黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

イタリア旅行記 #43 サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂

2011-05-25 02:17:11 | イタリア旅行記
2010の暮れに行ったイタリアの旅行記です。
今回はサンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂@ローマです。

サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂
サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂(画像はクリックで拡大します)

勝利の聖母の教会と名付けられた、
サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂。
これまでアップしてきた聖堂には全てイタリア語で
「バシリカ(basilica)」と着きましたが、
この聖堂は「キエーザ(chiesa)」と着いているので、
聖堂ではなく、教会堂と表記してみました。





サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂
サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂(画像はクリックで拡大します)

外見は、前回アップしたソプラ・ミネルヴァ程地味ではありませんが、
それほどインパクトのある外見ではありません。
しかし堂内は、バロックど真ん中の、
グニャグニャゴツゴツのゴテゴテです。
昼間は外光が差し込んで、堂内がよく見える様ですが、
訪れたのが夜だったため、殆ど真っ暗です。
しかし、壁面の彫像はお布施を入れると、
数分の間、天光にみたてた電気が点灯するので、
よく見る事ができたのは幸いです。





サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂
サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂(画像はクリックで拡大します)

ベルニーニ作『テレジアの法悦』
ここにもまたベルニーニです。
天使の矢に射貫かれて苦痛と恍惚の混在した表情のテレサが、
当時、不謹慎だと物議をかもしたそうです。





サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂
サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂(画像はクリックで拡大します)

現代から見ると不謹慎かどうかはわかりませんが、
首を後ろに落とした、半開きの口元と目元の表情は、
確かに「法悦」に至った表情だと思います。
この表情を見て思い出したのは、
ラ・スペコラ博物館の『解剖されたヴィーナス』です。





解剖されたヴィーナス@ラ・スペコラ博物館
解剖されたヴィーナス@ラ・スペコラ博物館(画像はクリックで拡大します)

以前の記事では、表情がわかるショットをアップしませんでしたが、
これでおわかりになると思います。
首を後ろに落とし、半開きの口元と眼差し。
まさにテレジアと同じ表情ですが、
しかし解剖されたヴィーナスの眼差しは、
法悦ではなく、空虚かもしれませんね。





サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂
サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂(画像はクリックで拡大します)

『テレーザの法悦』反対側の壁面にある、
ドメニコ・グッディ作『ヨゼフの夢』
ヨゼフとはキリストの父親、というよりはマリアの旦那。
マリアの懐妊を処女懐胎と信じられず、
浮気をしたんではないかと悩む光景だそうです。

暗い堂内では、『テレーザの法悦』と同じ様な印象でしたが、
こうして画像で改めて見ると、
確かに表情の造り込みが甘かったり、体の動きが固かったりします。





サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂
サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂(画像はクリックで拡大します)

そして『聖ヨゼフの夢』に下に、
映画『天使と悪魔』で燃えてしまう、
首に傷跡にある像が横たわっています。





サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂
サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂(画像はクリックで拡大します)

アルフォンソ・バルジィッコ作『聖シモン・ストックに肩衣を渡す聖母』
上記の他にも堂内には沢山の彫像があります。
こちらの彫像は、そのストーリーなど全然わかりませんが、
聖母の顔立ちがとても印象的だったので1枚。
画像では伝わりませんが、実際に見ると、
ベルニーニに負けず劣らず<ありがたい>印象を受けます。





サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂
サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂(画像はクリックで拡大します)

出入口の上には大きなパイプオルガンが設置されていました。
この過剰にゴテゴテした装飾はまさにバロック。



聖ペトロの墓を祀ったサン・ピエトロ大聖堂、
フラ・アンジェリコ等の聖人が眠るソプラ・ミネルヴァ聖堂、
そしてこのデッラ・ヴィットーリアと、
どの聖堂にも濃密な死の匂いが漂っていました。


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