りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“フランチェスコ” ―全14場―

2011年12月13日 21時39分31秒 | 未発表脚本


  今回は、読み直していて“目が回りそうになった”と、話して
  いた作品をご紹介しようかと思います^^;
  本来、こう言う・・・言葉はよくないですが「理屈っぽい」台詞
  使いがとても好きで、「こうなるからああなって・・・ああなる
  にはこうなって・・・」と言うように、回り回って結局だから・・・?
  みたいな、気を抜くと、何が言いたいのかよく分からない・・・
  と、言った、読んで頂く側からするとそうかも知れませんが、
  書いている私には、その回り回ってつながった感・・・が快感
  な作品でもあります^^;
  
  ま、でも“子ども向き”の作品を書いている今、こんな台詞
  回しの作品は、これから先、先ず書くことがないかも知れな
  いので、その点においては貴重な1作品・・・と言えなくも
  ないですね(~_~;)
  ただ、まだまだと~っても未熟な作品ですが・・・m(__)m

  随分長めの作品で、時代背景や設定に、多少無理を感じる
  ことがあるかも知れませんが、単なる“読み物”的に、読み流
  して頂けるといいかな・・・と思います(^_^;)

  皆さんも、目が回った感・・・お楽しみ下さい♥

  ・・・あ、もう一つ付け加えておくと、とっても“大人な作品”で
  あります^^;



                                どら。
 



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     この作品にも“あらすじ”が書いてあったのですが、
     と~っても長い“あらすじ”なので、省略させて頂き
     ます^^;


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     〈主な登場人物〉

    フランチェスコ  ・・・  剣の名手。本編の主人公。

    ビィクトール  ・・・  フランチェスコの友人。

    ジェシカ  ・・・  花売り娘。

    ルグラン伯  ・・・  貴族。

    カロリーネ  ・・・  フランチェスコの婚約者。

    クリストフ侯爵  ・・・  フランチェスコの父。

    テレーズ  ・・・  フランチェスコの母。

    ルネ  ・・・  ルグランの家来。

    リーザ  ・・・  ジェシカの妹。


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         豪華な音楽で、幕が上がる。

    ――――― 第 1 場 ―――――

         煌びやかな夜会の風景。
         (カーテンの垂れ下り具合が、豪華さを
         醸し出している。)
         奥方、設えられた段上に一人の歌姫。
         その歌に乗って、3組のポーズを取った
         男女、楽しそうにワルツを踊る。

         “月の光満ち溢れ
         澄んだ夜空を輝かす
         今宵は夢の舞踏会
         星の流れが辺りを包み
         花の香りに噎せ返る
         今宵は夢の舞踏会
         絹のドレスに身を包み
         眩いばかりの山の宝石
         目も眩むような貴婦人と
         相手を願う紳士たち
         今宵一夜の夢の時・・・”

         歌姫、踊る人々の間を通って前方へ。
         下手へ去る。
         踊っていた人々、其々左右に去る。
         と、同時に奥段上に、豪華な礼装に身を
         包んだ、長身の一人の青年(フランチェスコ)
         登場。
         (光に透けるような長い金髪を解き流し、
         目鼻立ちのすっきりしたその面持ちは、
         丸で人形のよう。)
         フランチェスコ、ゆっくり歌いながら、前方へ進む。
         (垂れていたカーテンは開き、段はセリ下がる。)

         “剣に賭けたこの命
         何のものとも顧みず
         この大空を翔けるように
         我が生きる道ならば
         振り返ることなく
         突き進もうと・・・
         心ならずもそう信じ
         勇み肌で世間を渡る
         それこそが我が生きる道理         

         剣が守るこの命
         魂を捧げ 全てを賭ける
         この大地を統べるように
         我が生きる道ならば
         ただ真っ直ぐ伸びる
         この道の先・・・
         遥か向こうに光があると
         剣に誓え 今この時
         それこそが我が生きる人生”

         紗幕閉まる。

    ――――― 第 2 場 ―――――

         紗幕前。
         話しながら、クリストフ公爵、公爵夫人テレーズ、
         カロリーネ登場。

  クリストフ「前国王が崩御され、新しい国王になっても国の情勢
        は一向に向上しないと、市民の声が上がり始めてい
        る中、何も皇太子殿下の誕生日祝いを兼ねた、馬術
        大会を、今開かなくてもよいものを・・・。」
  テレーズ「そうですわね・・・。」
  クリストフ「ただでさえ、王室の浪費問題が浮上しつつあると言
         うのに、王室に仕えている身としては、気になるとこ
         ろだよ・・・。ところで、フランチェスコはまだ眠ってい
         るのかね?」
  テレーズ「ええ。ピサから一晩中、馬を駆って戻って来たようで
        すから、疲れているのでしょう屹度・・・。けれど、一年
        やそこら会わなかっただけで、フランチェスコはまた、
        一段と逞しく成長したこと・・・。」
  カロリーネ「私なんて、馬を駆って戻って来られた時、余りにも
         眩し過ぎて直視出来ませんでしたわ。」
  テレーズ「(微笑んで。)それはあの子も同じだったでしょう。美し
        く成長したあなたを見て、親同士が決めた結婚ではあ
        るけれど、あの子もよかったと、屹度思っているに違い
        ありませんよ・・・。」
  カロリーネ「まぁ・・・小母様・・・。(恥ずかしそうに。)」

