破李拳竜・日記

ここでは私・破李拳竜が行ってきた仕事やお遊びとかの日記を、つらつらと載せてあります。

勝って兜の王、ビートル! 

2006年01月26日 00時11分35秒 | Weblog
〇兜王ビートル/プロレス日誌の後半。

3月8日(火)
本日もプロレス・シーンの撮影,他にマスコミ披露の記者会見も行う予定だそうで、取材スタッフも訪れ人間の数が多い。昼に南部虎弾さんが来て、「いかレスラー」の時同様いつもの解説シーン。霊波サトー氏も同じリングアナの役。「大阪プロレス」の若手レスラー達やエキストラもたくさん来て、賑やかな撮影となる。
 「大阪プロレス」の小林広和会長はそのまま会長役で出演。レスラーの英俊選手、KID選手もこっそり出演してやられる役。また、他の若手レスラーがくもレスラーの吐き出す糸に選手が巻きつかれるシーンは、「モスラ対ゴジラ」のラストでモスラの糸に巻きつかれたゴジラの演技で指示した(笑)
 夕方記者会見のため、叶井プロデューサーもやって来た。河崎監督が斉藤氏を指して、「この人イケメンでしょう。『海猿』に出てたんですよ。」と紹介すると叶井氏は「えっ?『海猿』に出てた人が、『兜王ビートル』なんかに出ていいの?」だって。ちょっと、プロデューサーがそんな事言ってイイんですか?(笑)
 そんな調子で河崎監督と相変わらず叶井氏との漫才になり、楽しい記者会見になる。会見終了後またぞろプロレスシーンの撮影。
 「特捜戦隊デカレンジャー」主題歌を歌ったサイキック・ラバーも来てカメオ出演。実はこの「兜王ビートル」の主題歌も彼らが歌うのだ。
 クライマックス、地球の運命を賭けてビートルとディザスターが対決するのだが、それをプロレス会場を使って試合するという発想も凄いし、ちゃんと客が観に来るというのも凄い、さらにちゃんとレフリーが付いて、試合をジャッジするというのも凄い!ビートルが技を掛けられ苦しむと、「ギブ、ギブ?」と確認する。オイオイ、ビートルがギブアップして負けたら地球は征服されちゃうんだぞ!とツッコむトコロ(笑)
 レフリー役は実際「大阪プロレス」でレフリーを行っている小山良久さん。ルックスがK-1正道会館の角田信朗氏に似ているので、「髭のばしたら角田さんっぽくなって、もっと受けますよ。」と軽く言ったら「いつもよくそう言われるんですよ。」と笑って答えてくれた。

  本日でプロレス・シーンは終了。他諸々の撮影も夜9時くらいで終わる。


3月9日(水)

   今日で最終日だそうだ。その最終日にビートルとディザスターの対決を四谷のビルの屋上で撮影。こちらはプロレスよりヒーロー物っぽいバトルシーンにしてくれとの注文。しかしこの日、実に天気が良いが花粉が異常に飛んでいる日で、河崎監督はいっぺんに花粉症になってしまったそうだ、見ていても辛そう。でもスポニチに昨日の記者会見出ていた。
 で、撮影開始。ビートルやディザスターがビルの最上階に現れた姿はTV「人造人間キカイダー」でライバルのハカイダーが登場した時のイメージに見える。
 それで二人の対決の殺陣だが、台本では二人が会話してから戦いに入るシチュエーションなのだが、私はこれを、戦いながら会話したほうが、「今風のアクション」になるだろうと提案、実践する事とした。
現在主に「平成ライダー・シリーズ」等のアクションでよく戦いながら会話するというシチュエーションが行われるが、特撮映像ではこういった演出は95年の映画「人造人間ハカイダー」での、悪のサイボーグ・ハカイダーVS正義のアンドロイド・ミカエルの対決からであろうか。漫画アニメの世界ではそれ以前から「少年ジャンプ」誌上における対決物の作品で行われていた。これは、ゲーム世代の読者のスピード感に合わせた演出で、昔の対決物は「姿三四郎」に代表されるように、主人公VSライバルの対決は、盛り上げるだけ盛り上げた果てに両者激突!戦いが行われるという演出であったが、ゲーム世代のスピード感ではそんなもったいぶった話ではすぐ見放されてしまう。そこで新たな強敵が現れたら即効対決バトル!してしまう。・・・しかしそのままでは敵キャラがあまりにも薄っぺらなキャラで終わってしまう。そこで戦いながらの会話によって、敵キャラの背負ってきた宿命や強さ、秘密等が語られる事により、相手の人間性も際立つという演出となるのだ。
 こういった演出の原型をつくったのは、劇画「男組」の主人公・流全次郎VS宿敵・神竜剛次の対決からではないだろうか。

 プロレスラーであるビートルはもちろんの事、ディザスター役の斉藤氏も「カポエイラ」を習っているだけあってアクションのキレがいいので、殺陣を付けるほうとしてはとても楽で助かる。今までは大抵、アクションどころか体を動かした事も無い女の子に殺陣を付けたりというケースが多かったので、立ち回りを手順を覚えさせるので手一杯、それどころか殴るパンチの位置やポーズの角度まで事細かに指示しなかればならない状況なので、凝った殺陣など組み立てられず、カメラの演出でごまかしてきたのが多かったが、今回は動ける二人の対決でアレコレうるさく細かい事など言わなくても実践してくれるので、スムーズに現場の撮影がはかどった。
 特にディザスターの足払いを受けてビートルが背中からコンクリートの上に落ちるカットでは、我々の感覚ではクッションを用意しろ!という事になるが、「背中にプロテクター付いてるから、このままで大丈夫ですよ。」と言って、薄い硬質ウレタン製の甲冑なのに、そのまま豪快に背中から落ちた様を見て、つくづくプロレスラーのタフネスさに感心させられた。

 そんな二人の頑張りで、昼食前にアクション・シーンの撮影は終了。スタッフからも「思ったより早く終わったな。」と喜ばれた、ビートルと斉藤君に助けられましたよ。

 それから元・ミニスカポリスの大原かおりさんが登場。インセクト・サイボーグ女改造人間マリ・ポッサ役だが、屋上で強風が吹きスカートがめくれ上がると「いや~ぁン!」とおだやかな笑顔でスカートを押さえるほのぼのセクシー癒し系女優だ。

 花粉で不快な河崎監督は残りのドラマ部分もパパッと撮った後は、ゴング編集部でのシーンだそうで、堀内正美さんが張り切り順調に終了したそうだ。。千駄ヶ谷に戻りナレーションなど録りりクランクアップ!

