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業務&ITコンサルタントのひとり言

コンサルティング活動を通じて感じることを勝手気ままに記載

壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:4月10日の日経コラム「日欧、大戦を阻む防波堤に」と云う偏向報道の幼稚さ

2025年05月03日 12時53分15秒 | 社会全般
4月10日の日経に、「日欧、大戦を阻む防波堤に」と云うタイトルのコラムがあった。これは左翼記者が書いた記事だが、トランプ大統領が進める関税化によって第三次世界大戦を招く恐れがあると云っている。どうもトランプ大統領の本当の目的を分かっていない様だ。

事実認識として間違っていない所もあるので、そこについて記載したい。先ずは正しい箇所として...

・米国は自由貿易体制を保つ為に、膨大なコストを払ってきた。
・89年の米ソ冷戦が終わった後も、米国の防衛力と巨大市場に各国はただ乗りしている。

この二つの事実からも、トランプ大統領が関税化する事への十分な理由があり、どの国も文句は言えないし、一体何が問題なのだろうか?特にかの国は、米国の市場にただ乗りしており、それを排除しようとしているのだが、このコメンテーターは敢えてそれを隠そうとしているのだろう。

かの国の問題は、急激に世界をコントロールしようとしている事である。しかし世界の国々は寛容なのか、または愚かなのか、その侵略を野放しにして来た。それをトランプ大統領が止めようとしている。これをこのまま放置する事で、反って第三次世界大戦が発生する可能性の方が高いのではないだろうか?

次はこのコラムでは記載していない事を述べたい。それはそもそも、Globalization(自由貿易)は間違っていると云う事である。これを理解していないと、トランプ大統領が行おうとしている事は到底理解できない。

自由貿易の所為で、アメリカでは身の回りの安価な商品をアメリカで製造しなくなり、輸入に頼っている。具体的には一部の安価な薬や、衣料品・日用品などが代表例であろう。その為、万が一の事態が発生した場合には、アメリカ人は生活できなくなってしまう。特にコロナ過ではマスクを製造している企業はなかった。これは国防上において大変危険な事であり、対処すべき重要課題である。

日本の場合も一部の薬はかの国でしか原料を作れておらず、米国同様に大変危険な状態にある。そして衣料品や日用品も多くをかの国に頼っている。一部は国内でも製造しているが、売価は安く、薄利多売でなんとか凌いでいる状況である。

そしてもう一つ重要な事は、既得権益構造の破壊である。ヨーロッパは元々既得権益者が牛耳っている社会であるが、それがアメリカでも蔓延してきており、それらがヨーロッパの既得権益者と繋がって社会を壊して初めて来た。この既得権益を破壊する事も、トランプ大統領が試みていると云う事を、このコメンテーターも理解しているハズ。しかしこれを書かないと云う事は、このコメンテーターも、既得権益者からおこぼれを頂戴しているからだろう。
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壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:4月10日の日経コラム「低生産性解消の処方箋」から学ぶベキ事

2025年04月30日 20時10分42秒 | 経済
4月10日の日経に「低生産性解消の処方箋」と云うタイトルのコラムがあったのだが、久しぶりに良い記事を見た。日本の低生産性の問題点は、”付加価値”の意味を分かっていない事と、サービスは有償である事を分かっていない事と無駄なサービスが多い事である。

多くの日本人は、付加価値を高める事とは機能を追加する事だと考えているのだが、そもそもこの考えが間違っている。このコラムの見出しに、『「ラグジュアリー」に解?』と書かれているが、これがある意味での”答え”である。

極端に言えば、付加価値とは多少高くても買いたいと思わせる事である。そういった意味で、欧米、特にヨーロッパの多くのメーカはこの点では成功しており、日本人は欧米の製品を喜んで高いお金をはらってでも買っている。具体的には自動車や、特に洋服やバッグなどのブランド品である。このコラムには、セイコーの時計と、ロレックスやオメガを比較している。”時計”としての精度やセイコーの方が遥かに上であるが、ブランド力と価格は雲泥の差である。

このコラムには次の記載がある。「品質のよいものを安く提供するのがメーカーの使命、とした松下幸之助氏(パナソニックホールディングス創業者)の哲学が世の中に根付いてしまったからではないか」...と。

