ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

80年代シンセサイザー

2012年10月17日 | シンセサイザー
 「私の宝物」と題して自分の持っている(いた)いろいろなものを紹介していると、何だか欲しいものを手当たり次第に買いまくっているような印象を読み手に与えているかもしれない。実際には、働いてから給料の大半を趣味に費やしたということで、ローンを組んだり、買うために貯めたりとの苦労はあったのだ。決して自分が金持ちで自慢している訳ではない。だから、今日のシンセサイザーの話も、10年以上を経て揃えたものだが、一気に述べると次のようになる。

 私はシンセサイザー、いわゆる鍵盤付きのキーボードを3台所有している。最初に買ったのがヤマハDX7、2台目がローランドαJuno2(写真上)、そして3台目が同じくローランドのD-70(写真下)である。その他、鍵盤なしの音源としてはローランドU-110、ヤマハQY300(音源付きのシーケンサー)などもあるのだが、U-110は処分してしまった。

 DX7は初リリースの頃、店頭で見て聞いてさわって、これは素晴らしいシンセだと実感した。実際、それまでにはないFM音源による音色はその後一斉を風靡するキラキラした金属音やエレピ風の音など、たぐいまれなモノであった。早速予約をし、実際に手に入るまでかなりの期間を待たされたと思う。しかし、購入後は16音も和音が発信され、多彩な音色、エディットやプリセットも可能ということで、長期間これ1台を愛用した。

 その後、知り合いがローランドのJuno106を持っていて、少しの間借りて使用したところ、MIDIで繋げて同時に弾く(例えばDXのブラスとJunoのストリングス)と、デジタルとアナログの音が絶妙に重なった素晴らしい音色となることがわかり、このことがαJunoを購入するきっかけとなったのである。Juno106の特にパッド系の音は、本当に素晴らしかった。αの方はそこまでではないとしても、ローランドらしいアナログサウンドでストリングス系の音色はとても暖かく良い音であった。

 D-70は76鍵盤の当時としては高級なシンセだった。それにも拘わらず購入してしまったのは、その音色の美しさだった。重厚なアコースティック・ピアノから女声コーラス風のパッド音まで自分好みの音が溢れていた。中でもPrologueというプリセット音は、プログレバンドUKの「アラスカ」という曲の音とそっくりで、これだけで1曲できてしまったほどである。そして発信音がダブルになっているらしく、とてもリッチで重い音を出してくれる。さらに、前述のU-110に使う音色カードがこの楽器にも使え、音色的拡張性があった。大変弾きがいのある楽器である。

 難を言えば、数年してから内部からブーンというハム音?がしていてうるさい。機械だからある程度は仕方ないのかもしれないが、ヤマハではそのようなことがなかったのでどうしても比較してしまう。自分で音づくりもできるのだが、ちょっと難しい。が、プリセット音だけで充分遊べるシンセだと思う。現在は息子の部屋にその大きな身体を君臨させている。


11 コメント

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お聞きしたいことがあります。 (音楽馬鹿のひとつ覚え)
2017-10-24 01:12:58
 いつもブログを楽しく読ませて頂いています。

 今回はお聞きしたいことがありコメントしました。

「MIDIで繋げて同時に弾く(例えばDXのブラスとJunoのストリングス)と、デジタルとアナログの音が絶妙に重なった素晴らしい音色となることがわかり」と、この記事には書かれていますが、今ひとつはっきりと理解できないところがあるのです。

 キーボードの接続方法についてなのですが、「どちらかキーボードのMIDI出力から、もう片方のMIDI入力へとMIDIケーブルを接続し、どちらのキーボードの音声出力もキーボードアンプの入力につっこみ(複数の音声入力端子を持つキーボードアンプを使用する。またはミキサーとアンプを併用する。)、両キーボードの音をミキシングする形で使用する・演奏する」という意味で良いのでしょうか?