 完成した映画はいままでの河崎監督演出の中では一番シャープで切れ味が良く、サイキック・ラバーが主題歌が歌っているから正統派ヒーロー物らしくみえるぞ!。人間風車・ビル・ロビンソンに会いたかったな。
 ・・・しかし、河崎監督が「子供達がアニメ『ムシキング』と間違えて観に来たらOKだ!」と言っていたが冗談だと思っていたら、完成した「兜王ビートル」のキャッチ・コピーが「カブト・ムシキング・ビートル」ときたもんだ!・・・マジで云ってたのね・・・(笑)。

ビートルはまた元のミラクルマンに戻って、「大阪プロレス」で活躍しています!

 本人のコメント。
 「映画‘兜王’ビートルDVD!僕はド恥ずかしいので見ませんf^_^;TSUTAYA全店でのレンタルも同時開始のはずなので、皆様是非…芝居部分は早送りして見て下さい(笑)
 それで、某所の[TSUTAYA]にありました!!!陰の方にこっそり置いてあって、1本も借りられてなかったから、前面にディスプレイし直してきました(笑)まさか本人の仕業とは思うまい!(笑)」

「兜王ビートル」DVD本日発売!

2006年01月25日 00時35分41秒 | Weblog
  「コアラ課長」の公開中、河崎監督の去年の劇場作品「兜王ビートル」のDVDが本日25日発売されたッ!
 こうもたて続けに河崎監督作品ラッシュ!もう、どうにかしている世の中だッてゆーか、よーやく世の中が河崎監督に追いついてキタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!!のか、そうか、河崎監督って21世紀向けのカントクだったのですなっ。


 んで、今回の作品での私の役割は珍しく被り物ではなく、擬闘の殺陣担当、アクション演出をおこなったのだ。
 この作品は永井豪先生原作・キャラクターデザインによるプロレスヒーロー物で、実在する「大阪プロレス」の現役レスラー・ミラクルマン選手が兜王ビートルとなり、外宇宙軍のボス・魔蟲王により改造されたサイボーグヒーロー、"兜王ビートル"を演じる。ビートルは全宇宙のフィギュアの利権を我が物にしようと企む外宇宙軍に嫌気が差し、軍を脱走してその敵となったのだった。果たして兜王ビートルは、外宇宙軍の魔の手から地球を救うことが出来るのか?…。というお話。
 その他、スペル・デルフィン、獣神サンダーライガーといった現役レスラー、さらに往年の名レスラー、"人間風車"ビル・ロビンソンも登場!。ヒロインは「王様のブランチ」レポーターで人気となった中川翔子ちゃん。元・ミニスカポリスの大原かおりさんが、敵の女改造人間ラ・マリポッサ役で登場。

発売/販売元:エイベックス・マーケティング。

以下、撮影日誌。

2005年 
3月7日(月)
河崎監督からプロレスの試合とビル上での擬闘の殺陣担当を依頼を受けて、新木場のプロレス会場へ行く。そこでバトルシーンの撮影を延々と行う事になる。
 
 まず打ち合わせのため控え室へ行く。河崎監督は「いかレスラーでできなかったことを全部やるッ!」と語る。「タイガーマスク」の必殺技の切り抜きをまとめ、「こういった事をやりたい。」と、実にビジュアル・イメージが分かり易い。
  しかし、実際にリングを組んでプロレス・バトル・シーンを撮るという演出は、「恋身女子戦隊パティーズ」「いかレスラー」そして今回の「兜王ビートル」と、これで三度目。河崎監督のプロレスに対するこだわりと、「これをプロレス・バトルの決定版にしてやるッ!」という意気込みが感じられるッ!
 ヒロインの中川翔子ちゃんと、ビートルのライバル・破壊王ディザスター役の斎藤工氏を紹介される。斎藤氏は映画「海猿」に出演したイケメンで、スポーツも「カポエイラ」を習っているそうだ。「カポエイラ」とは昔、ブラジルの黒人奴隷達が、踊りに見せかけて練習して作り上げた格闘術で、両手を鎖に?がれているので足技が発達したよ言われる格闘技だ。それで私が「カポエイラの本当の恐ろしさは、足の指にナイフを挟んで切りつけて来る事なんだよね。」と言うと、斎藤氏から「そんな事、ウチのインストラクターも知らないと思いますよ。」と言われた。・・・まあ、昔、私が師範代をやっていた護身術の道場に、カポエイラをやっていたというブラジル人が入門してきて(本当は入門者のフリして道場破りにでも来たのだろうが・・・。)私と立ち合った時、足の指の間に剃刀をはさんでいたという経験があったからだが。
 中川翔子ちゃんは特撮とブルース・リーの熱狂的ファンという、実にコアなアイドルで、かなりディープなネタで盛り上がる(笑)撮影で自分の出番が終わっても帰らずに残り、「ここはわたしの好きな世界だ・・・。」と呟きながら見学していた。
     
 プロレスの演出は、先の河崎監督の「タイガーマスク」単行本の必殺技ページの切り抜きを元に、スチールマンの金子博カメラマンがプロレスの約束事に詳しいので、彼に技の選択と指導をしてもらい、私がその選択された技をカメラ映り等を考えた演出として、動きを付けていく段取りをした。
 見所として、「タイガーマスク」の必殺技で、「フジヤマ・タイガーブリーカー」と「タイガーV」の連続技を行う。特に「タイガーV」はアニメ化の際には登場せず、原作だけの登場となった必殺技なので、この「兜王ビートル」で初めて映像化される事となった。・・・しかし実際にやってみると、漫画と違い、実物のマットの高さやトップロープからの角度等が異なり、中々漫画の形にはならず苦労したが、ビートルは熱心に取り組んでやってくれたのでありがたい。


 次回、ビートル/プロレス日誌の後半を掲載します。

今日は、誕生日。

2006年01月22日 23時12分13秒 | Weblog
実は本日は私の誕生日である。

 正直この歳になるともう、あまり誕生日は迎えたくない気分で、ひさびさに髭をのばしたらすっかり白髭混じりが増えていて、さすがに己の体の老朽化も自覚する。しかし人間である以上、体のモデルチェンジもならず死ぬまでの付き合いとなるものだから、メンテナンスはマメにしなくてはいけませんなぁ・・・。体の内外アチコチ損傷して大小の傷は残ったが、幸い欠損部分とかは無くまだ日常生活に差し支えはない。

 ・・・などと思っていると、元・初代タイガーマスクの佐山聡やマイケル・ジャクソン、マドンナといった人々も私と同じ歳だったのですね~!去年来日したマドンナなんてパツパツなハイレグパンツ穿いて、私と同じでイイ歳してこんなにエロくていいのでしょうか?と言いたくなるくらいのセクシー色気全開ですね~+!
 しかしそのセクシーさの後ろにはストイックなトレーニングと 食事摂取によるフィジカル・コントロールがあるのですね。素晴らしい事です!
  また、シルベスター・スタローンなんか、還暦を迎えるというのに(クリスチャンに『還暦』というのもナンですが・・・。)「ロッキー6」でまたロッキー演って、ホントーにまたあの筋肉美ある体を復活させていたッ!な、なんというトレーニング役者バカであろうかッ!
 (たしかスタローンが前妻・ブリジット・ニールセンと離婚したらニールセンから告訴されたけど、その理由がいかにもスタローンらしい。『私は前夫・シルベスターから、常にこの体型を維持するため、前夫と共にトレーニングする事を強要された。』というものだからね、スタローンは自分がロッキーなモンだから、嫁サンにも自分と同じ特訓する事を要求しちゃったんだね!笑)
 それに俳優・武道家であるわれらがヒーロー藤岡弘、さんだって今年還暦だがあの若々しさとバイタリティーを誇っているではないかッ!昔よりも働ける年齢が上がり、年齢を感じさせない方々の代表格というものに他ならない。

 ・・・こりゃまだまだ私も頑張らねば!

