破李拳竜・日記

ここでは私・破李拳竜が行ってきた仕事やお遊びとかの日記を、つらつらと載せてあります。

訃報続く・・・合掌

2006年05月12日 01時03分42秒 | Weblog
  悲しいかな、今年は前半の段階で、作曲家の伊福部さん、宮川泰さん、脚本家の佐々木守さん、女優の曽我町子さんと色々な偉人が他界されてしまった。

 宮川氏の音楽は、長くザ・ピーナッツの曲を書いてきた方という事で、私は物心ついた時からザ・ピーナッツの歌は聴いており、得に「三大怪獣 地球最大の決戦」での劇中歌「しあわせをよぼう」も強く印象に残っていたが、当時はその作曲家は誰か?などという事には気が廻らなかったので、やはり宮川氏の音楽を強く意識したのは何といっても「宇宙戦艦ヤマト」である。
 初めて「宇宙戦艦ヤマト」を観た時は、本格的なメカニック描写や骨太ドラマに圧倒されたが、当然、宮川氏の重厚かつ美しい音楽力も大きい事はたしかなものであった。
 それに主題歌も、イントロの最初からアップテンポの出だしから始まる作りになっていたそうだが、プロデューサーによる「宮川さん、ヤマトは海底から蘇り、大宇宙に飛び立つのです。だから始まりは、もっと低い音で!」という要求で、イントロは伴奏無しの、低い声による男性合唱から始まるという、実に重々しく運命の旅立ちを強調したオープニングは、視聴者の我々に強烈なインパクトを受けたものであった。
 
 まあ、他にはビートたけしのバラエティ番組「笑ってポン!」のヒーロー物「紅白仮面」に登場した木人38号のテーマも好きでしたが(笑)・・・御本人もとても明るくいつまでも元気な姿を我々に見せていたので、いつまたひょっこりと姿を見せるのではないか?と思ってしまう。
 宮川泰氏の御冥福をお祈り致します。

 脚本家の佐々木守さんは、御本人からして「俺は古いタイプの左翼だ!」と公言してはばからない方で、体制側に対しての反逆精神を描き、「ウルトラマン」の「故郷は地球」では、宇宙ロケット競争の犠牲者となった宇宙飛行士が怪獣化して復讐するという、ヒーロー物にアンチテーゼを投げかけた作品を発表していらい、そのサブタイトル「故郷は地球」を主題歌・歌詞にした「シルバー仮面」では、宇宙ロケットを開発している地球を、「地球人は侵略・宇宙征服に乗り出そうとしている」と考えられた宇宙人達から襲われるという設定は、また日本はアジア侵略を始めるかも知れない?という危機感を持っているアジア諸国を模したものか?と思わず穿った観方をしてしまう設定だ。主人公達兄弟も、宇宙人達だけでなく時には警察権力にまで追われてしまうという、社会的メッセージの強い作風に仕上がっている。
 続く「アイアンキング」では主人公達は国家権力体制側の人間だが、組織の中からのはみ出し者アウトローで、敵の設定などは「かつて大和朝廷に征服された、日本先住民族」という、まさに「日本で真に理想的な時代は、大和政権が樹立する遥か以前、縄文時代だった。」という左翼理論そのものみたいな設定だし、続いての敵はもう、「独立幻野党まぼろし兵団」なるまんまテロ過激派集団を登場させて、日本政府転覆の革命を起こそうとする組織。70年安保の熱気残る時期だったので、佐々木氏のテイスト、メッセージ性がかなり色濃く出た作品だった。
 また、ホームドラマでありながら一家族を「日本国家」に模した「お荷物小荷物 」では、東宝特撮映画で博士役でお馴染みの志村喬が古き日本の象徴となり、中山千夏がアイヌ人や沖縄人の娘を演じ、アイヌ民族解放や琉球独立運動を訴えた話を描いていた。(同じような追いやられた日本先住民という設定は、後に映画版『ウルトラQ ザ・ムービー』でも描かれている。)
 ・・・まあ、私としては、社会派・政治的メッセージより、石橋正次・浜田光夫のコンビの軽妙なかけあい、キャラクター性の面白さに注目して好きな作品だ。
 しかし佐々木氏の代表作の一つにモロ体制側・警察権力そのものである「刑事くん」がある。この作品がオファーされた時は、さすがに佐々木氏は「私は昔、運動活動中に警官達から何度も殴られたんですよ!」と断ったそうだが、それを「あなたの理想の警察を描いて下さい。」と話して口説き落とした平山プロデューサーの力量も凄いと思う。
 私個人としては野球漫画の原作を行った「男どアホウ甲子園」が、社会派・政治的メッセージ性より純粋にエンターテイメント作品として楽しめる好きな作品である。

