NPO法人さなぎ達ブログ

横浜市寿地区や近隣地域を中心に社会的生きづらさを抱えている人々を対象としながら活動を行っているNPO法人です。

「さなぎ達」とは

日本三大寄せ場の一つである、横浜市寿地区、寿周辺地区を中心に、路上生活者及び路上生活に至るおそれのある人々が、自ら自立に向かいやすい環境を整える「自立自援」を主な目的とし、メンタルを一番大切にしながら「医・衣・職・食・住」の各方面で活動しているNPO法人です。

寿町で見えるもの、見えないもの

2012年08月29日 | ふらここ
 先日、あるところで、横浜のイメージや歴史を
テーマにしたシンポジウムがあった。
 会場からの質問や感想を受けるコーナーで
一人の若い女性が立って言った。

「このあいだ、寿町というところへ人に案内
されて行きました。ものすごいショックでした。
 ああいうところを見たのは初めてですが、
この素敵な横浜に、あんな無気力で希望のない
場所があるなんて、とても悲しくなって……」

 彼女は大学院生で、横浜の人ではない。
 ある教授に横浜を案内してもらったのだが、
その際、「こういうところも見ておいたほうが
いいでしょう」と寿に連れて行かれたらしい。

 それはお気の毒に……と思ったが、私はちょっと
複雑な気持ちにもなった。
 たしかに寿町は、人間の弱さが寄り集まっている場所だ。
 けどその弱さは、決してここにいる人達特有のものではない。
 横浜の華やかな場所……みなとみらいにも関内にも
山下町にも、高級住宅街の山手にだって、寿町の人と
同じくらい弱い人、悪い人、駄目な人はいる。
 いっぱいいると思う。
 でもいまは運良く、そうした面を出さずにいられたり、
うまく隠していられたりするだけだ。
 明るい通りを歩き、おしゃれな店に入り、立派な
服を着ていれば、どんなに人間として卑劣で残酷であろうと
「まともな人」に見えるだろう。

 この世に、根っからの悪人、根っからの善人など
そうそういるものではないと私は思っている。
 生まれ育った環境、その時の状況で、人は
思いがけない「自分」と出逢う。
 真面目な息子、父親だったはずの人が、戦地では
あたりまえのように女をレイプしたりするのだ。

 寿町にいる人は、たしかにいろんな事情で追い詰められ
ドヤ街と呼ばれるところで暮らすようになった。
 が、やさしさや教養や前向きな心がまったくない人
ばかりかといえば、そんなことはない。
 なにも悪いことなどしていないのに、発達障害などで
社会に受け入れてもらえなかった人も大勢いる。
 なのに寿町にいるというだけで、「駄目な人」
「そばに寄ると危ない人」に見られてしまう。
「無気力で希望がない」というレッテルを貼られ、
時には差別の対象にもなる。

 数年前、古くからある「ドヤ」に泊まったことがある。
 帳場のおばさんに「ホテル代、先払いですよね?」
と尋ねると、凄い眼で睨まれ、蔑みの口調で言われた。
「あたりまでしょ。あんた、金も払わないで泊まる気?」
 世間から脱落し、ドヤに流れてきた女だと思われたのだ。
 ところが、外出して戻ってくると、おばさんは
別人のように愛想の良い顔になっていた。
 留守の間に、この宿泊を世話してくれた人が来て、
おばさんに、聞こえの良い私の肩書きを告げたのだ。
 世間とはそんなものだ。

 寿町を見てショックを受けた女性は少しも悪くない。
 普通に育ってきた人として、当然の反応だろう。
 でもあえて言うなら、人種や住む場所や肩書きだけで
人を十把一絡げにしてほしくない。
 寿町の人も、ひとりひとり、違う人生、違う考え方を
持っている。人間として、いい面も悪い面も持っている。
 あなたや私と同じ。
 この町を見る時、そのことをまず思い浮かべて欲しい。

