NPO法人さなぎ達ブログ

横浜市寿地区や近隣地域を中心に社会的生きづらさを抱えている人々を対象としながら活動を行っているNPO法人です。

「さなぎ達」とは

日本三大寄せ場の一つである、横浜市寿地区、寿周辺地区を中心に、路上生活者及び路上生活に至るおそれのある人々が、自ら自立に向かいやすい環境を整える「自立自援」を主な目的とし、メンタルを一番大切にしながら「医・衣・職・食・住」の各方面で活動しているNPO法人です。

通信発行のお知らせ

2011年06月28日 | 日記
まだ6月なのに、今日も横浜は夏日です
蒸し暑い毎日、元気にお過ごしですか??
風邪も流行っているようですので、上手に節電して、体調管理には気を付けましょう。

「さなぎ達通信」ですが、大幅に発行が遅れて申し訳ありませんでした。
今回はリニューアル特別号とし、ここ1年の間にご支援頂いた方にお送りしました。
さなぎ達のホームページでも、近々UPする予定ですので、お楽しみに

先日、郵便でご寄付を頂きました。
今までも毎月のように“一、年金受給者より”と匿名で送って下さる方からでした。
お名前が分からず、お礼が言えないままでしたが、この場を借りてお礼を申し上げます。
ありがとうございます。

BE WITH YOUさなぎ達



生活保護の医療の現場レポート

2011年06月24日 | 日記


今日の一番最後に診察した患者さんは36歳の生活保護の男性。
薬物常習歴があり、アルコール依存症のために精神科に通院中。 
小生の言ういわゆる“寿第二世代”の人。 
自称「酒は飲んでいない」のはホントらしい。
体格はでかく(185cm、102kg)、もしもキレたら手に負えないだろうな・・ と思わせる顔、でも通院態度は極めて良く、実は気はやさしい。当院で一度ももめたことはない。
「クスリもやめた、酒もやめた。だから自分にはタバコしかない」と、一日40本。 
入室するだけでたばこ臭い。 
爪は茶色。
「分かってても止められない」と月々24600円を煙にしている。
言うまでもなくタバコの原資は公費である。

メタボでポーラのクリニック他、精神科(薬物性精神障害・アルコール依存症)と耳鼻科(タバコによる慢性副鼻腔炎)に通院している。
メタボ肥満に伴う高血圧・糖尿病であるから、「やせれば治るんだ!薬なんか要らなくなるんだ!」と患者に言いながら4種類の投薬を、「もったいないな・・・」と思いつつ続けている。
精神科病院からは10種の薬が、耳鼻科からは飲み薬2種と点鼻薬が出ている。
彼の薬ノートを見るたびに、「公費もったいないな・・・。この人が昔クスリ常習やらなきゃ、酒が無ければ・・・」とため息が出る。
 
メンタル的に、若くして寿に住まわざるを得ない人生背景は厳しい。
独りで、毎日簡易宿泊所に住んでいれば、たとえ精神的に健全な人でも、大きな不安にかられる。
特に夜間の心細さは「タバコに手を出してしまう」ほどにふくれあがるだろう。
したがって寿は救急車の出動のダントツ地区である。
「不安」「誰か来て」「救急車」この図式。
これも公費負担である。
搬送先の病院では、夜間救急医が最悪の可能性までを熟慮して、訴えられないように、重大な疾患を見落とさないように、あらん限りの検査をする。 
CT、MRI、採血、エコー等、国民健康保険3割負担の患者なら夜間ン万円の負担支払い(国はその2.3倍の負担)のため躊躇するが、生活保護の場合は公費負担だから個人負担で文句をいわれることもない、とりっぱぐれもない安心感からふんだんに検査が進行してしまいがちになる。

かつて、ふるさとに家族を残し、寿に独り住み、自由を謳歌した労働者達は、自分の意志で来寿し、日々の現場で日本の復興を支えた。
個人的に、私はこの人たちの群を「第一世代」と呼んでいる。
統計によれば、近年の寿地区人口は平衡状態であるから、第一世代に続く第二世代の人々が簡易宿泊所内に流入していることになる。
冒頭の患者はその世代の一例である。
彼らの特徴は、自分の意志ではなく「寿にしか居場所が無い。寿に来ざるを得なかった」ことに尽きる。
彼らは、「これからどうしたいか?」を決めることができないまま、「寿にしか生きられない」のである。

彼の月々24600円の煙代、年間ン十万円の医療費、年間ン百万円の保護費、住居費を考えると、今後も寿へ流入し続けるであろう次世代の人たちへの経費、どうなるんだろう? と考えると背筋が寒くなる。
「寿は日本の10年先」と言い続けてきたが、もし、それがあたってるならば日本の福祉社会の在り方をかんがえなければならない時期が来ている。

