りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“ドンのハッピーサンタクロース” ―全8場― 4

2012年12月31日 15時16分34秒 | 未発表脚本


  雪の精「マックスは道に迷ってしまったのよね・・・?」
  ドン「ああ。さっきからそう言ってるだろ!それがどうかしたのか
     よ!」
  雪の精「ちゃんと整備された1本道を歩いていて、それもまだ雪
       が降る前の見晴らしのいい場所で、その子は迷子にな
       ったのかしら・・・」
  ドン「そりゃあ、いくら子どもだからって、こんな見通しのいい1本
     道(下手方を見る。)、全く土地勘のない俺だって、ここまで
     サッサと来れたんだ・・・ん・・・?何だ・・・?マックスはこん
     な迷子になろうったって、そう簡単になれそうもない道で、
     迷子になったってのか・・・?」
  雪の精「もう・・・だから迷子になったってことは・・・?」
  ドン「・・・あ・・・そうか!!(下手方を指差して。)こっちの恐ろし
     い道に行っちまったんだ!!」
  雪の精「はい、正解・・・」
  ドン「そっか!!なんでぇ、そうと分かりゃ善は急げ!!ありが
     とよ、雪の精!!“いいこと”を教えてくれて!!」

         ドン、左側(下手方)の道へ、走り
         進んで行く。

  雪の精「あ・・・!!もう、全く忙しないサンタさんね・・・。大人だ
       としても気をつけないと、名前通りの迷って危ない道だ
       と分かってるのかしら・・・。まぁ、いいわ・・・あのサンタ
       さんなら何とかするでしょ、きっと・・・。3時間、私はここ
       でのんびりさせてもらうとするわ・・・。(ゴロンと横になる
       。)」

         紗幕閉まる。

    ――――― 第 6 場 ――――― A

         紗幕前。
         音楽流れ、回りを捜すように下手より
         ドン登場。

  ドン「おーい!!どこだーっ!!マックスー!!マックスー!!
     全く・・・この恐ろしい道って・・・恐ろしい・・・じゃなくて、やや
     こしい・・・の間違いじゃねぇか!?丸で迷路だぜ・・・(キョ
     ロキョロ回りを見回して。)あっれぇ・・・それにしても、ここは
     一体どこだ?なんかさっきから、同じとこをグルグル回って
     るような・・・こりゃあ、子どもだとしたら確実に迷っちまうぜ
     ・・・。おーい!!マックスーッ!!」

         ドン、歌う。

         “どこにいるんだ おまえは一体
         やっと側までたどり着いた
         けど肝心のおまえ自身が
         見当たらない・・・
         こんな迷い道の中で
         こんな寒い冬空の
         たった一人で心細い・・・
         きっとサンタが助けに来ると
         信じて待つに違いない・・・”

    ――――― 第 6 場 ――――― B

         紗幕開く。と、森の中。

  ドン「おーい!!おーい!!しかし・・・寒いなぁ・・・。こりゃホント
     にホワイトクリスマスになりそうだぜ。急いで捜さねぇと・・・
     」

         その時、マックスの声が聞こえる。

  マックスの声「・・・サンタさん・・・」
  
  ドン「・・・マックス・・・?」

  マックスの声「・・・サンタさん・・・」

  ドン「マックス!!どこだ!?どこにいる!?(回りを見回す。)
     マックス!!」

         ドン、後方大木の方へ駆け寄り、“マックス”
         の名を呼びながら、回りの木の葉の山を
         崩すように、その中を捜す。

  ドン「マックス・・・!!あっ!!子どもの手だ!!マックス!!
     マックス!!(木の葉の中から捜し当てたマックスを抱き起
     こす。)マックス!!おい、しっかりしろ!!マックス!!」
  マックス「・・・(ゆっくり目を開く。ドンを認め。)・・・サンタ・・・さん
       ・・・」
  ドン「よし!!生きてたか!!偉いぞ、マックス!!この木の葉
     が外の冷気からマックスを守ってくれたんだな!!木の葉
     達、ありがとうよ!!」

  声「・・・いいえ・・・」

  ドン「・・・え・・・?(回りを見回す。)今、誰かなんか・・・まぁ、いい
     か。それよりマックスの体が氷みてぇに冷たいぜ!!何か
     ・・・着るもの・・・(回りを見て。ハッと気付いたように自分の
     服を見る。)あっ!!そうだ!!(自分が着ていた、サンタ
     の衣装を脱いで、その服でマックスを包み込む。)ほら・・・
     !!」

