【小学校・高学年】
★ぼくの色、見つけた! 志津栄子 作 末山りん 絵 講談社1,650円
「色覚障がい」持つ信太朗はそれを隠して生活している。赤いトマトや焼けた肉が見分けられない。日常生活で困ることもいろいろとある。しかし、彼の見え方に寄り添って考えてくれる担任の先生に出会う。「自分の世界の見え方の特別さ」に気づいていく。人と違う、ということは、怖いことではないということを考えさせてくれる1冊。
★森に帰らなかったカラス ジーン・ウィリス 作 山﨑美紀 訳 徳間書店1,760円
ミックはニシコクマルガラスのヒナを助ける。「ジャック」と名前をつけて育てるが、元気になってもジャックは自然へ帰らない.戻ってくる。ロンドン動物園の元主任飼育員の少年時代の実話に基づいている。舞台は1950年代後半。父親の兵士時代の心の傷にもふれ、命について深く考えさせられる。
★マナティーがいた夏 エヴァン・グリフィス 作 多賀谷正子訳 ほるぷ出版1,760円
生き物が大好きなピーターは親友のトミーと運河で大けがをしたマナティーを見つける。
そしてゾーイと名付けたマナティーを保護する。それと共に、マナティを守る活動をはじめた。しかし、色々と問題が起こっていく。自慢のおじいちゃんの認知症。シングルマザーとして頑張るお母さん。お金があるからといばるご近所のおじいさん。親友トミーとの関係。問題も話題もてんこ盛りですが、読後感はすごくいい。
★とびたて!みんなのドラゴン:難病ALSの先生と日明小合唱部の冒険
オザワ部長 著 岩崎書店1,650円
小6のマナミは内気な子だ。そんな彼女が出会ったのは、難病ALSをわずらう竹永先生だった。合唱部の子どもたちは先生を信じて、自分たちの合唱をつくりあげるために必死になり、話し合い、励ましあい、声と心をひとつにしていく。そして合唱コンクールの全国大会金賞をめざす。1年間の冒険を描いたノンフィクションだ。
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小学校高学年、今年は「豊作」
どれもおもしろかった。
私が気に入ったのは「森に帰らなかったカラス」これ、半分ノンフィクション。イギリスはロンドン動物園の主任飼育員だった人の体験を本に書かれた。昔の、移民などほとんどいなかった頃のよきロンドンですかね。このカラスさん、ジャックと名前をつけられて人気者になる。ニシコクマルガラスという日本のカラスとは少し違うが、賢さは同じ。当地のカラスたち、雪国カラスの過酷な生活を思いつつ、読んだ。
わたしのブックトークに惹かれて、この本を選んだ6年男子。ちっともおもしろくねー、むずいと嘆いているところ(苦笑)
わたしは「この本、9月になったらあなたに真っ先に貸し出すので、ドラゴンにすれば・・・」と止めたのですが。
だから、読むのと感想文を書く本,違うってこと言ったでしょ?自分で決めたんだから、とにかく読むよ
たまにあります、こういうミスマッチ。
どうしても読めないなら、話し合って今まで読んだ本から選ぶ予定(秘密ですけど)
当塾では、毎週、1冊読書(貸し出し)が小学生の場合は「義務」ですので。
「マナティがいた夏」主人公ピーターの家族構成やキャラを含めてアメリカの物語らしいストーリーだ。マナティって、皆さん、見たことあります?以前、沖縄の美ら海水族館でじっくりながめていたことがありますが、顔は豚系だし、ひれをまるで足のように使って泳ぐと言うより、海歩という感じで進むし・・・「海獣」です。多分、陸に上がる勇気無かった獣さん?動きを見ていると、これは・・・絶滅危惧種になるのも ごめん うなずけるという印象の生物です。ピーター、そんなマナティが傷つけられるのを守るため、防ぐために立ち上がった・・・
「ぼくの色 見つけた」はニッポンのストーリー。昔は「色盲」という、今は差別語に分類される言葉でくくられていた、色覚しょうがい。主として先天的で男子に顕在化する,と聞いている。そういうことを調べつつ書くと幅のある感想文になるかも。です。
「飛び立てみんなのドラゴン」あまり本を読まない6年生が感想文に挑戦するなら、この本をおすすめします。
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【中学校】
わたしは食べるのが下手 天川栄人作 小峰書店1,760円
