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山猫 4K 修復版

2017-02-04 11:20:46 | 映画 1964
イタリア貴族の末裔であるジュゼッペ・ランペドゥーサが、
自身の体験を基に書いた小説の映画化だそうです。

統一戦争に揺れていた激動のイタリア。
山猫の紋章を持つサリーナ公爵はシチリアを統治する名門貴族ですが、
彼は自分たちの時代の終焉は近い、と感じていました。
一方、革命軍として戦った甥のタンクレディは、
新興ブルジョワジーの娘アンジェリカと恋に落ちます。

クライマックスの大舞踏会の場面が、全編のおよそ3分の1を占めています。
延々一時間以上・・・長い・・・退屈はしませんが。
( ただ、この舞踏会に参加していたら退屈するかも)
で、長さもですが、埋め尽くされた人間の多さにもびっくりしました。
戰のシーンより人数多くない?
芋の子を洗うようだ・・・と思っちゃったのですが~。
あんなに人口密度が高くて大丈夫?
あれでよくぶつからずに踊れるよなあ、とそこに感心してしまったわ。
このシーンで貴族の役で登場している多数のエキストラたちは、
3分の1が実際のシチリア貴族の末裔なんだそうな。

貴族の没落と新興ブルジョアジーの台頭という、
大きな時代の変わり目。
新旧交代の大舞踏会という意味を持たせているのでしょうか、
金に糸目をつけない豪華絢爛な大舞踏会です。
そのシーンを、金に糸目をつけずに制作しています。
さすが名門貴族の末裔ヴィスコンティ監督、
衣装や細部の調度品にいたるまで、
全てに彼の美意識によって選び抜かれた本物が使用されたんだって。

移りゆく時代に取り残されるサリーナ公爵と、
新しい時代の波に乗るタンクレディ。
ふたりの対比が見事です。
名門貴族の没落とそれでも捨てない矜持、
サリーナ公爵がその佇まいと愁いある表情で、
ひしひしと伝えてきます。
衣食住足りた人間だからこその愁いだとは思ってしまいますが・・・


監督 ルキーノ・ヴィスコンティ
音楽 ニーノ・ロータ
サリーナ公爵 バート・ランカスター
タンクレディ アラン・ドロン 公爵の甥
アンジェリカ クラウディア・カルディナーレ ドン・カロジェロの娘
ガルバルディ軍将軍 ジュリアーノ・ジェンマ
カヴリアーギ伯爵 マリオ・ジロッティ
ドン・カロージェロ・セダーラ パオロ・ストッパ  新興勢力のブルジョアジー
ピローネ神父 ロモロ・ヴァッリ
サリーナ公爵夫人 リナ・モレッリ
コンチェッタ ルチッラ・モルラッキ 公爵の長女
1964年1月公開



「ヴィスコンティが最も愛した二人の美しき男の、
最も美しい姿を見ることが出来る二作品が、
その生誕110年没後40年のメモリアル・イヤーに
極上の映像でスクリーンに甦る」
そんな言葉が書かれたチラシを見たら観ないわけにいきません。



アラン・ドロン演じるタンクレディは魅了的でした。
( と書きながらこのイラストはどうかと思いますが・・・)
黒い眼帯が似合うこと!
瞳が透き通るように青かったなあ。
しかし・・・「美しき男」に釣られて観たはずなのですが、
最終的には黄昏ていくサリーナ公爵のほうに心を持っていかれたのでした。