オレンジ色の野萱草の花、さっと湯がいて甘酢で。
もう梅雨も明けるだろう、と天気予報を見るたびに裏切られ、遅くとも夏休み迄には、という期待まで虚しくなりそうです。
でも涼しいのは助かります。毎日部屋干しは鬱陶しいけれど、雨間を見てどうにか散歩もできるし、また図書館で借りられるようになったので、カズオイシグロを片っ端から読み返しています。
一番大好きなのは”忘れられた巨人"なのですが、今回、改めて"私を離さないで"の発想や心の動きに、彼が本当にイギリス的なイギリス人であると感じました。
クローンによる臓器供給とそのクローンに対する疾しさと善意。彼の作品すべてに共通する国土の美しさ。その中で進められてゆく残酷な過程を、これ程冷酷に展開してゆくカズオイシグロの知性にどうしても日本人の血筋も思ってします。
雨の音を背景に、結構いい時間が続きます。