         (ドン、サンタの衣装を脱ぐと、黒いスーツ姿
         になる。)

  マックス「・・・サンタさん・・・(ドンが黒のスーツに変わっている
       のに、一瞬驚いたように。)・・・あなたは・・・」
  ドン「・・・あ?(自分の服を見て。)ああ・・・この服装な・・・悪い
     な、助けに来たのが俺みたいな・・・そうだよ・・・俺は・・・サ
     ンタなんかじゃない・・・しがないただの・・・」
  マックス「(微笑んで。)サンタさん・・・」
  ドン「・・・え・・・?」
  マックス「あなたは・・・サンタさんだよ・・・」
  ドン「マックス・・・」
  マックス「サンタさん・・・ありがとう・・・僕を見つけてくれて・・・」
  ドン「(恥ずかしそうに。)いや・・・何・・・さぁ、マックス・・・ホーム
     へ帰ろう・・・(マックスの前へ跪いて、背を向ける。)俺にお
     ぶされ・・・」
  マックス「・・・うん・・・(ドンの背中にしがみつく。)」

  声「よかったわね・・・」

  マックス「(上方を見て。)・・・うん・・・ありがとう、秋の精・・・」
  ドン「え?何か言ったか?」
  マックス「ううん・・・」
  ドン「あ、そうだ!これでも舐めてろ!(ポケットからジンジャー
     キャンディを取り出し、マックスへ手渡す。)さぁ、行くぞ!」
  マックス「うん・・・」

         ドン、マックスをおぶって下手へ去る。
         暗転。

    ――――― 第 6 場 ――――― C

         上手スポットに雪の精、座って下手方を
         見ている。

  雪の精「(欠伸をして。)ふぁああ・・・よく寝た・・・。こんな時期に
       ゆっくり出来るなんて初めてよ。(笑う。)それにしても遅
       いなぁ・・・もう3時間経っちゃうわよ・・・。まだなのー!?
       (溜め息を吐いて。)仕方ないなぁ。約束だからね!他
       の沢山のホワイトクリスマスを楽しみにしてる人達がい
       るんだから、これ以上待てないわ。(立ち上がり、杖を取
       り出し、天に翳すように。)雪よ・・・!この村にホワイトク
       リスマスを!!」

         その時、雪がチラチラ舞い落ちて来る。

  雪の精「(雪を確認するように。)よしっ!さぁ、次の町へ急がな
       くちゃ!」

         雪の精、上手へ走り去る。

    ――――― 第 6 場 ――――― D

         舞台明るくなる。と、前場の森。
         (雪が積もって、さっきとは様子が違い、
         寒々とした風景。)
         雪がチラチラ舞う中、下手よりマックスを
         おぶったドン、ヨロヨロと登場。

  ドン「あっれぇ・・・可笑しいなぁ・・・ここはさっきも通った場所じゃ
     ねぇか・・・」
  マックス「・・・サンタさん・・・?」
  ドン「ん・・・?心配すんな!もう直ぐホームだぞ!だから頑張れ
     よ!!」
  マックス「・・・うん・・・」
  ドン「(独り言のように。)・・・この道は・・・ややこしくって、一旦足
     を踏み入れたなら、そう簡単には抜け出せない・・・そんな
     風に恐ろしい道だったんだな・・・。おまけに雪がチラチラし
     て視界が・・・(目を擦る。)もう・・・3時間、経っちまったんだ
     ・・・」
  マックス「サンタさん・・・僕・・・ものすごく眠くなってきたよ・・・サ
       ンタさんの背中・・・とっても気持ち良くって・・・」
  ドン「おい?おい、マックス!こんなとこで寝るんじゃないぞ!も
     う少しだから頑張ってくれよ・・・!!おい・・・!マックス・・・
     !おい・・・けど・・・俺も・・・何だか・・・マックス・・・ちょっとだ
     け・・・休んでいいか・・・?もう足が・・・(眠っているようなマ
     ックスを、木の横に下ろし、抱いたまま自分も木にもたれか
     かる。)ふぅ・・・疲れたぜ・・・目が・・・勝手に・・・(眠る。)」

