りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“自由へ・・・―リーザ序章―” ―全○場―

2013年06月29日 21時13分15秒 | 未発表脚本



    ほんとに書き出したばかりのこの作品・・・
   7回公演作品の一本の序章に書いてみようと、思いつき
   で書き始めた作品です(^^;
   
   ・・・なので、どんな話しを本編へとつないでいこうか・・・
   今はまだあやふやな流れしか頭の中にありません(^_^;)
   ・・・が・・・夏公演へと続く今作品、よければご覧下さい♥

   あ・・・、時々立ち止まるかもしれませんが・・・書き綴ってる
   最中の為、お許し下さいm(_ _)m  



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    〈 主な登場人物 〉

    
    リーザ  ・・・  本編の主人公。ある国のお姫様。
               好奇心旺盛なお天婆娘。
                           ※

    ハンス  ・・・  祖父母に育てられている少年。

    ハンナ  ・・・  ハンスの妹。


    アンドレ  ・・・  リーザの兄。

    アレク  ・・・  王国の老家臣。


    王様  ・・・  リーザの父親。

    お妃様  ・・・  リーザの母親。  


    その他


    

    (多分、後ほど登場人物は増えるでしょう・・・^^;)


 
 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪

 
         音楽流れ、幕が開く。

    ――――― 第 1 場 ―――――

         (森の中の小高い丘の様子。)
         一人の少女(リーザ)、中央奥より走り登場。
         歌う。

         “素敵ねこの風景
         果てしなく広がる青い空と
         自然溢れる緑のコントラスト
         深く息を吸い込めば
         心まで溢れるようだわ
         小鳥が囀り時を刻むの
         ようこそいらっしゃい
         私達の森へと!”

         リーザ、舞台中央、ゴロンと仰向けに
         寝転がる。      ※2

  リーザ「はああ・・・私、この場所が大好きよ!ここに来て、こうや
      って大地に寝転がって青空を見る・・・なんて素敵な一時
      なのかしら・・・」

         その時、遠くで犬の吠える声が聞こえる。

  犬の声「ワンワンワン!」
  青年の声「こっちだ、シュテファン!!」

  リーザ「(慌てて起き上がる。)大変だわ!!(上手方を気にしな
      がら、中央奥へ走り去る。)」

         その時、一発の銃声が轟き、鳥達が
         飛び去る音。
         (舞台上、何かが落ちた様子。)
         上手より、銃を手に回りを見回しながら
         リーザの兄(アンドレ)登場。  ※3

  アンドレ「やったぞ!!(回りをキョロキョロ見る。)確かに今、手
       応えが・・・可笑しいなぁ・・・どこに落ちたんだろう・・・」

         アンドレ、何かを探すように下手へ去る。
         入れ代わるように、下手方を気にしながら
         一人の少年(ハンス)、用心深く登場。

  ハンス「(回りを見回して、何かを見つけたように後方草むらに
      駆け寄る。)ピッピ!!(落ちていた一羽の小鳥を、そっと
      手に乗せる。)ピッピ!!」

  小鳥の声「(か弱く。)ピー・・・」

  ハンス「ピッピ!!良かった、生きてるぞ!!あ・・・羽が傷付い
      てる・・・あの野郎・・・!!直ぐに傷の手当をしてやるから
      な!!」

  小鳥の声「ピー・・・」
  
         その時、中央奥よりリーザ、回りを見回し
         ながらゆっくり登場。

  リーザ「はぁ・・・危なかった。もう少しでお兄様に見つかるところ
      だったわ。こんなところにいることがバレたら大変!でも
      ヨカッタ・・・(ハンスに気付いて近寄る。)こんにちは!」

         ハンス、チラッとリーザを見るが、知らん顔
         して上手方へ行こうとする。

  リーザ「待って!どうして知らん顔するの?」
  ハンス「煩いな・・・僕は急いでるんだ・・・」
  リーザ「急いでる・・・?」
  ハンス「ああ。だから放っておいてくれよ。」
  リーザ「何をそんなに大事そうに持っているの?(ハンスの手に
      持つものを、覗き込むように。)」
  ハンス「(手に持つものを隠すように。)何だっていいだろ!!」
  リーザ「ふうん・・・いいじゃない!見せてくれたって!(ハンスの
      肩ごしに覗き込む。)」
  ハンス「あっ!!(手に持つものを思わず落とす。)何すんだよ!
      !(慌てて拾う。)」
  リーザ「小鳥・・・怪我してるの・・・?」
  ハンス「ああ!だから今から家に連れて帰って、手当してやるん
      だ!!だから急いでるって言って・・・」
  リーザ「ごめんなさい!」
  ハンス「・・・え・・・?」
  リーザ「私、知らなくて・・・あなたが大切そうに何かを隠し持って
      いるから気になって・・・。でもどうしてこんな怪我・・・さぁ、
      早く行って!!早く帰ってその小鳥さんを手当してあげて
      !!」
  ハンス「言われなくたって・・・(上手方へ行く。)」
  リーザ「傷、良くなるといいわね!!また私にも、小鳥さんの様
      子を教えてね!!(大きく手を振る。)」
  ハンス「(立ち止まり、振り返る。)」
  リーザ「(不思議そうにハンスを見る。)」
  ハンス「・・・一緒に・・・来る・・・?」
  リーザ「え・・・?」
  ハンス「あ・・・ううん・・・(首を振る。)君があんまり心配そうに言
      うもんだから・・・」
  リーザ「本当!?私もついて行っていいの?」
  ハンス「・・・うん!」
         
         リーザ、ハンス歌う。

      2人“何だか分からないけれど
         素敵な友達になれそうな
         そんな予感が・・・”

     リーザ“あなたも”

     ハンス“君も”

      2人“不思議ね(だ)・・・”

  小鳥の声「ピー・・・」
  
  ハンス「あ、ごめんよ!直ぐに手当してやるからな!」
  リーザ「よかったわね、小鳥さん!」
  ハンス「・・・(リーザを呆っと見る。)」
  リーザ「リーザ!」
  ハンス「え・・・?」
  リーザ「私の名前はリーザよ!」
  ハンス「リーザ・・・どこかで聞いたような・・・」
  リーザ「あなたは?」
  ハンス「ハンス・・・」
  リーザ「そう!じゃあハンス!早く小鳥さんの手当に行きましょう
      !」
  ハンス「う・・・うん・・・そうだね・・・!こっちだよ!」
  リーザ「ええ!」