昔の日本の製品は、世界、特にアメリカ人からは「安かろう、悪かろう」と云われていた。この”悪かろう”を払拭する為に、日本の企業は一生懸命に努力し、”悪かろう”は”良かろう”に変えて行った。しかし、”安かろう”については、未だに卒業出来ていない。この事が問題なのである。その為、今の日本の製品は、高品質・低価格である。高品質≒付加価値ではない事を、未だに分かっていないのである。別の言い方をすれば、お金を取れない”高品質”は価値がない。

二つ目の課題は、サービスは有償である事を分かっていない事にある。

このコラムでは宅配サービスを例に挙げている。配送時間を指定でき、また再配送も無料で行ってくれるサービスは、本来は追加料金を請求すべきサービスである。しかし日本の市場は過当競争状態であるがために、本来お金を取るべきサービスを無償化している。

またムダがサービスも沢山ある。このコラムではお辞儀を例にしている。「店員さんのお辞儀って必要ですか?」と...。これには賛否があると思うが、コンビニやスーパーのレジで、店員にお辞儀される程、気持ち悪いモノはない。それよりも、笑顔と親しみやすい会話の方が、良い印象を得られるのではないだろうか?無表情でお辞儀をされ、そしてテキパキとしたレジ打ちであれば、ロボットでも十分できる。今のサービス業界のみならず、一般の企業での礼儀作法や会話方法は行き過ぎた感があり、気持ち悪さも感じている。
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壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:3月24日の日経「生活保護」についての問題点と解決策の考え方

2025年04月27日 10時05分45秒 | 社会全般
3月24日の日経に「生活保護、過半が65歳以上」と云うタイトルの記事があった。生活保護の受給者が2000年との比較で約倍になっているとの事である。この記事自体には大きな問題はないが、この記事から読み取れる問題点の本質を探っていきたい。

2000年では37%だった65歳以上の生活保護受給者の割合が、2023年には53%となり、高齢者の生活保護受給者が増えて続けているとの事である。因みに、2000年時点の生活保護受給者は103万人、2023年は199万人で、ほぼ倍増している状況である。

2000年当時に40~59歳の生活保護受給者が27%で、60~64歳は11%の合計38%がもしまだ生きているとすると、今現在65歳以上になって生活保護を受けていると思われる。また65歳以上の37%(約38万人)の約半数の19%がまだ生きているとすると、38+19=57%(59万人)が現在も継続して生活保護を受けている事になる。

2023年時点での65歳以上の生活保護受給者数は53%で、約105万人である。と云う事は、105ー59=46万人の人が新たに生活保護の受給者になった計算になる。2000年以降に団塊世代が順次高齢者になり、その内の一部の人が生活保護受給者になっていったのだと思われる。そして一人暮らしの高齢者が増えているとの事である。

推測ではあるが、自営業や非正規労働者などで国民年金しか納めなかった、または年金を納めなかった人達がある一定人数いる事が原因であろう。

また2000年時点で39歳以下の受給者が25%(約26万人)もいたのだが、2023年には40~59歳の割合が全体の23%(約46万人)に増えている。この世代は、就職氷河期を経験し、民主党政権下で発生した年越し派遣村を経験した世代である。

最近、国民民主などが、この「就職氷河期世代を救おう」と発言し始めている。大変良い発言で、重要な事である。この動きをパクる形で、自民の石破がこれを考え始めている様だ。この男の場合はあくまで国民の人気取りの為の発言だろうが、とにかく本当にこの問題を解決できるのであれば、その思惑には目をつぶっておこう。

また、2023年での39歳以下の割合は16%(31万人)で割合は減っているモノの、人数は若干増えている。これも今後大きな問題となってくるであろう。この世代は安倍政権下で就職できた世代ではあるが、コロナ過で職を失った、または就職できなかった世代だろうか?世間では人手不足を云われている。外国人を受け入れる前に、これらの若い世代も、正社員として就職できる様に政治が仕向ける必要がある。ここは是非国民民主党に頑張って頂きたい。
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壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:トランプ関税との交渉方法は?