 ・・・などなどと思っていたら、知人、友人達から数多くの誕生日祝いのメールが舞い込んできた!皆さんから、こんなに多くのお祝いの言葉が頂けるとは思いませんでした。
 この歳になるともう、あまり誕生日は迎えたくない気分とは思いましたが、こうやってありがたいお言葉を頂くと、とても嬉しいです。
             大変感謝いたします、ありがとう御座います!。
                              
 写真はトレーニングによる、拳頭のみを床に付け、全体重を乗せる「片手拳立て伏せ。」・・・だが、ゴッドハンド・マス大山こと大山倍達の如き「片手親指逆立ち」にも挑戦したが、まだ不可能。よしッ、チャレンジは続く!

「コアラ課長」撮影日誌

2006年01月18日 00時16分25秒 | Weblog
  目下またまたまた、私が主演した着グルミどうぶつ映画「コアラ課長」が公開されました。
 、「怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス」みたいな歌のオープニングを観ると、かわいいどうぶつ会社のアニメみたいで、コアラが課長やって、うさぎが社長やって、かえるが店長やってるという、ありえない気が狂った世界感のドラマですが、実はホラー物という、想像を絶する展開のサイコアラ・ホラー映画です!(・・・やっぱ「いかレスラー」の河崎実監督作品だから。)

 と、いう事で前回に続き、今回は撮影日記。撮影は去年の6月に行われた。

2005年
6月23日(木)
  今日から撮影スタートの、「コアラ課長」クランクインの日。
 渋谷パンテオン跡地に集合。ロケバスで品川のビルへ移動。きくち英一さんと再び共演。野村宏伸氏がきくちさんの部下役。コアラが刑事たちに取り調べうけるシーンより。そのあと大井町へ移動、コアラを尾行する野村氏のシーン。街中を歩くコアラ課長の姿に道行く人々「!」と驚愕だが、野村氏シリアスに尾行する刑事の演技。河崎監督曰く「コアラさえ出ていなければ角川映画だ。」
 昼食の休息事、野村氏と雑談。私が「『花燃える日々』良かったですよ。」と言うと野村氏少しビックリ!野村氏といえば数々の角川映画や「教師びんびん物語」などが代表作だが、「花燃える日々」を話題に出して来た人間は私だけだろう(笑)。この作品は明治期を舞台に、沢口靖子演じる女子柔道家が主人公のドラマなのだが、野村氏は講道館の四天王の一人と呼ばれた実在の人物・西郷四郎を演じ、必殺技「山嵐」を授けるという役どころだった。この後明治期のドラマは売れないという風潮が流れ、番組が短期で終わってしまったのが悔やまれる。
 昼食後タイアップのローソンに行きカエル店長のシーン、中川翔子ちゃんがワン・カットだけのカメオ出演。彼女とは、「兜王ビートル」「電エース」に続いての共演。彼女だけ唯一、コアラが課長やって、かえるが店長やっているという異常な世界感に疑問を持つという正常な神経の人間の役だ(笑)
 夕方そのまま川崎・黒川の田舎に行き、野村氏がコアラの故郷で過去を調べるシーン。これまた監督曰く「『砂の器』のような渋いシーン」。
 夜、喫茶店でエリローズ君とコアラの出会い撮って終了。・・・明日の撮影もあるので、家へは帰らず製作会社の「サムシング」事務所に泊めてもらう。「サムシング」とは2000年の「恋身女子校生パティ」から長く一緒に仕事をしてきたが、現場だけの付き合いだったので、事務所に来たのは今回が初めてだ。


6月24日(金)
  本日はいきなりクライマックスのアクションを撮影。朝からはイマジカで裁判シーンの撮影。コアラの故郷の人々が集まっているので楽屋も賑やかだ。なぜかこのシーンの演出はミュージカル仕立てで、歌に合わせて村人達が踊ったりする。コアラにスポット・ライトが当たり、シェイクスピア劇のようなムードになっている。
 少年時代のコアラ役は「サムシング」の製作の野村女子が着グルミを被り演じたが、中々可愛い・・・でも、その可愛い姿で女子中学生をレイプする役だからすさまじいッ!

 続いて裁判長役の西城秀樹さん登場、音楽に乗り演技して、さすが大物スターのオーラ。劇中のセリフは河崎監督のリクエストでは「傷だらけのローラ」のイメージだったそうだが、御本人が「ジャガー」風のセリフのほうがイイと意見し採用されたそうだが、裁判長が被告のコアラに向かって「もういい!何も言うな!」と問答無用なのがこれまたすさまじい!。
 続いて韓流スターの卵のイ・ホ君が来る。彼の芝居前に記者会見をやる事となったが、私も会見を受ける事となり、コアラ姿で河崎監督、エリローズ君やイ・ホ君達と並んでインタビューを受けたので、「ラブルス漬物株式会社、企画課課長の田村です!」とアドリブをかましたら受けた。・・・しかしイ・ホ君へのインタビューが「はじめての映画出演だそうですが、そのはじめての映画にこの作品を選んでしまったのは何故ですか?」てのには参った!「この作品を選んでしまった」はないだろう、まるではじめての映画にこの作品を選んでしまって失敗したみたいじゃないか!(笑)
 記者会見の後、イ・ホ君の日本へ来て初めての映画の仕事は、いきなりブルーバックの回 転台に乗って「うわ~ッ!」と叫ぶ演技。自分でやらせておいて河崎監督は「まったくの新人にこの扱い。どう思ってるんだろな。」だって(笑)

 その後お台場に移動しクライマックスシーンの撮影。夕方に朝日のラスト・シーンを撮り、夜までにアクション・シーンの準備。きくち英一さんもやって来て、アクション・アドバイスをしてくれると云うので心強い。
 エリローズ君は立ち回りのリハーサルを行っていたがイ・ホ君のほうはこの日初めて彼の動きを見る、が、韓流連中はお台場写真を撮りまくり、すっかり日本観光旅行気分になってるぞ!・・・で、活を入れるためにも彼にパンチ・キックをアレコレ披露してもらう。テコンドーをやってるとの振れ込みだが、やはりあまり高級者の動きではない。そこできくちさん、「蹴りやパンチの手足だけの吹き替えは、オレが演るよ!」と手助けしてくれた。
 