 寿のお地蔵さん。

こんのくんとオババ4

2012年08月27日 | つくんこ
2012.3.21(水)

KMVP川崎さんと訪問。

いつものように見舞いに行ってきた。
「おじゃましま~す」と言ったら「あいよ~」って。
部屋に行ったら何となく影が薄くなってる感じ。いつものパワーを感じない。

いつもと同じく椅子を広げておばばの近くに座る。
「どう??」
と声をかける前に、今野の鼻から鼻水が垂れてきたので「ティッシ1枚ちょうだい」と声をかけた。
おばばは静かに頷く。

最近振り回してはいないだろう、ティッシュボックスから1枚もらう。
鼻をほじりながら(今日はなんの話をしてくれるのだろう?)と考える。

誰からともなく昼飯の話から始まる。

「前の亭主が42歳で死んだ。だ~れが悲しむか。「死ね!!」って言ってやったさ。最期、燃やすときも「ああ、もういいから早く焼け」って言ってやった。絶対に墓参りなんてやらないね。アイツに花束買ってやるのももったいない。そんな金があるならタバコ買うさ。」
と過去の話をする。おばばが若かった頃、稼ぎ頭がおばばで旦那は博打に明け暮れていたようだ。
朝から夕方まで働き、夜から朝まで働き、稼いだ金をぜ~んぶ旦那が捕っていって博打に使われ一銭も残らなかったようだ。
この旦那、どうしようもない奴だったんだね。因果応報って思った。

40年ほど前の寿は日雇い労働者がすごい数がいて、そんな中で女一人が働いて生活するって今の世の中では考えられない位過酷だったんだろうと思う。
だから、男勝りな感じのおばばになったんだろう。


猫の話。黒と白の三毛っぽい猫(名:ぴょんぴょん、妊娠中)が我々の周囲をうろつく。
部屋の外からはオールボスが様子をうかがっている。


「今日は眠くなっちゃったよ」とおばば。川崎さんが「さなぎの桜井さん知ってますか?見舞いに来たいといっているのですが今度一緒に来ましょうか?」と聞くと「桜井に言っとけ。タバコ3箱くらいもって見舞いに来いって。」
恐るべし。たばこラブなおばば。

帰り際「時々はこうやって様子を見に来ておくれよ。」とおばばが漏らす。

同居人はいるけれど、こうやって動けないで布団に横になっていると心は折れてくるだろうな。

おばばも過去を話し出してきたし、猫たちも少しずつ慣れてきている。
旅立ちは近い感じがする。


季節も春めいてきた。

桜が咲いたら、花見なんて出来たらいいかもしれないねえ。

出来るかな??

こんのくんとオババ3

2012年08月20日 | つくんこ
2012・3・16
訪問診療。Dr山中&Ns今野

「お邪魔しまーす」と家に入る。

「ああ、いらっしゃ~~い!!!」とおばば。
入室。


部屋にはオールボス(ネコ)がいた。警戒心120%。こちらは特に気にしていないが彼(オールボス)にとっては部屋から出るチャンスを覗っている。

我々がオババに注意を向けたその瞬間、ダダダッと部屋から走り去っていった。

「ションベンかけられなかった??」と問うと、

「あ~大丈夫」とおばばが返す。

うん、今日は元気そうだ。

と、オババがふいにこう問いかける。

「薬は?持ってきたのかい??もう全部なくなっちまったんだよ!!」

ああ、そうだ。電話くれてたねえ。


オババと我がクリニックは訪問診療24時間契約を結んでいる。

詳しい内容は知らないが、簡単に言うと、契約を結んだ患者が何かしらのイベントや気になることがあるとき、24時間体勢で主治医に連絡をつけることができる連絡体制をとっていることである。それによって患者はいつでも連絡できるという安心があり、クリニックにとっては保険点数でなにかの加算が取れる仕組みだ。
まあ、そんなことなので当然オババは主治医の連絡先を知っている。そして、早速今日の午前中先生の携帯が鳴った。

診察中だったので今野が応対。


「はい、今野です。おはよう。どうしました??」と話し始めると。

受話器の向こうから、、、
「く~す~り~!!  なくなったよ~~~!!!」とオババのダミ声。

「薬無くなっちゃったの?昼過ぎに往診に行くから待てます?待っててください」と話すと

「アイヨ」 プツ。っと電話が切れた。




そんないきさつがあった。さて、今日は何を話すかな?

