NPO法人さなぎ達ブログ

横浜市寿地区や近隣地域を中心に社会的生きづらさを抱えている人々を対象としながら活動を行っているNPO法人です。

「さなぎ達」とは

日本三大寄せ場の一つである、横浜市寿地区、寿周辺地区を中心に、路上生活者及び路上生活に至るおそれのある人々が、自ら自立に向かいやすい環境を整える「自立自援」を主な目的とし、メンタルを一番大切にしながら「医・衣・職・食・住」の各方面で活動しているNPO法人です。

よいお年を

2010年12月30日 | 日記
「さなぎ達」事務局は、本日が仕事納めです。

本年も、「さなぎ達」へあたたかいご支援を賜りまして、ありがとうございました
このブログで初めましての方も、ご縁を結べたことに感謝致します。
2011年も、より良い活動を目指して頑張りますので、引き続き宜しくお願いします。

「さなぎの家」は年末年始も休まず、年中無休でOPENしています
「さなぎの食堂」は元日のみ休ませていただきます

寿町の年末年始は、今年も越冬が始まっています。

越冬とは、行政機関の閉まっている年末年始の期間、路上で生活されている方のために、公園にテントを立て、そこを拠点に医療・生活・労働等の相談活動、炊き出し、夜回りなどを行う活動です。
大晦日には年越しそばのふるまい、元日には餅つきが開催されます。

数年前に、話題になった日比谷公園の「年越し村」の小規模版と思っていただければ、わかりやすいでしょうか。
今年、年越し村は開かれないようですが、全国各地で、支援団体により、このような活動は行われているんです。

労働問題は、路上生活の一因に過ぎません。
2011年が、誰にとっても暮らしやすい世の中になりますように

寒さが続きますので、体調崩さないように、元気に新年をお迎えください
よいお年を


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特定非営利活動法人「さなぎ達」
〒231-0026 横浜市中区寿町3-9-8
TEL&FAX: 045-228-1055(事務局)
E-mail : sanagitachi@nifty.com

※12/31~1/3事務局はお休みのため、電話が繋がらなくなります。
 メールの返信等も1/4以降になります。
 ご了承くださいませ。
 

絶好調Sさん

2010年12月29日 | 日記
さなぎ達の理事長であり、ポーラのクリニックの院長である山中先生のエッセイをお届けします。

今回はSさんシリーズの第3弾です。
(続き物になりますのでお読みでない方は、第1弾第2弾からお読みください)






絶好調Sさんを囲むチームの足並み

食欲はある、痛みはない。
「もとに戻ったみたいだ」
貧血のためやや顔色は悪いが、Sさんは先週より元気だ。
もともと冗談を言わない人。
お調子者なら軽口の2~3は飛び出すのだろう。

昨日は本人抜きで関係者のミーティングを行った。
理由はチームメンバーの意思のズレ。
足並みの乱れを早期治療。
介護の区分変更申請について、介護Hケアマネジャーが懸念している。
「早すぎないか」と躊躇している。

ここでみなさんに介護保険の制度について、簡単に説明しよう。
介護をされる一番の注目ポイントは、認知症のグレード。
認知症が重症なら介護度は即にランク上昇する。
ところが、介護保険のグレード申請に際して本来重要な患者情報、つまり、家族がいないとか、ガンの状態とか、を記載する項目が、申請書にないのです。
変でしょ。

介護保険って認知症の寝たきり高齢者にのみ光を当てようとしている制度。
家族がいない患者さんの自宅内みとりに際して、夜11時にオムツを交換できる制度は、現行ではないんです。
これは、大問題!!