         2人、上手へ走り去る。
         カーテン閉まる。

    ――――― 第 2 場 ―――――

         カーテン前。
         下手より城の老家臣(アレク)、困った
         様子で登場。     ※4
         上手よりアンドレ登場。

  アレク「ああ困ったぞ・・・一体リーザ姫様は、どこに行かれたの
      か・・・いやはや全く・・・」
  アンドレ「(アレクを認め。)どうした、アレク。何か心配ごとでも
       あったのか?」
  アレク「アンドレ王子様・・・それが・・・」
  アンドレ「何だ?」
  アレク「はぁ・・・それがリーザ姫様がお部屋にいらっしゃらない
      のです・・・」
  アンドレ「部屋にいない・・・?」
  アレク「はい・・・」
  アンドレ「リーザのことだ、どこか庭でもウロウロしているんじゃ
       あないか?」
  アレク「それが、サンド、ロスと手分けして捜しているのですが、
      お庭には・・・」
  アンドレ「じゃあどこか書庫や・・・いや、待てよ・・・あの勉強嫌い
       のリーザが、一人で書庫にこもって本を読み耽るなんて
       有り得ないな。(笑う。)そうだ、食堂はどうだ?リーザの
       ことだ、夕食前に腹を空かせて、シェフ達におやつでも
       ねだっているのだろう。(笑う。)」
  アレク「(首を振る。)いえ・・・それが城中くまなく捜し終えたので
      すが・・・おそらくお城の中には・・・」
  アンドレ「・・・何だって・・・?」
  アレク「申し訳ございません、アンドレ王子様!今から王様のと
      ころへ報告に参り、城の外へ捜索の兵を出してもらおうと
      、お願いに上がるところなのでございます・・・。」
  アンドレ「そうだったのか・・・全く仕方のない奴だな・・・。アレク!
       父上には僕から話しをするよ。リーザのことは何とかす
       るから、おまえ達はもう下がって休むといい。」
  アレク「ですが、王子様・・・!!我々、リーザ姫様の教育係が3
      人もついておきながら、城の外へ姫様を易々と行かせた
      となると・・・」
  アンドレ「大丈夫!リーザは直に戻って来るよ。」
  アレク「え・・・?」
  アンドレ「僕が保証する。リーザは少々お天婆だが、分別を違え
       る程、世間知らずの娘ではないからね。・・・だっておま
       え達3人が、僕の時と同じようにリーザを教育している
       のだろう?(嬉しそうに微笑む。)」
  アレク「はぁ・・・ですが・・・王子様と姫様では将来のお立場が・・・
      それに王子様は我々に習わずとも、ご自分で何でもお調
      べになられ、先へ先へとお一人で進んで行かれるような
      お方でしたがリーザ姫様は・・・自由奔放過ぎて・・・。放っ
      ておいたら、糸の切れた風船のようにどこまでも飛んで行
      っておしまいになられるのです・・・。ですからきっと今も・・・
      」
  アンドレ「そうか・・・だが案ずることはない。もう、サンド、ロス共
       部屋へ戻り、ゆっくり休むがいい。」
  アレク「王子・・・」
  アンドレ「(頷く。)」
  アレク「・・・そうですか・・・?そう王子様が仰るのでしたら・・・実
      は午後の間、姫様をお捜しするのに城中駆けずり回って
      おりましたから・・・我々年寄り3人、もうクタクタでクタクタ
      で・・・」
  アンドレ「それはリーザの為に申し訳なかった。これからリーザ
       のことで何か困ったことがあれば、父上より先ず僕に知
       らせるがいい。僕の方が父上よりリーザのことは理解し
       ているつもりだからね。」
  アレク「はい、王子様・・・。少し安心して、何やら急に睡魔が・・・
      それではお言葉通りにさせて頂くと致しまする・・・。」

         アレク、上手へ去る。

  アンドレ「(アレクが去るのを見計らい。)全く・・・リーザの奴は・・・
       こんなことが父上にバレでもしたら、いくら目に入れても
       痛くない程、可愛がられているとは言え・・・だからこそ、
       尚の事、大変なことになるに違いないのが分かっていな
       いのか・・・。(溜め息を吐く。)それにしても一体どこへ
       ・・・」

         フェード・アウト。(カーテン開く。)
         



 



   ――――― “自由へ・・・―リーザ序章―”
                          2へつづく ――――― 













    (ちょっと“淡い初恋”のようなお話しを書いてみたくなり、
    今回そのように仕上げていこうかな・・・と・・・^^;)
    







   ※  このリーザちゃん、7回公演の主人公でもあります(^^;

   ※2 7回公演・・・勿論人形劇です(^_^;)・・・ですが、
       このお話しは・・・人形劇をあまり意識せずに書いて
       います・・・ね(^^;
   
   ※3 このアンドレさん、7回公演の本編では中々熱い好青年
       であります・・・(^O^)

       途中で交代したので、本編では私はリーザちゃんの声
       だけですが、最初、このアンドレさんの声も私担当であ
       りました(^^;
       熱い青年設定が私の中にあるまま演じていた為、つい
       声に熱がこもってしまい、ただでさえ熱い青年が一層・・・
       暑苦しくなってしまっていたのでした(^_^;)
       ま・・・現在は落ち着いたメンバーが台詞担当に代わっ
       たので、アンドレさんも比較的落ち着いた大人な好青年
       となっています・・・(^-^)       

   ※4 この“アレク”さん、7回公演では“サンド”さん、“ロス”
       さんと、いつも揃って登場する3人組の老家臣でありま
       す(^-^)
       なので、こんな風に一人きりでの登場は珍しいのです♪


 
 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



    (どら余談^^;)
   
    明日は音楽の先生に来て頂き、7回公演作品の歌レッスン
    であります(^O^)

    久しぶりなので、とても楽しみです♥&頑張ります♪

    夜なので、このページにやって来るのが遅くなるかも知れ
    ませんが、お許し下さいm(_ _)m




    (どら日記^^;)

    6月29日(土)

    昨日は来れなくてごめんなさいm(_ _)m
    帰って直ぐ、寝入ってしまいました・・・(^^;

