路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

おじいさんと猫

2011-01-08 | 『尚人・直人・チビ』


優しいおじいさんに拾われて

飼い猫になった『チビ』だが、いつも外にいる事が多い。

大概はベランダの下か団地の中を闊歩していたりする。

買い物の行きや帰りに覗いて『チビ』がいると

写真を撮って帰る。いなけりゃ、そのまま帰る。

そんな感じだった。



その日も、『チビ』のいる通りに立ち寄ると

『チビ』が鳴きながらベランダの下から出て来た。

それを、家の中から見ていたおじいさんが

わざわざ玄関から出て来て首を傾げた。




不審人物にされてはいけないので、

「こんにちは。いつも写真を撮らせて貰っています」と

満面の笑みで声を掛けた。



しかし、おじいさんはまだ首を傾げたままだった。



「この猫、めったに人に懐かないんだけど…ねぇ」


(はい。知ってます。ココまで仲良くなるの結構、長かったし。)



「あはは、そうですか?」と、笑顔でお茶を濁していると

飼い主のおじいさんに私と居るのを見られたのが照れくさかったのか

『チビ』がベランダの下の定位置に隠れたので、

不思議そうに首を傾げながらおじいさんは家へ帰って行った。




私が何故ココまで『チビ』と仲良くなれたのか、

おじいさんは不思議で仕方ない様子だったが

私はおじいさんが何故『チビ』が飼える迄懐いたのかの方が

知りたい気持ちだった。

きっと根気良く、

私の知らない間におじいさんも

『チビ』との関係を育んでいたのだろう。




誰にも懐かない猫は、誰にでも懐こい猫よりも

心を許して貰えると嬉しいものである。

何か特別な承認を得られた様な

とても誇らしい気持ちになれるからだ。







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コメント (4)
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