妻の面会から帰ってきて、駐車場
に車を停めた。
運転中は、iPodに同期されている
日本の歌謡曲、韓国ドラマ主題歌、
韓国語レッスンがランダムに流れ
てきているのを聴き流している。
妻が元気で助手席に同乗していた
ときは、ラジオを聴いていたが、
今は聴いたことがない。
いつもは、車を停めるとキーを切
るのだけど、今日は、何となくそ
んな気分ではなくて、もう少し車
の中に居たかった。
車載の . . . 本文を読む
最近、街でご夫婦が腕を組んで歩いて
いる光景に遭遇することが多い。
きっと仲がいいんだろうな、って思っ
てしまい、微笑ましくなる。
そういえば、うちの奥さんだって散歩
や買い物のとき、必ず私の左腕に彼女
の右手をそっと入れてきた。
はじめは私も照れくさかったが、いつ
の間にか、ごく自然となった。
今は来る日も来る日も、病院のベット
の上で寝ていて、歩くことはできなく
なったけど、妻の顔をじ . . . 本文を読む
妻は大きな目玉を空けていた。
声をかけると、「あなた誰れ?」と
いう顔をして私を見てくれているみ
たいだけど、目線は私のところを逸
れている。
結局、私が誰であるかは分かってい
ないということだとすれば、それが
病気だと分かっていても、なかなか
受け入れのは難しい。
認知症という病気の怖さを思い知る。
この世から認知症をなくすことは無
理だとしても、全治できる日が早く
来てほしい。
全治 . . . 本文を読む