    少しだけ私事ではありますが・・・

    子どもが車椅子生活になって早1年超・・・
    あまり電車のような公共の移動物に乗ることは、
    ありませんでした(>_<)
    が、昨日は時間に追われて移動を繰り返していた為、
    何度かその電車に乗り移動したのですが、一度、
    学生さんが帰宅する時間と重なり、沢山の生徒さんが
    乗っていたのですが、車椅子の私達を見るなり、多分、
    運動部の生徒さんが揃って乗っていたようなのですが、
    座っていた椅子から立ち上がり、皆で座席を詰め、
    爽やかな笑顔で「どうぞ!」と・・・(*_*)

    あまりに当たり前のようなその親切に、少し胸が熱く
    なった一時でありました(^O^)
 
    「学生さん達も疲れていたかも知れないのに、親切な
    お声掛け、ありがとうございましたm(_ _)m」

        
    あ、歌レッスンは、とても有意義で楽しい時間を過ごし
    ている内に、終了したのでした♥
    夏公演でその出来をご確認下さい(^^;

    そうそう、今夏も毎年お邪魔している小学校から、
    公演依頼を今日貰い、7回公演と合わせて、多忙な
    夏休みになりそうです(^_^;) 






























“ジュリー” ―全13場―

2013年06月19日 21時13分51秒 | 未発表脚本

 

   現在、グーグル版ワールドに掲載途中の作品です(^^;
   グー版の新作掲載まで、暫し、こちらご覧下さいm(_ _)m





 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪

   〈 主な登場人物 〉

 

   レナード   ・・・   ダンスインストラクター。本編の主人公。

 

   ジュリー   ・・・   現大統領孫娘。

 

   ジャック   ・・・   探偵。

 

   マシュー   ・・・   カフェバーのマスター。

 

   グレイヴィル大統領   ・・・   ジュリーの祖父。

 

   マイケル   ・・・   レナードの友人。

 

   リチャード   ・・・   演出家。

 

   

 

   その他

 

 

 

― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪

 

 

    

 

  

      

   ノートに走り書きしていたので載せてみました(^_^)  

 

        

 

 

      ――――― 第 1 場 ―――――

 

         楽し気な音楽流れ、幕が上がる。

         舞台はダンス教室。

         生徒達が歌い踊る。

         (中央にレナード、一際目立つ。)

         決めのポーズの後、皆其々に散らばり、

         踊りの練習を始める。

         中央にレナードと数人の生徒。

         レナードが手本を踊ると、生徒達それに

         続く。

 

  レナード「おいおい!そこはそうじゃない!!(踊って見せる。)

       ワン、トゥ、スリー、フォー、ファイブ!だ!ちゃんと覚え

       ろよ!」

  アルバート「(首に巻いていたタオルで、汗を拭きながら。)難し

         いなぁ・・・俺、頭がパニックになりそうだ。」

  ドロシー「本当・・・」

  レナード「こんなくらいで根を上げてちゃ話しにならないぜ。来

       週の舞台のオーディション、受けるんだろ?ただのエ

       キストラだが、目立つ場所での踊りを貰えるんだ!そ

       れなりの踊りを踊らないと、手に出来ないぜ。ほら、も

       う一回最初からだ!」

 

         レナード、生徒達踊る。

         その時、2階の入口からジュリー入って

         来る。

         下を見下ろして、物珍しそうにゆっくり

         階段を下りて来る。(階段途中に腰を

         下ろし、皆の様子を見詰める。)

         レナード、手拍子しながら生徒達の間

         を回る。

 

  レナード「ダニー!!また間違えたぞ!!やめだやめだ!!

       一旦休憩だ!!」

 

         生徒達、其々息を切らせ、汗を拭きながら

         端へ寄る。

         レナード、首に巻いていたタオルで汗を

         拭く。その時、階段に腰掛けているジュリー

         に気付き、近寄る。

 

  レナード「(嬉しそうに。)やぁ、入会希望者かい?」

  ジュリー「(驚いて立ち上がる。)あ・・・いいえ・・・ここで見てい

       たら、お邪魔ですか・・・?」

  レナード「いや、構わないさ。だが、ただの見学者と言うのも珍

       しいな。君、踊りは?」

  ジュリー「(微笑んで。)全然・・・今までワルツ以外、ダンスなん

       て踊ったことありません。だから、皆さんの踊りを見て、

       なんて上手く踊られるのかしらって・・・。特にあなたの

       踊り・・・すごく素敵・・・」

  レナード「(声を上げて笑う。)一応こう見えて、俺はここのイン

       ストラクターなんだ。他の連中より上手くなきゃ、話し

       にならないだろ。・・・踊ってみるかい?」

  ジュリー「え・・・?でも私・・・踊りなんて・・・」

  レナード「おいで。(ジュリーの手を取って舞台中央へ歩いて

       行く。)」

  ジュリー「本当に私・・・」

 

         レナード、熱心にジュリーに踊りを教える。

         ジュリー、夢中でレナードの指導に従う。

         回りでは生徒達、それに気付き楽しそうに

         見ている。

         暫く教えたところでレナード、片手を上げて

         合図をする。と、音楽流れる。

         それに乗って2人、ダンスを踊る。

         踊り終わると生徒達「ブラボー!!」の声

         と共に拍手喝采。

         ジュリー、嬉しそうに回りを見回す。

         レナード、そんなジュリーの様子を嬉しそう

         に見る。

         生徒達、再び練習をし始める。

 

  ジュリー「(息を切らせ、興奮したように。)踊ることって楽しいの

       ね!!私、今までダンスがこんなに楽しいなんて全然

       知らなかったわ!!」

  レナード「初めて踊った割には、中々上手いじゃないか。」

  ジュリー「本当?」

  レナード「ああ。練習次第でもっと上手く踊れるようになるよ。」

  ジュリー「(嬉しそうに。)私もあなたみたいに踊れるようになる

       ?」

  レナード「ああ・・・」

  ジュリー「本当にそうなったら素敵ね・・・」

  レナード「教えてやるから、通って来いよ。」

  ジュリー「(一瞬悲し気な表情になる。話しを逸らすように。)・・・

       踊りを教えてくれてありがとう・・・(駆けて行こうとする。

       )」

  レナード「(慌てて。)あ・・・おい!!おまえ!!」

  ジュリー「(立ち止まり振り返る。)」」

  レナード「(ジュリーに近寄りながら。)あの・・・えっと・・・」

  ジュリー「・・・ジュリー・・・」

  

