朝食で、ヨーグルトを食べるときのことです。食卓に、私がヨーグルトとスプーンを用意し、「ヨーグルトを食べようか」と声をかけました。Kは、ヨーグルトのカップを左手で持ち、スプーンを右手に持って、食べようとしました。普通の人には当たり前のことですが、Kにとって、このことは、残された立派な能力なのです。
でも、スプーンの凸面が上を向いていました。うまくすくって、食べることができませんでした。「どうするのかな」、私は見ていました。Kは、スプーンを持ち替え、凹面を上にしました。そして、何事もなかったように、食べ始めました。無意識のうちに、スプーンを持ち替えたのは、Kの残された能力だと、私は思いました。 . . . 本文を読む