NPO法人さなぎ達ブログ

横浜市寿地区や近隣地域を中心に社会的生きづらさを抱えている人々を対象としながら活動を行っているNPO法人です。

とうとう歩いた! 息子よ、見てみろ!

2015年06月08日 | さなぎ達理事長 山中 修
病名)アルコール依存症歴(精神疾患・末梢神経障害)、 直腸癌骨盤内全摘回腸導管増設 (2005.7) 人工肛門(腸重積) 膀胱がん手術尿瘻 脳髄膜腫(2008 経過観察中) 睡眠障害 脂質異常症 紫色蓄尿バッグ症候群 胃がんにて幽門側(B-1)切除(2009) 栄養障害性末梢神経障がい 腹部頻回術後癒着性イレウス 下肢廃用性萎縮と尖足による歩行障害 胆嚢炎

3年前、車いすで初診来院。生保を受けることなく、酒もたばこも医療費も年金で捻出していたから、ある一時期はよく働いたんだろう。酒によるふらつきとしびれで車いすに。
酒が原因で家族と離縁。むすこからは、「危篤以外は会わない」と言われて寿に住み、酔っ払っては溝に落ちて近くの病院にお世話になっていた。

2005-2009までに直腸がん 胃がん 腸重積 脳腫瘍 人工肛門 膀胱がん 尿瘻。
「こんな状態で酒のまずにやってられるか!!」
と、最初はすさんでいた。入院しては暴言、退院させられては飲酒。
とうとう、行くところ無くなってヘルパーにつれて来られたポーラの外来でも暴言連発。

暴言はただ無視することにして根気よく対応した。

ある日、ロンドンのパラリンピックをテレビで見た翌日から、人生が変わった。
「オレも歩けるかもしれない」
酒もやめた。たばこもやめた。
人に押させていた車いすを自分で押すようになった。

断酒禁煙とともに体調は改善、とうとうつかまり立ちができるようになった昨年一月。
腹痛・イレウスにて緊急入院。
癒着性イレウスは2ヶ月間入院の内科治療に反応せず、右鎖骨下静脈にポート設置。
簡易宿泊所で生きてくエネルギ-の供給源は血管栄養となった。
冷房も暖房もない旧式の簡易宿泊所の一室で以来半年以上、耐えた。
「食いてえよ~」「いつまで点滴だよ~」
訪問診療の度に訴えられた。

水分と内服のみが彼の口に入るもの。「腹減ったよ~なんかくいてーよ~」が彼の口から出るもの。
訪問診療の度に腹のグル音の説明をした。
「まだだめだ。」「まだはやい。」をくりかえしてなだめた。
「あるきて~」って禁酒禁煙できたことを誉めた。

腹の状況を見て、おもゆから始めた。
「うまいよ~。入院してもいいからもっと食いて~よ」
に変わった。

今年に入り、ポート輸液もやめた。
年金受給者は生保をうけられないので、食費がない。
簡易宿泊所のほかの住人のおかゆやおかずのあまりを食べて生活して居る。
それでも暴言など一切無い。
「もっとくいてー」「やせちゃったよ~」「仕方ないよな~」

が、最近「ありがと~」「あるきてー」になった。
訪問看護師が付き添って 尖足ながらあるける様になった。

在宅訪問診療を卒業し、本日3年ぶりにヘルパーに連れられて外来受診した。
車いすではなく、尖足を支えられて歩いて診察室に入った。

「オレはあんたのこと尊敬するよ」
が彼に最初にかけた言葉だった。

このブログへの顔も名前も人生経歴も、ぜんぶOK.
「いいよ」
のひとことだった。

失うものがなくなったときに人はとてつもなく強くなれるのだろう。

設楽関也 63歳。
息子さんブログみるかな??

オヤジは変わったよ。
今日の顔をみてやってくれ。




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