Chiro's Memo

My Sweet RoseとRosariumの更新記録です。

夏の大三角形vol.3―デネブ

2006-07-22 23:11:44 | Weblog
モロー レダ


はくちょう座α星デネブは1.3等の白い星で、
地球から1500光年の彼方に位置します。
はくちょう座は翼を広げて飛ぶ白鳥の姿をかたどっており、
この十字形を別名「北十字星」とも呼びます。
デネブとは「尾」を意味し、
ちょうど白鳥の尾の部分に当たることからこの名がつけられました。

この白鳥は最高神ゼウスがスパルタ王妃レダに近づくために姿を変えたものです。
レダは二つの卵を産み、
一つからは男の双子、もう一つからは女の双子が生まれました。
男の双子の兄カストルは乗馬の名人となり、弟ポリュクスは拳闘の達人となります。
双子の姉ヘレネは絶世の美女となり、トロイア戦争が起こるきっかけとなります。
この双子の兄弟姉妹のうちポリュクスとヘレネはゼウスの子、
カストルと妹クリュイテムネストラはスパルタ王の子とされています。

ポリュクスは神の子であったため不死身だったのですが
カストルが戦争で死んでしまったため、二人一緒に夜空の星になりました。
これがふたご座です。

「レダと白鳥」はレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロも手がけた主題で、
彼らの作品は現存していないのですが、多くの模写が残っています。
そしてバロック期以降官能的な主題として好まれ、多くの画家が描いています。

モローもこの作品をはじめ多くの「レダと白鳥」を残しています。
彼はこの主題を神と人間の「聖なる婚姻」に昇華させ、
神聖な出産という聖母信仰になぞらえています。

古代には人間が神に愛されることによって、死すべき肉体から解放されるという
彼岸における神との合一の憧れがありました。
そのため神々と人間の愛の神話が生まれたと考えられます。

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3 コメント

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Unknown (遊行七恵)
2006-07-25 16:29:27
むかし、山岸涼子の「黒のヘレネー」と言う作品がありました。

そのイメージが大変強く、書かれているのを読んでも・モローの作品を眺めても、「ああ、あのヘレネーね」という気分があります。ちょっと懐かしくて、嬉しい気分です。

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Unknown (sekisindho)
2006-07-25 23:25:43
千露さん、こんばんは。

この「レダと白鳥」のテーマは多くの画家によって描かれているようですが、ミケランジェロの「レダ」はあまりにもリアルに描かれていたため、燃やされてしまったと聞いたことがあります。

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Unknown (千露)
2006-07-28 08:29:04
PCの調子が悪く返事が遅くなり申し訳ありません。

(現在父のPCを借りています)



>遊行七恵様

「黒のヘレネー」以前母が読んでいたのですが、私はよく覚えていません。

機会があったら読んでみたいと思います。

懐かしい気分になっていただき、嬉しく思います。



>sekisindho様

ミケランジェロのレダは数多くの模写が残っていますね。

男性の肉体美を多く描いた彼には珍しく、女性の官能美がよく表現された作品のようでした。
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