オババは睡眠前に下剤を服用している。腸の運動を促す薬を2錠飲んだら、悲しいかな猛烈な便意に襲われてトイレにたつこともできず、そのまま大惨事に発展したという経験を持っており、その薬についてネガティブイメージしか持っていない。

ちなみにその薬は

「(便が)出ねえんだよお~」と訴える。

大惨事事件のあと酸化マグネシウム剤の服用に換えたのだが効果のほどは期待できないようす。

しかもオババは酸化マグネシウムを睡眠薬だと思っているようで「あの寝る前の粒の薬。アレを2錠飲むとぐっすり眠れるんだ」と話している。
これがまさにプラシーボ効果なのか?まあ、本人がそれで睡眠に関しては満足しているようなのでそれはそれでよいとして、問題は慢性的な便秘。
プルゼニドの内服はしたくないというし、訪問看護師さんにお願いするにも、今は本人訪問看護に対しては拒否しているし。

どうすっぺ??(´д`lll)

そのあと本人と話していると、「あの腹の下った、ピンクの薬、一つ試してみようか?」とオババから提案があった。

結果~酸化マグネシウムは継続、それにプルゼニド1錠を追加。



じっくり話せて本人と相談していろいろ対策を考えることが出来る。

オババ本人の選択を最大にくむことが第一だと思う。

ヒトは誰しも自分で考えて納得したものや事には、ちゃんと取り組む。

ヒトに強制されることはキライだ。自分で考えて納得して自分で行動する。それで結果が残念だとしても、本人なりに受容できると思うし、学習して次はそうならないようにしようと思うものだと思うから。


病院は、医療者 > 患者の図式が成り立たっている。

それは、救命、治療を行うにあたり大事なこと。わかりやすく言うと、病院の役割は「治す所」だから。

在宅は、病棟とはまた違う感じ。

療養生活がメインになってくる。

必ずしも医療が第一ではなく、本人の満足した日常生活(生活の質:QOL)を満たすのが大事なんだろうなあ。



その人の家にお邪魔するから、我々はゲスト。

無礼なことは出来ない。(しないけど)

さて、次回訪問は水曜日の午後の予定。

KMVPでございます。

どんな話が聞けるのだろうか。

つづく
と思う。

オババと祭りとその他諸々

2012年08月18日 | モトコ
こんな時間ですがなかなか寝付けないので、ブログを更新します。

オババから相変わらず毎日数回電話が来る。
オババに土日は関係ない…
最近、私の携帯着歴はオババか出産前の不安定な妹ばかりだ。

寿地区はこの数日祭りモード。
一昨日はフリーコンサート、今日は盆踊りだった。
オババは毎年参加していた祭りを楽しみにしていた。
オババ曰く、
「浴衣は着ない、アタイは袴!」と、
金色の袴を着て舞台に上がっていたこともあったらしい…
本当か嘘かはわからないけど、想像しただけでも滑稽だ。

しかし、今回の祭りは参加できない…
今日はうわ言のように盆踊りの歌を口ずさんでいた。
薬の仕分けを行いながら、私も炭坑節と東京音頭ぐらいしかわからないが一緒に口ずさむ。
最近オババは、体調が良くならないことにイライラし、怒鳴り散らしていたが、今日はよく話、機嫌が良かった。
昨日は焼き鳥とたこ焼き。
今日は「(ドクター)山中が来る前に食べよう」と最近お気に入りのあずきのアイスとフランクフルトを一緒に食べて少し祭り気分を味わった。

