うまさいと

お馬さんは好きですか?

てんはる。

2005-04-27 11:31:41 | 競馬
大変興味深いエントリを発見したので勝手に引用しちゃう。

天皇賞の位置づけ。(殿下執務室@有芝まはる殿下)

さすが殿下。大変客観的に考察されてますねぇ。私はいつもかなり主観が入ってしまうから・・・。ということで、私も何か書く。すっごいバラバラな文章だけど。


確かに天皇賞・春というのは、夏なり秋なりに海外遠征を予定しているお馬さんにとっては、時期的にも非常につかいづらいものがありますねぇ。過去の例を考えると、97年のサクラローレルなんかは天皇賞をつかったけれど、いかにも「反動が残らないように」という感じで前哨戦もつかわずにぶっつけで臨んでたしなぁと。それであの2着だったわけだし、逆に後味の悪い結果(前哨戦をつかっていれば勝てたんじゃないの?という妄想が容易にできてしまうという意味で)になっちゃった感じはあるのかもしれない。少なくとも、あの時に「秋に凱旋門賞に向かう上で天皇賞・春をつかう意義」というのはたいしてなかったのではないかと今にしてみれば思えるわけで。秋に大一番が控えている上で、春に目一杯仕上げてしまうというのは怖い部分もあるだろうし。もし天皇賞をピークに持っていくと、そのままの状態を維持させるか、一度リセットするかの二択になるわけで、生き物なんだからそうそうゲームのようにはうまいこといかないだろうと。でも、少なくともあの時点では「前年の王者が天皇賞・春に出ないというのは考えられない」といった雰囲気だったわけでしょうし、そういった意味でも、秋に海外遠征が控えているけれども天皇賞・春に出走するというのは、あの時は当然のことのように受け取っていた気もするわけですよ。

そういえば、スペシャルウィーク、タップダンスシチーのように「宝塚記念を勝ったら海外遠征」という条件をつけることは多いけれども「天皇賞・春を勝ったら海外遠征」といった事例はあんまり無いよねぇ。私の記憶力の問題か?イングランディーレのAscot Gold C.(GB G1 T20f)遠征の場合は「勝っちゃったからいっちょ行ってみるか」という感じの遠征だっただろうし。逆にマンハッタンカフェなどは「最初は予定してたけど、最終的には予定外の遠征」という形でしたよねぇ。夏や秋に海外遠征するための最善策としては、エルコンドルパサーの時のように「春はスキップしてもいいから」といった姿勢が必要になるのではなかろうかと。これは成功例だから語り継がれるというのもあるのでしょうけども、これが今のタップダンスシチーやゼンノロブロイの天皇賞・春回避の形につながっている可能性もあるだろうと。「国内においても、秋にかけた方がいいんじゃない?」みたいな感じで。そもそも、古馬のこの路線の有力馬が宝塚記念かその前哨戦から動き出すというのは、最近のはやりだよねぇ。以前はバブルガムフェロー位しかパッと思い付かない。勿論外国産馬だとか距離適正だとかいった問題もあるだろうけども、この近年の秋偏重姿勢というのは、天皇賞・春の権威が低下したというよりもむしろ、欧州型のローテーションである「春の終わりからつかいだして、秋口には終わりという」形に日本のローテーションが近付いているために、より宝塚記念の重要度が増しているのではないかとも考えてしまうのです。数年後には有馬記念にお馬さんが集まらなくなったりして。それも淋しいな。でもまぁその辺りは大丈夫か。「興業としての競馬(日本)」と「個人の楽しみとしての競馬(欧州)」といった文化的価値観の違いがあらわれるわけでしょうし、一年中スターホースが出てくれている方が日本の良いところでもあるわけですが。



ここでガラッと話題を変えまして。何で海外遠征するのかという話になると

1.日本国内に敵はいないと判断
(エルコンドルパサー、タイキシャトル、シンボリルドルフ)
2.勝てるところに行く(適正の合うレースがある)という選択の一つ
(シーキングザパール、イングランディーレ、アグネスワールド)

