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俺のランニング生活

大学で長距離走をやっていました。練習日誌や普段思っていること、自分の陸上競技論を書きます!

ランニングエコノミーの改善

2014-03-02 21:08:27 | 陸上競技論

ランニングエコノミー(running economy)とは日本語で「走りの経済性」と訳します。これは、一定のペースで走るための酸素の消費量で、車で例えるなら燃費です。少ない酸素の消費量でより速く走れれば、長距離走の記録はよくなります。

 

優れたランニングエコノミーを持つ走者には以下の特徴が見られます。

 

骨盤の前掲、短い脹脛(ふくらはぎ)の周囲、長い脛(すね)、少ない体重、上下動の少ないランニングフォーム、短い接地時間、弾性力が強い脚  高い最大スピード

 

 

この中の「短い接地時間」、「弾性力が強い脚」「高い最大スピード」を実現するトレーニング方法を紹介します。

 

●エクスプローシブトレーニング(explosive training)

エクスプローシブトレーニングはジャンプやバウンディングといった爆発的な力を出すトレーニングです。

(参考:ロシアの跳躍選手のトレーニング http://www.youtube.com/watch?v=uHGz3Li2cv4

これらのトレーニングでは、筋肉の弾性力、腱の弾性力、筋力、筋収縮のスピード(神経系の改善)に効果があります。筋肉や腱の弾性力とは、筋肉や腱が伸びたり、縮んだりした際に元の状態に戻ろうとする力です。ゴムを引っ張って手を離した時に、元の状態に勝手に戻ることを想像してください。筋肉や腱の質を変えて弾性力を高めておけば、酸素を消費せずに力を発生させられるのです。また、筋収縮のスピードを改善すると一定時間に発揮できる力が増大します。これらがランニングエコノミーを改善するメカニズムをまとめると以下のようになります。

 

「筋肉の弾性力」、「腱の弾性力」、「筋力」、「筋収縮のスピード」、これらの向上

一定の酸素消費量で筋細胞1つあたりの発揮できる力が増大

ある一定のスピードで走行する際、動員される筋細胞が減少

酸素の消費量が減少

ランニングエコノミーが改善

 

また、「筋肉の弾性力」、「腱の弾性力」、「筋力」、「筋収縮のスピード」、が向上すると、「短い接地時間」、「高い最大スピード」にも繋がります。

 

具体的なトレーニング方法

 

・片足ホッピング(片足ずつ両足行う)

http://www.youtube.com/watch?v=DEmADtDgd0k

・ハードルジャンプ

http://www.youtube.com/watch?v=tvVr-Gca9FI

・足首ジャンプ

http://www.youtube.com/watch?v=a_kVnBeKvAo

・バウンディング

http://www.youtube.com/watch?v=p2bYUE2roX4

 

以上を、それぞれ20m×5本程度、1分程度の回復を挟んで行う。

 

※他にもさまざまな同種のトレーニングがあるので調べてみてください。

 

 

●ヒルトレーニング(坂道トレーニング)

坂道を全力で駆け上がるトレーニングなどもエクスプローシブワークの同じような効果があります。

 

具体的なトレーニング方法

・100m~200mの坂道ダッシュ×4~15本

・坂道でのホッピング20m×5本

・坂道でのバウンディング20m×5

 

 

●ハイスピードトレーニング

 狙いとするレースペースより速いペースで走るトレーニングがランニングエコノミーの改善に繋がります。

中速のランニングで獲得された筋力は、それより高速のランニングには適応しません。なぜなら、筋肉を動かす神経が高速のランニングに適応していないからです。この状態だと、より大きな力を出すにはより多くの筋細胞を動員するしかなく、酸素を多く消費してしまいます。しかし、神経が速い動きに適応すると、それより遅い動きには簡単に対応でき、酸素の消費量が減るのです。

 これがマラソン選手であっても最高スピードを高めなければならない理由です。マラソン選手はレースペース以下で長い距離を走る練習が多いのですが、この練習だけだと神経の機能が遅いランニングの動作に固定されてしまい、ランニングエコノミーが損なわれてしまいます。42mを速く走れるランナーは、速いピッチ、長いストライドといったスキルを42kmにも応用できるのです。

 

具体的なトレーニング法

・6~8秒間の全力走×10(十分な回復を挟んで)

・レースペースより速いペースでのインターバルトレーニング

 

 

上記の3種類のいずれかのトレーニングをポイント練習(質の高い練習)の直前に行うか、そのトレーニングを単独で行うかにしてください。かなり身体に負荷がかかるので、回復を目的としたトレーニングの日に行うのは望ましくありません。負荷をかける日と回復をはかる日の練習強度のメリハリをつけると効果が上がります。

 

 

Heikki RuskoとNeena Paavolainen らは以下のような実験をしています。(Rusko, Paavolainen,1999)

 

9週間18人のランナーA、Bのグループに分けてトレーニングをさせ、実験開始直後と実験終了時に5000mのタイムトライアルを実施しその結果を比較した。トレーニングの内容は以下の通り。

 

Aグループ:

週3時間のエクスプローシブワーク、ハイスピードスプリント+通常のランニング練習

 

Bグループ:

通常のランニング練習のみ

 

9週間後、全員に5000mのタイムトライアルを実施したところAグループは平均3%(約30秒)ほど記録が向上したが、Bグループにはほとんど変化がなかった。

 

 

5000mが15分00秒のランナーが3%の記録改善に成功したら14分33秒になります。この種のトレーニングがいかに重要かお分かり頂けると思います。

 

参考文献

Owen Anderson, Running Science, Human Kinetics,2013

Paavolainen, L. et al. Explosive-Strength Training Improves 5-km Running Time by Improving Running Economy and Muscle Power, Journal of Applied Physiology,1999

 

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