         冷風の音が大きく、雪も段々吹雪いてくる。
         舞台フェード・アウト。(カーテン閉まる。)
         その時、風の音に紛れるように、鈴の音が
         遠くから聞こえてくる。段々大きく。

  トナの声「サンタさーん!!サンタさーん!!迎えに来たよーっ
        !!」
  ドンの声「トナ・・・マックス・・・!!ホームへ帰って来たぞ!!」
  マックスの声「本当!?(木霊する。)」

    ――――― 第 7 場 ――――― A

         カーテン前。
         音楽流れ、舞台明るくなると、下手上手
         より、孤児院の子どもたち登場。
         プレゼントを手に嬉しそうに、ジングルベル
         を歌う。
         (その中には、シスター、ラリーの顔も
         見える。)

    ――――― 第 7 場 ――――― B

         カーテン開く。と、雪の積もった村外れの
         孤児院の前。
         庭先の大きな木が、色とりどりのネオンに
         光輝いている。
         子どもたち、その様子に歓声を上げ、駆け寄る。

  ラリー「わあーっ!!大きいツリーだ!!」
  シスター「・・・これは・・・」
  ラリー「兄ちゃーん!!マックス兄ちゃーん!!」

  マックスの声「何ー?」

  ラリー「綺麗なツリーが飾ってあるよーっ!!」

  マックスの声「直ぐ行くーっ!!」

         その時、上手後方、孤児院の扉が開いて
         マックス元気に飛び出し登場。     ※

  マックス「(クリスマスツリーを見て。)わあーっ!!凄いや!!
       先生!!一体どうしたの?このツリー!」
  シスター「さぁ・・・先生にも分からないのよ。さっき外へ出てみた
        ら、こんな風にホームの前の木が、クリスマスツリーに
        変身させてあったの。」
  ラリー「綺麗だなぁー・・・ね!!マックス兄ちゃん!!」
  マックス「うん!!(ツリーの飾りを見て。)あ・・・これは・・・ジン
       ジャーキャンディだ・・・」
  子ども1「先生!このツリーの飾り、ジンジャーキャンディが一杯
       ぶら下がってるよ!」
  こども2「変なのー(笑う。)」

         子どもたち笑う。
         マックス、シスター、顔を見合わせる。

  マックス「・・・先生・・・サンタさんが来てくれたんだね。」
  シスター「そうね・・・。みんな!このツリーを下さったジンジャー
        キャンディが好きなサンタさんにお礼を言いましょうね
        ・・・」
  子どもたち「はーい!(声を揃えて。)サンタさん!!ジンジャー
         キャンディをどうもありがとう!!」

  ドンサンタの笑い声「ホッホッホ・・・」

         暗転。(カーテン閉まる。)

    ――――― 第 8 場 ――――― A

         カーテン前。
         上手よりスーツ姿のドン、ポケットに片手を
         突っ込み、もう片方に大きな袋を持ち、
         口笛を吹きながら登場。
         そこへ下手よりデン登場。

  デン「(ドンを認め。)兄貴ーっ!!(ドンに駆け寄る。)兄貴!!
     今まで一体どこ行ってたんだよ!!」
  ドン「デン・・・悪い悪い!」
  デン「兄貴のいない間、オイラ一人で・・・ほら!!(袋を見せる
     。)」
  ドン「デン・・・じゃあ今度はそいつを使って、本物のサンタごっこ
     でもやるか!!」
  デン「本物の・・・サンタ・・・?」
  ドン「ああ、綺麗にラッピングし直して・・・」
  デン「ラッピング・・・?」
  ドン「盗んだ家へ、そっと返してくるのさ。」
  デン「えーっ!!折角こんなに頑張ったのにー!!」
  ドン「煩い煩い!!さっさと向こうで綺麗に包装してこい!!可
     愛いリボンも忘れんなよ!」
  デン「えー・・・可愛いリボンって・・・」
  ドン「あ、そうだ・・・(手に持っていた袋を、デンに押し付けるよう
     に手渡す。)こいつも一個ずつ、そのプレゼントと一緒に配
     ってくれ。」
  デン「(袋を覗いて。)ジンジャーキャンディ!?まだ持ってたの
     ?」
  ドン「ブツクサ言ってないで、サッサと行かねぇとクリスマスは明
     日だぞ!(笑う。)」
  デン「分かったよーっ!!」