 僕もヤマハのDX7を所有しており(DX7のエレピの音は、本当に良いですね!!)、飛呂彦さんが「素晴らしい音」という音を一度聴いてみたくお伺いしてしまいました。

 残念ながら、もう1台、シンセは持っていないので(一応カシオの子供向けのものは持っている)、すぐには聴くことができないのですが、機会があったら是非試してみたいと思っています。

 音楽経験豊富な飛呂彦さんの知識をお貸しください!!!
Re: お聞きしたいことがあります。 (飛呂彦)
2017-10-24 21:14:17
音楽馬鹿のひとつ覚え 様 
 コメントをありがとうございます。ご質問の件、キーボードの接続方法についてはお見立てのとおりです。例えばケーブルをDX-7はMIDI out、JunoはMIDI inにつなげ、同じMIDIチャンネルに合わせてDX-7を弾くと、同時にJunoからも音が出ます。両者を合わせた音色がとても厚くて素晴らしかったのです。しかし、それは30年以上前のことで、今なら1台のシンセやPC上のソフトシンセ等でそれ以上にゴージャスな音を奏でたり作ったりできるのではと思います。
 DX-7は本当に良いシンセですね。鍵盤のタッチも一番馴染んでいます。内蔵電池が消耗しないうちに交換をしたいのですが、かなり面倒なようです。それが目下の悩みのひとつです。
ありがとうございます。 (音楽馬鹿のひとつ覚え)
2017-10-25 00:59:30
そうですね、パソコン上でなら二音色を混ぜるのは簡単ですね。でも当時は、そのような音色は高級なキーボード二台の音を混ぜて聴くことのできた飛呂彦さんのような方にしか聴くことができなかったわけですね。ある意味とても贅沢な音楽体験をされていたわけですね!!
ところで僕のDX7は、自分で「ボタン電池ボックス」を取り付けて、簡単に電池交換できるように加工しました。ライブをするときには活躍してもらわないといけない大切なキーボードです。
Re: ありがとうございます。 (飛呂彦)
2017-10-25 17:50:52
音楽馬鹿のひとつ覚え 様
 1台のシンセ(Juno106)は借り物でした(笑)。が、確かにいろいろ楽しめましたね。録音もTEAC 224というカセットの4チャンネルデッキでやっていました。ピンポン録音を何度もして。懐かしいですね。
 ところで、DX7の電池の件ですが、よろしければ少し詳しく教えていただけませんか?
DX7の電池交換(ボタン電池ボックス) (馬鹿のひとつ覚え)
2017-10-25 23:15:48
 カセットマルチは僕は使ったことないですが、これもテープの音で味がありますよね!!

 ところで、電池ボックスの件ですが、まず半田付けをしないといけないことをお断りしておきます。

 タカチ製ボタン電池ボックス「CS 75-W」(ボタン電池CR2032用。DX7もCR2032ボタン電池を使用している)と、このボックス専用のボタン電池用基盤「CSPB-75」と、電池用の細いケーブル((電池の極性のプラスとマイナスがわかるように、赤色ケーブルと黒色ケーブルの二色を用意。線の種類は撚り線(よりせん。複数の細い銅線が撚り合わされている。)。単線(ケーブル内が一本の銅線)は鋭角に曲げたり伸ばしたりを繰り返すと断線するので使用しない))を購入し作りました。

 DX7の上部の蓋を開くとわかりますが、キーボードの中央にある基盤に、ハンダ付けで直接基盤に取り付けられているボタン電池のプラス・マイナスの極性を忘れないように書き留め=底面の端子がプラスか上面の端子がマイナスかを書き留め、それからハンダ吸い取り線を使ってボタン電池を基盤から取ります。

 ボタン電池ケース裏面にクラレ製強力両面テープ「マジロック」をつけ、DX7の内部の空間のあるところに留めておくため、そこまでは確実に届く線材=電池用ケーブルの長さが必要になります。長く見積もって、キーボード中央から右側面までとしても50センチくらい。

