階段の上り下りやエスカレータ乗り降りのとき、Kは足の動きが止まってしまい、何か恐い思いをしているのではないかと感じていました。病気だから、それも仕方がないが、他に原因があるのかもしれないと思いました。「遠近両用メガネ」だ。階段を降りようとして足元を見るとき、レンズの下の部分(近く用度数)で見てしまうと、焦点が合わず、足元がぼやけて、階段を踏み外しそうになります。Kの場合、まさにそれだったのだと思います。
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1989年に52歳で亡くなった美空ひばりさん。生きていれば、今年で70歳になります。特別番組「生誕70年 昭和の歌姫 美空ひばり」が、BS11で、6月23日と24日、放送されました。2日間で80曲以上が、オンエアされました。Kと私は、美空ひばりさんの大フアン。画面に映しだされるひばりさんの顔を見ながら、二人で、声を合わせて、歌いました。そして、楽しい思い出に浸っていました。 . . . 本文を読む
デイホーム「花みずきの」の所長さんに、「できれば月1回、近くのゴルフ場でプレイをして、介護の息抜きをしたいと思っています。ついては、当日9時から17時まで、2時間の時間延長をよろしくお願いいたします」とご相談したところ、
快く引き受けてくださいました。その日が、昨日訪れました。あいにくの雨でしたが、今の私には関係ありませんよ。どんな条件であろうと、とにかくゴルフができれば、ゴルフ好きの私には、それだけで幸せなんですから。 . . . 本文を読む
Kは、言葉をほとんど失いました。言葉で、自分の意思を他者に伝えることは、
この病気の進行とともに、損なわれました。それでも、残された言葉で必死に話しますが、Kは何を伝えたいのか??しかし、私の話を聞いて、Kはその内容をほぼ理解できます。ありがたいことです。そこで、Kの「声なき心」を知りたいときは、私の方から話しを切り出すようにしています。イエス or ノーだけでなく、残された言葉で、Kは一生懸命答えようとしてくれます。その際の行動や表情(喜怒哀楽)を読んで、Kの「声なき心」を聴くようにします。このようなやり方で、コミュニケーションをとっています。しかし、私がKのことを待てないときに、二人のコミュニケーションがとれないことがあります。 . . . 本文を読む
西村 美智代さんから、彼女がなさっている「ぼけても普通に生きられるまちづくり」の活動について、お話をお聞きしました。冒頭で、現行介護保険制度の問題について、お話されました。コムスンのような脱法行為が生まれたのは、規制緩和で参入した民間企業の利益優先の考えが、介護の世界に持ち込まれたから。介護現場では、給料が安い、達成感が少ない、などの理由で、スタッフの離職率が高い、など。西村さんは、厚生労働省に直接出向かれて、現行介護保険制度の見直しを要望されたそうです。近く、返答があるとのことでした。 . . . 本文を読む
朝食で、ヨーグルトを食べるときのことです。食卓に、私がヨーグルトとスプーンを用意し、「ヨーグルトを食べようか」と声をかけました。Kは、ヨーグルトのカップを左手で持ち、スプーンを右手に持って、食べようとしました。普通の人には当たり前のことですが、Kにとって、このことは、残された立派な能力なのです。
でも、スプーンの凸面が上を向いていました。うまくすくって、食べることができませんでした。「どうするのかな」、私は見ていました。Kは、スプーンを持ち替え、凹面を上にしました。そして、何事もなかったように、食べ始めました。無意識のうちに、スプーンを持ち替えたのは、Kの残された能力だと、私は思いました。 . . . 本文を読む
今朝のことです。私が朝食の用意をしようとして、台所に立とうとしたとき、私は「ハクション」と、大きなくしゃみをしました。Kは、心配そうな顔で、私のところへ飛んできて、「大丈夫?」と、私の背中をさすってくれました。私は「お前に背中をさすってもらうと気持ちがいい、ありがとう、もう大丈夫だから」と感謝しました。 . . . 本文を読む