ゆえに、現在元気、認知症のないSさんはトーゼン介護度は低い。
ところが、3か月先の状態はかなり厳しくなることが予想される。
寝たきり、酸素吸入、オムツの瀕死状態かもしれない。 
その時に 介護度アップの区分変更申請をしても、認可がおりるのはその2か月後。
これが役所行政なのです。

Hケアマネさんはこんなこと百も承知。
「認知症がないから・・区分変更申請しても、かえって 介護度さげられちゃうかも・・」と、困惑顔のHケアマネを「大丈夫!! きちんと伝わるように欄外にびっしりと書いてあげるから。」と、ようやく説き伏せた。
介護度3-4になればなんとか一日3回、夜も介護が入れられます。

でも、“寿の町、夜11時”女性ヘルパーは出入りさせられません。
そこで活躍を期待されるのが、ポーラのクリニック経由「さなぎ達」自立自援卒業生の男性ヘルパーYさん達。
もと路上をやっていた人たちです。
介護度アップを申請し、夜間はYさん達のお世話になれれば、チームも安心。
山中が11時におむつ交換に行かなくても済むんです。
みまもりチームはボランティアではなく、それぞれのパートがプロの仕事師で構成される所以です。
患者Sさんを中心に動くチームは三ヶ月先の状況を予測して作られていきます。
新しいチームメンバーのHケアマネさん、おわかりいただけました?







次回もお楽しみに


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メリークリスマス

2010年12月24日 | 日記
「さなぎの家」の改装工事について。

このブログでは、業者が決まったとお知らせしたばかりですが・・・・
早くも昨日から始まりました。
1月中には工事が完了する予定です。
楽しみです
この機会に、いらっしゃってみませんか

「寿町」ここは、1度は訪れて欲しい町です。
たくさんの思いがあります。
たくさんの人生があります。
自分の生き方に迷いがある人にこそ、訪れて欲しいと思います。


年末年始の「さなぎ達」の活動について。

「さなぎの家」は365日休まずOPENしています。
「さなぎの食堂」は元日のみ休みとなります。

2010年の終わりに、2011年の始まりに、是非お越しください

なお、事務局は12月30日~1月3日まで休ませていただきます。
電話等がつながらなくなりますので、ご了承ください。


いよいよクリスマス本番ですね。
みなさまに、素敵な聖夜が訪れますように


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仕出し弁当のご報告

2010年12月21日 | 日記
天気が下り坂です。

今日は、皆既月食は見れそうにありませんね
残念です


昨年の11月に仕出し弁当の販売を開始して、1年が経ちました。
仕出し弁当についてはこちらをお読みください)

この1年間での、仕出し弁当の寄付金は240,747円でした。
*お弁当代の寄付金以外に、お弁当の配達時に頂いた寄付金等も含みます。
ありがとうございます。
このご寄付のおかげで、路上生活を送っている方に、802食分を提供することができました。
ありがとうございます。

木曜パトロールで配布した食券のうち、9割以上の方は「さなぎの食堂」にご来店になり、温かい食事をとっていただいています。

仕出し弁当を買っていただいたおかげで、「食べる」「あたたかい」という2つの幸せを感じていただくことができています。

“ホームレスの人にもあたたかい食事を食べてもらいたい”という思いで、「さなぎの食堂」はOPENしました。
おかげさまで、たくさんの方のご理解・ご支援をいただき、営業を続けられています。

ありがとうございます。

今後とも、宜しくお願いします。

お近くにお越しの際は、是非「さなぎの食堂」へお立ち寄り下さい。
お待ちしています

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元気になったSさん

2010年12月21日 | 日記
お待たせしました。

さなぎ達の理事長であり、ポーラのクリニックの院長である山中先生のエッセイ第4弾をお届けします。
第1弾第2弾はこちらからどうぞ)

今回は、第3弾にも登場したSさんのお話です。








元気になった S さん


先週みまもりカンファレンスのとき、少し息切れしていたSさん。

心配していたが、今日歩いてきた。 
一見して元気! 顔色改善、息切れなし、食欲OK, 睡眠大丈夫、胸の痛みなし。 
浮腫みもない。
この半年間で一番元気。
 
やっぱり抗ガン剤入院をすすめなくて良かった。
退院直後は、「入院ってこれほどまでに人のエネルギーを削ぎおとしてしまうのか?」と驚いたけど、元気になった。
77歳になって末期ガンをかかえながら入院すると、残された生命のエネルギーを吸い取り紙に盗られるようになる。
家族がいない、見舞いが来ない、初対面の人間達は白衣ばかり。
そんな劣悪な社会に独り、かつて鬱だった老人が、末期ガンと宣告されて、元気でいられるか?
 