2025年04月26日 14時22分37秒 | 経済
一つ目は、日本の製造メーカの多くは、アメリカで雇用を生み出している事を交渉材料として使う事である。自動車産業を筆頭として、沢山の日本メーカの工場がアメリカにはある。一方米国の企業の中で日本に製造工場を持っている企業は大変少ない。昔はIBMやHP(ヒューレットパッカード)などは日本でも製造工場を持っていたが、今は殆どないか、ゼロである。またPGは今も工場を持っているが、縮小していると聞いている。

下記は、日本の自動車メーカ4社の米国での販売数に対する供給元の数値データである。
トヨタ:230万台(アメリカ:120、日本:60、メキシコ:20、カナダ:30)
ホンダ:145万台(90、0、20、35)
日産:95(45、15、35、0)
マツダ:45(5、30、10、0)

この情報を基に交渉すべき事は、アメリカで製造している量の半分の輸入量については、関税化から外すと云った対応を求めても良いのではないだろうか。トヨタの場合は約120万台の自動車をアメリカで製造している。そうであれば、この半分の60万台は、今回の関税の対象として外すベキである。

またアメリカで製造された日本メーカの車の一部は、カナダやメキシコなどの海外に輸出されているだろう。もしこの理解が正しければ、アメリカから輸出した台数分の輸入は非関税とすべきである。

日本はアメリカと違って石油を代表とする資源が乏しい国である。その為、資源を購入する為のお金を別の手段で得る必要があり、近年は貿易赤字が続いている。そういった意味で、日本はアメリカ等、日本の製品を購入してくれている国家には感謝している。その証として、日本の企業はアメリカで雇用を生んでいる事を力説するベキであろう。そして貿易のバランスは二国間のみでみるのではなく、複数の国家間で考える必要がある事を史的すへきである。

二つ目として、日本人が購入しているアメリカ製品の多くは、中国や東南アジアで製造されている。その為、アメリカで製造している製品の輸入も当然少なくなる。もしアメリカがこれらの製品をアメリカ国内で製造していれば、日本の米国からの輸入も増える。アメリカの企業がアメリカ以外で製造しているから、当然アメリカからの輸入も少なくなる事を、丁寧に説明する必要がある。

三つ目として、日本は多くのアメリカのサービスやソフト商品を購入している。そしてアマゾンから多くの商品を購入している。これも認識してもらう必要がある

四つ目として、トランプ大統領は、自動車の安全基準、牛肉などの検疫、障壁や製薬を取除く事を要望している様だ。これについては、安全基準は消費者の要望に合わせるベキであり、日本の自動車メーカはアメリカの要望を満たして来た。特にカリフォルニアの厳しい環境基準に配慮した自動車を作り続けている。これらの事を、論理だててトランプ大統領に説明する事も重要である。そしてお米などの食品に関して妥協してはいけない。食料の自給を高める事は国防であり、その認識を政治家を持つ必要がある。それでもお米を輸入する場合は、備蓄米としての活用に限定すべきである。

そして五つ目は、安倍さんがトランプ大統領に説明した事を再度伝える事である。バイクのハーレーダビッドソンは、日本にサービス網を設けた事で、多くの消費者に受け入れられている。アメリカの自動車メーカも、日本で商売をする為には、先ずはサービス網を設ける必要があり、そのサービス網を作る支援であれば、かのうである。そして、その場合には右ハンドルの自動車を製造する必要がある...と。

トランプ大統領の基本的な理念は正しい。しかし実施方法や時々出てくるギョッとする発言については、右往左往する必要はない。それは子供を諭す様に、丁寧に説明すれば良い。
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壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:4月17日の日経に、政府の愚かさを表した記事が満載だった

2025年04月23日 21時48分09秒 | 社会全般
暫く忙しくて新聞を読む時間が無かったのだが、4月17日の日経には政府の愚かさを表出される記事が満載だった。それらは①「有料道支援、自治体2124億円」、②「ガソリン補助金つかの間のゼロ」、③「米中対立、レアアース波及」、④「訪日客1000万人」などだ。

