国語塾長、情報集めて考えます・書きます的ブログ

国語塾詳細はkokugo.m@ozzio.jpへどうぞ。塾猫常駐。

さくらの花たちの旅

2024-04-21 11:08:11 | 国語的随想

テキストなしで学習している子たちに「何がしたい?」と尋ねたら「お話作り!」と言う返事。

そうですか、と4月の予定に組んだ。

それで、私が「お手本いるの?できれば自力でやりたいよね」といったら

「無理、無理、無理、お手本いるぅ」

というので、書いてみました。

もう20年近くこの塾をやっていますが、似たようなことは今までもありありまして。

それで「かきおろし」使用か、という気分になって、しました、久しぶりに。

(2本ほどストックはあったのですが)

以下です。

母と屋外ランチをこのところ推進しているのですが、そのときにみた桜の花びらがヒントです。

・・・・・・・・お手本プリより・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

お話つくりのヒントです。パクリなしです。ヒントをもらって、あとは自分の頭で考えよう。

まず音読しましょう。 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

題 さくらの花たちの旅

 

公園の桜が満開です。

花があまい香りを出しているので、虫たちや小鳥たちがたくさんあそびに来ていて、にぎやかです。耳をすませたら、なにやら話し声が聞こえてきます。

「さくらさん、いい香りだね、みつをいただきますよ」

ミツバチが、そう桜の木に話しかけています。

「どうぞ、どうぞ」

「長くさいていてね、また来るから」

ミツバチは、みつをたっぷりいただいてから、そうたのみました。

「ごめんね、それは無理だわ。桜はさいたら、あっという間に散るのが、かっこいいんですもの。」

桜の木は困ったように答えます。

「そうなんですか?でも、あなただってみんなに長くきれいなすがたを見てほしいでしょう。ずっとさいていてくださいよ。」

ミツバチが言います。

「あ、ミツバチさん。あたしたち、もう散る用意ができているの、次の風が来たら飛びます」

「お母さん、そうですよね」

満開の桜の花びらたちが、くちぐちに言います。

「そうね、じきにその時が来ますね。みんな、楽しみでしょう」

桜の木が静かに答えました。

「ええ、楽しみです。できるだ遠くまで飛びたい、知らない世界を見てみたい」

桜の花たちは、うんうんとうなずきました。

その時です。南の方から風が吹いてきました。

 

お先に行くわ!

私も行くね

お母さん、ありがとう、行ってきます

あの空の近くまで舞い上がりたい!

さようなら

さようなら、また会えるかな・・

花びらたちは、そんなことを口々言いながら、とんでいきます。

 

「行ってらっしゃい、いい旅を!」

桜の木は、飛び立っていく花びらたちに声を掛けました。

ミツバチも、花びらたちをおいかけます。でも風に乗っている花びらたちに追いくことはできません。

「花びらさんたち、いい旅をしてくださいね。ありがとう!」

 

*********

 

 桜の木たちの下でお花見をしながら、お昼ご飯を食べていた家族がありました。お父さんが言います。

「花吹雪が始まったよ」

「きれいだね、川に飛んでいくと行くと花筏(ハナイカダ)になるのよ」

とお母さん。

「じゃ、あとで川に見にこうよ」

子どもが手をたたいてはしゃいでいます。

 

こうして春の一日はすぎていくのでした。

 

                        おしまい

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

お話を書きたい、といってくれた子たち、実は作文は大の苦手。

でも、想像してそれを文字にするのは楽しくておもしろいようです。

彼ら的には、いざとなれば、先生(私)の助け船があると分かっているせいもあるかも知れませんが。

 

楽しい、おもしろい

 

これは、大切ですね。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 6653億円あったら、何ができ... | トップ | 冥土の土産 その2 »
最新の画像もっと見る

国語的随想」カテゴリの最新記事