黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

酒田臨港開発線跡

2011-11-03 20:47:21 | 鉄道遺産
シリーズでアップして来た東北廃線ロケの最期は、
山形県の県北、酒田市の工業港に残る酒田臨港開発線跡です。

酒田港の地図で見てもお分かりの様に、
酒田の工業地帯には葉脈のように、
沢山の貨物線が張り巡らされていていて、
その一部はJRの経営下にあり現在も現役で稼働中です。
その先の埋立地の各工場や倉庫などに繋がる線路が、
臨港線の様ですが、
一部は現役で使われているのでは、
と思われる線路があるものの、
広大な敷地に延びる殆どの線路は、
草に埋もれ、途中で分断され、
鉄道の役に立たない形に成り果てています。



地図上でも巨大な大きさが分かる国立米穀倉庫跡跡。
Mapion→Mapion
米価格の安定を図るために、
大正15年(1925)年に建設された堅牢な鉄筋の倉庫。
戦前から戦後と長きに渡って、
日本の主食「米」を扱って来た倉庫ですが、
飽食の時代の訪れとともに備蓄米の需要が減り、
平成4年(1992)に閉鎖された倉庫です。







3棟ずつ並列する倉庫の中央には、
かつて運び出しに使われた鉄道が敷かれていましたが、
後年はトラック輸送に変わり、
その役目を終えていたようです。







臨港線の中には、車輛もあります。
Mapion→Mapion
いわば車輛の墓場ですね。
の壁面には、
解体されたタンクローリー車の外壁が使われています。







かろうじて確認できる、草に埋もれた線路。
誰に知られる事もなく、粛々と仕事をし、
静かにその役目を終える貨物鉄道の、
一つの姿がここにあります。







海寄りの外壁は、
貨物車輛がそのまま使われているところもあります。







埠頭の先端へ行く程、線路はその姿を消し、
車止めだけが、かつて線路があったことを伝えるばかりです。
Mapion







更に埠頭の先端へ進むと、
殆どアスファルトの地面と土に埋もれた線路もあります。
Mapion
酒田臨港の工業地帯は、
東ソーなどの化学系工場もありながら、
夜は殆ど真っ暗で、
川崎をはじめとした「夜景の奇麗な工場地帯」
の印象は全くありません。

その後いろいろな人にその話をすると、
どうやら夜の工業地帯には、
真っ暗なところと明るすぎる所があるようですが、
確かに真っ暗な工業地帯しか知らない人にとっては、
工場地帯は魅力的な場所には思えないと思います。
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ブログ付属のフォトアルバムに廃線百景をアップしました。
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国立米穀倉庫のリポート掲載
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静かに眠る貨物線跡もフィーチャーした、
鉄道廃墟を映像と音楽、随想的なナレーションで綴る映像詩集


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