ぐずりだした一歳の女の子を外に連れ出すと―――。
お隣の庭から猫が出てきた。
以前は娘宅にもよく遊びにも来ていたノラちゃんで、
ご近所でかわいがられているので、毛並みもつやつやのキジトラだ。
寝転がった体を撫でながら、
「ほら、にゃんにやん、かわいいね。触ってみる?」
おそるおそる出した指先が触れ、わずかに動いている。
「にゃんにゃん、猫だよ」
なめらかな毛並み。初めて触ったしなやかな感じ。指先が猫を感知したようだ。
それから、木の葉や花やチョウチョにも出合い、
「あっ」、「あっ」と指示してはごあいさつ。
塀の石積みの一つ一つ&電信柱にも触って遊んだ。
中でも彼女の一番のお気に入りは、電柱に巻かれたデコボコしたプラスチックの
帯状のもの。
家に帰って、ちいさなアンティーク額の写真の猫にも
「にゃんにゃん、ネコよ」とご対面。
後日、行くと、おもちゃ箱のぬいぐるみの猫を愛おしげに抱きしめて見せた。
よかった。Sちゃん、みんなみんな、つながったんだね!