蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

バイオロギング  (bon)

2020-03-26 | 日々雑感、散策、旅行

 先に届いた会報別冊記事と、今月初め(3/8)の新聞日曜版にたまたま「バイオ
ロギング」が取り上げられていましたので、ネット検索などもしながら、それらの内容
(概要)をまとめてみました。

 バイオロギングとは、『Bio(生物の)Log(記録する)を組み合わせた造語bio-
loggingであり、動物に装着して人間ではなく動物自身がデータを集める事の出来る
記録計のことである』(ウイキペディア)とありました。
 そうです、昔からその発想があったようで、動物に測定器やセンサーを付けて自然
界における行動、生態等を観測・調査するというのです。

   例、ペンギン と ウミガメ (ネット画像より)
       

 これらの記事やネット検索内容からみますと、バイオロギングには大きく2つの目的
があるようです。 一つは、動物(海洋生物、鳥類、陸上動物)の行動・生態を調査
し、その実態を解明することにあり、もう一つは、これら動物の行動を利用して、
海洋他の自然界の温度、風その他を観測・調査しこれらの環境情報から気象予測等に
活用する目的のようです。

 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)のページには、バイオロギングに関する
これまでの調査報告や各大学(東大、京大、北大他)のレポートなども掲載されており、
かなり活発な活動がなされている様子がうかがえました。

 また、これらの動物に装着するカメラ、センサーなどの観測器にしても当社は大き
さ、重量もあり、大型動物しか対象とできなかったけれども、最近では小型・軽量で
様々な機能が組み込まれ、観測対象動物はかなり広がってきているようです。さらに
小さくなれば、昆虫あたりにも装着する・・などの期待もあるようです。

 周辺事情ばかり述べてきましたが、一つ目の、動物の生態観測・調査について概観
しますと、そもそもバイオロギングが生まれたのは、1960年代にアメリカの生物学者
が南極のアザラシに水圧系を付けて観測したのが始まりとあり、70年代になると日本
はじめ各国で研究が始まり、90年代には、観測機器も小型軽量化、多機能化してこれ
らがロガー(記録計)に搭載されるようになり、さらには、GPSの活用によって正確
なデータが得られるようになったことから、遠隔地からのデータ回収ができ、対象と
なる動物も広がってきたとあります。
 アザラシ、ペンギン、ウミガメ、ジュゴン、大ナマズ、さらにはマグロなどなど、
世界各地で海洋動物の独特な泳ぎ方や潜り方、餌の食べ方など生態調査が行われてい
るほか、オオワシ、渡り鳥などの鳥類、さらには陸上の野生動物の行動・生態など
興味あるデータが明らかになってきているといいます。

 もう一つの目的である気象予測への活用では、例えば海洋生物による観測網「サイ
バー
オーシャン」(JST 、東大 佐藤克文行動生態学教授)の図にありますように、
生物が収集する
環境データによって、気象の将来予測の精度向上を目指す研究が行わ
れています。

    サイバーオーシャン (JST 、東大 佐藤克文教授より)
    

 

 アカウミガメを14匹を使い太平洋での低気圧や台風の発達とのかかわりを調べたり、
アザラシを使って南極低層水が生まれる海域を発見したり、海鳥を使って風速、風向
などの観測が得られているそうです。

 地球表面の 7割を占める海洋の観測は、地球温暖化の調査にも役立ち、これまでも、
海洋気象ロボット(世界気象機関WMOのアルゴ計画では太平洋に4000個のフロート)を
投入して調査が進められていますが、これらの手法で空白域となる海域のデータを
バイオロギングでデータ補完を行っているそうです。

 さらには、「動物間ネットワーク」(JST 東大 小林博樹准教授)という発想も提案さ
れていました。
 バイオロギングの研究は、データを回収できなければ成立しない。計測器を搭載し
た動物の再捕獲が難しかったり、生息地域まで無線通信が届かなかったりとデータ
回収が困難な動物の研究に対して、データ回収の効率向上を目指す研究が進められて
いました。
 回遊魚などでも行われているそうですが、これは動物の回遊習性を利用して、たと
えば森林奥地で生息する動物の無線回収は難しいが、それらの動物と近接する他の
種類の動物とのデータネットワークを構築して、その動物を介して目的とする地域に
おけるデータを回収するという考えです。
 このシステムは、野生動物の生息地と人間の生活圏の境界にデータを受信する基地
局を設置して、データを回収しようというもので、縄張りの境界で頻繁に起こる個体
同士の接触の際に、個体間でデータを送受信して行き、これを何度も繰り返すことで、
深い森の中にすむ個体から基地局付近にすむ個体へ、さらに基地局へとバケツリレー
のように情報が受け渡されるというしくみです。
 このような動物間ネットワークを構築すれば、動物の再捕獲なしで、幅広い領域に
生息する複数個体のデータが収集可能になるのですね。

   動物間ネットワーク(JST 東大 小林博樹准教授より)
    


 ここには紹介しきれないほどの調査事例があり、これからも、対象動物の広がりや
調査機器の進歩によりさらに拡大してゆくと思われます。
 そしてそれらは、これまで知られていなかった動物の生態を解明できるだけでなく、
気象予測など我々の生活に役立つ様々な科学技術的なデータを提供してくれるでしょう。
 浪漫に満ちた研究を大いに期待したいところです。

 

 

 

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 蓮如忌  (bon) | トップ | 感染爆発 重大局面  (bon) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日々雑感、散策、旅行」カテゴリの最新記事