①「有料道支援、自治体2124億円」:
これは地方自治体が借金して道路を建設し、その借金の返済の為に有料化している。そして料金の徴収によって借金の返済が終わると、無料にする計画で建設された道路の事であろう。これらを建設する最、想定する利用車両数に基いて、借金返済の予定時期、すなわち無料化にする予定時期を決めていた。しかし想定よりは利用台数が少なく、借金返済の予定が40年以上伸びている有料道路を列挙している。

この問題点は、そもそもその道路が必要だったのか?と云う問題もあるが、それよりも何故他の道路と同じ様に、通常の予算の中で建設しなかったのか...である。そして仮に有料化したとしても、それを建設費返済を目的とせず、その道路の補修の為のお金を確保を目的とする程度にすべきであろう。

因みに先進国では有料の道路は大変少なく、仮に有償であっても日本程高い金額を課す国はない。

②「ガソリン補助金つかの間のゼロ」:
これは今一番ホットな話題だろう。政府はトリガー条項を無視し、高騰しているガソリン価格を野放しにしている。そして、この記事にはトリガー条項の発動、即ち抑制を開始する金額を185円に切り上げたとある。なんとまあ、国民の方を見ていない政府だろうか?だから、財務省解体デモが起こるのである。

③「米中対立、レアアース波及」:
これはトランプ大統領が仕掛けた関税化の影響なのだが、これは想定内の事であって、かの国からのレアアースの輸入は段々厳しくなってくる事は想像できているし、また国防の観点で、この事は早くから対応策を講じるべきであった。

日本の近海ではレアアースが豊富にあり、また採鉱もそれ程難しくないとされている。それにも関わらず、これらの活動は遅々として進まず、半ば放置していると云われても仕方が無い状況にある。

これは明らかに政府の無策であり、愚かさの究極であろう。

④「訪日客1000万人」:
これは、今年の1~3月の四半期で、1000万人を超えたとの事である。この事については、このBlogでも何回も書いているが、今やこの多すぎる訪日客は公害である。特にかの国からの訪日客の振舞いには目に余る所があり、是非とも止めて欲しい。

目標とすべき訪日客は、年間2000万人がMaxであり、その様に航空各社や観光関連事業者に指導すべきであろう。
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壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:3月20日の日経コラム「男女格差解消への道筋」の間違いと本当の問題点

2025年04月20日 10時45分02秒 | 社会全般
3月20日の日経に「男女格差解消への道筋」と云うタイトルの論文があった。残念ながら、この論文のレベルは大変低い。これを書いた女性が、男女の格差について日本が他国と比べて悪いと言いたいダケでの、学者としての分析レベルが大変低い論文である。

同一労働であれば、男女の賃金格差はあってはならない。これは日本ダケの問題ではなく、ほぼ全ての先進国で同じである。その中で、日本は他の先進国と比べて若干低い程度で、それ程悪い訳ではない。それなのに、この女性の学者は日本は酷い国だと言いたいのだろう。

この論文の問題点の欠点の一つ目は、そもそも内容が間違っている。日本全体の男女の賃金格差は75.6%であるが、この論文では正社員(フルタイム)の男女の賃金格差として書いていて、この記載が間違っている。正社員(フルタイム)に限って比較すると日本は80%を若干下回る程度で、他の先進国の中では低いモノの、アメリカなどとの差は殆どない。

日本の男女間の賃金格差が大きい原因は、女性が非正規社員として働いている割合が多いからであろう。実際、正社員と非正社員との賃金格差は、男女でそれ程差がなく、大企業に限定すると、男性の方が賃金格差が大きいと云う事実がある。日本全体の労働者での男女間の格差が大きい理由は、先に述べた様に女性の方が、非正規社員の割合が多いからであると思われるが、この論文ではこの指摘や考察がない。

二つ目の問題点は、グラフとして掲載されているフルタイム労働者(正社員)の男女賃金格差と女性管理者の割合についての考察・分析の甘さである。

アメリカでの女性管理食の割合が約40%に対して日本は約13%位で、日本は極端に低い。しかし問題は次ぎである。フルタイム労働者賃金格差は、アメリカが約81%に対して日本は80%より若干低い程度であり、殆ど差がない。アメリカの女性の管理者の割合が多いのに、男女間の賃金格差は少なくなるのではなく、日本と殆ど同じと云う事が驚きである。

