桜桃生存日記

桜桃が気ままに書きたいことを書く日記。
日常のこと、趣味のこと、思ったこと、など。

柚木麻子『あまからカルテット』

2020-04-08 | 本棚

※表紙の画像は版元ドットコムより。

柚木麻子さんの小説を読むのは、この作品が初めてです。
アラサー女子4人組の友情ものなんですが、
料理が題材になっていて、推理小説的要素もあります。

彼女達は女子中学からの親友で、4人とも
「困った時はお互い様。放っておけない」
という精神の持ち主。
1人がピンチの時は、3人が協力して助ける
っていうのが主な話の流れです。

学生の頃と違うのはアラサーになって、
環境や立場に変化が出てきた。
それぞれ今やこれからへの不安、自信のなさ、嫉妬心など抱えながら、
それでも変わらない友情を貫いていくっていうのが、凄いなと思いました。

いくら旧知の仲でも「踏み込まれたくない、放っておいて欲しい」
って部分はある。
その部分に触れないで、そっとしておく事もできるし、
それが思いやりでもあるのだが、
彼女達はわざわざ首を突っ込むし、ずけずけと踏み込んで行って、
大きなお世話なのを承知で世話を焼くのだった。
でもそれは、「あなたはひとりじゃない。私達がいるんだから、
もっと頼って。寄りかかっていいのよ」
という4人の懐の深さだと思う。
そして信頼感。

こういう友情が羨ましいし、理想的ではある。
でも私にはできない。
踏み込まれたくないし、踏み込むのも怖い。
自分から縁を切った事もあるし、裏切られたり距離を置かれた事もある。
女の友情は難しいなと思うし、人付き合いは疲れるから、
友達はゆるゆると細く長く繋がっている子だけでいい。

文章は会話のテンポが良くて、ワチャワチャと賑やかで読みやすかったです。
4人の性格や状況も細かく設定されていて想像しやすかったし、
女ならではの心の闇や30手前の焦りも共感できる。
特に「おせちでカルテット」は大晦日から元旦にかけて、
4人が最大のピンチを乗り切れるのか緊迫感があります。
果たして彼女達の友情はいかに!?

ただ、「恋する稲荷寿司」の、
咲子が一目惚れした男性と会話するきっかけになった具体的な出来事が
書かれてないんですよね。
咲子と男性は花火大会で出逢うのですが、
「お騒がせしたお詫び」ってだけで男性が話しかけてきて、
一目惚れするって(^^;
うーん。この出だしだけがどうも微妙なんです。

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