         その時、上手より白い絹のブラウスに、黒いタイツ
         姿のフランチェスコ、腰には剣を携えゆっくり登場。
         続いてヴィクトール登場。

  フランチェスコ「父上!母上!」
  テレーズ「まぁ、おはよう、フランチェスコ。よく眠れましたか?(
        フランチェスコにキスする。)」
  フランチェスコ「はい。久々の自分のベットですからね。(微笑む
            。)ところで、少し馬を駆って来ます!」
  テレーズ「食堂に、朝食の用意が出来ているのですよ。」
  フランチェスコ「後で頂きます。」
  テレーズ「けれど冷めては・・・。」
  フランチェスコ「平気です。寄宿舎の食事で慣れていますから。
           (笑う。)なぁ、ヴィクトール!」
  ヴィクトール「そうですね・・・。」
  テレーズ「ここは寄宿舎ではありませんよ。では後で作り直しを
        させましょう。」
  クリストフ「おまえ達は、来週の王室主催の馬術大会に、出場す
        るつもりなのかね?」
  フランチェスコ「勿論です、父上!!私は夏季休暇で戻って来
           た時の、この馬術大会を一番の楽しみにしていた
           のですから!!」
  クリストフ「・・・ほう・・・。で、如何だ?学校の方は。」
  フランチェスコ「余り自由はありませんが・・・。」
  ヴィクトール「(フランチェスコの耳元で囁くように。ニヤリとして。
          )へぇ・・・。毎晩、寄宿舎を抜け出して酒盛りしてる
          奴が、よく言うね。」
  フランチェスコ「(ヴィクトールを睨む。)まぁ、勉学を嗜むには、
           十分な環境であることは確かです。」
  クリストフ「ヴィクトール、フランチェスコのことを頼んだぞ。」
  ヴィクトール「勿論です。」
  フランチェスコ「父上、私はもう子どもではないのですよ。(笑う。
           )」
  ヴィクトール「私はフランチェスコ殿に忠誠を誓った身・・・フラン
          チェスコ殿の為とあらば、たとえこの命、今捧げよう
          とも、何の躊躇いもございません!」
  フランチェスコ「ヴィクトール・・・。」
  クリストフ「うむ・・・。おまえが付いていれば安心だ。」
  テレーズ「フランチェスコ!それより馬術大会の練習もいいけれ
        ど、カロリーネとも久しぶりでしょう?少しはお相手を
        してあげなくてはね?」
  フランチェスコ「(チラッとカロリーネを見る。)それはもう・・・。」
  カロリーネ「小母様!私のことなら構わないで結構ですのよ!
         フランチェスコ様と二人きりになると、緊張してしま
         って、屹度何を話していいか、分からなくなってしま
         うと思うんですもの!」
  フランチェスコ「(微笑んで。)では、練習の後で一緒にお茶でも
           ・・・。」
  カロリーネ「まぁ、本当に!?」
  フランチェスコ「ええ。ただ、腹を空かせて戻って来た私は、あな
           たの前で紳士らしく振舞えないかも知れませんが。
           (笑う。)」
  カロリーネ「(恥ずかしそうに。)それは・・・フランチェスコ様とお
         話しが出来るだけでもう!!」
  フランチェスコ「では後で!」
  カロリーネ「(嬉しそうに。)はい!」
  テレーズ「気を付けて行くのですよ。」
  フランチェスコ「はい!」

         フランチェスコ、ヴィクトール下手方へ。
         2人を見詰めているクリストフ公爵達フェード・アウト。
         フランチェスコ、ヴィクトールにスポット。

  ヴィクトール「全く、何時もながら女性の扱い方には、感心させら
          れるよ・・・。」
  フランチェスコ「冗談だろ?」

         2人、下手へ去る。
         暗転。  

    ――――― 第 3 場 ―――――

         音楽で紗幕開く。(ライト・イン。)
         舞台は広場。下手方には食事の取れるカフェ。
         中央には噴水。中央にジェシカ、片手に花籠を
         提げ、もう一方には花を持ち歌う。

         “明るい日差し浴び
         心地好い微風
         花の香りが私を包む
         美しい花束
         道の端に小さく
         誰の目にも止まらぬ
         どんな花としても
         一目見つけてしまうと
         花は慈しむ心を
         沸き上がらせるもの

         お屋敷に生けた
         豪華な薔薇 蘭も
         野原に咲き誇る
         可愛い野花達
         どれもこれも皆
         心和むもの
         さぁ皆様どうぞ
         お花をお土産に
         どうぞお花を
         愛しい人へ”

         ジェシカ、回りを見回して、誰もいないのを
         確認すると、溜め息を吐き噴水の縁に腰を
         下ろす。

  ジェシカ「いくら明るい歌を歌っても・・・世の中がこれじゃ、誰も
        花なんか買ってくれやしないわよねぇ・・・。今日なんて
        買い物客もいやしない・・・。(お腹を押さえて。)あああ
        ・・・お腹減ったなぁ・・・。」










      ――――― “フランチェスコ”2へつづく ―――――











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