路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

猫だけが知っている

2010-04-16 | ★ほんの日常




帰り道、たまたま公園のベンチに

『灰縞さん』を見掛けたので

公園の中を通って行こうとしたら、

以前ここで会った女性

猫達にご飯をあげた後、帰ろうとしていたのに

わざわざ自転車で戻って来て、私に声を掛けて来た。




この女性、猫好きにしては

猫に嫌われる位の大きな声で話す人なので

夜分に会うとちょっと困った事になる。

耳が悪いのかも知れないが、

ちょっと苦手なタイプだ。

何故かって、

話の中身が根拠のない猫の噂話が多いからだ。

私が以前公園で話した事のある人間だと解かると、

捲し立てる様に猫達の近況を話し始めた。

どうでもいいことだが

以前私が、猫達の屋根上の集会現場の話をして

『おにぎり』が意地悪猫じゃないと反論したのが

気に入らないらしいのだ。




延々と続く話をよそに、『灰縞さん』はお腹一杯なのか

ベンチの上で毛繕いを始めていた。

私は話を聞くのに疲れて相槌も打たず

『灰縞さん』をジッと見詰めていたら、




「…キジトラは他にもおるけど、黒も来よるもんね。

 ほら、あそこにおるやろ?チャッピー(『灰縞さん』)は前から

 ここにおったよ。白いのは3~4匹おるし、

 白黒猫は他にもう一匹大きいのがおるっちゃけど…

 こないだあそこの角で白猫が死んでたとか……云々」




しかし、その猫はどう見ても黒猫じゃない。

胸の辺りに白いのが入っていて濃い縞が入ったサビ黒猫だし、

『灰縞さん』は灰色のトラだけど、キジじゃない。

私の記憶では、『灰縞さん』は数ヶ月前に川向こうの

私の実家のすぐ前に出没していた。

こっちに引越して来たのはその頃だ。

私は人の顔は直ぐ忘れるけど、

猫の顔は割と忘れない方だが、確かに猫達の中には

本当に見間違える位のソックリさんは、いる。

確実に『おにぎり』が意地悪な猫な訳ではないと思うのだが…。

出会った場所にも寄るだろうし(縄張りの境界線だったり)

猫同士の相性もあるだろう。





馬鹿らしくなって何も言わずにいると、

一通り話したらスッとしたのか

帰ると言い残し、自転車で去って行った。




でも、本当の事は猫にしか解からない。




あの人は、誰かと話したかっただけかも知れないが

出先で土産に貰った切花が

私の気持ちと同じ様にくたびれかけていた。







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※どうか一度。「山猫屋」からのお知らせです。




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