しかしこの論文では、これについての分析・深掘りが全くない。あくまで”仮説”だが、アメリカではDEIの推進もあって、女性管理者の割合は多いが、管理者間でも男女の賃金格差があるとの推測が出来る。要するに、女性の管理者を増やす事が、男女間の賃金格差解消には結びついていないと云う事になる。

三つ目の問題点は、家事労働時間に関してである。グラフからは、日本の男性の家事労働時間が他国の半分から三分の一程度の約50分でダントツで短いのだが、女性も約200分と一番短い。これから読み取れる事は、日本の女性はフルタイム労働者が少なく、賃金格差も大きいのに、家事労働時間も他国と比べて一番少ないと云う事である。これは何を意味しているのだろうか?この考察・分析がこの論文にはない。

因みにイタリア女性の家事労働時間は日本女性より100分程長い。しかも、男女の賃金格差が一番少ない。ここからは推測・仮説であるが、日本は男女共、労働時間が長く、イタリアは労働時間が短いのではないだろうか?そしてイタリアの女性は働き者であり、家族思いなのだろう。そういった意味で、この論文の欠点は、労働時間についての世界との比較をしていない事にある。そして女性の家事労働時間の長さと男女間の賃金格差には相関関係がないとも読み取れる。

日本の男女の賃金格差は、非正規雇用で働いている女性が多い事であって、非正規雇用の賃金を上げる事の方が大事である。そして米国の様なDEI推進による形だけの女性管理者の増加でもなく、女性にとって何が幸せなのかを考え、それを差別及び逆差別なく、推進する事だろう。

以上のことから、この女性学者の論文は、お粗末としか言えない。
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壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:3月16日の日経のキッコーマンの取締役名誉会長の直言の問題点

2025年04月19日 13時06分47秒 | 経済
3月16日の日経に、キッコーマンの元会長のインタビュー記事があった。『「サービスはタダ」反省を』とか「価格競争は価値を壊す」などの見出しの文言は正しいが、記事の内容をみると間違った認識が多い。海外でも製品を売っている経営者としては残念な内容である。

この記事の冒頭に、「先進国の中で日本の労働生産性の低さが指摘されて久しい。」と書かれている。このインタビューのお題はこれなのだが、この問題点の本質を、この元経営者は残念ながら分かっていない。

この私のBlogでは何回も書いているが、日本のこれに関する問題の原因は、大きく分けて①過当競争と、②行き過ぎたコストダウン、そして③競争力のある近隣諸国の存在、にある。

記事にも書いているが、「今の日本経済は成熟し、モノがあふれ…」とある。これがそもそもの問題で、過当競争しているから、安い価格で何でも手に入る。昨今のお米以外は…。過当競争しているから、必然的に価格競争に陥っている。キッコーマンでは、”しぼりたて生しょうゆ”や”二重構造の密封ボトル”などの商品化で付加価値及び競争力を上げたと書いているが、醤油の消費量が増えた訳ではなく、限られたパイを取り合っているダケである。

世界のビックマックの価格差を考えれば一目瞭然で、アメリカのビックマックの価格は凡そ日本の倍である。一時期、日米の価格差ば殆どなかったのだが、これは全く同じ商品であり、日本の価格が低い理由は、日本の生産性が低いからだろうか?答えはNOである。

二つ目の問題は、行き過ぎたコストダウンである。ここ30年~40年程の間に、コストダウンをする事が正しい事であり、役人と議員以外のほぼ国民全員が、それに邁進している。自分の収入を削ってまで行っている。

最近の国内と海外との価格差は、漸く多くの日本人も知る様になってきた。この行き過ぎたコストダウンによって、日本の多くの製品の価格はここ30年以上殆ど上がっていない。ビックマックの例を見れば分かり易いだろう。

何事においても「過ぎたるは猶及ばざるが如し」である。この30年~40年でしみついたコストダウン信仰を是正しない限り、生産性は上がらない。

三つ目の問題点は隣国との競争であり、20世紀の終わりころから日本の企業が中国に工場を移転し始めてから始まった。当時の中国は日給数千円の時代で、日本の企業はコストダウンを求めて中国にせっせと工場を移転し、一生懸命に中国に技術を渡した。その為、この国の技術力も向上し競争力が増してきた。その所為で、中国で生産している製品と、日本国内で製造している製品とで価格競争をさせられていった。