生活保護は医療費ゼロ。
タダほど高いものはない。
保護下の人たちの受診意識は「コンビニ感覚」にも似ている。
このような患者に関しては、私は可能な限り検査をしない。
薬も出さない。
生活保護の差別ではなく、逆差別の防止のためである
。最近、ソトブキ(寿地区以外の住民)のワーキング・プアの人たちや年金生活者は医療費が払えず、受診抑制につながっている。
風邪なんかで医者にはかかれない逆差別状態。

昨日、関西からの訪問者の福祉関連の人々とお会いして3時間ほど情報交換をしたが、同様の世代交代現象と医療の逆差別現象が関西地区でも生じている。
むしろ問題点は更に深刻で、「医療費タダ、とりっぱぐれ無し」の貧困ビジネス感覚の取引が生保患者と医療機関の間で成立してしまっている。 
例を挙げると、生活保護費支給→ 一攫千金ねらいのバクチで借金返済を狙う →オケラ→食い物無くなる・簡易宿泊所代無くなる→ 残金で食い放題で血糖上げて→入院→食い物と寝床の確保。
これが毎月くり返されると、病院は出来高払いの定期検査を繰り返し経営は成り立つ。
以前、奈良県の大和郡山病院で、生活保護受給者に心臓カテーテル検査の架空請求を行った「山本病院」(その後 “殺・u梵l的肝臓手術”にて理事長・院長が逮捕)まがいの生保ショーバイ医療が、福祉医療社会に産出されるのは容易に理解できる。

どっか狂ってる! けど 現実はこうだ。
私自身、福祉医療でメシを食ってる身であるがゆえに、自身を律し、寿での地域医療の番人の一役を担う覚悟でなければならないと思うし、どっかの段階で、法律や行政のあたりで、福祉医療行政の流れを変えないと、この国は「福祉倒れ」になるのではないだろうか?
と、特に震災以降の生活保護者の急増現象を知って、恐ろしくなり始めている。
現場からの意見としてあげておきたい。



さなぎ達理事長・ポーラのクリニック院長 山中修






家族ではないけれど

2011年06月15日 | 日記
6月10日(金)にNHKのEテレ(教育番組)の「道徳ドキュメント」という番組で、KMVPの特集が放映されました。
17日(金)9:45~10:00に再放送されますので、是非ご覧下さい。




KMVPがNHKのEテレで15分間、子ども達向けの「道徳」の番組で紹介された。
取材されたのは昨年の今頃。 
ずいぶん時間が経ったから「震災でボツになったんだ・・・」とあきらめていたころに、制作の担当者から6/10/6/17に放映の連絡があった。

KMVPを思いついたのは、「さなぎ達」を創ったときだ。
もう11年も前のこと。

「日本の復興を現場で成し遂げたのは、寿で老いて孤独死していくこの人達なんだ」と気づいたとき。
小学生の遠足に楽しみだったバナナの積み卸し、東京オリンピック、新幹線開通、高速道路、大阪万博・・・。
映画「三丁目の夕日」世代だった私は、復興の原動力となった人々の結末を目にして、「日本は人間使い捨ての国?」「これではダメだ!」「国としてあるべき姿かよ!」と、青臭い正義感が燃え始めた。
以来、ロードマップを描き、「この国のあるべき姿」にゴールを見据えた。

「まずは女性が入れる安全な街に」
11年前の寿、街に足を踏み入れるには、前後左右に注意しながら、おそるおそるだった。
「いつ背中から刺されるかもしれない・・」
街のイメージアップが、最初の課題だった。

仲間を集いNPOとして立ち上げた「さなぎ達」ではホームレスの視点からみた人への支援を、衣医食職住の質の向上をキャッチフレーズに、メンタル、物資、環境面からの寿改革を開始した。
木曜パトロール、さなぎの家、食堂、花いっぱい運動、ホステル事業、マスコミPR,イベント開催、NPOではいろんな創意工夫を凝らした。
恣意的に創られたMM21と違って、寿はもともと「人間の街」である
街に興味を持った人間好きな人々が街に入ることによって街が変わっていった。
いまや寿は、ケアマネ、ケースワーカー、ヘルパー、ナース、学生ボランティア、旅行者等、女性でも安心して歩ける街になった。