 で、ナイト・シーンはまず野村さんが撃たれるシーンから撮る。殺人容疑をかけられたコアラが脱走し、命を狙われるが、それをかばって刑事が身代わりに撃たれるというお約束シーンだが、コアラに抱き起こされた野村さんはしっかりとカメラ側を振り向いて起こされるように演技する。これが新人役者だとたいていカメラに後頭部を見せちゃうトコロなんだけど、さすがベテランのカメラ映りを計算した演技だ。
 そして立ち回りは先にエリローズ君の立ち回りから撮影。事前にリハーサルを行っていたので、予定通りの立ち回りを行うが、カメラを通すと演技の角度とかで微調整を行い、一部予定に無いアドリブも入れたが、エリローズ君はなんとか付いてきた。
 続いてイ・ホ君を交えてのアクション。こちらはきくちさんも参加。彼がスウェィ(体を反らしてよけるテクニック。)が上手かったので採用したりして殺陣を組み立てていく。しかし蹴りやパンチの手足だけの吹き替えは、一部きくちさんに演ってもらう事に。・・・スタッフからも「イ・ホよりエリローズ君のほうがアクション上手い。」という声が出てたなぁ・・・。
 結果アクション撮影いろいろいろいろやり、深夜2時過ぎまでかかってしまったが撮り切れず、河崎監督の判断で、後日スタジオで残りのアクション・シーンを撮る事になる。最期にイ・ホ君に覚えてもらう「シナンジュの型」を彼の前で披露。演武を終えると、きくちさんの拍手を頂けた。


6月25日(土)
  本日は下北沢のスタジオで部屋内のホラーシーンの撮影を一日中行った。場所が住宅街の中のちょっと入り組んだ場所だったので、助監督のケータイでナビゲートしてもらって到着したが、民家そのものがハウス式スタジオという変わり種スタジオだった。

 最初、OL役の山中めぐみちゃんがコアラに惨殺されるシチュエーションだが、斧で脳天をカチ割られるという豪快な最期を遂げる。派手に血糊が飛び出るスプラッターのカットとなり、監督も「なかなかよくいけたと思うが。」と云う。元々血みどろのシーンは嫌いだ!と公言していた河崎監督だが、この作品では「なにしろ怖いシーンが一番大切だからな。」と割り切り、画面一杯血しぶきを飛び散らさせていったのが、さすがプロ魂というもの!
 その昔「あしたのジョー」執筆にあたり、作画のちばてつや先生は「自分のマンガのキャラクターが血まみれになる作品など描きたくない。」というポリシーを持っていたが、原作者・梶原一騎先生はちば先生をボクシング観戦に誘い、「我々が描こうとしている『あしたのジョー』はリアルな本格ボクシング漫画だッ、そしてボクシングはこのように過酷なスポーツであるッ!『あしたのジョー』の殴り合いで血が流れないと、リアル感が失われ嘘になってしまうッ!!」と言い放たれた。・・・するとちば先生は、「あしたのジョー」の殴り合いシーンではもう、画面一杯血しぶきが飛び散り、そのすさまじい迫力とちば先生のプロ魂に梶原一騎先生も大満足したというエピソードがあったが、まさにそのちば先生同様のスピリッツを、河崎監督は継承しているといえよう。
 おかげで「山中めぐみ、なかなかいい芝居をした」と河崎監督も納得。

 コアラの声は声優の木村裕二君がアテてくれた。彼とも2000年の「恋身女子校生パティ」から長い付き合いで、「いかレスラー」をはじめ、私が演じたキャラクターの殆どを彼が声をアテてくれている。私と木村君とで一つのキャラに命を吹き込むのだ。
 昼食後、妻役のエリローズ君への虐待シーン。彼女がメイド姿になる。おおッメイド萌え~!ナウなヤングに今話題のメイド・コスプレ姿とは時流をいってるな!その上彼女に首輪を付け、四つん這いにさせて手を使わず床の皿に口だけで食事する様を眺めながらビール片手に満喫するのだから、コアラのゆがんだ趣味と本性が現れる、コアラってそーゆーヤツだったのかッ?
 それから彼女との格闘惨殺シーン撮り。監督と話し合い格闘の流れを決めるとスタッフに段取りを説明、そしてエリローズ君を呼んでリハ、本番へと撮影を移行させていく。
 今度は彼女が斧を振るって襲いかかるのだが、よけかわす時、大きく後ろ飛びしてテーブルに落下する芝居を提案。だが1回目は落下地点を誤りテーブルの端に落ちてそのまま椅子の角に背中を強打!思わずチーフ助監督の水内氏、「オイオイ、椅子とか壊さないでよね!」だって。人の事をりセットの椅子の心配するんかい!(笑)。
  また、誰かが「コアラにもウルトラマンのシュワッチ!みたいな掛け声があるといいね。」とか言ったものだから、木村君、その一撃を避けかわすときに「コアック!」と掛け声を入れる、っーッて、この作品ヒーロー物じゃないんだから(笑)。最終的に両者もみ合い同体で倒れ、どっちが勝ったか分からないシーンに仕立てる。

 外は記録的な暑さらしいが、一日中室内シーンだったので快適であった。


6月26日(日)
  会社でコアラ勤務の撮影。実際の某会社の一フロアーを借り切って使用させてもらう。OL達、重役達と、本日が一番キャストの数が多く、控え室が賑やかな出演日だな、24日(金)以上だ。
 待ち時間の雑談で、OL三人娘の山中めぐみちゃん達が「ガングロって、元々何がキッカケで流行りだしたのかな?」と話しているので私も割って入り「浜崎あゆみの白ayu黒ayuからじゃないの?」と言うと、彼女らはビックリ驚き、「ええ~っ?破李拳さんって、浜崎あゆみ、分かるのォ~?」と驚愕する!
 「白ayu黒ayu」とは浜崎あゆみのアルバム「LOVEppears」の宣伝で、彼女が白肌の他に上半身黒くして撮られたポスターの事だが、それが街中に出回ったので、当時コギャルのカリスマと云われたファッション・リーダーの彼女に影響された事も、ガングロ・ブームのキッカケではないのかな?と思う・・・というような事を言ったつもりだったのだが、どうも私はガチガチの硬派に見られているようで、「ちゃらちゃらした芸能人の小娘なんぞの話題など、聞きたくもないッ!」と言いそうなキャラに思われていた、そんな私の口から「浜崎あゆみ」なる言葉が出ただけでもあまりに意外で驚嘆すべき事のようだ。・・・ええい、私だって浜崎あゆみくらい知ってるぞ!アルバムもビデオクリップもDVDも持ってらい!(笑)