  レナード「ジュリー!急ぐのかい?俺の行きつけのカフェで、

       いいとこがあるんだ。よかったら一緒にお茶でもどう

       ?」

  ジュリー「(疑り深そうに、レナードを見る。)」

  レナード「(横に置いてあるテーブルの上から、上着を取って

       羽織りながら。笑う。)大丈夫、下心なんてないよ。」

  ジュリー「(思わず笑みを浮かべて。)ごめんなさい。本当言う

       と、朝から何も食べてなくて、お腹ペコペコ・・・」

  レナード「(嬉しそうに。)良かった!(生徒達に向いて。)後

       は自主稽古だ!」

 

         生徒達、口々に驚きの声を上げる。

         (レナード、ジュリー階段を上る。)

 

  ジュリー「(生徒達の方を気にしながら。)いいの?」

  レナード「ああ!」

 

         レナード、ジュリー出て行く。

         カーテン閉まる。

 

      ――――― 第 2 場 ―――――

 

         カーテン前。

         グレイヴィル大統領、秘書(レイチェル)

         雇われ探偵(ジャック)、その部下(ボビー)

         召使(ヘレン)出る。

 

  グレイヴィル「(憤慨した様子で。)一体、いつ分かったのだ!!

          あれがいなくなったことに!!」

  ヘレン「(オロオロしたように。)あの・・・今朝お起こしに行った

      時には、確かにまだお部屋の方に・・・その後、朝食は

      お部屋に持って来て欲しいと仰ったので、食堂へ取りに

      行って戻るともう・・・」

  ジャック「(淡々とした口調で。)朝、起こしに行った時、何か変

       わった様子は?」

  ヘレン「(首を振る。)・・・特に・・・」

  

         ボビー、メモを取る。

 

  グレイヴィル「何か気付かなかったのか?」

  ヘレン「・・・すみません・・・」

  ジャック「部屋からなくなったものは?」

  ヘレン「はい・・・いつもお嬢様がお出掛けになる時に、持って

      行かれる鞄以外何も・・・」

  グレイヴィル「ゆ・・・誘拐だ!!誘拐されたに違いない!!」

  レイチェル「落ち着いて下さい、先生!!また血圧が・・・」

  ジャック「それはないでしょう・・・」

  グレイヴィル「では君は、あれが自分で出て行ったとでも言う

          のかね!?」

  ジャック「(頷く。)それも今朝思い立って出て行ったのではな

       い・・・。彼女は以前より、この時を待って出て行った

       のではないでしょうか・・・。・・・何か・・・彼女が家出

       したくなるような理由は・・・?」

  グレイヴィル「(一瞬、顔色が変わる。)そ・・・そんなことは何

          もない!!」

  ジャック「そうですか・・・我々は彼女を見付け出し、連れ帰る

       ことに全力を尽くします。その為には何でも我々に

       言って頂かなくてはなりません。」

 

         グレイヴィル、考えているように。

 

  レイチェル「(ジャックに写真を1枚差し出す。)これがお嬢様の

         お写真です。」

  ジャック「(写真にチラッと目を遣り、背広の内ポケットに仕舞う

       。)それでは我々はこれで・・・おい、ボビー!」

  ボビー「はい!(ポケットにメモを仕舞う。)」

  グレイヴィル「(慌てて。)待ってくれ・・・!」

  ジャック「(振り返り。)何か?」

  グレイヴィル「・・・実は・・・」

 

         ボビー、再びメモを出し、筆記する。

 

  グレイヴィル「あれは・・・私が決めた結婚が気に入らないのだ

          ・・・」

  ジャック「結婚とは?」

  グレイヴィル「ある貿易会社の御曹司と縁談があって・・・孫は

          最初、断ってくれと申したのだが、良い話しであっ

          たので私が勝手に進めておったのだ・・・。初めこ

          そああは言っていたが、式が近付くにつれて段々

          その気になってきていると思っていたのだが・・・

          まさか、こんな間近になって・・・」

  ジャック「式の日取りは?」

  グレイヴィル「・・・来週の日曜日に・・・」

  ジャック「それが理由だと思われるのですね。」

  グレイヴィル「(溜め息を吐いて。)そうだ・・・。頼む・・・孫を一

          刻も早く、捜し出してくれ・・・。それとくれぐれも

          内密に・・・」

  ジャック「勿論・・・」

  グレイヴィル「必ず・・・ジュリーを見つけ出してくれ・・・!!」

 

         暗転。

 

      ――――― 第 3 場 ―――――

 

         カーテン開く。と、カフェバー。

         歌手サラ、客席の間を回りながら歌っている。

         途中、レナード、ジュリー入って来る。

         (客達、親し気にレナードに声を掛ける。

         ジュリー、珍しそうに回りを見回す。)

         レナード、ジュリーをエスコートしながら

         カウンターの方へ。

         歌声小さくなる。

 

  マシュー(マスター)「(用事していた手を止める。)やぁレナード、

              早いじゃないか。」

  レナード「まぁね。今日はどう?」

  マシュー「ぼちぼちってとこかな。まだ夜はこれからだぜ。それ

       より今日は何食べるんだ?」

  レナード「いや、今日はもう食って来た。」

  マシュー「おいおい、珍しいじゃないか。おまえが余所の店で

       食事を済ませて来るなんて。何、ご馳走食って来たん

       だ?」

  レナード「ホットドッグさ。」

  マシュー「ホットドック!?(笑う。)余程、急いでたのか?・・・

       ん?(レナードの後ろにいるジュリーに気付く。)連れ

       ・・・?」

  レナード「ああ。ジュリー!紹介するよ、ここのマスターだ。」

  マシュー「やぁ、いらっしゃい。」

  ジュリー「初めまして。(微笑む。)」

 

         ジュリー、回りをキョロキョロ見ている。

 

  マシュー「可愛い娘じゃないか。彼女にもホットドックを?」

  レナード「彼女のリクエストだからね。」

  マシュー「本当に?」

  

 

         サラの歌、再び大きくなる。

         2人、いくつか置いてあるテーブルの

         方へ歩いて行く。

         レナード、ジュリーに椅子をすすめ、

         自分も腰を下ろす。

         ジュリー、相変わらず落ち着き無く。

         レナード、手を上げるとボーイ(ラリー)

         近付く。レナード、何かを注文している

         ように。

         サラ、歌い終わると客達拍手。

         静かな音楽流れる。

 