「寿第一世代のおじさんは、昭和が遠くなっている」
男はやせ我慢の動物。
おじさんは、若かりし頃、寿にやってきた。
自分の意志で稼ぐため、やってきた。
「ふるさとは捨ててきたんだ、帰るとこなんかありゃしない」
「男なんだから泣いちゃいけない」
「男一匹、寂しさは後ろ姿ににじみ出しても、口には出せない」
「男が社会に言いたいことがあるなら、三島由紀夫の如く、日の丸軍服姿で自衛隊駐屯地バルコニーで割腹するくらいの気概を持て。」
「突っ込む時は、天皇陛下万歳!」
「辞世の句をしたためながら、白装束に身をかため、一気に腹を裂く」
「生きるとは、武士道なり」
「BOYS BE AMBICIOUS!」
 元気がある昭和男は、このエネルギーで生きられた。働けた。
しかし、時は平成、長年の独り暮らし、誰も支えてくれることがないおじさんは、年々老いる、老いれば弱くなる。
歯も抜け、耳も聞こえない、杖がないと歩けない、車椅子、介護ベッド、オムツ。
かつての屈強な体、強気の自立心は、昭和と共に遠くなってしまった。
「生活保護もツカレルよ。」が彼らの本音。
生保も10年続けると「生きている」のではなく、無理に「国に生かされている」感覚に陥る人も少なくない。
「ビールは自分で働いて買うから、プファーって旨い」おじさんの実感。

長年、現場でみていると、生活保護は経済的弱者っていうよりむしろ精神的弱者であると思う。
経済的には結構恵まれていると思う。
医療費なんか全部公費負担、ある種の逆差別状態である。
病院からは高い先発品がふんだんに処方され、救急車で受診すれば、やれMRIだCTだと高額検査が提供される。
酒で壊れた肝臓が飲み薬で治るわけがない。
たばこで壊れた血管が、注射で再生するわけがない。
衰えた背筋による腰痛が、毎日の整形外科通院電気治療で鍛えられるわけがない。
内科、精神科、皮膚科、泌尿器科、整形外科、眼科、耳鼻科、神経内科、平成に入って衰えた部品一つ一つの修理・メンテナンスに超多忙な毎日。
役所保護課のケースワーカーも、疑問を感じつつ、制度的に受診を否定することができない。
現場で医者やっていて「とても変!」と思う。
彼らにとって必要なのは、部品のメンテナンスではなく、人生の晩秋に何を思うか? なのでは? 
そんなことを考えて6年、50人ほどの第一世代をみとり、110人ほどの死を病院に委ねた。
昭和を支え、自分の意志で来寿し、自分の力で生活した人たちを、私は「第一世代」と呼ぶ。
いわゆる団塊以前の世代、「武士道」「男の美学」が残っている。
80歳過ぎても、「まだ自分でできるから、オレは自分でできなくなったら終わりだから」と、介護の受け入れを頑なに拒否する人も多い。 
一方の「第二世代」は“寿にしか来ざるを得なかった”人たちである。
彼らの背景は、アルコール依存症や精神障害、薬物障害、服役出所後など、家族や生活歴や人生背景から、「第一世代」と大きく異なるのは、自立心の崩壊である。

「亡くなり逝くときは、みんな善人」
ろうそくの炎が消える直前に一瞬増す輝きのように、自然死のかたちのプロセスには、「最期のエネルギー」が点灯する。
その表現は語りであり、食であり、その輝きの瞬間に居合わせるとその人間臭さに神々しささえ感じられることがある。
かつて、強かった人、悪かった人、家族から見放された人、いろんな男を看取ったが、その瞬間はみな弱くて、感謝を口にする、消えゆくプライドを保とうとする「善人」にしか見えなかった。

「KMVPの目的はみとりだけではない。」
医師は上、患者が下。
いくら「患者様」と病院が呼び名を変えても、この関係は変わらない。
国民性なのか? 医師会が強すぎたのか? 
戦後の復興期のDDT頭皮散布や、教室で列をなしてカイチュウ薬サントニン(飲むとまわりが黄色く見える不思議な薬)を飲まされた、あの強権的上下関係の産物か? 第一世代の人々は医者に本音を言えない。
こちらがどんなに目線下げても、言わない。

彼らが最も心を許すのは、彼らが「自分より弱い」と認識できる孫のような女性。
全面的に本音が言えるゴロニャン状態になれるらしい。
なので、KMVPには「お散歩サービス」もある。
脳梗塞で片麻痺・言語障害、あるけなかった小林正治さんがいまやKMVPのおかげで娘や孫のような女性と杖散歩や会話を楽しめる。
小林さんは今回のEテレの番組内で「幸せだ」と言ってくれた。
社交辞令やTV用の言い方ではなかった言葉に、ついホロリとしてしまった。