 こちら出番はプレゼン会議シーンから撮影。会社の重役達がシリアスに会議している中にコアラがいるのもおかしいが、私は演技の小道具としてハンカチも用意してもらい、汗を拭きながら必死に商品売り込みを賭けるコアラを演じる。ま、全身毛だらけのコアラに発汗機能があるかは知らないが(笑)。
 次にうさぎ社長との対話シーン。うさぎ役の安藤君が私に気兼ねして、どうも貫禄不足なので、彼に「俺より偉い社長役なのだから、もっと堂々と演じるように。」と指示を出す。・・・しかし普通の会社にいるコアラとうさぎが自然に働いている姿がこれまたありえないシュールさだ!(笑)。
 こうなるともう、スチールの金子カメラマンが悪乗りして、本編に無い、コアラを奴隷のようにコキ使ううさぎ社長や、キレたコアラがうさぎをボコボコにするなど暴走したシチュエーションを撮りはじめる。・・・でも、そんなスチールでも、エンディングでしっかり使用されたいたから、やはり河崎監督なんでもあり!だな。
 しかしドラマは淡々と撮っていくほうがリアル感が出て、なおかつコアラのシュールさも高まる。「こういう日がないとね。」と監督。
 午後から脚本の右田昌万さんやウチトラの人々やって来るが、なんかエキストラが緊張していたな。
 
  で、残念だが明日はスケジュールの都合で私がコアラを演れないので、ピンチヒッターとしてコアラ役は谷口洋行君に一旦バトンタッチ。


6月29日(水)
  夜、新宿スタジオで撮り残しの格闘シーン。
 スタジオへ到着して覗くと、谷口君がイ・ホ君に「シナンジュの型」を難儀しまがら教えているので、さっそくバトンタッチして私が伝授。

  それからアクション・シーンの撮影。衣装チェンジのタイム・ラグもあるので、コアラ役は谷口君のままにして、私は殺陣師としてそのままアクション演出を行う事に。イ・ホ君、何度も練習したが、本番でもやはり「シナンジュの型」は覚えられなかったが、河崎監督がカット割りで上手く繋げて演出するとの事。
 狭いスタジオの中なので、派手な動きは出来ないので、パンチ、キックのアップショットがメイン。エリローズ君もよくがんばった。彼女の戦いの熱演で、最期にコアラの鼻がモゲ取れてしまった!思わぬハプニングだが、メイキング的にはオイシイ映像だ(笑)。


 これで主な俳優たちは本日でアップ、しかし監督達スタッフは、渋谷でコアラ雑踏を歩くシーンや千駄ヶ谷で小物の血糊のカット残っているそうだ。それらを撮ってクランクアップ、お疲れ~。

8月31日(水)
  イマジカでコアラ課長の試写があるので観に行く。河崎監督に会うと「またへんな映画が完成。」と笑う。多くの関係者とマスコミに劇場ロビーは満員だ。
 フト見ると、声優界の重鎮・柴田秀勝さんの姿が。実は柴田さん、うさぎ社長の声を演じていたのだ。コアラの声を担当した木村君が柴田さんの事務所に入ったので、柴田さん、「木村がコアラの声演るなら、俺はうさぎでも演るか!」と、自らうさぎ社長の声を担当してくれたのだった。
 私にとっても柴田さんは、拙作「撃殺!宇宙拳」のレコード・ドラマで長官役を演ってもらったという縁があり、それから約20年ぶりの再会だった。それでうさぎ社長のスーツ・アクターの安藤君と共に御挨拶。
 
 そして上映。う~ん、なかなかありえないJ(和製)ホラーしてましたな!それにしても主題歌を歌うGO氏はホントーに上手くなりました。00年の「恋身女子校生パティ」の頃はまだモノマネしている域を出なかったが、最近はもう、子門真人そのものと化しているッ! ・・・でもあの歌とかわいいオープニングに騙されるといけません!(笑)本編ドロドロ話で楽しめました。

 その後飲み会の打ち上げに移行。皆様お疲れ様でした。

「コアラ課長」公開。

2006年01月17日 00時16分12秒 | Weblog
   現在「コアラ課長」が公開中だ。監督はもちろん河崎実氏で、私がコアラ課長を演じた。
 ・・・本当に河崎監督作品たて続きの目白押しだ。「いかレスラー」を撮っている頃から「次は『コアラ課長』ってのをやるから。」と話していたが、いつものノリで話しているシャレだろうと思ったら、本気だったのね?ホントーに実現させてしまうところが凄い!・・・巨匠の大監督達が、数年に一本撮れるかどうか?という状況の中で、TVシリーズのレギュラーを持っているワケではないのに、年に数多くの劇場作品やVシネの企画を実現させ撮れる河崎監督は、あらゆる意味で天才なのだろう!

 しかしかつては「イコちゃんシリーズ」に代表され、アイドル物の監督という位置づけされていた河崎監督だったが、「いかレスラー」のヒット以来、「どうぶつ映画」監督というイメチェンをしたカンジ(笑)
  「コアラ課長」というそのタイトルから、かつての東宝映画「サラリーマン・シリーズ物」のノリの作品だろうと考えていたら、送られて来た台本を読んでマタマタ驚いた!ナンと!ホラー作品だったのだッ!


・・・しかしなぜコアラが課長をやって、お話しがホラーなのだろうか?

「いかなどより可愛い、女子が本質的に好む哺乳類「コアラ」を主役にして観客に日和る。しかもそのコアラが課長という意外さ。それを更に定番の人気のホラー映画にすれば、大幅な動員が見込めるだろう。『サイコアラ・ホラー』だ!」
                           (『コアラ課長』オフィシャルサイト 河崎実・談)

 ・・・との理由だそうだ。
  それでちゃんと残虐な殺害シーンもレイプ・シーンもしっかりある。だがプロデューサーの叶井俊太郎氏によると映画公開時、残虐シーンやレイプ・シーンがあるため映倫に引っかかり、R-18の成人映画指定になりそうだったが、コアラがやってる事なので結局一般映画上映でOKになったのだとか。なるほど!河崎監督はここまで計算してコアラを課長にしたのかッ!う~ん、さすがは天才だッ!!
 
 撮影は05年の6月下旬から行われた。造型はいつもの池袋の「アレグロ」。寸法合わせに行くと、コアラの他にうさぎとかえるの頭があった。この作品、コアラ課長の他にうさぎ社長とかえる店長が登場する。うさぎが社長の会社ってもう、いったいどんな会社だ?ムツゴロウもあっと驚く動物愛に満ちた衝撃のラストというのも凄い!