 佐々木氏の訃報を知ったのは、河崎実監督作品の新作「かにゴールキーパー」の撮影中、観音崎ロケで河崎監督によって知らされた。日本が今、韓国・中国らから叩かれているこの時期に、佐々木氏の新作によるメッセージを知りたかっただけに残念だ。しかし自分が書いた話が永久欠番にされてしまった「ウルトラセブン」の第12話「遊星より愛をこめて」の欠番となる経緯について、自力で明らかにした事は、氏の最期まで反発精神による活躍ではないかと思える。
 佐々木守氏の御冥福をお祈り致します。

 ・・・そしてまた女優・曽我町子さんの訃報が入った。ゲーム「宇宙刑事魂」の暗黒銀河女王役で新たに悪の女王役を演じられ、元気な姿で活躍されていたので、まだまだ活躍されるだろうと期待していたのに・・・信じられない。
 私は曽我さんのデビュー作と言われる「チロリン村とくるみの木」から観ていたが、はっきりとその特徴あるお声を認識したのは「オバケのQ太郎」からで、そして「レインボーマン」のゴッドイグアナで、オバQの声を演った人としてお姿を拝見した。
その後、「5年3組魔法組」の魔女ベルバラ、「電子戦隊デンジマン」及び「太陽戦隊サンバルカン」でのヘドリアン女王、「時空戦士スピルバン」の女王パンドラ、「世界忍者戦ジライヤ」での妖忍クモ御前、「恐竜戦隊ジュウレンジャー」の魔女バンドーラといった宇宙の魔女、女王役で人気を不動のものとして、特撮俳優界の女王となった。そして「魔法戦隊マジレンジャー」のマジエル役では悪の女王や魔女ではなく、正義の天空大聖者を演じられた。
 また、「ジュウレンジャー」はアメリカへ輸出され「マイティ・モーフィン・パワーレンジャー」という作品に改良され、現在まで放送されるロングラン・ヒット番組となったが、これは当初ロボット、マスクアクション等の特撮シーン以外(つまり日本人が顔出しで出るシーンは全て)現地で外人アクターが撮り直しされて差し替えていたが、曽我町子さんのシーンだけは差し替えなしのそのまま使用されたのだった。その後人気が出て、オリジナルエピソードが作られるようになり、ロボット、マスクアクション共に現地で撮影されるようになったが、曽我町子さんの演じる女王だけは絶対不動のボスキャラでありつづけ、曽我さんは国際女優となったのだった。
 曽我さん演じる魔女、女王は、万人の云うところ、あの不気味なまでの迫力ある存在感の中に、悪くてエラそうだけど愛嬌たっぷりという、愛すべき魔女と言われる感じは万国共通のものだった。日本が産んだ貴重なワールドアクターがまた一人失わされたのだった。
 ・・・今やインターネットの力により国際的にタイム・ラグは無くなった。曽我さんが亡くなった翌日の朝にはすでにアメリカの「パワーレンジャー」ファン達がもう、曽我さんの追悼特集しているというのに、日本の一般の情報はとても遅れているな、翌日の午後のテレビニュースで報道され、新聞に至っては二日後に掲載される始末・・・。

  ・・・思えば私が曽我さんとお逢いしたのは「サンバルカン」最終回のアフレコの時に立会ったのが唯一のものとなってしまった。共演の長官役の岸田森さんもすでに亡くなっておられ、寂しさは募るばかりだ。友人が曽我さんの店の常連だったので、私も行けば良かったと悔やまれる。
 曽我さんとかけあいの多かった飯塚さんもきっとガッカリされていらっしゃるだろう。女王には逝かれてしまったので、大魔王の飯塚昭三さんは体をメンテナンスして、何万年も長生きして頂きたいものだ。
   曽我町子さんの御冥福をお祈り致します。亡くなられた皆様に合掌。

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