外に出たい、祭りに行きたいという一方、
外は怖いから出たくないと言う。
点滴はもう嫌だと言う一方、
点滴をしなくちゃ元気になれないとつぶやく。
まだまだ死ねないという一方、
安楽死したいと言う。

その時の気分や体調によって言うことがコロコロ変わる。
大体みんな同じ、そんな感じだ。

たまに怒鳴られ、無理な注文されると面倒くさいけど、
それはそれで楽しく、
いなくなったらいなくなったでとてもさびしくなる…
こんな別れをもう何年も繰り返している。

そんなこんなでジジババとの日々を過ごしているが、
来月諸事情により生まれてくる甥っ子と産後の妹の面倒をみることになった。
そもそも私が赤子の面倒をみれるのかわからないが楽しみだ。
祖父も相変わらず生きる為に必死に治療をしているらしい。

出産前に不安定な人、
生まれて来る者もいれば、
亡くなる人、
終末期を迎え不安定な人々やそれらに振り回される不安定な家族…

最近身の回りが忙しないが、
この生き死に関わる人々のこの感じが最近とても興味深い。

こんのくんとオババ2

2012年08月16日 | つくんこ
オババがポーラのクリニックに初診となったのは2011/12月のことである。
訪問診療の時、いつもセンターの階段あたりでハイライトを吸ってるのを見かけては、「おー、肺がんになったらみとってやっからよお-!」と声かけしてたら、本当に肺がんできちゃったのが初診である。
こんのくんはナースとしてではなく、ひとりの若者としてオババに興味を持ち始めた。
ナースではなくKMVPの一員としてオババ詣でを始めることになる。以下その記録である。(山中 修)

オババ 2



いつもの場所にいないので、「死んだのかな?」と思いながらいくつかの季節をまたいだある日、突然オババがクリニックに受診しにきた。
診断名 肺がん。
白内障まじりのその瞳はもう既に死を受容しているようにも見えた。


 2012/3/14(水)
この日、午前中で仕事が終わりなので午後はKMVPに参加。

ボランティア元締めの川崎さんと一緒に初回見舞い。



玄関をノックして開ける「こんにちは~」と声をかけると家の奥からから「誰だ~~!!」

と大きな声が聞こえる。

おうおう今日も元気だな。
スリッパ代わりのサンダルに履き替えておじゃまする。

「元気??遊びに来たよ」
と声をかけると嬉しそうな顔。今回ゆっくり話そうと思ったので折りたたみ椅子も持参。

ゴキブリ多いな。

一緒に行った川崎さんはすりっぱ無し、椅子も無し。
俺だけがゴキブリ対策完全な感じだ。

椅子に腰を下ろして、差し入れのウーロン茶を渡す。「あ~あ~、ありがとよ」オババは奪い取るようにお茶を手元に置く。
見た感じ、とても元気な感じだ。

オババの部屋は市営住宅の一角にある。あがるのは今日で2回目だ。部屋の大きさは6畳位か。古ぼけたたんすに布団を何枚も積み重ねた寝床に横になっている。サイドテーブルの上にはおやおやタバコ。そして灰皿。飲み終わった薬の空。
カセットコンロの上でヤカンが蒸気を出している、、、、加湿のようだ。
ふたを開けてみるとあれあれ殆ど水が無くなっている。やばいぜこれは。このまま放置してたらヤカンがバーンって爆発したりして(・∀・)ノ


今日の今野は医療人ではなく知り合いの見舞いな感じで訪問。

もちろん仕事用具は一切持たずに手ぶらで。

オババが前に言ったこと。
「あたいはよ!!先生に任せているからいいんだよ!!」
「住み慣れた家でバカみたいな話して死にたい」
「天井ばかり見てたら死にたくなる」
「誰かはなしに来てくれるやつ来てくれよ~」
「自分の体のことは自分がよくわかっている」
「話していると病気が和らぐ感じがするんだ」 などなど。