  ジュリー「今日は本当にご馳走様でした。美味しかったわ、さっ

       きの変わった名前の食べ物・・・」

  レナード「ホットドック?」

  ジュリー「そう!そのホットドック!」

  レナード「あんな物でよかったら、いつでもご馳走してやるよ。

       でも変わってるな・・・普通、食事に行こうって誘ったら、

       フランス料理や日本料理をリクエストする女達ばかり

       なのに、おまえときたら、道端に停まってるワゴンカー

       のホットドックがいいなんて・・・。本当にあんな物でよ

       かったのかい?ここの料理も結構いけるんだぜ。」

  ジュリー「ええ!私、ホットドックって今まで一度も食べたことが

       なかったの!それにあんな風に、歩きながら食べるな

       んて・・・(楽しそうに笑う。)面白いのね!」

 

         レナード、微笑ましくジュリーを見詰める。

         ラリー、飲み物を2つ運んで来る。

 

  ラリー「(テーブルにグラスを置きながら。)レナードさん!新し

      い彼女?」

  レナード「馬鹿野郎。」

  ラリー「(ジュリーに向かって。)彼女!ごゆっくり!(下がる。)」

  ジュリー「(微笑んで。)本当によく来るのね。皆あなたのこと知

       ってる。」

  レナード「近いし、稽古の後よく教室の奴らと来るんだ。皆、仕

       事柄、金のない奴ばかりだし、ここのマスターは良心

       的で、そんな奴らに安くで美味いもん、食わしてくれる

       んだ。」

  ジュリー「そう・・・じゃあ今日は無理にホットドックに付き合って

       もらってごめんなさい・・・。」

  レナード「いや、構わないさ。久しぶりで美味かったよ。(グラス

       を持って。)じゃあ、新しい出会いに乾杯!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       ――――― “ジュリー”2へつづく ―――――

 

 

 

 

 

























“Thank you!B・J” ―全8場― エンディング

2013年06月18日 23時00分18秒 | 未発表脚本



         音楽流れ、ジム歌う。

         “一番大切なことを見落とした
         俺を許して欲しい・・・”

  B・J「兄ちゃん・・・」

         “よく見れば直ぐに分かる
         そんな観察を怠った・・・”

  B・J「(首を振る。)」
  ジム「知らなかったことだとは言え・・・おまえを傷付けて悪かっ
     たな・・・。ごめんよ・・・」
  B・J「ううん・・・兄ちゃん・・・」

         B・J、歌う。

         “いつも泥だらけ
         ホームの厄介者の俺・・・”

  ジム「B・J・・・」

         “誰も相手にしてくれない
         今までずっと一人ぼっちで・・・”

  B・J「俺・・・今までずっとホームの食み出しっ子だったんだ・・・。
     里親になりたいって、ホームにやって来る大人達は皆・・・
     俺を見ると、同情と哀れみの入り混じった目をしてこう言う
     んだ・・・“まぁ・・・苦労したのね・・・可哀想に・・・”。そして必
     ず決まって“でもあなたには、私達よりもっと素敵な引き取
     り手が現れるわ・・・”。そう言って身形の綺麗な可愛い子を
     里子に選んで帰って行くんだ・・・。誰も俺みたいな汚らしい
     格好の、乱暴者を引き取りたいって言う大人はいないって
     ・・・皆にそう言われてた・・・。だから俺は一生一人で生きて
     いく・・・そう心に誓って生きてきたんだ・・・ずっと・・・」
  ジム「B・J・・・」
  B・J「そんな時、兄ちゃんと出会ったんだ・・・」
  ジム「・・・え・・・」
  B・J「最初は公園のベンチで寝っ転がってる兄ちゃんのこと、怪
     しんだけど・・・俺・・・兄ちゃんが言ったこと、すごく・・・本当
     はすごく嬉しかったんだ・・・。だって、そうだろ?夏休みの
     間だけでもホームにいなくていいんだ。誰も引取り手がなく
     て、いっつも皆の食み出しものだった俺を、馬鹿にするホー
     ムの奴らと、夏休みの間だけでも一緒にいなくていいなん
     て・・・俺には夢のような話しだったから・・・。でも・・・それが
     男として・・・だと分かって・・・俺・・・一度は諦めたけど、男
     と間違われたんなら、男のフリをすればいいんだって・・・そ
     う考えたんだ・・・。けど・・・いつも不安だったのも本当さ・・・
     」
  ジム「不安・・・?」
  B・J「うん・・・だってもし女だとバレて・・・この束の間の幸せが
     崩れたらと思うと・・・俺・・・」
  ジム「(フッと笑う。)」
  B・J「何笑ってんだよ!」
  ジム「あ・・・悪い・・・。見事だったよ、俺は全く疑うことなく、おま
     えを少年だと信じてたからさ・・・。」
  B・J「俺・・・楽しかったぜ、兄ちゃん!男のフリすんの!だって
     いっつもホームでは“お行儀良くしなさい!女の子らしくす
     るんですよ、B・J!”ってさ・・・。それが、お行儀良くは言わ
     れても、女の子らしく・・・とは言われないんだ。それって・・・
     俺は俺でいいってことだろ?俺は生まれてから、女の子ら
     しく・・・なんてもんとは縁がなかったんだ、一度も・・・。だか
     ら・・・女の子らしくがどんなだか・・・分からなかった・・・。回
     りの女の子達が興味あるような、お喋りやお洒落だって・・・
     俺にはサッパリ・・・。それにもし俺が・・・女の子らしい身形
     をしてたら、兄ちゃん、俺に声かけたか?」
  ジム「イヤ・・・」
  B・J「だろ?だからあんな格好してたことも、少しは役に立った
     のかなって・・・。あ・・・兄ちゃんに嘘吐いたのは・・・悪かっ
     たけど・・・」
  ジム「・・・じゃあ愛顧だな・・・」
  B・J「愛顧・・・うん!」
  ジム「B・J・・・本当の名前は・・・?」
  B・J「・・・ベティ・・・ジョー・・・」
  ジム「ベティ・・・そうか・・・女の子らしい、いい名前があったんだ
     な・・・」
  B・J「女の子・・・らしい・・・」
  ジム「さてベティ・・・、じゃあここからは女の子としてのおまえに
     話しがある。」
  B・J「え・・・?」
  ジム「(B・Jの持っていた鞄を見て。)そうやって荷物をまとめて
     折角出てきたようなんだが・・・もう一度戻る気はないか?」
  B・J「戻る・・・って・・・」
  ジム「ミセスアダムスのところへさ。」
  B・J「・・・婆ちゃんの・・・?」
  ジム「ああ。」
  B・J「けど・・・だって俺・・・本当は男じゃ・・・」
  ジム「(微笑んで。)おまえを養女として迎え入れたいそうだ。」
  B・J「嘘だ・・・だって婆ちゃんは・・・元気な男の子が・・・」

