路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

猫も見た目が9割

2009-12-28 | ★ほんの日常




冬将軍がやって来た。

九州で初雪が観測されたそうだ。

とても寒いその夜、

家路に急ぐ私の前を自転車に跨った年配の女性が

暗がりの中、不思議に立ち往生していた。




案の定、猫に用事のある人だったらしく

女性の足元には、貰ったばかりのご飯をほうばる『きつね』と

車の下から見詰める『たぬき』が居た。




「猫、ですか?」

何食わぬ顔をして、私は声を掛けた。

何か聞けると思ったからだ。



この辺りには沢山の猫が居て(それは知ってるが)、

餌場にご飯を持って来るカップル(以前、『白石さん』と居た時に

出会ったカップルかも知れない)が居る事、

意地の悪い白黒猫(多分、『おにぎり』の事だ)が居て、

この界隈の雌猫達を(『白豆』達の父さんかも知れない)妊娠させまくっている事、

その白黒猫が、まだ子猫の『きつね』達を虐めて(本当か解からないが、

確かに『おにぎり』はふてぶてしい顔をしてる)いるらしい事。




私の住むマンションの窓から見える一軒のお宅の屋根の上は

猫のたまり場になっている。

日当たりの良い日には複数の猫が円陣を組む様に集会をしている所を、

何度も見た事がある。

まるで穏やかに、「真昼のミーティング」でもしている様だった。

その中に確か、『おにぎり』は居た。

決して、

猫仲間から嫌われている訳ではなさそうだった。






その不確かな情報を一通り聞いた所で、雨が降り出した。

私は慌てて

「寒いので、そろそろ帰ります」

と、言って彼女の顔を見た。




薄暗い街灯に浮かび上がった笑顔の口元には

灰縞さん』と同じく不自然な方向に向いた歯が、いくつか見えた。




人は見た目で損をする。

猫も見た目で損をするのかも知れない。










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コメント (2)
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