         デン、上手へ走り去る。
         入れ代わるように下手よりサンタ登場。
         トナ続く。

  トナ「サンタさん2号!」
  ドン「(サンタとトナに気付く。)・・・よお・・・!昨日はありがとうよ
     !トナが来てくれなきゃ、俺たちあのまま凍えて、今頃天の
     国でクリスマスパーティやってる頃だぜ。(笑う。)」
  トナ「サンタさんの役に立つことが、僕の仕事だからね。」
  ドン「偽物で悪いな。」
  トナ「ううん!違うよ、もう!」
  ドン「違う・・・?」
  サンタ「おまえさんは今回のことでは随分頑張って、サンタクロ
      ースの役目を立派に遂行してくれた。その褒美として・・・
      」
  ドン「褒美?何かくれんのか?」











  ――――― “ドンのハッピーサンタクロース”
                     完結編へつづく ―――――
                














     ※ このマックス少年、物凄い回復力です(^^;





      書き上がったので、全8場となりました(^-^)V


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        (おまけフォト^^;)

        

      色んな100円均一ショップで、見つける度に
      買い集めている、来年夏に公演予定作品の
      お人形の小道具です(^-^)

      その小道具類から、作品の内容をご想像下さい♪








    2012年12月31日(月)

    さて、今年も残り数時間となりました(^^;
    皆様にとって、今年はどんな一年だったでしょうか・・・?
    
    私にとってこの一年は、波乱万丈・・・と言っても過言
    ではない、とても様々な出来事に次々と出会う・・・
    そんな一年であったように思います。

    その中で、私にとって不必要なものが去り、本当に必要
    なものだけが残り・・・そして、新たに出会い・・・と、
    なんとも自分の歩く道程が、うまい具合に軌道修正された
    感のあった一年でありました(^_^)
   
    また来年はそんな出会いを大切に・・・
    一段と劇団としても、私自身としても、飛躍していければ
    いいな・・・と、考えております(^-^) 
    まだまだ発展途上でありながら、少しずつですが行く道先
    に目指すものが見え始めたような“リトルパイン”でありま
    すが、これからも頑張って参りますので、暖かい応援を
    頂けると嬉しいです♥

    それでは皆さん、
    一年間、拙い文章にお付き合い下さいまして、
    ありがとうございました(^^;

    よいお年をお迎え下さいm(_ _)m   




                ミュージカル人形劇団“リトルパイン”
                               代表 どら。










  http://milky.geocities.jp/little_pine2012/index.html
 
         http://ritorupain.blogspot.com/

     http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta








 


“アレックス” ―全15場―

2012年12月31日 14時13分32秒 | 未発表脚本



   〈  主な登場人物  〉

  
   アレックス  ・・・  音楽教師。本編の主人公。

   キャシー  ・・・  アレックスの同僚で、恋人の数学教師。

   ピーター  ・・・  体育教師。

   マリア  ・・・  不思議な少女。

   ジョー  ・・・  マリアのボーイフレンド。

   フランキー  ・・・  校長先生。

   マックス  ・・・  教頭先生。

   シルヴィア  ・・・  キャシーの母。

   カーター  ・・・  キャシーの父。

  
   その他。



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    ――――― 第 1 場 ―――――

         音楽で幕が上がる。(舞台はダンスパーティ
         会場。)
         大勢の男女、楽しそうに踊っている。
         (その中には、アレックスとキャシーの姿も
         見える。)
         1曲踊り終わった後、キャシー、アレックスの
         頬を平手打ちし、走り去る。
         呆然と立ち尽くし、キャシーの後ろ姿を
         見詰めるアレックス。
         (他の男女、そんな2人に構わず、踊り続ける。)