  ミセスアダムスの声「本当ですよ。」

  B・J「え・・・?(回りを見回す。)」

         ミセスアダムス、下手より登場。
         続いてマーク登場。

  ミセスアダムス「私はあなたがいいの・・・」
  B・J「(ミセスアダムスを認める。)・・・婆ちゃん・・・」
  ミセスアダムス「元気な男の子でなくても・・・私はB・J本人を私
            の子として、我が家へ迎え入れたいのよ・・・」
  B・J「・・・婆ちゃん・・・本当に・・・?」
  ミセスアダムス「誰が嘘なんて言うものですか・・・。あなたがい
            なくなってしまったら私・・・また以前のように歩く
            ことも出来なくなって、ベッドの中へ逆戻りの生
            活になってしまうわ、きっと・・・」
  B・J「駄目だよ、そんなの・・・!」
  ミセスアダムス「じゃあ・・・戻って来てくれるわね・・・?」
  B・J「(ジムを見る。)」
  ジム「(頷く。)」
  B・J「婆ちゃん!!(ミセスアダムスの腕の中へ飛び込む。)」
  ミセスアダムス「さぁ、またこれから忙しくなるわね。なんせ、今
            度はB・Jをレディ教育し直さなければならない
            んですもの。」
  B・J「婆ちゃん・・・」
  ミセスアダムス「可愛いドレスを作らせましょう。髪飾りもね。あ
            らあら、今まで以上に楽しみが増えたこと。(笑
            う。)」
  ジム「ミセスアダムス、B・Jのことを宜しくお願いします。」
  ミセスアダムス「グレイ先生、勿論ですとも・・・」

         ジム、ミセスアダムス、一寸脇へ寄る。
         (話しているように。)

  マーク「(B・Jの側へ。)おめでとう、B・J。」
  B・J「(マークを認め。)マーク・・・。おまえ・・・いつから気付いて
     たんだよ・・・俺が・・・その・・・」
  マーク「そんなこと、最初からに決まってるじゃないか。(笑う。)」
  B・J「最初から・・・?」
  マーク「ああ。」
  B・J「最初から知ってておまえ・・・マグリットを紹介してやるとか
     なんとか・・・!」
  マーク「いいじゃないか。君がどうして男のフリをしてるのかは知
      らなかったけれど、男のフリをしてるってことは、男として
      扱われたいんだって解釈してたからね。」
  B・J「・・・お・・・男男言うな!」
  マーク「(笑う。)・・・君が女の子で良かったな。」
  B・J「・・・え・・・?」
  マーク「何、紅くなってんだよ。」
  B・J「あ・・・紅くなんてなってないさ!!何、巫山戯てんだ馬鹿
     野郎・・・!!」
  ミセスアダムス「B・J、先ずはその言葉遣いをもう一度直さなけ
            ればいけませんよ。」

         音楽流れる。(歌う。)

      ミセスアダムス“女の子は
                馬鹿野郎なんて言いません”

      マーク“女の子なら女の子らしく”

      ジム“だけど君は君のままでいい”

  B・J「兄ちゃん・・・」

      ミセスアダムス“女の子でも男の子でも”

      マーク“言葉遣いが悪くても”

      ジム“君がいればそれでいい”

  B・J「俺が・・・」

      B・J“やっと見つけたオレ・・・(首を振る。)
         私の道・・・
         今まで自分が誰なのか
         分からないまま歩いて来たけれど
         ほんの小さな切っ掛けが
         私の足元を照らし始めた
         何も特別なことをした訳じゃない
         私は私のままでいただけ
         そこから始まった新しい希望
         そこから知った私の道
         私は私のままでいいのね!!”

         ミセスアダムス、B・Jの側へ。
         (4人、彼方を見遣る。)
         音楽盛り上がり。





         ――――― 幕 ―――――












      さて今作品、掲載終了したので、ここで次回は・・・
     となるところですが、次回は少し、夏公演作品の1本の
     序章的な作品を、今から書いてみたいと思っています♥
     今はまだ構想だけの為、書き始めるのに少し間を頂く
     ことになりますが、ご了承下さいm(_ _)m     


























“Thank you!B・J” ―全8場― 5

2013年06月11日 22時37分51秒 | 未発表脚本



         ミセスアダムス、ゆっくり立ち上がる。
         (俄に人々騒つく。)

  ルーシー「奥様!」
  ミセスアダムス「大丈夫よ。」

         ミセスアダムス、ゆっくり階段を下りて来る。

  ミセスアダムス「数ヶ月前の私は、起き上がることもままならな
            かったのが、ご覧の通り・・・今ではこのように、
            しっかりと自分の足で大地を踏み締め、歩くこと
            が出来る程に回復致しましたの。さて・・・今日
            はもう一つ、皆様にご報告をしなければいけな
            いことがあります。B・J、こっちへいらっしゃい。」
  B・J「・・・え?」

         B・J、ゆっくりミセスアダムスの側へ。

  ジム「報告とは・・・?」
  ミセスアダムス「ええ・・・少し前よりずっと考えていたことですけ
            れども・・・さっきから申し上げている通り、数ヶ月
            前までの私は、息子夫婦が仕事の関係で遠くへ
            行ってしまって、それまでの賑やかだった生活が
            一変し、毎日が張り合いなく、とても淋しい思い
            をしておりましたの。それがこのB・Jを我が家で
            預かることになり、そのことによって生活に張り
            を取り戻した私は、それまでとは打って変わって
            生き生きと過ごすことが出来るようになりました。
            それは全て、このB・Jのお陰なのです・・・。あり
            がとう、B・J・・・」
  B・J「・・・そんな・・・」
  ミセスアダムス「そこで私は考えたのです。グレイ先生とのお約
            束では、夏のバカンスの間だけと言うことでした
            けれど・・・このB・Jを正式に私の養子に迎えよ
            うと思いますの。」
  ジム「本当ですか?ミセスアダムス。」
  バート「B・Jお坊ちゃん!」
  ミセスアダムス「ええ、本当ですとも。どう?B・J・・・」
  B・J「婆ちゃん・・・」
  ミセスアダムス「我が家の跡取り息子として・・・来てくれるかし
            ら・・・?」
  B・J「跡取り・・・息子・・・俺・・・俺、無理だ・・・」
  ミセスアダムス「B・J?」
  B・J「俺・・・そんな・・・跡取り息子だなんて・・・無理だ・・・無理
     だ!!」