なぜ?元気になった? 
みなさん 理由分ります? 

Sさんには、残りの時間より今の自分の方が大切なのよ。 

あと ドレくらい生きられるか? 
長く生きたいっていう理想がない。
だから理想に対する現実のGAPがない。ってことは落胆しない。 
悲嘆=(理想-現実)のGAP。

Sさんは今の自分の一日を自分のリズムで誰にじゃまされることなく生きる、ことだけ考えている。 
これって利己的? トンデモナイ。 
だから、今は、ケアマネも介護ヘルパーも山中訪問診療もKMVPも何も要らない。
今までドウリこれまでドウリの生活で、元気になるんです。
われわれは見てるだけ。
 
Sさんをみてると「悟り」ってこんななんだ・・ とさえ思えます。 
みなさんに顔をみてもらいたい。 
昔、何してた人なんだろう? 
なんで寿に来たんだろう? 
誰を愛して、どう生きたかったんだろう? 

時期が来たら川崎に聞いてもらおう。






今後もSさんの話は、シリーズとして続く予定です。
このブログを通して、Sさんのことを、みなさまと一緒にみまもっていければと思っています。

是非、次回もお楽しみに


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さなぎの家にお越しください

2010年12月15日 | 日記
今日「さなぎの家」の飾り付けを行いました
クリスマス気分を味わいに、是非お越しください

ご報告です。
さなぎの家の改装業者が、先日無事に決定しました。
改装中は、ご不便・ご迷惑おかけすることもあるかと思いますが、ご理解の程宜しくお願い致します。

主な改装場所は、出入口とトイレです。
バリアフリーになり、より多くの方が利用しやすい憩いの場を目指します

新しくなって、より一層、利用される方にとって居心地のいい空間になりますように



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みまもり

2010年12月14日 | 日記
さなぎ達の理事長であり、ポーラのクリニックの院長である山中先生のエッセイ第3弾が届きました。
第1弾第2弾もあわせてお読みください)







昨夜 NHKテレビで東京山谷「きぼうの家」をみた。
映画「おとうと」のモデルとなった、身寄りのないおっちゃん達のホスピスである。
5年前、「寿も山谷も同類だ、勉強になるだろう」と、ポーラのクリニック開設時にはみんなして見学に。
その2年前にオープンした前「きぼうの家」の開設者、山本夫妻がTV画面の中、お元気そうに信じる道を進んでおられるのが印象的だった。
ご夫妻は以前に寿の見学にも来ておられるし、最近も「さなぎ達」のスタッフや理事の「きぼうの家」訪問を快く受け入れてくださっている。
「きぼうの家」と「寿みまもりの違い」は、活動の規模、細やかさ、寄付の多寡、働く人の思いなど、同じとはいえない。
どちらが精緻かと聞かれればきぼうに軍配が上がる。
どちらが一般社会に転用可能か?といえばさなぎに長がある。

ポーラのクリニックでは、たまたま昨日はカンファレンスが多かった。
昼休み3件、夕方1件の計4件。
ポーラのクリニックのケースカンファレンスは第119回となった。
最後の夕方カンファレンスは寿みまもりネットワークに典型的なので紹介したい。

目的は患者さん S氏 77歳のみとりについて。
参加者は クリニックから山中、ハマダ看護師、今野看護師、中区保護課からCW、介護ケアマネと別会社の介護サービス担当責任者、訪問看護師、KMVP川崎にくわえて、本人の 氏の総勢9人、全員自主参加(ボランティア参加)である。
S氏は達観した紳士、顔色はわるいが誰にもつき添われず、自室からクリニックまでやや息切れしながら歩いて来院。
現段階では要介護1。
お互いが面識のない初会合。
冒頭それぞれが自己紹介の後、これまでの病歴と経過を山中が皆に説明。

