破李拳竜・日記

ここでは私・破李拳竜が行ってきた仕事やお遊びとかの日記を、つらつらと載せてあります。

かにゴールキーパー撮影日誌の後半!

2006年05月27日 00時12分55秒 | Weblog
いよいよ本日、劇場公開とDVDが発売される「かにゴールキーパー」!その撮影日誌の後半ですッ!
              

2月28日
 地元での雑用を片し即効、猛ダッシュで電車に飛び乗ると、午後駒沢競技場に到着。かにのサッカー入団テストのシーンの撮影中だが、かに役をバトンタッチした安藤君がヘバッている。着グルミを被ったままボールを追い駆け走り回ってへバったそうだが、台本を渡し、どんな役で何を演るかも分かっているのに走り込みしていなかったようだ。途中から私がかに役に元ると安藤君ホッとした様子。さっそくボールをキャッチしたりへディングしたり、かにのカニ鋏みも面白く出来た。
           
 夜、ヤクザの事務所シーン。6年前「恋身女子校生パティ」や「リスペクト探Q大図鑑」を撮ったスタジオ。教室のセットでスタッフが机を寄せ合い食事をしていると、本当の学校の給食の時間みたいだ。
 ヤクザ役は実在の武闘派極道・竹中正久を演じた小沢仁志さんという本格派だ。本人曰く「オレは警視庁が製作した防犯ビデオにも出演した、警察公認のヤクザ俳優だからね(笑)」と豪語する。しかし小沢さん、着グルミとカラむのが楽しいようで、「一緒に写真撮ってもいいですか?」と、かにとの記念写真撮ってゴキゲンのご様子。事務所で泡を吹いて倒れる芝居はガラモンを意識して演じた。

3月1日
 かにがソープランドで働くシーン。ソープ譲役は小泉彩ちゃん。泡を吹くのでソープランドでかにが働くという設定なのだが、泡がどうも上手く出ない。着グルミの横で噴出したり、あげくは私が着グルミの中からストローにシャボンを付けて噴出したりしてようやくOKとなる。
 午後、巣鴨の商店街でロケ。カニ歩きのシーンだが、歩いていると足が落ちてしまった!すると通りすがりのオバちゃんがわざわざ足を拾ってくれた、さすがオバちゃんの銀座と呼ばれる巣鴨だ、人情の街である。
 続いてかにが魚屋に出現シーン。買い物に来た主婦役は「コアラ課長」の時のOL三人娘の一人・裕美役を演じた高嶋ひとみさん。次回公開予定の「ズラ刑事」ではちょっと小悪魔キャラを演じるなど、多彩な役どころを見せている。かにを見て失神するシーンでは、「私が背中を押さえてますから安心して気絶して下さい。」と言ったら、本番は全身脱力で本当に倒れかかるから、本当に本格女優だなと感心した。
   かにが捕獲されるシーンでは、またまた怪獣演技。エキストラにこの近所の人達が集まってくれたので、野次馬の中に入って行って暴れると面白くなるぞ、と狙い、本番ではリハーサルにない動きで人々の群れへ向かって暴れ込む!おかげで皆さんのナマの驚きの表情やリアクションが撮れ、予想以上の効果が出たと思う。
  そこへ小沢さん達ヤクザが乱入するという演出になるのだが、エキストラに出てもらった商店街のオバちゃんや子供達、それまでノリノリだったが、リハーサルでいきなり小沢さん達が割って入って来たので、本物のヤクザが乱入して来たのか?と、すっかりビビってしまい、本番の時はエキストラ数が半分に減ってしまった。
       
 最期はタイアップの魚屋のご主人が親切に、監督以下スタッフにお茶を振舞ってくれたので、皆ご馳走になり本日も無事終了。明日はいよいよ藤岡弘、さんとメインのカラミの撮影だ!