  アレックス「キャシー!!」

         フェード・アウト。カーテン閉まる。
         
    ――――― 第 2 場 ―――――

         カーテン前。
         校長フランキーと、教頭マックス、
         話しながら登場。

  フランキー「(おっとりした口調で。)マックス教頭先生、近頃、生
         徒達の様子が、以前より何かこう・・・落ち着き無く・・・
         騒ついていると感じるのですがねぇ・・・。それは私の
         思い過ごしでしょうか?」
  マックス「いえ、確かに私も同じように感じていました。キャシー
       先生のクラスで、何やら生徒同士の揉め事もあるようで
       すし・・・。」
  フランキー「矢張り、あのように若い・・・女の先生では、生徒達
         も中々まとまりにくいのでしょうか・・・」
  マックス「まぁ・・・そう言うこともあるかも知れませんが、キャシー
       先生自体は生徒達の人気も高く、特に女生徒達からは
       姉のように慕われてもいるようですよ。」
  フランキー「ではあのクラスに偶然、問題を起こすような生徒が
         沢山いると言うことでしょうか・・・」
  マックス「この間、転校して来たカールと言う生徒が、どうも問題
       の発端になっているようです。」
  フランキー「成程・・・」
  マックス「そのカールが、同じクラスの人気者のロットに、やたら
       と突っ掛っていくらしく・・・何が気に入らないのか。その
       ことで、キャシー先生は随分悩んでおられるようですよ。
       」
  フランキー「流石、マックス教頭先生は、生徒達の事情に、大変
         お詳しいようですなぁ・・・」
  マックス「いえ・・・」
  フランキー「まぁ、もう少し様子を見てみることに致しましょうか。
         教頭先生、宜しく頼みますね。」
  マックス「はい。」

         2人、ゆっくりと去る。

    ――――― 第 3 場 ―――――
 
         カーテン開く。と、公園。
         月灯りの中、静かな音楽流れる。
         仲良さそうに寄り添いあった恋人達、
         談笑しながら通り過ぎたり、ベンチに
         腰を下ろしたりしている。
         そこへアレックス、ネクタイを緩め、
         ポケットに手を突っ込んでゆっくり登場。
         空いているベンチへ腰を下ろし、惚けて
         いると、1組の恋人達、アレックスの前で
         キスを交わす。その様子を呆っと見ている
         アレックス。
         通り過ぎた恋人達を唖然と目で追う。

  アレックス「畜生!!俺の前でベタベタするなってんだ!!全く
         頭にくる!!キャシーもキャシーだ!!あんなこと位
         で怒ることないだろ!!」

         そこへマリア登場。嬉しそうにアレックス
         へ近寄る。続いてジョー登場し、2人から
         少し離れて立つ。

  マリア「こんばんは!」
  アレックス「(マリアを認めて。)なんだ、おまえは・・・。子どもは
         もうお休みの時間だぜ。早く帰りな・・・。」
  マリア「まぁ、冷たいのね。知らない仲じゃないのに。」
  アレックス「何だって?」
  マリア「ううん!(首を振る。)回りは恋人同士ばかりなのに、ど
      うしてあなたは一人なの?(嬉しそうに。)」
  アレックス「一人じゃいけないか。俺は今、一人でいたいんだ・・・
         一人が好きなんだ!一人にしといてくれ!」
  マリア「とてもハイスクールの先生の言う言葉とは思えないわ
      ね。(笑う。)」
  アレックス「(不思議そうに。)・・・おまえ・・・俺のことを知ってい
         るのか・・・?」
  マリア「一人でいたいからじゃなくて、恋人と喧嘩したから仕方
      なしに一人でいるくせに。」
  アレックス「どうしてそんなこと・・・」
  マリア「ダンスの時に、彼女が今日のデートの為に買った、新品
      のお気に入りのハイヒールを、2回続けてあなたが踏ん
      付けたのよね。(笑う。)」
  アレックス「俺だって好きで踏ん付けた訳じゃないさ!・・・ダンス
         は苦手だってのに・・・あいつが行こうって無理に誘う
         から・・・。それなのにあんなに目くじら立てて怒ること
         ないだろ!だからつい俺もカッとなって・・・。それにし
         ても・・・よく知ってるな、おまえ・・・。さてはあの会場
         にいたんだな?何が目的だ!小遣いか?」
  マリア「違うわ、目的なんてないわよ!でも、あなたに一つだけ
      忠告してあげる・・・。そんな些細なことで彼女と喧嘩別れ
      しちゃったら、あなたは一生、後悔することになるわよ。だ
      からさっさと謝って、仲直りしちゃいなさい!」

         マリア、走り去る。ジョー、マリアに続く。

  アレックス「あ・・・おい!!何だ・・・変わった餓鬼だな・・・」

         アレックス、呆然とマリアの走り去った方を
         見詰める。
         そこへ、同僚の教師(ロバート、ミリー)腕を
         組みながら登場。