その結果、日本の製造業は人件費を上げられなくなり、経済の停滞が長引いてしまった。自ら蒔いた種で、自分を苦しめているのである。

この様に、日本の一流企業の経営者がこの様な体たらくな考えを持っている限り、日本の将来を楽観視できない。

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壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:3月16日の日経のキッコーマンの取締役名誉会長の直言の問題点

2025年04月19日 13時06分47秒 | 経済
3月16日の日経に、キッコーマンの元会長のインタビュー記事があった。『「サービスはタダ」反省を』とか「価格競争は価値を壊す」などの見出しの文言は正しいが、記事の内容をみると間違った認識が多い。海外でも製品を売っている経営者としては残念な内容である。

この記事の冒頭に、「先進国の中で日本の労働生産性の低さが指摘されて久しい。」と書かれている。このインタビューのお題はこれなのだが、この問題点の本質を、この元経営者は残念ながら分かっていない。

この私のBlogでは何回も書いているが、日本のこれに関する問題の原因は、大きく分けて①過当競争と、②行き過ぎたコストダウン、そして③競争力のある近隣諸国の存在、にある。

記事にも書いているが、「今の日本経済は成熟し、モノがあふれ…」とある。これがそもそもの問題で、過当競争しているから、安い価格で何でも手に入る。昨今のお米以外は…。過当競争しているから、必然的に価格競争に陥っている。キッコーマンでは、”しぼりたて生しょうゆ”や”二重構造の密封ボトル”などの商品化で付加価値及び競争力を上げたと書いているが、醤油の消費量が増えた訳ではなく、限られたパイを取り合っているダケである。

世界のビックマックの価格差を考えれば一目瞭然で、アメリカのビックマックの価格は凡そ日本の倍である。一時期、日米の価格差ば殆どなかったのだが、これは全く同じ商品であり、日本の価格が低い理由は、日本の生産性が低いからだろうか?答えはNOである。

二つ目の問題は、行き過ぎたコストダウンである。ここ30年~40年程の間に、コストダウンをする事が正しい事であり、役人と議員以外のほぼ国民全員が、それに邁進している。自分の収入を削ってまで行っている。

最近の国内と海外との価格差は、漸く多くの日本人も知る様になってきた。この行き過ぎたコストダウンによって、日本の多くの製品の価格はここ30年以上殆ど上がっていない。ビックマックの例を見れば分かり易いだろう。

何事においても「過ぎたるは猶及ばざるが如し」である。この30年~40年でしみついたコストダウン信仰を是正しない限り、生産性は上がらない。

三つ目の問題点は隣国との競争であり、20世紀の終わりころから日本の企業が中国に工場を移転し始めてから始まった。当時の中国は日給数千円の時代で、日本の企業はコストダウンを求めて中国にせっせと工場を移転し、一生懸命に中国に技術を渡した。その為、この国の技術力も向上し競争力が増してきた。その所為で、中国で生産している製品と、日本国内で製造している製品とで価格競争をさせられていった。

その結果、日本の製造業は人件費を上げられなくなり、経済の停滞が長引いてしまった。自ら蒔いた種で、自分を苦しめているのである。

この様に、日本の一流企業の経営者がこの様な体たらくな考えを持っている限り、日本の将来を楽観視できない。
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トランプ関税:自分だったらこうする。

2025年04月17日 07時21分37秒 | 経済
トランプ関税の狙いは二つある。その一つは製造業を国内に戻す事である。そして二つ目の目的は、かの国を経済圏から排除する事である。これらをしっかり理解しないと、トランプ大統領を単なる世界の秩序を壊す独裁者としか見えないだろう。しかし実情は違う。