といった二つの選択肢が考えられるわけですが、中長距離路線においては圧倒的に1の理由で遠征することが多いのよねぇ。じゃないと「日本でも勝てないのに何しに行くの?」みたいな雰囲気になっちゃう。適正だけを考慮して遠征させるというのは、一般の競馬ファンの理解を得ることがなかなかに難しいとも言えます。でもまぁ、アグネスワールドなんかはその典型例だけど、見る人が見れば日本で腐らせるには勿体無い輝きを発していたということなんだろうなぁと。展開のアヤとかあるかもしれないわけだけど、紛れもなく欧州の馬場(一概に言ってしまうのは勿論乱暴なので、ここではLongchampとNewmarketに限ればという意味で)に適正があったのだろうと。正直な話、アグネスワールドが海外ねぇ、とかちょっと驚いたし。でも、夏の小倉でのあの勝ち方を見ていれば、多少なりとも「今行かないと!」って感じは受けただろうねぇ。

何にせよ、短距離路線と違って中長距離路線での海外遠征というのは「国内を制圧してから」という雰囲気が色濃く漂っているわけなのですよ。上と強引に結び付けて考えると、天皇賞・春の位置づけが変わっていってるのではないかという結論になるわけです。殿下のパクリだと言われても仕方ない結論になっちゃったけど、数年前から「海外遠征」というのが現実味を帯びた選択肢として、さほど遠くない場所に近付いてきたということもあります。前年に頂点を極めたお馬さんが向かう舞台というのが必ず天皇賞・春になっていたのが数年前まででありましたが、現在は「日本国内をさらに極める」とか「前年度に王者になったけど天皇賞・春はとってない」とか「怪我や不調などからの復帰にかけるチャンピオンホース」など、例えチャンピオンホースだとしても、そういったお馬さんが主力となっているのではないかと考えるわけです。そういった強豪対フレッシュなスターホースの卵さん達という争いになるわけで、ここを勝ったお馬さんというのは、自然と秋に期待が持ててしかるべきだと。

殿下がおっしゃていたような「ステイヤーのレースでありながら、チャンピオンを選ぶ舞台としての風格を残している」といった感がある天皇賞・春。思えば長距離適正の塊のようなエアダブリンもステージチャンプもムッシュシェクルもスルーオダイナも結局勝てなかったわけで、最近では唯一ライスシャワー辺りが「長距離しかダメなんじゃないの?」といった感のある天皇賞馬ということになるのか。長距離に向いていそうだったメジロブライトが一矢を報いるものの、次の年にはスペシャルウィークに捻られてしまう辺り、何でかわからんが、長距離適正云々よりも、つまりは「後になって考えてみれば」総合的に見てかなり強いお馬さんが勝ったレースとして、その威厳を失っていないわけです。こうした考えると、イングランディーレはとことんまで不思議な気がするなぁ。

結論としては、レース自体の位置づけというのは変わったのかもしれないけれど、「次代を担う」器のお馬さんがこのレースを勝つという可能性が高いレースでもあるのよねというお話。長距離路線がどうというよりも、天皇賞・春としての権威の低下というのはなぜか見られないのではないかとも考えているわけですが。今年の面子は後になって考えてみれば実はまんざらでもなかったのかもよ、とか言ってみる。


とここまでは「海外遠征しないと真の王者って言えないんじゃないの?」といった観点から書いてるみたいですが、私自身はそこまで決め付けてるわけではなくて。ただ、「海外からの評価を上げるためには、日本で連戦連勝するよりも海外遠征した方がてっとり早いんじゃないの?」といった感覚なのです、と言い訳してみる。海外が最高!海外じゃなきゃだめ!みたいなことばかりを考えてるわけではないんだが、どうにも誤解され易いなと思うので、その辺りを一応言っておこうと。