 H20/10/4初診、胃がん手術後に鬱、心不全(両側胸水貯留、下肢浮腫)。
退院後の体力低下のためKMVPを導入していた。
当初、長谷川式認知症スコア18点と認知症が疑われたが、KMVP等の人のかかわりにて鬱による仮性認知症状も改善した。
この2年間とても穏やかな日々であったが、11月中旬の定期健診レントゲン上、左胸水貯留。
近くの基幹病院での精査の結果、左の癌性胸膜炎。
胃ガンの化学療法がとてもきつかった記憶があり、今回は化学療法は「二度といや」。
抗癌剤による胸膜癒着術のみが施行され、今月1日に退院した。
ガンによる不安とステロイド内服による不眠が出現。
今後体力の低下、呼吸困難、疼痛の出現が予想される。
余命は不明。
医療としては積極的な苦痛緩和が目的のいわゆる「在宅ホスピス」が主眼となる。

この山中の説明の間に、S氏はうなづき、補足し、そしてきっちりと「できるだけ今の部屋で・・・」
「末っ子だったので、もう甥っ子しか残っていない。身内への連絡は不要。」と明確な意思表示をした。

会議で決まったことは、
○まず本人の明確な意思を尊重
○可能な限り自宅で
○苦痛はとる
○その時に向けて先手先手の準備。看取り用介護度UPの申請(受理認定されるまでに約2か月かかるんですよ!みなさん!)
○本日結成したチームの相互連帯の確認。

全経過約30分の会議である。
これは、みとりには一番大切な会議。
ボランティア参加であるが、毎回必ずそれぞれの職種が参集する。
ひとり欠けても開催しない。
無償参加だからみなさんにご足労を願うことになる。
医療保険や介護保険でこの会議にたいしてカバーされるシステムはない。
無償参加の意味合いでは「きぼうの家」と、ここまでは同じだ。
しかし、ここからが違う。
それぞれの職種がお互いに迷惑をかけないよう切磋琢磨しながら、「プロ」として医療・福祉の仕事師に変わる。
ボランティアはKMVPのみである。
川崎は自分だけがボラであることを重々承知して、みとりチームの中で「何がSさんに、今、必要か?」「声をかけるべきか? そっとしておくべきか?」「ナースを呼ぶべきか? ヘルパーに頼むべきか?」「Sさん先生には強がり言ってるけど、本心は違うのでは?」など、Sさんに寄り添って、伴走チームの仕事師達をコーディネートしていく。
若い川崎だが、母性をもって絶妙にリードしていく。

「きぼうの家」は21のベッド、「さなぎ達」は6500。
きぼうホスピスの対象疾患は、末期ガン。
「さなぎ達」はうつ、心不全、肝硬変などなど全部。
精緻な寄り添いができるか? と問われればNOである。 
しかしながら、われわれのめざすものは、今よりもマシ、よりよく、できればセカンドベスト。町全体が在宅ホスピスとみなして、われわれが仕事師として働いている。
赤ひげグループじゃないチームの、Sさん“どや内”みとりプロジェクトは12月13日に始まった。 
同じ活動は、日本のどこでも明日から可能である。
役所、医者、ケアマネ、介護会社、は日本のどこにでもある。補足するのは川崎のみ。川崎独りを養成すれば、寿KMVPに早変わり。 
「きぼうの家」とは決定的に違う。





昨日の放映を見た方はいらっしゃいますか?
感じたことなど、各々の思いを共有できれば、と思います。



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緑の町

2010年12月14日 | 日記
昨日は本格的な冬の寒さでしたが、体調崩してはいませんか??

つい最近まで、紅葉している木々のキレイさに感動していたのに、もうすっかり散ってしまいました
世の中は、今クリスマスモードです

季節が変わるのはほんとに早いですね

日本は四季のある国だ、と言いますが、それってすごく大切なこと。
わたしたちは毎年誕生日を迎えて、1つずつ歳を重ねて行くけれど、=歳の数だけ冬を過ごし、春を過ごし・・・ているわけです。

去年の秋は、あまり紅葉を楽しめなかったので、今年は鎌倉の紅葉を満喫してきました
今は、どこのイルミネーションを観に行こうかなと考えています
歳の数だけ楽しめる季節を大事にしたいと思います。