勝手な解釈かもしれないけど、いろいろ話を聞いていると「自分の死に際は自分で決める」って人なのだろう。

だから、ぶれてない。今の所。ハッキリしている。すごいと思う。


病気のことはある程度承知。誰かと話して病気のことを忘れたい。ってのがオババの希望なのだ。定期的に訪問診療もしているし。

寿にきて思ったこと。病気だから、必ずしも医療の手が必要だとは限らない。
要はその患者のニーズ、満足が満たされていけばいいのだ。

ケースバイケース。基本的に必要な治療はする。あとは個人個人に必要なことを模索していって混ぜる。今野はそれを「そいつの気に入るカクテルを作るように」と表現している(そのまんま)


やるべきこと、必要なこと(癌に伴う除痛など)は当然やるけれど、後はその人が満足できればそれでいいんじゃないかな。話したいなら話す。一人でいたいときなら一人にしてやる。


だから今日はボランティアのお手伝い。


そんなオババ、誰かが来るとうれしいみたい。
たまに笑うとタバコすって皺くちゃの顔が皺だらけになる。お茶目なオババだ。
今までも時々町を歩いているときに道端でタバコ吸ってる姿をたまに見かけて、たまに話すくらいだったから、これと言って話す内容なんてない。とりあえず話を聞くか。って思った。

「どう?調子は?」大分前、開口一番オババはものすごい勢いで訪問看護師について話し出した。
いろんないきさつがあったようで割愛するが結果を言うと訪問看護師に対し、ティッシュボックスを振り回して、「帰れ!!!」と怒鳴り追い出したそうだ。
「また月曜日に来るとか言いやがった。鍵閉めといて入れないでやる」といきまいてた(-_-;)



オババ、ヒーットアップしてむせ込んだ。顔を真っ赤にしながらも話続ける。


このまま、死ぬんじゃねえか?と思った。


落ち着いた後 床、サイドテーブルをうごめくゴキブリを見てオババがこんな話をした。

「もう、こんな体だから掃除も出来ない。だからゴキブリは諦めているんだ。こいつらにもお菓子をあげて「ほれほれゴキブリさん、これがあなたのご飯ですよ。だから私のおまんまには入らないでね」って話しているんだ」

そう言うと、オババは傍らにあったゴキブリの死骸を掴み後ろにポーンっと投げ捨てた。

オババの家には5匹の猫がいる。短いしっぽのトラ猫がおり、我々を警戒していた。そのことをオババに話すと「あ~あいつはうちの猫たちのオールボスでな。あいつがアタイの頭にションベンしやがるんだ!!そうそうこないだあんたのところ(ポーラのクリニック)に行ったときにそうだったんだ」と。

どうりで猫臭かったわけだ。今は週に1~2回デイサービスの風呂を借りて入浴している様だ。外にも出れるし、これが楽しみなんだろうね。


そんなこんなで、あっという間に1時間弱時間が過ぎて帰ることにした。

「じゃあ、また時間があるとき話に来るよ~またね。お邪魔しました」と部屋を後にすると後ろから「よう~!!」っとオババが呼ぶ。
「なんだい?」と声をかけると「アタイのことで先生やポーラに心配かけたくないから、今日の事をきかれても口うるさいババアだったよ、と伝えてくれ」って言ってた。

声がでかくて、気が短く、行動にも出すオババだけど、他者を思いやる心があるオババだ。

きっと威勢がいいのは照れ隠しなんだろうね。



さて、おばばが最期を迎えるまで何回遊びに行けるかな???