         B・J、上手へ走り去る。(人々騒めく。)

  ジム「B・J!!」

         ミセスアダムス、ジム、マーク残して
         カーテン閉まる。

  ミセスアダムス「(心配そうに、上手を見る。)どうしたのかしら、
            B・J・・・」
  ジム「僕が見て来ます!(上手方へ行きかける。)」
  マーク「待って下さい、先生!!」
  ジム「(立ち止まり、マークを見る。)どうしたんだい、マーク?」
  マーク「先生はお気付きじゃあないかも知れませんが・・・」
  ジム「・・・気付く・・・?一体何を・・・」
  マーク「・・・B・Jは・・・彼女は自分を偽り続けることに、限界を感
      じたのだと思います・・・。」
  ジム「偽る・・・?偽るって・・・え・・・?今・・・彼女・・・って・・・」
  マーク「・・・はい・・・。B・Jは・・・正真正銘、女の子ですよ。」
  ジム「女・・・の子・・・?」
  ミセスアダムス「・・・まぁ・・・」
  ジム「女の子って・・・」
  マーク「そうです。」
  ジム「でも・・・!?」
  マーク「きっと何か理由があって、本当のことを言い出せずに今
      日まできたのでしょう。」
  ジム「まさか・・・でも・・・どう見ても・・・」
  ミセスアダムス「私、そんなことは知らずに跡取り息子だなんて
            ・・・酷いことを・・・」
  マーク「お祖母様、そのことに関してお祖母様がそこまで気に病
      むことはありませんよ。このグレイ先生ですら見抜けなか
      ったんですからね。男だからと偽って連れて来られたB・J
      を、少年だと信じても・・・」
  ジム「でも、どうしてそれを・・・?」
  マーク「彼女と一度、握手した手ですよ。あれは紛れもない女の
      子の手でしたから。」
  ジム「手・・・」
  マーク「けど可笑しいなぁ・・・先生ともあろうお方が、人の性別を
      見間違えるなんて・・・」
  ジム「俺だって万能じゃないんだ。見間違いくらいするさ・・・。け
     ど・・・あのB・Jが少女だったなんて・・・。俺はてっきり少年
     だと・・・。あの公園で見かけた状況も状況だったが、あんな
     格好で泥だらけの姿を見たら・・・(首を傾げ、フッと笑う。)
     やれやれ・・・これはまんまと引っかかったな・・・」
  ミセスアダムス「先生、私もですよ・・・」
  マーク「当のB・Jには引っかけるつもりなんてなかったでしょう
      けどね。」
  ジム「そうだな・・・俺のせいだな・・・きっと・・・」
  ミセスアダムス「いいえ、気付いてあげられなかった私こそ、い
            けなかったのです・・・。」
  ジム「さて・・・ミセスアダムス・・・、僕の勘違いから起こったこと
     とは言え・・・“跡取り息子”になりえないB・Jのことですが
     ・・・」
  ミセスアダムス「あら・・・そんなことは決まってるじゃあありませ
            んか。跡取り息子でも、跡取り娘でも構いません
            。私はB・J本人が大好きになりましたのよ。性
            別なんて関係ありませんわ、先生。」
  ジム「ミセスアダムス・・・では・・・」
  ミセスアダムス「勿論、B・Jは私の養女として迎え入れましょう
            。」
  マーク「お祖母様・・・」

         その時、上手よりバート、慌てた様子で登場。

  バート「奥様!B・Jお坊ちゃんがお屋敷の外へ!!荷物をまと
      めて出て行っておしまいに!!」
  ミセスアダムス「まぁ、大変だわ!早く連れ戻しに行きましょう!
            」
  ジム「ミセスアダムス!一つ、B・Jの行きそうな場所に心当たり
     が・・・」
  ミセスアダムス「本当ですの?先生。」
  ジム「はい。」
  ミセスアダムス「それでは案内して下さいな。」
  ジム「分かりました。」
  ミセスアダムス「それとバート、B・Jはお坊ちゃんではありませ
            んよ。」
  バート「・・・は?」
  ミセスアダムス「さぁ、参りましょう!」

         ミセスアダムス、上手へ去る。首を傾げ
         ながらバート、続いて去る。

  ジム「マーク、おまえはいい医者になるよ。俺なんかよりずっと
     ・・・」
  マーク「はい!必ずいつか、先生を追い越すことこそ、僕が目指
      し行き着く場所だと信じていますから・・・」

         ジム、マーク、上手へ去る。

    ――――― 第 8 場 ―――――

         音楽流れ、カーテン開く。と、1場の公園。
         上手より鞄を提げたB・J登場。歌う。

         “僕は誰だろ・・・
         どこの誰だろ・・・
         偽りの仮面で覆われた
         僕も知らない僕だから・・・
         見えかけた足元の道も
         今は霧で霞んで見える
         もう戻れない・・・
         やっと見つけた温かな場所
         今日はいつだろ
         明日は来るのか
         それさえも分からない
         不確かな僕だから・・・
         やっと踏み出した1歩が
         今は不安で揺らぐのが分かる
         もう戻らない・・・
         僕の居場所はここじゃない・・・”