3月2日
 本日再び駒沢競技場で撮影。藤岡さんの到着を待ち身を引き締め道着の帯も締め直す。そして藤岡さんグラウンド・イン!いよいよ絡んでの芝居だ。あいかわらず藤岡さんは現場に台本を持って来ない。台詞を単なるセリフとしてではなく、意味を租借して頭に入っているので、言葉の意味の通ったアドリブも利くのである。
 出番待ちの時は、芝生の上でおもむろに股割り柔軟を始められたが、芝生の上に広げた脚に耳が付いてしまう程の、年齢をまったく感じさせない体の柔らかさだ。しかし本番前、耳に芝生が付いたままで、ヘアメイクさんに「藤岡さん、ちょっと、芝生が耳に・・・。」とチェックを入れられ「おお、そうか・・・。」といったオチャメな部分も(笑)
それで藤岡さんとかにの会話シーンだが、歩きながらの掛け合いとなると、当然かにだから横歩き。それを見た藤岡さん、「そうか、かになので横に歩くか、そういう芝居だとは思わなかったなぁ・・・。」と、かにとの演技を楽しんでいた。そしてかにの目がギミックが仕込んである物とノーマルの物と取替えられるのだが、その作業の様子を見て藤岡さん、興味深く覗き込み「よく出来てますねえ。」と、ひさびさに着グルミとカラむ芝居に楽しんでいる様子で、「最初の『仮面ライダー』は私が被ってアクション演ってましたからねぇ。」と当時を思いを馳せる様子だった。
     
 それで昼休みは藤岡さんと昔話に花を咲かせた。藤岡さんは一時期「仮面ライダー」の事に触れられる事を拒絶していたがそれは「仮面ライダー」を切り離そうとしたわけではない、当時のマスコミは「たかがジャリ物番組で人気になっただけのヤツじゃないか。」というナメた悪しき態度があり、藤岡さんにとって「仮面ライダー」はまさに、役者どころか人間として再起不能の危機のドン底から這い上がりスターとなった作品であり、スタッフや共演者に支えられ今日の礎を築いた記念碑的作品である。そんな「仮面ライダー」に対して心無いマスコミのバカにした態度は「仮面ライダー」への冒涜に他ならない!それで・・・
 「お前らにいったい『仮面ライダー』の何が分かると言うんだ?『仮面ライダー』の話なら、一切断る!」と怒った事によるものだそうだ。
 「いや~ぁ、当時は私も若かったからねぇ。」と目を細めて当時を振り返る藤岡さんの顔が胸に熱く染み込んだ。・・・一部のファンの間では、藤岡さんは「『仮面ライダー』に出演していた事を闇歴史にしていた」といった声があったがそんな事はけっしてなく、「『仮面ライダー』の話なら、一切断る!」と言っていた真相も上記した通りだった。そしてライダー時代の仲間への恩義は深く、「野獣死すべし・復讐のメカニック」「エスパイ」といった自分の主演作では、殺陣相手には必ず大野剣友会のメンバーを指名していたのだから。

 午後の撮影再開となり、再びグラウンドに出るが、そのまま藤岡さんと、「今の日本は平和ボケしているッ、安全神話が崩壊したというのに!」「エゴイズムというウィルスが若者達に蔓延しているッ!」と話題を熱く語っていると、取材に来ていた関西テレビが我々の様子を撮影、観てくれる視聴者が我々の感銘を受けてくれれば良いがと願う。
 敵チームのとてつもない反則の連発に怒る藤岡さんの演技は迫真のもので、怒りに自らフィールドへ飛び出そうとする藤岡さんを引き止める霊波サトー氏も必死の演技となる。
 そしていよいよ監督の藤岡さんはかにを指名!。「選手交代ッ、キーパー…かにッ!!!!!!」
 これぞこの作品のありえない出来事をシリアスに描く世界観の頂点だ!「いかレスラー」は岩田貫一という人間が変身した姿、「コアラ課長」は人間と同等な扱いで、「田村」という名前と人格が与えられているキャラ。だが今回はただの「かに」なのだ、名前すら無い。だからその「かに」がゴールキーパー・デビューするこの瞬間が藤岡さんの熱演でシリアスに盛り上げてもらうのだった!!!私はアリーナへ飛び出し客の声援を受けながら、チームのフィールドへ向かう。