つづく


と思う。

こんのくんとオババ

2012年08月13日 | つくんこ
今野君は先月末でポーラのクリニックを退職した男性看護師(30代)。
通称「つくんこ」
山中は今野君が15歳の時からこんのくんを知っている。
准看護師→正看護師→大病院のICU/CCUナース→ポーラへ。
2年間勤務してくれた。
寿での在宅医療にもいっしょに関わってくれた。その間、視診、触診、聴診の方法と患者さんとの距離の取り方を徹底的にしみこませた。
来月からはまた、病院勤務へと戻っていく。
彼もポーラのクリニックにて“変えられた”若者のひとりである。
こんのくんが寿で一番好きだったのが オババ。
オババとの出会いからこれまでをメールに書いていてくれた。
こんのくんの許可をもらったのでシリーズもので紹介します。
まずは、出会いから。
(絵文字は省略もしくは文字化されてます)

オババ 1



2010年10月12日




オババ。

だみ声、タバコ(ハイライト)、なぜか声がでかい。

でも、目がおっきくてクリクリしてる。

きっと若い頃は可愛かったんだろうな。と思う。

クリニックでもオババは有名。意外と不良らしい。

こないだ訪問途中でオババに会った。

今野が挨拶すると、おばば「会いたかったよ~。アンタ(スリスリとつくんこの手をさする)」

話したそうだったのでちと話をきいてみた。

倒れちゃったこととか、最近元気がない。とか色々話した。
「なんか元気になることないかなあ?」と聞かれ、「俺の顔見て元気になったろ??」といっておいた。

オババ笑顔。

今日もバイクで訪問に向かってたら道端にオババ発見。手を振ったら答えてくれた。
クリニックに戻り「オババに会いましたよ」と言ってたら、院長「バイクのケツに乗せてやれ」ってさ。

「具合悪そうだから後ろに乗せてそのままここ(クリニック)につれてきましょうか?」と聞いたら、院長「いや、いい」ってさ。

皆(スタッフ)から愛されているオババの話。





複雑な気分の自慢写真

2012年08月09日 | さなぎ達理事長 山中 修
「今日は寒いね~・暑いね~」
言っても仕方ないけど、普段思わず言ってしまうことば。

「今日は疲れたね~」
「おつかれさま~」
これらも、言っても蓄積乳酸が半減するわけでもないが、日常口癖でつかってしまう。

これらのことば。
相手がいればこそ。
相手が居れば何となく涼しくなったり、疲れがとれたり。
不思議に苦しさは半減する効果が、間違いなくある。
逆に、壁に向かって、ひとり「暑いね」と言っても、帰宅後ひとり部屋で「今日はお疲れ様でした」と自分に声かけても、むなしさが倍増する。

ことぶきは6500人孤独の町である。
200*300メートル四方のそれぞれの角にコンビニが立っている。
写真のローソンはポーラのクリニックから寿へ入っていく、その道沿いにある。
全国一位。
おせちとウナ丼、両者とも売り上げ金メダルの店。

壁に向かいながら、「今日は冷えるな~」と独語言いながらおせちを食い、「今日は夏ばてだ~」とウナギをほおばる。
売り上げ一位の裏には,やはり金メダルクラスの独居の寂しさが,一年中続いている。

寿のおじいさん川柳

2012年08月06日 | さなぎ達理事長 山中 修
クリニック外来に5年以上かよって来てくれる寿のおじいさん。
家族はいない。
84歳。
狭心症で5回もカテーテル治療され、そのたび毎に心臓カテーテル検査を確認検査するため、すでに10回以上も心カテ入院を繰り返していた人。
初診以来行った治療法は、禁煙指導と歩行指導。
以来、一度も治療入院や心カテ入院は必要ない。医療ってなんだろう?