 線材(赤と黒の細いケーブル)の長さがわかったら、電池ボックスとその基盤に線材をハンダ付けします。

 そして、DX7内部の基板上のボタン電池のあったところのプラスとマイナス(赤いケーブルをプラスに)にハンダ付けするのですが、この時、ボタン電池が取り付けられていた金属端子はステンレスのようで(僕の勘違いかもしれません)、ハンダがとてもつきにくい、のりにくかったので(ステンレスは銅などと比べてハンダがつきにくい)、端子にはヒートクリップ=放熱クリップを二本くらい挟んで(三本くらいだったかも、とにかく時間がかかったので)、熱伝導で基板上の部品が壊れないようにし、じっくり取り組んで線材を端子に付けなくてはいけません。

 これでボタン電池ボックスの取り付けは完了です。最後の基板上の端子への線材の取り付けが一番難しかった記憶があります。

 細かく書きましたので少し難しく思われるかもしれませんが、作業としては、ハンダ付けができるなら自分一人で加工できると思います。「ハンダ付け慣れ」している方向けですが。

 それではまた何かの記事でコメントさせて頂きます!!!
Re: DX7の電池交換(ボタン電池ボックス) (飛呂彦)
2017-10-26 19:26:21
馬鹿のひとつ覚え 様
 早速のレクチャーをありがとうございます。
 やはりハンダ付けの技術が必要でしたか。Juno106の電池交換も同じで、私はその経験も知識もないものですから専門業者にお願いしました。(本州への発注なので送料も高くつきました!)DX7の内蔵電池は当分もつ見込みですが、いずれは交換しなければなりません。それまでに回路の知識は無理だとしても、せめてハンダの技術は身につけたいものだと改めて思いました。馬鹿のひとつ覚えさんはその技術があるからR8も直せるのですね。尊敬します!詳しい説明をありがとうございました。
 (前回のコメント、TASCAM PORTASTUDIO 244の間違いでした。)
ボタン電池ボックスについての追記です。 (音楽馬鹿のひとつ覚え)
2017-10-26 23:58:20
 今日、DX7の中を見てみました。少し追記します。

 ギターのシールドを自作=ハンダ付けできると何かと便利ですので、やれる方がいいと思いますよ。シールドのプラグ近くは断線しやすいので、プラグ近くのシールドだけ切り落としてまたハンダ付けすれば、経済的ですしね。

 僕の場合、右チャンネルと左チャンネルをわざと入れ替えたステレオ延長ケーブルをつくって、ドラムの音像を自分がドラムを叩くときの定位にして、ドラムを聴いたりもしています。単にヘッドフォンの右左を逆にかぶって聴けばいいのじゃないかと思われるかもしれませんが、ソニーのモニターヘッドフォン「MDR-Z1000」とかだとこうかぶることは無理で、便利グッズとして作りました。右左逆にかぶると音像が崩れるヘッドフォンでも効果ありです。

 もうひとつ、耳コピするときに片チャンネルのみ聴きたいことがありますが、“右”チャンネルの音を両チャンネルに送るステレオ延長ケーブル(5センチほどの長さ)も自作したりしました。出先でウォークマンの右チャンネルのギターに耳を澄ましたいときに使用する便利グッズです。少しハイ落ちした音になりますが、それでも便利グッズです。耳コピ作業がはかどります。
 両耳で聴いた方が耳コピしやすい=片耳疲れしない=片耳で聞くときは両耳で聞くときより音量感が半分になるため、音量を上げがちになり耳が疲れやすいが、このケーブルを使えばこういうことがなくなります。
 ところで”左”チャンネルの音を両チャンネルに送る延長ケーブルについては、モノ⇔ステレオ変換プラグを使えばすみます。

 下記、DX7のボタン電池ボックスについての追記。

 基板上のボタン電池の端子は、「左下端子がプラス・右上端子がマイナス」と基板上に印がありました。この端子にハンダ付けするのですが、単にハンダ付けだけをするのでなく、熱収縮チューブもかぶせてありました。