 
 それから千駄ヶ谷で衣装合わせとアクション打ち合わせ。・・・って、「ホラー物」でありながら激しいアクションバトルまであるのだ!あいかわらずの何でもありで先の読めない話だ。

6月21日(火曜日)新宿スポーツセンター
 今回、うさぎ社長とかえる店長役は安藤英行君に演じてもらい、また、スケジュールの関係から残念ながら私がフルでコアラを演じる事が出来ないので、穴埋め部分は私と同じ体型で、「いかレスラー」でしゃこボクサーを演じた谷口洋行君に演ってもらうので、谷口君にも試着に来てもらった。衣装合わせと言ったが、今回は全身でもぐり込む着グルミではなく、コアラの頭を被り、手を付けるだけのものだから、体は本当に衣装で済むのだった。
 アクションはヒロインでコアラ課長の妻役のエリローズ君とバトルするので、彼女を呼んで殺陣の練習をする。「ViVi」などの女性ファッション誌でモデルとして活躍する彼女にとって、今回が初めての演技でありアクションだが、基本的なパンチとキックを教えると学生時代バレエをやっていたというだけあって、体は柔らかいし動きも良い。それで河崎監督の要求を入れ、アクション・シーンの立ち回りの殺陣を作り、彼女へ教えていく。
 また、韓流ブームに乗って韓流大スター、ペ・ヨンジュンに出演依頼をしたそうだが当然断られ(笑)、代わりに彼の事務所の後輩でスターの卵のイ・ホ氏の出演が決定したとの事だが、彼との立ち回りもあり、彼も今回が映画初出演。しかしスケジュールの関係上、今日のリハーサルには来れない。だが彼が「シナンジュ」という韓国古武術を使うという設定で、その「型」を演武するシーンがあるのだが、私に「シナンジュの型」を作ってくれとの監督からの要求。そこで即席で「シナンジュの型」を作り、演武をビデオ撮りして韓国へ送り、イ・ホ氏に「シナンジュの型」を覚えてもらう事にした。
 ・・・「シナンジュの型」実はTV「サンダーマスク」で当時殺陣を担当した薩摩剣八郎さんが作った、特撮ヒーロー史上最も複雑な変身ポーズと呼ばれる「サンダー二段変身」を元に、色々組み合わせたものだ(笑)


  次回は撮影日誌を載せます。この映画はシネセゾン渋谷をはじめ全国上映中ですので、ありえない話に興味持たれた方はどうぞ観賞して下さい。

超人タイツ打ち上げ

2006年01月15日 23時56分21秒 | Weblog
 本日は「超人タイツ」の打ち上げ。
ちょっと遅い打ち上げだから、どちらかというと新年会みたいなカンジだ。
新宿3丁目での集まりなので伊勢丹方面へ街中を歩くと、ひさびさに気温も春の陽気という事なので、たしかに空気が温い気分もするが、ウルトラセブン同様寒さが弱点の私にとってはまだまだ寒い。
 伊勢丹向かいの交番前で河崎監督と合流、予約の店に入ると鈴村さん達が揃っていたが、少し遅れて「人造人間キカイダー」のジロー・キカイダー役でおなじみの伴大介さんがやって来る。実は「超人タイツ」DVDの「ヒーロー対談コーナー」に伴さんも登場しているのだ。私も伴さんとは、「キカイダー01」の池田駿介さんと伴さんの1年間期間限定ファンクラブ「人造人間倶楽部」でご一緒に活動した時以来、7年ぶりの再会だった。
 「人造人間倶楽部」では、マルチタレント・プロデューサーのショッカーO野氏、音楽研究の早川優氏、編集の藤川裕也氏らと共にお二人を「キカイダーブラザーズ」として色々な企画を立てTVへ出る売り込みをしたり、会報製作やイベントを開いて盛り上げたりしたプロジェクトで、我々も走り廻ったものだった。

  一番の思い出は、この「人造人間倶楽部」をつくるキッカケとなった「キカイダー賛歌」という本を製作した時、お二人と共に最晩年の石ノ森章太郎先生にお会いに行くというものだったが、芸名の名付け親である石ノ森先生を無視して伴さんは勝手に「直也」と改名してしまったのでそれを詫びに行き、また「大介」へ戻した事の報告、一方、池田さんは原作を無視して勝手に自分のイメージで01イチローを演じてしまった事の侘びと、二人共「なんか二人揃って先生にお侘びに行くみたいだなあ。」と話されていたが、先生は伴さんに対しては「また大介に戻してやり直すか!頑張れよ!」とエールを送り、池田さんに対しては「原作はあくまで原作だから、映像はマンガと同じにしなくても、君の個性に合わせて君の思う通りに演じていいんだよ。」とにこやかに許してくれたのだった。この答えに感動して池田さん思わず感激の涙を流された。
 私はこの様子を見て、運命的な瞬間に立ち会えたものなのだな!と強く感じたもので感無量・・・。
 お二人の対談後、私はキカイダーのスーツを被り、石ノ森先生とスチール撮りが行われたが、先生、こっちはマスクを被ってるのに「ハイ、一緒に笑って。」とか言って、おちゃめな面を見せてくれたのが嬉しく楽しい思い出だった。

 ・・・本日の打ち上げ飲み会中、伴大介さんが語るハワイ土産の話や「人造人間キカイダー」でのバイオレッドサザエの人間体を演じた女優・進千賀子さんとの楽しい話などで盛り上がるが、(吉川プロデューサーが、『俺の作ってるTV,子供番組なんだけど,伴ちゃんっていうカワイイのが主役演ってるから、出てみない?』と、進千賀子さんをくどいたらしい・・・。)この打ち上げの主人公である鈴村さんが一番おとなしかった。憧れの伴さんを前にして、アガってたんだって(笑)。
  鈴村さん、伴さんと向かいの席だったので、それだけでもアガっていたが、途中で伴さんが「オレの横へ来い!」と言って隣の席に座らせたので、もうガチガチだった。(笑)伴さんが先に帰った後、この事は自分のラジオ番組で放送すると言っていた。
 「超人タイツ」DVDサイン会で鈴村さんのファンでも、少し特撮に興味を持った女の子も増えたそうだ、これは喜ばしい。

「ウルトラマンマックス」で、「ウルトラQ」

2006年01月14日 22時55分18秒 | Weblog
  本日放送の「ウルトラマンマックス」第29話に西城さん達が出演した。 佐原健二さん、桜井浩子さん、西城康彦さんの三人がTVシリーズ「UNBALANCE」(『ウルトラQ』の前タイトル)元・出演者の三人という設定が、当時の怪獣と再び出会うというストーリーも、「ウルトラQ」に引っ掛けた話で楽しい。
  他に監督役に、円谷プロ俳優部に移った「満田かずほ」監督だったり、村石宏實監督も自ら奥多摩のマタギ役でカメオ出演したり、登場した「ゲロンガ」なる怪獣も、元々「ウルトラQ」放送期間延長が検討された「ゲロンガ 対 山椒ラウス」に登場予定だった怪獣で、それを40年かけて実現されたりと、じつにサービスたっぷりマニアックな話だった。
 キッカケはラジオドラマ「ウルトラQ倶楽部」でオリジナル・メンバーが同じキャラを演じて「ウルトラQ」が復活し、一方で「ウルトラマンマックス」では黒部進氏、桜井浩子氏がレギュラーで、旧作へのオマージュを多く導入した作品なので、「ウルトラQ」ネタを盛り込み易い作品だったからだろう。
 さらに「ウルトラQ」での遭遇した事件を振り返る形で構成されたDVD「ウルトラQ怪獣伝説-万城目淳の告白- 」を監督した金子修介氏の働きかけもあったようだ。