ドヤの中に篭っている人たちにも、自然の四季を感じてもらえることができれば・・・と思います。

寿町は、唯一の公園にも緑や花はなく、コンクリートの町でした。

「さなぎ達」では、数年前から、寿緑化プロジェクトとして、簡易宿泊所の軒下にプランターや鉢を置く活動を始めました。
日々さなぎの家に来ている人たちを中心に、花や芝生の手入れをし、小さな生命とふれあうことによって、生活に潤いをもたらし、人と人とがいたわりあう町へと生まれ変わることを目指しています。

緑とふれ合う、自然とふれ合う、四季を感じる。

寿町に、桜が咲き、紅葉が散る日が訪れるかはわかりませんが、少しづつ、緑の町に変わっていけば、人の心にも変化が表れるかもしれません。


今日はふたご座流星群が見れるみたいです。
今夜は、空を見上げてみましょうね


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余生

2010年12月06日 | 日記
今回は、さなぎ達の理事長であり、ポーラのクリニックの院長である山中先生のエッセイ第2弾をお届けします。
(第一弾はこちらからどうぞ)





HY74歳。

話題の簡易宿泊所、今年7月にオープンした扇荘別舘の8階の住民である。
診断は呼吸不全。

この簡泊はなぜ話題?いっぱい理由がある。
バリアフリー、フロアーが柔らかい、一階に介護型シャワー、24時間ナースコールが帳場さんへ、ポーラのクリニックのかかりつけ患者さんが30人前後入室お世話に、患者さんひとりひとりの病状情報や急変時対応方法までが毎月ポーラのクリニックの今野看護師から定期的に報告更新されている。
「どうだ!!参ったか!」と胸を張りたくなる位にいたれり尽くせりの、もはや“どや”とは呼ばせない環境である。

在宅酸素療法が必要な彼は、一年間待ちに待った扇荘別館にひっこした。
その時からかかりつけ病院をポーラのクリニックに変えた。

「生まれは福岡15歳で横浜の叔父 紹介三菱造船。その後港湾労働とかいろいろ ずっと横浜。よく働いたよ。でも、病院の先生は治療法ないからこのままであと3年だって。」と初診時にはあきらめムード。
生きたいけどいきられない口惜しさがにじみ出てる。
呼吸状態が悪化したため、先週から毎日今野看護師が点滴と吸入療法のため訪室している。
昨日は山中が点滴のため往診した。

「だけどよ~ 日本ってのは良い国だね。社会保証が。オレみたいなんでもヘルパーがきて、看護師や先生が日曜でもこうして来てくれるんだから すごい国だよ。あと一年も生きないだろうけど、よかったよ。あのまま病院に通院してても何もかわんないからな。あと3年の寿命って先生に言われたから。病院の先生が外来でしらべてくれた。往診してくれるクリニックがあるって。」
「食いたいのはサシミ。サシミならいくらでも食えそうだ。今届いてる一日一回の弁当は揚げ物ばかりだ。揚げ物は安いからな」
「よくなったらまた電動き車椅子酸素付きで買い物に出るんだ。」

この会話の後KMVPを入れる決心をした。
さなぎの弁当を週1回でも楽しんでもらいたい。
酸素吸いながらでも良いから若者達とコミュニケーションして欲しい。
あと1年か3年か知らないが、生きてる証を確認しながら生きていて欲しい。
働いた人間が、余生を充実して、無縁ではない社会のなかで残された時間を、ストーリーを創りながら過ごしていく。
これ、恵まれ過ぎてると思いますか? 私はそうは思いません。当然あるべき姿だと思います。
日本はそういう国であるはず、先人達はそんな国をめざしていたはずだと思います。





寿町は、小さな町ですが、様々な人生が詰まっています。

自分の余命とか、考えたことないけれど、時々自分の生き方を見つめなおすことは大事なことかもしれません。

どう生きたいか、どう生きれるか、そのためにはどうすればいいか。
誰でも1日は24時間。
なんだか毎日同じように過ぎていく気がするけど、
限られた時間を大事に感じて、毎日を過ごせたらいいですね。


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