先日、書店で大発見がありました!
それはJack Danielsの著書"Daniels' Running Formula"の邦訳版がでていたこと。
邦訳版のタイトルは『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』。ついに出たか~という感じです。
この本は長距離走をやっている人には私が一押しする本の一つです。
この本の画期的なところは、あらゆるレベルのランナーにトレーニング時のペースがわかる表を提供してくれるところです。この表を見ると、ある種目の自己記録から予測される最大酸素摂取量、多種目の予測記録、最適なトレーニングのペースがわかるのです。
著者のDanielsはトレーニング時のペースの領域を5つに分類しています。
Easy Pace(イージーペース)
低速度のジョギングを行うときのペース
最大心拍数の65%~79%のペース
Marathon Pace(マラソンペース)
中速度のジョギング或いは、ペース走を行うときのペース
最大心拍数の80%~90%のペース
Threshold Pace(閾値ペース)
血中乳酸濃度が急激に増加する直前のペース
最大心拍数の88%~92%のペース
Interval Pace(インタバールペース)
インターバルトレーニングを行うときのペース
最大心拍数の98%~100% インターバルトレーニングを行うときのペース
Repetition Pace(レペティションペース)
レペティショントレーニングを行うときのペース
Danielsの表を見ると、それぞれの領域で具体的なペースがわかります。
例えば5000mの自己記録が14分55秒のランナーは
最大酸摂取量:70ml/kg/min
Easy Pace(イージーペース): 1000m 3分54秒
Marathon Pace(マラソンペース):1000m 3分23秒
Threshold Pace(閾値ペース):1000m 3分14秒
Interval Pace(インタバールペース):400m 71秒 1000m 2分59秒
Repetition Pace(レペティションペース):200m 32秒 400m 65秒 800m 2分10秒
となります。
トレーニングのメニューを考えるとき、私たちは目標タイムからトレーニングのペースを決めてしまいがちです。例えば5000mの目標タイムが14分59秒なら、1000m3分で5本など。しかし、それは合理的なやり方とは言えないでしょう。ランナーの現状からトレーニングのペースを決めるべきなのです。
ついでに今まで、私が読んだランニング関係の本でお勧めしたいものを紹介します。
中長距離走の基礎を学ぶ場合は以下の2冊をお勧めします
リディアードのランニング・バイブル [単行本]
アーサー リディアード (著), Arthur Lydiard (原著), 小松 美冬 (翻訳)
中・高校生の中長距離走トレーニング [単行本]
ラリー グリーン (著), ルス パティ (著), Larry Greene (原著), Russ Pate (原著), 山西 哲郎 (翻訳), 有吉 正博 (翻訳), 豊岡 示朗 (翻訳)
より専門的に中長距離走を学ぶ場合はこれ!
800mのかつての世界記録保持者、セバスチャン・コーのMulti-Tier Trainingが学べます。
長い距離ばかり走っている長距離ランナーは読むといいと思います。
長距離ランナーといえども、短い距離のスピード練習を含むバランスのとれたトレーニングが必要です。
中長距離ランナーの科学的トレーニング
デビッド マーティン (著), ピーター コー (著), David E. Martin (原著), Peter N. Coe (原著), 征矢 英昭 (翻訳), 尾県 貢 (翻訳)
走りすぎでスランプに陥ってるランナーには以下の2冊を勧めます。
長距離ランナーには、真面目な人が多いと思います。なぜなら、長距離走は他のスポーツと比べ、努力(練習での走行距離)が結果に結びつきやすい種目なので、真面目な努力家が多いのです。そして、そんな人ほど「努力(練習での苦しみ)=成果」という錯覚を見てしまいがちです。そこに落とし穴があります。
ランナーのメンタルトレーニング [単行本]
ジョー ヘンダーソン (著), Joe Henderson (原著), 渡植 理保 (翻訳), 山地 啓司 (翻訳)
スポーツのオーバートレーニング [単行本]
リチャード・B. クレイダー (著), メアリー・L. オトゥール (著), アンドリュー・C. フライ (著), Richard B. Kreider (原著), Mary L. O’Toole (原著), Andrew C. Fry (原著), 川原 貴 (翻訳), 辻 秀一 (翻訳), 河野 一郎 (翻訳)