西城さんに初めて会ったのは、たしか84年の秋祭りに呼ばれて参加した時だったと思う。その数年前から神楽坂の秋祭りで、西城さんが陣頭指揮を取り「怪獣ショー」を行うようになった。
 第1回目のメンバーは、大森一樹氏、一瀬隆重氏、手塚眞氏、井上誠氏といった、映像界で現在活躍する一流の人達が集合して行っていた「怪獣ショー」なのだから、何て豪華なショーであったのだろうか!・・・このショーは現在まで続行されていて、当時からのメンバーは井上誠氏だけとなっている。

 東京人でも大抵は、栃木系東京人とか、福岡系東京人とか、地方から出てきて住みついた人が殆どだが、西城さんはネイティブな生っ粋の江戸っ子で、東京先住民族である。それで在住する神楽坂には、寄り合いとか、地方と同じ近所付き合いが親密で、同じマンションでも隣りの住人の顔も見た事もないとか云われる都会の冷たさは、ここではまったく感じられない。
 それに西城さんは面倒見の良い親分肌の人物だ。神楽坂秋祭り「怪獣ショー」開催10周年記念の慰安旅行で足柄の湯河原へ行った時など、ホテルから全員浴衣姿で近所を散策している時などは、まるで若い衆を従えた親分の一家みたいだった(笑)・・・渋谷HMVで開催された「ウルトラQ」のイベントの時など一観客として見学に行ったら、我々の顔を見つけた西城さんは「よう!来てくれたか。」ときさくに近づいて来るので、とたんにファンがドッと押し寄せ、慌てたスタッフに引き戻されるされる事しばしば。

 西城さんには秋祭りのショーだけでなく、私の初監督作品「プリティエグゼクター」に出演してもらったりと、ホントーに長い付き合いでお世話になりっ放しだ・・・。

 佐原健二さんとは東宝映画「ゴジラVSメカゴジラ」で共演したのが始まりだった。
それまで私は東宝平成ゴジラシリーズでは、川北紘一監督担当の「特撮」の現場だったが、この作品では大河原孝夫監督が担当するドラマ部門の「本編」での出演だった。
 私の役は、ゴジラの元となった恐竜「ゴジラザウルス」の幼態「ベビーゴジラ」という役で、人間と同じ等身大のキャラクターだったので、直に役者とカラむ役どころだった。佐原さんは長官役で、御本人も「昔はこういう役は、藤田進さんや田崎潤さんが演じてきた役なんだけど、僕もこういう役を演じる歳になったんだなと感じたよ。」とおっしゃっていた。
 撮影前の製作記者発表の時、私はゴジラの着グルミを被り、嶋政宏氏、佐野量子ちゃん、そして佐原健二さんといったメイン・キャスト達と共に並んで写真撮影会を行い、そのの合間に挨拶しに行ったものだったが、本編撮影が始まってから改めて、「ベビーゴジラ役の破李拳竜です。神楽坂の秋祭りでは、西城さんにお世話になってる者です。」と御挨拶。すると佐原さんはにこやかな顔で、「おお~西城に・・・。アイツは金持ちだから、よかったなあ~。」と言うと、司令官役の中尾彬さんがやって来て「誰だい、彼?」と佐原さんに聞くと、「西城ンの若いのだ。」と答えていたっけ。
 それからは「ウルトラQ倶楽部」の取材をはじめ、「ウルトラQ」関係のイベント等で何かとご一緒させてもらっている。

 桜井浩子さんとは実は長く面識が無く、ほんの数年前にお逢いしたのだった。
たしかいつもの神楽坂の秋祭りで、西城さんが呼んだのがキッカケだと思うが、その後桜井さんが円谷プロのプロデューサーになり、前出の「ウルトラQ倶楽部」の取材などから面識を良くしてもらった。
 桜井さんがプロデューサーだから、取材も彼女に直接申し込みする。すると桜井さんは西城さん達に「今日、取材入ってるけど、インタビュアーは知ってる人よ!」と言い、「誰だい?」と西城さん達が訊ねると「逢えば分かるわよ。」と答えて、取材者が私だと知ると西城さん達「なあんだ、竜さんかぁ~。」と納得したりと、そんな茶目っ気もある桜井さんだ。
  とにかく桜井さんは頭の回転が速く、会話のツッコミも鋭い!一度に多くの仕事をこなし動き回り、実にバイタリティー溢れる人物で、「ウルトラQ」で演じた写真記者・江戸川由利子のキャリアウーマン以上だ!

 しばらくはプライベートな集まりしか揃わなかったという三人だが、「ウルトラQ倶楽部」キッカケで三人そろい踏みでの活動が再開されるようになった。今後のこの三人の活躍に期待します。

ロックミュージカル『BLEACH』

2006年01月09日 01時48分12秒 | Weblog
  2006年1月14日(土)~19日(木)年始からスタートし、東京公演されるロックミュージカル『BLEACH』。実はこれに登場する敵=「虚(ホロウ)」という化け物のデザインを一昨年(04年)行った。そしてそれが今回も流用されるみたいです。

  『BLEACH』という作品は、「週間少年ジャンプ」に連載されている漫画が原作で、お話は=

 死神と名のる少女、朽木ルキアが追ってきた悪しき魂、虚(ホロウ)から家族を護るため、胸に斬魄刀(ザンパクトウ)を突き刺しルキアの死神の能力を得る黒崎一護。それから彼の死神代行としての生活が始まる。
                 (公式設定より。)

 =というもの。アニメ化されTV放送中で、今度は舞台化されるとの事。

 いつもの「東宝映像美術」のKプロデューサーからのオファーで、「キャラクターのデザインをやってくれ。」との話だったが、打ち合わせの場所に「"ツインリンクもてぎ"に来てくれ。」との用件だった。何でわざわざ"ツインリンクもてぎ"で打ち合わせをやるのだ?と訊ねると、「ちょうど用事で"ツインリンクもてぎ"へ行くんですけど、茂木って栃木県ですよね?竜さん家に近いなと思って。」だって。
 オイオイ、茂木ってたしかに栃木県だけど、もうほとんど茨城県だぞ!私の住む岩舟町とは数百キロも離れているのに!!・・・まあ、そういった距離感は、地元の人間しか分からないからな。九州の雲仙・普賢岳が噴火した時、東京在住のケント・デリカット氏のもとへアメリカに住む彼の母親が「日本の火山が噴火したそうで、オマエの家まで溶岩が流れてこないか心配になって・・・。」という電話があったくらいだからね。
 しょうがないので「ツインリンクもてぎ」のホームページで場所を確認、当日は車を運転しながら関係者にケータイを通してナビゲートしてもらいながら、昼前に現地へ到着。丁度明日から、車の運転中の携帯電話の使用が禁止される条例が執行されるので、本日は思うぞんぶん車を運転しながらケータイを使いまくったのだった。


