黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

くりはら田園鉄道 #05

2011-10-08 00:20:43 | 鉄道遺産
かつて宮城県の北部を横断していた、
くりはら田園鉄道、通称「くり電」のシリーズです。



前回に引き続き若柳駅。→Mapion
くり電の車輛の中では最も新しく、
最期まで走り続けたディーゼル車。
ヘッドライトは、かつて運搬事業を行っていた、
細倉鉱山にちなんで、カンテラの形を模しています。
内装にも宮城県産の木材を使う等していたらしく、
再生をかけた車輛だったに違いありません。







車輪のついた栗がコトコトと線路を走る、
かわいいヘッドマーク。







年季の入った転轍機標識。
これがどのように使われるのか全く知りませんが、
廃線を訪れると、いつもその魅力的なフォルムに、
取り憑かれてしまいます。
改めて見ても、完成されたデザインだと思います。







だいぶ陽が傾いて来ました。
西日を浴びて、車輛が真っ赤に染まります。

思えば、鉄道という乗り物は、
20世紀で役目を終えた乗り物なのかもしれないと思います。
長い鉄の道を造り、駅を様々な施設で構築し、
沢山の従業員が日夜安全を守らなくてはならない鉄道は、
その労力とは裏腹に、決められた場所にしか行く事ができず、
道路に比べると、あまりにも効率が悪すぎます。







しかし、それだけ手間ひまをかけるからこそ、
鉄道は、とても魅力的な乗り物だったとも思います。

特に「駅」は特定の場所だからかそ、
広大に広がる無彩色の土地の中に点在する、
光り輝く色の付いたポイントの様に感じ、
どんな駅でもワクワクします。

今、各地には、道の駅が作られたり、
複合ショッピングセンターが集中するエリアが作られたりして、
道路の途中に人が集まる構造が主流になって来ていますが、
この作りはかつての宿場町のようでもあります。
そう考えると、鉄道という構造は、
20世紀だけの特殊なものだったのかも知れないと思います。







夕日を浴びて佇む若柳駅舎。
若柳駅は2010年に、他の駅舎の素材を使いながら、
木造駅舎として再生保存されましたようです。
また、車輛も屋根が付けられて保存され、
定期的に乗車会も開催されているようです。
くり電乗車会 (栗原市オフィシャルサイト)





若柳駅に隣接して建つ、くり電の本社跡。
また一つ、20世紀に光り輝いた栄光が、
残照の時を迎えたんだと思います。

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ブログ付属のフォトアルバムに廃線百景をアップしました。

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くりはら田園鉄道の詳細リポート掲載

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くりはら田園鉄道もフィーチャーした、
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