これまでの11年間、「さなぎ達」も私自身も山あり谷ありだった。
しかし、KMVPとしては第一世代に対する一つの完成のかたちができあがったように思う。
あとは、みなさんがどう利用、普及を考えられるか?
お考えをお聞きしたい。
個人的には今「踊り場」で、次の階段をどう登ろうか? と考えている。

さなぎ達理事長・ポーラのクリニック院長 山中修






熱中症に要注意

2011年06月06日 | 日記
今日、横浜では最高気温27℃の夏日となりました

安定しない気候で、体調を崩してしまったりすることもあるかと思いますが、これからの時期に気を付けたいのは、やはり「熱中症」!
今日のような、梅雨の晴れ間は要注意。
熱中症は、暑さのピーク時より急に暑くなった時のほうがなりやすいそうです。

熱中症の予防と応急手当を、ご紹介します。

【予防】
・熱と日光に長時間さらされないよう注意する
・汗をかいたら水分と塩分を補給する
・蒸し暑さ、急な暑さは危険度が倍増するので要注意
・スポーツや炎天下での労働では、水分補給が必須
・エンジンを止めた車内には、短時間でもとどまらないようにする
・ちょっとでもおかしいと思ったら、すぐ医療機関へ行く

【対策】
1、熱痙攣・熱疲労の場合
・風通しの良い日陰に移動させる
・スポーツドリンクなどを飲ませる
・足を高くして寝させる
2、熱射病の場合
・風通しの良い日陰に移動させる
・冷水や氷で冷やす
・服を脱がせて寝かせる
・顔を横に向け、頭を高くする


今年は、節電の意識が高まり、例年より冷房を控える方が多いと思いますが、くれぐれも無理はしないように気をつけましょう。
楽しい夏が過ごせますように




仕出し弁当の6月のメニューをこちらからご覧いただけます。

暑い夏を乗り切るためにも、しっかり食べて体力を備えましょう。
食べてみようかな~という気持ちが、路上生活者への支援につながります。
ご注文、お待ちしています


BE WITHI YOUさなぎ達

夏物の肌着

2011年06月02日 | 日記
横浜は今日は開港祭!ということで、生憎の雨ですが、みなとみらい地区周辺は盛り上がっているかな~

今年は、震災に配慮して各地で花火大会の中止が相次いでいますね。
開港祭でも例年、花火が打ち上げられるのですが、今年は規模を縮小して行われるようです。
20:00~20:40まで行う横浜銀行ドリームオブハーモニーの終了時に演出の一環として数分程度、花火の打ち上げを行う予定とのこと。
開港祭は21:00まで開催されているようなので、今からでも出かけてみてはいかがですか?

昨日、寄付のお願いの記事をUPしたばかりで、連日申し訳ありませんが、是非ご協力ください!
現在、特に、夏物の肌着が不足しています!

◎男性夏物下着(上・下) 【大歓迎!!】
◎春物・夏物男性衣類  【大歓迎!!】
◎使い捨て髭剃り 【大歓迎!!】
◎男性靴下   【大歓迎!!】
◎フェイスタオル  【大歓迎!!】


宜しくお願い致します。

BE WITH YOUさなぎ達

5月仕出し弁当のご報告

2011年06月01日 | 日記
6月になりました
今年は梅雨入りが例年より早く、また最近の気温は例年より低く、いつも以上に天気予報のチェックが欠かせない毎日です。

今月がみなさまにとって良い月になりますように!


今日は衣替えの日ですね。
今年は「スーパークールビズ」ということで、会社によってはジーンズにTシャツもOKとのこと
否定的な意見も多いようなので、どこまで浸透するかわかりませんが、節電は必須なので、各自で工夫をしてエコに取り組んで行ければいいのかな、と思います。

さなぎ達では、現在、春・夏物の衣類を募集しています(男性ものに限ります)。
衣替えで不要になった衣類がありましたら、是非生活用させてください!
よく、新品でなければダメ?というお問い合わせを頂くのですが、新品でなくても構いません。

《現在募集中の物資》
◎春物・夏物男性衣類 (大歓迎!!)
◎使い捨て髭剃り (大歓迎!!)
◎男性靴下  (大歓迎!!)
○フェイスタオル (歓迎)


よろしくお願い致します。
*詳しくはこちらをご覧ください!


≪ご報告≫
5月の仕出し弁当の売上個数は139個でした。
おかげさまで23食、路上生活者の方々に「さなぎの食堂」で暖かい食事を提供することができます。

お買い上げ頂き、ありがとうございました。


BE WITH YOUさなぎ達