『翁さん、聞きましたが奧さんが息子さんと買い物に出かけて転ばれたそうで。医大で検査をされて骨折では無かった、そうですか。でも痛みがあるでしょうから、歩かれるのに注意をしませんと』、『いやあ参ったわ、初子さん。倅は介助のことを分かっていない、迷惑千万だよ。医師の話では、X線検査だけでは見つけられない隠れ骨折があるそうで、痛みが続くようならば再診をだわ』
『痛みがあっても、何とか伝い歩きが出来て一人でトイレにも行かれるのですね?。これまでは、翁さんの介助で無事故でしたから、残念な出来事ですね。痛みが長引かなければ良いですが』、『まあ、入院にならなくて良かったが、ディサービスにも行けないし、気配りに今まで以上に神経を、それでなくても気疲れをしていて、勘弁して欲しいわ。・・ “姥桜会” 明日は群馬に観梅だね?』
『お話を聞いている私までが疲れてしまいますよ、介護の努力が大変なことを頭では理解が出来ますが、お父ちゃんが同じ状況になったらどうなるかですね。・・観梅には少し早いのですが、日溜まりを歩くのが目的ですから』、『婆さんとのスキンシップも新婚当時以上だものね、神様は試練を与えてくれるわ。・・気分転換にゴルフを?、いやあそんな余裕はないわ、多分スコアにはならないわ、ハハハハ』
『でも、骨折だったらお年でリハビリが大変ですし、どこまで回復が出来るか、不幸中の幸いなのでしょうよ。神様のご加護だったと思いませんと。・・お見舞いの代わりに、何かお力になることを考えますから』、『♫ どうすりゃいいの、思案橋 ♪ だよ、ギャハハハ。明日は細やかなご褒美に旨い手打ち蕎麦でも食べてくるわ。・・折角じゃ茂さんに沢水の水源を点検をして貰うかな、水が止まっちゃって』
あとがき==まあ、これも100歳まで生きる人生の通過点、そう思わないと気持が萎えてしまうわ、ガハハハ==放念の翁