葵はいい子だが、会食恐怖症で給食時間が恐怖だ。咲子は過食症で、食べたら吐くを繰り返す。こんな食にまつわる悩みを抱えたふたりの中学生が、背中を押してくれる先生や、様々な環境の友だちとのかかわりを通して自分の悩みと向き合っていく。食べることの大切さを考えさせられる。
★ スラムに水は流れない ヴァルシャ・バジャージ 著 村上利佳訳
あすなろ書房1,760円
インドのムンバイのスラム街。ここに人口の40%が住んでいるが、水は5%しか供給されていない。盗水をして、高く売る闇組織もある。そんな組織にからんで命を守るため兄が身をかくした少女ミンニ。母が倒れるなど次々と試練がふりかかるが、知恵を働かせ難題をのりこえていく。町や人の描写に昭和の日本を感じた。
★鳥居きみ子:家族とフィールドワークを進めた人類学者 竹内紘子著
くもん出版1,540円
鳥居きみ子は「知の巨人」ともいわれた夫の鳥居龍蔵や家族とともに人類学の研究に取り組んだ。モンゴルや朝鮮半島での調査は、まさに探検であった。鳥居きみ子のこれまで紹介されることがなかった人生を描く。
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中学校の3冊もワタシ的には「豊作」でした。
推しは迷いますが・・・
「スラムに水は流れない」かな。今まで、20年近く課題図書を読んできていますが、インドのことを書いた物語はなかったような気がします。
インドのちょーがつく貧富の差。水を買わなければならないという現実。スラム街には個人水道はなくて、共同水道共同トイレ、という現実。共同水道が、朝に行かないと断水する。水を盗んで売るという商売もある。改めて水の貴重さを、読む子ども達は再認識するはず。そもそも、水を潤沢に使える国は少ない。だから水源を中国人に買われてはならないのに、水は自国で管理しなければならないのに、外資を入れてしまうこの国の甘さ。までも考えてしまう。
子ども達の本を紹介するときに「この本って、昭和の匂いがするんだよね」と話したら
昨日 先生、昭和のにおいってどういうところで?
と質問された。
うーん、まずスラムの人たちの困っている人同士の助け合い、それぞれの家庭の事情を知っていたり察して食べ物をあげたり,手助けしたり・・ってとこ。それと、ミンナ含めて、努力は報われる、勉強してがんばれば違う世界が開けると信じてい進んでいる活気かな。
って答えたら、彼中3ですが・・・とても賢い 某中学で時たま学年1位をとる男子ですが・・・うーん・・とうなずいていました。分かったかな?
「わたしは食べるのが下手」これ、ものすごく新鮮でした。どういうことかというと、考えてみたが、今までこういう摂食障害系の本、なかった。共感するところも多い。それと、今や、給食がないと満たされない家庭事情や、宗教の関係で食べられない子ども達・・・等 新しい事情もあるってコトが分かった。
読みやすいし、感想文も書きやすいと思う、お勧めです。
「鳥居みき子」夫の鳥居龍蔵氏、南方熊楠と並ぶ日本の知の巨人として名前は知っていたが、この奥様のことまでは存じ上げず。さらにわたしが1年ほど住んでいた徳島にご縁がありました。おもしろかった・・ですが、うちの塾はこの本で書きたい子はいなかった。わたしのブックトークがおもしろくなかった?笑
感想文・基本原則・・・ノンフィクションって、書きやすいんですけどね。
・・・・・・・・・・・・・・・高校生と小学校低学年は未読・・・・・
【低学年】
★ライオンのくにのネズミ さかとくみ雪作 中央公論新社1,760円
★ぼくのねこポー 岩瀬成子 作 松成真理子 絵 PHP研究所1,430円
★ともだち リンダ・サラ 作 ベンジー・デイヴィス 絵 しらいすみこ 訳
ひさかたチャイルド1,760円
★ワレワレはアマガエル 松橋利光 文・写真 アリス館1,870円
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アマガエルの本は買いました。
そのうちにブログでブックトークします
【高等学校】
★銀河の図書室 名取佐和子 著 実業之日本社1,870円
★夜の日記 ヴィーラ・ヒラナンダニ 著 山田 文 訳 金原瑞人選 作品社2,420円
★「コーダ」のぼくが見る世界:聴こえない親のもとに生まれて
五十嵐 大 著 紀伊國屋書店1,760円
・・・・・・・・・・・・・・・・・・かなとこ雲 昨日の夕方塾の窓から見えた、塾生達と観察しました・・・・・
