りつこの昨日今日

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思い出語り

2021-01-26 12:46:00 | 日記
  焼け跡のバラックに似る土手の畑

 広尾から天現寺橋までの大通り、左手はずっとバラックが続いていた。今は有名人が住むマンションやブランドショップが並ぶ。
 1964年のオリンピックに向けて、この辺りは囲い込まれて、住人は八王子あたりへ移動されたと聞いた。都電七番が雑草の中を走っていた。その都電停留所の前の崖の上にはコンクリートが爆撃で崩れたまま、木や草が伸び放題の空き地が広がっていた。小さい頃からの私の遊び場だったが、いつも誰もいなかった。季節ごとに沈丁花や梔子が咲き、崖から迫り出して枇杷の実がたくさんなっていた。小学生くらいまではひとりで登って取っていた。体が小さくて痩せていたので、枝が折れる心配などはなくて、猿歳だから木登りは得意なんだと思っていた。甘いくだものはとても貴重で、塀から下がっていたよその家の柿を取って、父親にひどく叱られた。それで台風の後、道端に落ちた柿を後生大事に拾ってきた記憶がある。食べたか、美味しかったかの覚えはない。
 高校一年生の頃だから昭和三十五年だろうか。飯田橋駅から九段へ向かう橋のたもとにブリキトタンを立て掛けた小さなバラックがあった。まだこんな所に暮らしている人もいるんだ、という気持ちで見ていたある日、ドアだったか布だったか、を少し開けて女の人が出てきた。完璧に、その頃の、ビジネスガールのいでたちで、パンプスを揃えて置き、外で履いたのを見つめてしまった。まるで丸の内で働いているようだった。
 遠い遠い焼け跡の思い出のようだが、戦後十四年、誰もが背伸びして、将来の豊かな暮らしを疑わなかった。貧乏でも恥ずかしがらずに生きられた良い時代だったのかも知れない。
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青空のありがたさ

2021-01-16 14:46:00 | 日記
 毎日のように感染者数が最高を更新して、制限されることが増え続けています。去年の四月と五月で、もうほとんど封じ込めたかと思ったのに、それがコロナなんて怖くない、という風潮を生んでしまったのでしょうか?go toがあまりにもお得そうで、うちでさえ旅行や贅沢外食を検討したのですから。
 この増え方はもう去年とは桁違いで、他所ごとだったヨーロッパに肩を並べそうです。八王子も一桁だった増え方から二桁も当たり前となっています。
 秋から再開していた教室やたまのお出かけも、また、やめておきましょう、となって、毎日の散歩が本当にありがたいものになっています。
 新年からはほぼ毎日、カラッと晴れて、水の流れはきれいだし、鳥は囀りを聴かせてくれるし、時々摘んでくる辛子菜やクレソンは美味しくて幸せ感を与えてくれます。そして何よりも全てのことを吸い込んでくれる青い空!一時間か二時間足らずの散歩があるから生きていられるような気がしています。
 いつ中止になるかとドキドキしながらも相撲は毎日熱戦が続いて、お気に入りの宇良の取り組みも、十両に復帰したので見られるのが嬉しいです。
 時間だけは豊富にあるので、いかにお金をかけずに豊かな食事を作るか、スマホのレシピを参考に楽しんでいるところです。

ヒマラヤ杉の薔薇を拾ってきました。

もう梅が咲いていました!
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  元旦やせせらぎさえずり青い空

2021-01-01 15:27:00 | 日記
 何年前の句でしょうか、詩あきんどの
ブログに載せていただき思い出しました。
今日、2021年の元旦を散歩して、まったく同じ情景でした。抜けるような青の空を背景に梢枝高く見える鳥の巣、どんな鳥がねぐらにしているのでしょうか。

  空高き梢枝の寝ぐら誰かえる
 
 閉塞してしまった世の中でも自然の営みは何も変わってはいないようです。
 いつも渡る手作り橋の下に小さなハヤが群れています。川の流れはあんなに速いのに流されて行きもせず、いつも同じ所にいるのです。お母さんと来ていた小さな子が
アブラハヤと教えてくれました。サカナ君のような博士になるのかな、と思ってしまいました。

 アブラハヤ!ゆひ指す園児の顔きらら

 スーパーに珍しく大きな柘榴がありました。ずっしりと重たくて実に深い赤の色に嬉しくなって買ってくると、夫もしばらく見入って、どんなに染料や顔料が発達しても自然の色には勝てないよな、と。
 一つは食べようと割ってみました。




お茶碗にいっぱいのルビーです。甘酸っぱい懐かしい味。もう一つはお正月の飾りです♪
 今年こそは穏やかな良い年になりますように。


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