         B・J、中央ベンチへ腰を下ろして、
         手に持ったハンカチで顔を覆い隠すように
         静かに泣く。

  B・J「畜生・・・畜生・・・」

         そこへ下手より一人の老人登場。
         B・Jを認め、慌てた様子で近寄る。

  老婆「いたいた!!やっと戻って来ておくれだね、先生!!あた
     しゃ、先生に持病の腰痛を早く診て欲しくて、この公園診療
     所が開くのを、今か今かとずっと待ってたんだよ!!」
  B・J「・・・え・・・?(顔を上げる。)」
  老婆「・・・あっれ・・・子どもじゃねぇか・・・先生は・・・?先生はど
     うしたんだい?坊主・・・」
  B・J「先生・・・?」
  老婆「ああ。ここは先生の診療所なんだよ。単なる休憩の為の
     ベンチとは訳が違うんだ。さ、どいたどいた!ここは先生の
     ベンチなんだから!(B・Jを無理矢理退かすように。)」
  B・J「いいじゃんか、ケチ!!」
  老婆「いかんいかん!!(椅子の上を、持っていたハンカチで、
     払うように。)この椅子は先生のもんだ。」
  B・J「なんでぇ・・・あ・・・先生って・・・兄ちゃんのことだ・・・」
  老婆「先生は我々貧しいもんの味方の、素晴らしい先生なんじ
     ゃ・・・。せめて先生の座る場所くらい・・・(鞄の中から、毛
     糸の座布団を取り出し、ベンチへ置く。)よし、ピッタリじゃ。
     どうじゃ、坊主!わしの腕もまだまだ捨てたもんじゃなかろ
     う。(笑う。)」
  B・J「(座布団を見て。)へぇ・・・この座布団、婆ちゃんの手作り
     かい?」
  老婆「ああ、そうじゃよ。わしら貧乏人は先生に何もお礼が出来
     んからの・・・せめて先生のお尻くらい温めさせてもらおうと
     思ってな・・・」
  B・J「ふうん・・・」
  老婆「それにしても先生は一体どこへ行ってしまわれたんじゃろ
     うか・・・。ここ数日、ずっとこの診療所は閉まったまんま・・・
     こんな何日もいないなんて、ここが始まって以来じゃ・・・。
     まさかどこか違う場所へ移転などしたんじゃああるまいな
     ・・・」
  B・J「・・・大丈夫だよ、婆ちゃん・・・」
  老婆「え・・・?」
  B・J「兄ちゃん・・・あ・・・ジム先生は直ぐに戻って来るさ・・・」
  老婆「本当か?」
  B・J「(頷く。)今は大学病院の手伝いで忙しくしてるけど、ここの
     医者を辞めるつもりはない・・・そう言ってたぜ。」
  老婆「そりゃあ・・・よかったことじゃ。しかし坊主、どこでそんな
     話しを・・・?」
  B・J「・・・うん・・・ちょっと・・・ね・・・」
  老婆「そうか・・・それじゃあまあ理由は聞かんでおくとしよう・・・
     。ありがとうよ、朗報を聞かせてくれて・・・。先生の帰りを待
     ち侘びておる、他の年寄り達にも知らせてやるとしようかの
     ・・・。」

         老婆、下手へ行きかける。

  老婆「そうじゃ坊主、先生に会ったらよろしく伝えておくれ。皆が
     先生の帰りを、首を長くして待っておるとな・・・。」
  B・J「うん・・・言っとくよ・・・!・・・もし・・・また会えたら・・・きっと
     ・・・」
  
         老婆、下手へ去る。
         B・J、鞄を提げ、上手方へ行きかける。
         と、上手よりジム登場。

  ジム「やっぱりここか・・・」
  B・J「・・・兄ちゃん・・・(慌てて下手方へ向き直り、行こうとする。
     )」
  ジム「どこ行くんだ?」
  B・J「(立ち止まる。)い・・・いいだろ・・・どこだって・・・」
  ジム「また孤児院へ戻るつもりか?」
  B・J「だって・・・だって俺・・・だって・・・!!」
  ジム「(微笑んで、B・Jの頭に手を乗せる。)ごめんよ・・・」
  B・J「・・・え・・・?」
  ジム「柔らかい髪だ・・・」
  B・J「・・・兄ちゃん・・・」
  ジム「もっとよくおまえのことを見ていれば、気付いた筈だな・・・
     本当は女の子だったと言うことに・・・」
  B・J「・・・俺・・・」
  ジム「おまえもおまえだぞ!そんな風に女の子が俺なんて言う
     もんだから・・・てっきり・・・あの時は格好も泥だらけだった
     し・・・。それにしても・・・マークに言われるまで、気付けなか
     った俺は、医者落第だな。(笑う。)」
  B・J「・・・マークが・・・?」
  ジム「ああ。」
  B・J「俺・・・何も兄ちゃんや婆ちゃんのことを、騙そうと思って男
     のフリしてたんじゃないんだ・・・。俺・・・俺・・・どうしても言
     いだせなくて・・・」
  ジム「分かってるよ・・・。俺がいけなかったんだ・・・。」
         











  ――――― “Thank you!B・J”
                  エンディングへつづく ――――― 







   
 
    エンディング、書き終えたので全8場となりました(^^;











      6月10日(月)

      昨日はお休みしてしまいましたm(_ _)m

      今日は新作の台詞練習で1日出ていたので、
      少し疲れてしまい今まで爆睡していました(>_<)

      7回公演まで後2ヶ月となって参りました・・・
      が・・・まだ、殆ど準備が出来ていません・・・(ーー;)

      来週、歌先生に新作のレッスンをして頂くことに
      なりました・・・♥

      毎度のことではありますが、どうも台詞回しがキツく
      なる傾向があるらしく・・・今日も演劇の先生に色々
      と、ご指導頂きました(^_^;)
      意地悪なヒロイン・・・じゃあ、お話しにならないです
      よね・・・(>_<)

      と・・・少しタイムリーな私事でありました(^^;










― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ 


   (どら余談^^;)

   最悪です~(ーー;)

   今日の午後から、2度も同じ右足中指を椅子にぶつけてし
   まいました(>_<)
   流石に2度目は流血騒ぎになってしまい、只今とても歩き難
   い足状態であります(´・_・`)
   
   近くに公演がなくて幸いでした・・・(^_^;)
   でないと、今は正座が出来ないので、人形操作の膝立ちも
   勿論出来ない状態なのであります・・・(>_<)
   
   ・・・にしても・・・
   痛いです~・・・(; ;)指が取れなくてヨカッタ・・・(ーー;)

   ・・・あ・・・
   載せて頂いたボランティア誌を見て下さった団体から、クリス
   マスイベントでの公演の依頼がありました♥
   しかももう公演することはないかな・・・と思っていた作品での
   依頼だったので、もう一度公演出来るのはとても嬉しいこと
   だな・・・と思っています。
   12月には・・・私の足も元通りになっていることでしょう・・・
   (^^;