  ミリー「あら、アレックスじゃない。」
  アレックス「(2人を認め。)ああ・・・おまえ達か・・・」
  ロバート「どうした?狐にでもつままれたみたいな顔して。(笑う
       。)」
  アレックス「・・・似たようなものだ・・・」
  ロバート「何?キツネが出たのか?」
  アレックス「馬鹿野郎・・・餓鬼だよ。」
  ミリー「子ども・・・?」
  アレックス「ああ、変わった子どもで、えらく俺のことを知ってる
         んだ・・・。何だか妙な気分だな・・・」
  ロバート「(アレックスが一人なのに気がついて。)あれ?おまえ
        確かキャシーと一緒じゃなかったか?」
  アレックス「え・・・?まぁ・・・」
  ロバート「・・・彼女は・・・?」
  アレックス「知らないね。一人怒って帰っちまったからさ・・・」
  ミリー「途中で会場からいなくなったと思ったら、何だ、喧嘩した
     の?」
  ロバート「(嬉しそうに。)何かやらかしたのか?」
  アレックス「(溜め息を吐いて。)煩い・・・。ただ彼女の新品の靴
         を踏んづけただけさ・・・2回・・・」
  ミリー「(笑う。)それで・・・?」
  アレックス「それで・・・?」
  ミリー「もっと他に、彼女がカンカンになるようなこと、何かしたん
      でしょ?」
  アレックス「何もしやしないさ。」
  ミリー「それだけ・・・?」
  アレックス「ああ・・・」
  ミリー「本当!?」
  アレックス「ああ、そう言ってるだろ!?」
  ミリー「(溜め息を吐いて、肩を窄める。)全く・・・くだらないことで
      喧嘩するのね、あなた達って。生徒達より世話が焼ける
      わ・・・」
  ロバート「本当だ。(笑う。)」
  アレックス「何とでも言ってくれ・・・」
  ミリー「いいわね、喧嘩する理由に事欠かなくて。それでまた、
      明日になったらどうせ仲直りするんでしょ?呆れるわよね
      。」
  ロバート「さぁ、ミリー、俺達は仲良くディナーと洒落込みますか。
       」
  ミリー「まぁ、素敵!じゃあね、アレックス!」
  ロバート「素敵な夜を!(手を上げて笑う。)」

         ロバート、ミリーの肩を抱いて出て行く。

  アレックス「畜生!!」

         音楽で暗転。

    ――――― 第 4 場 ――――― A

         フェード・インする。と、教室。(絵紗前。)
         生徒達、屯して、話し込んでいる。
         そこへジュディ、フィービー入って来る。

  ジュディ「おはよう!」

         先にいた生徒達、口々に挨拶を返す。

  フィービー「(楽しそうに。)どうしたの?何の話し?」  
  ジョニー「(トミーの肩を抱いて。)こいつが、今度のクリスマスパ
       ーティに誰も誘う相手がいないなんて、情けないことを
       言うから、俺達が誘い方を伝授してたんだよ。」
  ジュディ「なんだトミー、まだ相手がいないの?」
  トミー「そりゃあ、おまえ達はいいさ!もう付き合ってんだから・・・
      」
  ハンナ「ねぇ、ジュディ!ジュディはカールとロット、どっちと一緒
      に行くの?」
  ロット「俺に決まってるだろ!」
  ハンナ「あ、そうよねぇ・・・ジュディはロットの彼女だものね。」
  
         その時、教室に入って来たカール、近付く。

  カール「さぁ・・・それはどうかな・・・?」

         皆、一斉にカールを見る。

  ロット「何だと!?」
  カール「じゃあ、おまえはジュディの返事を聞いたのかよ。」
  ロット「それは・・・」
  カール「それじゃあジュディが誰と行くかなんて、まだ分からない
      じゃないか。」
  ロット「おい、ジュディ・・・おまえ誰と行くつもりなんだよ・・・」
  ジュディ「私・・・」
  ロット「返事を聞かせてくれ。」
  ジュディ「分からないわ!!(走り去る。)」
  フィービー「ジュディ!!(追い掛ける。)」
  ロット「ジュディ!!(カールに向いて。)畜生・・・おまえが転校し
      てきてから・・・おまえがジュディにちょっかいをかけるから
      ・・・!!(カールに殴りかかる。)」