 なべやかん氏がレポーター役でやって来たので、出番の合間に控え室でひさびさに怪獣談議。ほぼ同時間にエキストラもスタンド・インして声をかけたPマンの野村武将君も来てくれた。観客席の客を背景に入れた藤岡さんがらみの画をメインに撮影して、無事藤岡さんの出番は終了。観客席に手を振りながら藤岡さんは退場して行く。
 そして観客のリアクションや、それぞれのチームのサポーターを演じてもらい、本日の撮影終了。エキストラに野村君の他に「電エース」で弟役で河崎組の役者としても常連の加藤礼次郎君も夫婦同伴で来ていたので、楽屋へ呼んでしばし雑談。帰りは加藤君の奥さんの車で新宿のホテルまで送ってもらう。
  ・・・おりょ、夜、ホテル近くのゲームセンターでボヤ騒ぎが起こったぞ、火事になって燃え移らんで良かった。いよいよ明日はクランクUPの日、最後の試合シーンでもある。

3月3日
  本日ひな祭りであるが、「漢」のドラマである「かにゴールキーパー」は関係なくクランクUP最終日、本日はヒロインも居ない、トホホ・・・(泣)競技場フィールド内で一日中試合シーンの撮りである。
 敵チームの凶悪反則でカニ味噌無くしてロボトミー状態になるシーン、更に乱闘、リンチでかにが解体されるシーン。かにの着グルミもボロボロになるが、本日で最期なので遠慮なく破壊している。とはいえリハーサルの段階から本気で殴る蹴るの行為を行っているので、思わず「リハから本気で着グルミ壊すなよ!役者だろ、壊しているような演技が出来ないのかよ!」と水口チーフ助監督からクレーム入る。
 また、敵チームの反則で、他の選手に飛びヒザ蹴りを見舞うカットでは、安全かつ迫力が出る飛びヒザ蹴りのやり方を指導。
            
   昼食は撮影監督の永野泰隆氏と談笑。永野氏も河崎組常連スタッフで、私とはフジテレビ721「リスペクト探Q大図鑑」で一緒に仕事をして以来、もう6年もの付き合いだ。彼はカメラマンだけでなく、撮影監督として照明の指示・演出もする。普通「撮影班」と「照明班」は別々のグループに分かれているが、撮影と照明の両方が行えるスタッフを抱えているチームは珍しいが、たしかに合理的だ。
 昼食休み明け・・・だが天候不順で、雨が降ったり止んだりなので、雨の止んだ合間を見ながらの撮影となった。かにのやられるシーンの後は、かにのサッカー・プレイをまとめ撮り。しかし着グルミを被りながらオーバーヘッド・キックをやって、リハーサルでは上手くマットの上に落ちたのだが、本番では真っ逆さまに頭から落ちてモロ地面に頭から激突してNG。もう1テイク行ったら、今度はカメラの上に頭から落ちて激突!すっかり頭がカニラリラ~ン!になって、肩がズレてしまったが首は折れなかったので大丈夫。
 そんなこんなでケガもなく無事終了~!。・・・しかしカメラにぶつかり壊してしまったのは、初めての経験、痛恨のミスだ・・・(反省)
そしてクランク・アップ。
 夕方、皆より一足先に河崎監督と共に千駄ヶ谷の飲み屋へ入ると、各々のかたずけ作業を終えたスタッフが入って来たので、全員揃った頃、河崎監督の音頭で打ち上げ会を開き、労をねぎらう。今回、雨に祟られたが、それを効果的な画に出来た、仕上がりが楽しみだ、といった声が上がる。私も楽しみだ。
 
 そして今回は都合で試写会へ行けなかったので、本日はいよいよの封切日、劇場でこの作品を堪能したいと思う。

最新の画像もっと見る