 また、ボタン電池ボックスを取り付けるところは、DX7の上蓋の上面にあたるところの、白いマルチケーブル(平形で、複数のケーブルがひとまとまりになっているケーブル)の下に、クラレ製の”強力マジックテープ”で取り付けてありました。そのため、電池ボックスのケーブルは10~15センチほどの長さです。そして電池ボックスケーブルは、他のケーブルと一緒に結束バンドでとめてありました(蓋を閉めるとき、蓋で挟んでしまって断線しないように)。

 以上です。参考にしてください。

 
こんな記事がありました。 (音楽馬鹿のひとつ覚え)
2018-07-03 01:08:06
 こんにちは。

 飛呂彦さんのキーボード二台MIDI接続による豊かな音色に関係することとして、下記の記事の写真に面白いものがありました!

 藤本健のDTMステーション「亡くなったローランド創業者・梯郁太郎さん、スティーブ・ジョブズを語る」

 検索して見てみてください!(すでにご存じでしたら、あしからずです。)
 
Re: こんな記事がありました。 (飛呂彦)
2018-07-06 10:53:33
音楽馬鹿のひとつ覚え 様
お久しぶりです!コメントをありがとうございます。この記事は未読でした。また、ローランドの創業者のことも知らなかったのですが、MIDIの開発に直接携わったとか、初のMIDI接続とか、今私もその恩恵に預かっているわけですね。勉強になりました。最近はエレキギターの練習に勤しんでいましたが、久しぶりにシンセを鳴らしてみようかな。
こんな記事もあります。 (音楽馬鹿のひとつ覚え)
2018-07-07 23:13:53
 お役に立てて幸いです。最近はずっと、ギターなんですね。一時期、一つの楽器に集中すると、将棋の段位じゃないけど、段が上がりますよね。シンセでなく、ギターをもうちょっと頑張った方が得かも・・・。

 僕は昔、PC-8801FHと言うNECのパソコンでゲームをしていたんですが、このパソコン、YAMAHAのFM音源のチップが入っていることを最近知って、倉庫の奥にしまってあったのを出してみたら動いた、また、説明書を読んだらけっこう音色を作りこめることがわかったので(昔のゲーム機の音に近く、モノラル音声ですが。)、プログラミング(BASIC)を一から勉強しています。
 PC-8801FHがシーケンサーになると思えばよく、プログラミングをすることによって、出力はモノラルだが最大6音色の音楽を作ることができます。本当に昔のゲーム機の音楽の感覚です。
 完全にプログラミングで音楽を作るという体験は、難しいですが、全てを一から構築できるという点において、けっこうやりがいがあります。また、PC-8801FHの音声出力から、オーディオインターフェースを介してウィンドウズPCに取り込んで、そこでまたDAWで加工し作り込むのも面白そうです。PC-8801FHにしか出せない音があるはずなので、いろいろ挑戦してみます。

 ところで、電子書籍の『FMシンセのあたらしいトリセツ』高山博著(リットーミュージック)をご存じですか?DX7や上記のPC-8801FHなど、FM音源を扱う人には目からうろこの、「FM音源ってこんな仕組みだったのねっ!!!」って思わず唸るような、ものすごく掘り下げた解説が書かれている本です。はっきりとはわかりませんが、FM音源も発表されてからかなり時間がたっているし、そろそろこんな情報も公にしてもいいかという感じで、こんな書籍が出てきたようにも思います。知らないことがてんこ盛りで書かれていて、購入してよかったと思いました。よければ飛呂彦さんもどうぞ。

 また、下記の記事は読まれましたか?DTMステーションの藤本健さんの経歴がよくわかると共に、健さんはこんな方とも縁がおありな技術ライターさんなのか!と驚きでした。読んでみてください。(僕にとっては、健さんもNECのPC-8801を触っていたのか!と驚きでした。ローランドの社長さんの梯さんといい、音楽に興味がありながらパソコンに興味があった人って多いんですね。)

 藤本健のDTMステーション「任天堂社長・岩田さんの新入社員時代にいっしょに作ったDTMソフト」

 それでは、ギターの練習、がんばってください!!!

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