 後日,先の情報の提供者へ先述の話について尋ねてみると,「そんなこと言っていない」と返事がきた。その後,部屋にあったに資料から刑場の場所などを探してみたが,場所は台地内にはなかった。話をしていく中で,おそらくその話自体は,「他のサイトを探していたときに,検索でひっかかったサイトに書かれていた話で信憑性はない。」ということが分かった。
 この怪談が生まれた背景に「紫」という不気味な色としてもとれる色が地名に組み込まれていたこともあるのではないかと感じた。
 少し前までの怪談は,話が伝わっていくことで浸透していくものだっただろう。そのために,複数人が評価する内容でなければ,すぐに消えてしまう。しかし,情報化が進み,電子掲示板などに気軽にこうした怪談を投稿できる今は,一人が考えた怪談が削除されない限り文字として形に残るので,怪談の種類は増えていくのかもしれない。

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