不自由なモノと言えば、耳。
耳が遠くて補聴器申請したら4ヶ月かかってやっと先日、本人の手に渡った。
役所を通じて生活必需品を買ってもらうには、ずいぶんと時間がかかるこった。

補聴器つけたら、ぺらぺらと会話がスムーズに。
本人が「下手な川柳だけど読んでください」と持ってきたので紹介したい。
このおじいさんの自慢話は、「みなとでひとの2倍の重さの荷物を担げた」話。
腕相撲でクラスの女子に負けていた小生には想像もつかない力持ちだったようだ。

生(せい)あるは 生を食して 生たもつ。

政治(まつり)ごと かってなりくつで 誑(たぶら)かし

月欠ける 浮き世のならい いつ変わる

消費税 ドジョウが化けて ボウフラに

節電や 蛍の光 窓の雪

ゆっくりと 被災地人の 歩みかな

ゆめにでて ゆめにおわれる こはいゆめ

ひとさらう 津波のこわさ 友引日

なかなかの脳力。
筋力だけじゃなく、驚いた次第。
寿は奥が深いわ。

寿の自販機

2012年08月06日 | 事務局より
今朝の出来事。
カウンターに座っていたら、「いや~参ったよ」と言いながら「さなぎの家」に入ってきたおじさん。
入口の脇にある流しで缶コーヒーを洗い始めました。
「間違って温かいの買っちゃった~」
「え!それはショックですね」
「ショックだよ~。コーヒー、コーヒー、と思って目の前にあるボタンを押したら間違えちゃった」

そういえば、夏場って、温かいものが売ってない自販機って多いですよね。
秋口になっても、まだ冷たいものしか置いてなかったりしてがっかり、な経験ありませんか?
でも、寿は、今の時期でも温かいものを売っている自販機が多い気がします。
まあ、それはそんなに気にならないのですが、わたしが気になるのは、年中「おしるこ」が売っているということです。
わたしは、あんこ大好きで、あんこ物には目がありません。
しかし、連日30度を超え、ガンガンと太陽が照っている中、熱々の「おしるこ」……
いくらわたしでも無理です。
(この暑い中「おしるこ」は無いでしょう…むしろ、見るだけでなんか暑苦しい!)

この前も、「おしるこ」が気になりながら歩いていたら、見つけてしまったのです。
“冷た~い”の青いラインに「おしるこ」が売っているのを!!
(冷たいのであれば頂きたい!!)
と思ったのですが、考えました。
(待てよ、これは冷たい専用のおしるこではなくて、ただ単に冷やされてる「おしるこ」ではないか…)

知ってる方がいらっしゃるかわかりませんが、去年、どこかのメーカーの自販機に(ダイドーだったと思います)夏限定で「冷たいおしるこ」が販売されていたのです。
ええ、もちろん見つけた時に即買いです。
甘味処なんかでは、この時季「冷やしぜんざい」とか「冷やししるこ」がメニューにあるお店も少なくないですよね
なので、まあ、それなりに美味しかった記憶があるのです。
(なのに、また買おうと思ったら、もう商品が入れ替わっていて、二度とお目にかかっていません)
が、しかし…
(“温か~い”で売られていたおしるこが、“冷た~い”で売られているのはなんだかなあ…)
結局、買っていません

寿の自販機には謎が多いんです。
寿町に置いてある自販機の飲み物が安いことをご存じの方は結構いらっしゃるかもしれませんね。
その他にも、以前わたしが気になった自販機がこちらです。
↓↓



おわかりになりますか?
見えずらいかもしれませんが、自販機が割れていて、手書きで“常温”と書かれているのです。
(え??なにコレ?え??)
もちろん販売中です。
(んー……??)
と、わたしの横にひとりのおじさんが。
何の不思議もなく、その自販機にお金を入れ、飲み物を買ったのです!
(……………。冷えてるの?本当に常温なの?)
さすがに聞けず、自分で確かめようと思ったのですが、あいにく財布がない!
その後も何度もそこを通ってはいたのですが、買う気にはなれずにいました。
ちなみに、今は新しい自販機に変わってしまっているので、謎のままです。

寿に来たら、自販機に注目してみるのも面白いかもしれませんよ