現在のアメリカでは、アメリカでは作っていない身の回りで使う商品が沢山ある。例えば、スニーカー、野球帽、安価や洋服や食器類、などなど沢山ある。そしてそれらの商品の多くは中国で作っている。自動車などの裾野の広い産業や最先端の製造業をアメリカに戻す事も大事であるが、一部の身の回り品の製造も、アメリカに戻す必要がある。その為、これらの商品を製造しているかの国に対して、高い関税を掛けている面も多少はある事を理解する必要がある。そして関税による税収が増えた分、Sales Taxを削減するのではないかと思われる。

残念ながら、二つ目の目的を理解出来ていない人が多い。トランプ大統領がこれを行おうとしている理由は、かの国が余りにも露骨に世界をコントロールしようとしたからだ。アメリカや日本の土地を買い漁り、企業を買収して技術を盗み、社会をコントロールしようとした。これを日米のみならず殆どの国に対して行っている。アメリカもUSAIDを使って世界をコントロールしていたが、それは裏で隠れていやっていたために、表にはでなかった一方で、かの国は余りにも急激に露骨にやり過ぎた。これが我慢の限界に達した状況であるが、残念ながら日本の多くの政治家はこの問題点に取り組んでいない。

では自分だったらどうするか?トランプが既に行った様に、主要なパートナー国との関税は、多少下げるだろう。しかし一方で、かの国の製造業が持つ東南アジアの工場からの輸入は削減したいハズである。そして、かの国から日本や韓国を含めた東南アジアからのバイパス輸入も阻止したいハズである。そうであれば、日本&韓国及び東南アジアに対する関税はそれ程下げないだろう。

但し、これらの国がかの国からの輸入品への関税を課せば、アメリカはこれらの国からの輸入関税をさ下げるのではないだろうか?自分だったら、ここまで交渉をする。何故なら、二番目の目的が本気であるからである。

さてこれからトランプ大統領はどうするだろうか?
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壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:3月6日の日経コラム「私立・公立の競争条件対等に」から学ぶべき事

2025年04月13日 08時30分08秒 | 社会全般
3月5日の日経に「私立・公立の競争条件対等に」と云うタイトルの大変良いコラムがあった。高校の授業料無償化に対する問題定義であるが、このコラムでの論点は、公平性が担保できない状況での私立の無償化は問題だと云う事である。

では、ここで云う公平性とは何だろうか?一つは学校の質であり、もう一つは入学時の障壁であろう。

一般的に、私立の方が教育の質が高いと思われている。その理由は沢山あるが、一番大きいのが教職員の給料であろう。大阪では、私立高校の無償化と同じ時期に、役所の職員の給料が下げられたと聞く。その際に、当然公立学校の職員の給料も下げられた。そしてこれによって、多くの優秀な公立学校の先生が、私立に転職したと聞く。

そして私立の学校の方が、教育方法の自由度が高く、より良い教育が行われている所が多い様だ。一方公立の高校では硬直的で、昔ながらの教育が行われている。それを解決する為に、石原都政時に、都立の中高一貫校を作って、教育改革を試み、その結果都立の中高一貫のみならず公立高校の人気は上がり、日比谷高校を代表とする公立高校のレベルも上がった。行政のトップ次第で、公立学校も変わる事は可能だが、その様な人が行政のトップに選ばれる事は稀である。

もしこの様な理由から私立の学校の質が高くなり、しかも授業料が公立と同様に無償化になれば、公立学校よりは私立が選ばれるのは当然である。

二つ目の問題点は、高校を志望する際の受験に公平性がない事である。公立高校の受験科目は5科目なのだが、私立高校の受験科目は大変少ない。東京の場合、殆の学校では2~3科目であり、4科目以上を課している学校はたった2%との事である。

受験科目が多いと云う事は、それだけ子供に負担がかかり、できればそれを避けたいと思うのが普通であろう。自ずと受験科目が少ない方に進もうとするのは、必然的な流れである。

これらの不公平感を抑制していたのが、私立の高い授業料なのだが、この授業料が無償化されると、学生が私立に流れ、公立高校が定員割れする事は明々白々であろう。

大阪府及び維新の会が姑息でアクドイ事は、この政策によって大阪府の支出を減らす事が出来、中国化している大阪の私立高校に通う生徒に対しても、無償化する事である。103万円の壁を壊す事を阻止した維新は、自公と立憲同様に、次の選挙で議席を減らさせるしかない。
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