 しかし現場に近づくとドンドン山の中に入っていく。まあ、カーレース場だから競技車のすさまじい爆音が轟くから、人里離れた山中じゃないとダメなんだね。で、中に入るとこれまたさすがに広い!山の上の広大なレース場なので、見晴らしも良さそうだが、この日はあいにくの雨で視界が悪かった。
 やっと打ち合わせの本部ビルに辿りつくと、ナニ~ィ?東宝の連中がまだ来ていないだとォ~?昼に打ち合わせだからとこっちは間に合わせたというのにッ!・・・しゃーないからレストランで昼食後あたりを散策。
 ・・・なるほど、タイアップでゴジラのイベントも開かれ、「ゴジラFINAL WARS」の怪獣着グルミやミニチュア・セットなどが展示され、予告映像が会場モニターに上映されていた。それでKプロデューサーここに用があり、私との打ち合わせの場に選んだのか。・・・で、PM3時過ぎにやっとKプロデューサー達が来たが、今度は舞台関係者が遅れているだとォ~?
 更にまたまた待たされる事となった。ゴジラ以外に「仮面ライダー」のイベントが行われていたので観に行くと雨が降り出してきたが、小雨の中「仮面ライダー剣(ブレイド)」のショーが始まった。しかし雨に濡れてステージが滑りそうで、キックするたび観ているこちらがハラハラする。演っているライダーや怪人達も安定するように蹴っているのでさすがにスピードとキレを期待するのは無理ぽか。登場したライダー達は、ブレイド、555(ファイズ)、V3だった。

 夕方も過ぎ、とうとう夜7時。やっと舞台関係者が到着したとのTEL入るが、正門に居るが広すぎて場所が分からないという。退屈ヒマ持て余していた私が迎えに行き、車を先導。そしてやっと打ち合わせに入る事が出来た。

 打ち合わせ場所はVIP用レース観覧席だったので、競技場を一望する超・特等席、遠くまで見渡せられるが、つくづく雨の日なのが悔やまれる。
 資料のキャラ設定書や放送分のDVDを預かる。話を進めていくうちにこの作品、アニメを偶然一話だけ観たなあと思い出した。脚を長く見せるキャラを出してくれとの要求なので、その仕掛けを見せてもらい実際に履いてみて、とっさの場合、倒れないように杖代わりになるよう、腕が長いデザインのほうが良いとか、こちらも色々アイデアを出し、打ち合わせ終了。帰宅後デザインに入る。こちらも良い舞台になれるよう頑張る。天真爛漫な巨乳娘・井上織姫役に吉井怜ちゃんというのもイイね!

 イラストは、NG没キャラになった骨人形女戦闘員。設定では「虚」(ホロウ)は全て元・人間で、他の強力な「虚」に取り込まれたり操られたりして、自我を失い本能剥き出しになっていると云う事だそうで、一護の死んだクラスメートか何かの設定にしようと思ったのですが・・・色気の無い醜いせむし男キャラのほうが採用されてしまいました~。没キャラ斬り!残念ッ!

新年の御挨拶。

2006年01月01日 22時01分46秒 | Weblog
 
 明けましてオメデトウ御座います。

  新年を迎えたが、本日こちらは朝から曇りの天気。だから初日の出は拝めないのでゆっくり昼過ぎに起きて、食後地元の神社へ参拝し、買い物やレンタルビデオの返却などして帰宅。

 それから個人的に恒例にしている事なのだが、私は毎年元日には東映動画(現・東映アニメーション)の劇場作品「わんぱく王子の大蛇退治」を観る事にしているのだ。
 別にそんなに深い意味は無いのだが、まあ、正月に日本国建立期のドラマを観るのはメデタイ事だというか、古代日本へ思いを馳せるというか・・・

 お話は出雲地方で行われた出来事が伝承され神話となり、奈良時代に大伴氏によって編纂された「古事記」に描かれた、スサノウのミコトによる八岐大蛇退治がベースとなったアニメで、1963年に製作された作品だがその演出は現代感覚で観ても完成度の高い作品だ。
 BGMは「ゴジラ」の映画音楽で知られる伊福部昭氏で、大蛇を倒していく空中戦の音楽はまんま東宝特撮「地球防衛軍」のテーマなのだが、当時はそんな事知らないから、その迫力あるサウンドに圧倒された。そのテーマ音楽を背景に、空飛ぶ天馬「天早駒」に乗ったスサノオが飛び回る戦闘シーンはスピード感あるシャープな演出で、大蛇が吐く火炎の廻りを高速回転したり自由なビジュアル・イメージで描かれ、後のTVアニメ「レインボー戦隊ロビン」「宇宙パトロール隊ホッパ」へ繋がって行く演出だ。
 それに天馬「天早駒」が飛行するときの効果音が「キーン!」と、ジェット機の飛行音だもんね!宣伝によると「現代っ子の感覚(当時のワシらに向けてですな!)に合わせ、空飛ぶジェット天馬登場!」だからだね(笑)

 ラスト、斬られた大蛇の首がおだやかな川の流れに変貌していくシーンは、大蛇退治伝説が、氾濫する川を塞き止め灌漑農業を普及させた土地の英雄の話を比喩したものをたたえた演出のように感じる。(現在では、出雲の踏鞴=タタラによる溶鉄・古代鉄鋼産業の争奪戦の比喩という説が強い。)
そして、ギリシャのヒュドラ~インドのナーガラージャ~中国の九頭竜~日本の八岐大蛇と、多頭龍の変遷などを調べてみるのも、日本がシルクロードの終着地である事から、面白いかも知れない。

 日本アニメ界の重鎮・もりやすじ氏は原画監督をやっており、他には高畑勲氏が演出助手。原画では大塚康生氏、動画では、小泉謙三氏、岡迫亘弘氏、羽根章悦氏、辻忠直氏、といった、後に「ルパンⅢ世」「海のトリトン」や「マジンガーZ」、「宇宙戦艦ヤマト」といった作品で活躍する、そうそうたる方々の名前が連ねられ、一流クリエーターの源流は、特撮は東宝、アニメは東映に辿り着く事を証明する作品の一つでもある。

 この作品は・・・

★ベニス国際映画祭オゼルラ・デ・ブロンド賞
★毎日映画コンクール大藤信郎賞
★文部省選定・厚生省中央児童福祉審議会推薦

に輝いている。


 そんなこんなで、06年今年もヨロシクお願い致します。