         ロット、カール、殴り合いの喧嘩を始める。
         女生徒達、悲鳴を上げる。男子生徒、はやす。
         その時、アレックス入って来る。

  アレックス「(驚いて、慌てて喧嘩している2人に駆け寄り、止め
        に入る。)止めろ!!止めるんだ!!何してるんだ、
        全く!!もう授業は始まってるんだぞ!!」
  ロット「畜生!!覚えてろ!!いつか叩きのめしてやる!!」
  カール「それはこっちのセリフだ!!」
  アレックス「いい加減にしろ!!」
  カール「(思わず間に入ってきたアレックスの頬を殴る。)あ・・・
       」
  アレックス「痛ってえ!!(頬を押さえて。)何するんだ、全く・・・
         おまえ達はどうしていつもそうなんだ!!顔を合わ
         せれば喧嘩ばかり・・・!!少しはキャシー先生の身
         にもなれ!!」

         2人、相変わらずふてぶてしい態度で。

  カール「ふん・・・。」
  アレックス「いいな!!」
  ロット「・・・はい・・・」
  アレックス「(カールを見て。)おまえは?」
  カール「(頷く。)」
  アレックス「返事をしろ、返事を!」
  カール「・・・(溜め息を吐いて。)はい・・・」
  アレックス「よし・・・さぁ皆、席に着くんだ。授業を始めるぞ・・・」

         アレックス、その様子を教室の後ろの方で
         見ていたマリアとジョーに気付く。
         2人、微笑みながらゆっくりカーテン前へ。

  アレックス「あいつらは・・・(生徒に向いて。)ちょっと待った!!
         今日は自習だ!!静かにしてろよ!!(2人につい
         てゆっくりカーテン前へ。)」

         嬉しそうな生徒達。(カーテン閉まる。)
         アレックス、走ってマリアとジョーを追い掛ける。

    ――――― 第 4 場 ――――― B

  アレックス「おい!待ってくれ!!」

         マリアとジョー、立ち止まり振り返る。

  マリア「何?先生。(笑う。)」
  アレックス「君達はどう見たってハイスクールの生徒には見えな
         いが・・・どうやって校内に入り込んだんだ?自分たち
         の学校は?」
  マリア「もう彼女とは仲直りしたの?」
  アレックス「(思わず。)いや・・・」
  マリア「駄目ね、早く仲直りしなくちゃ。(嬉しそうに。)」
  アレックス「だが彼女が俺と目すら合わせようとしない・・・(思い
         出したように。)って、違うだろ!!俺のことじゃなく
         て、おまえ達のことだ!!」
  マリア「でも彼女はきっとあなたと仲直りしたいと思ってるわよ。
      ただ、切っ掛けが掴めないだけ。」
  アレックス「どうしてそんなことが分かるのさ。」
  マリア「(笑う。)そんなことを気にしてる間に、彼女と仲直りする
      方法を考えた方がいいと思うけど。」
  ジョー「(マリアを見て。)彼女はキャシーのことなら何でも分か
      るのさ。(笑う。)」
  アレックス「君は?」
  マリア「私の友達よ。」
  アレックス「・・・キャシーの名前まで知ってるのか・・・」
  マリア「ねぇ、学校の中を案内してよ!」
  アレックス「馬鹿野郎、今、授業中だぞ。全く可笑しな餓鬼だな。
         (思わず笑う。)」
  マリア「ガキだなんて失礼ね!私はマリア!彼はジョーよ。」
  ジョー「よろしく。」
  アレックス「俺は・・・」
  マリア「アレックス!(笑う。)」

         その時、キャシー登場。
         3人、キャシーに気付く。

  マリア「あ・・・」
  アレックス「キャシー・・・」
  キャシー「アレックス・・・今、私のクラスの授業中の筈よ・・・。そ
        れなのにこんなところで、子どもと遊んでいるなんて
        ・・・」
  アレックス「あ・・・これは・・・あの・・・」
  キャシー「私のクラスはどうでもいいのね・・・(通り過ぎようとす
        る。)」
  アレックス「違うんだ!!」
  キャシー「どうせ私のクラスは問題だらけよ!!」
  アレックス「そんなこと言ってないだろ!?」
  マリア「待ってよ、2人共!!」
  ジョー「マリア・・・」
  キャシー「なんなの、あなた!ここはハイスクールよ!!子ども
        は子どもの学校へ行きなさい!!」
  マリア「(笑う。)あなた、もう少し素直になった方がいいと思うわ
      。」
  キャシー「素直・・・素直になれって・・・あなた、私のことを知りも
        しないで、よくもそんな・・・!!」
  アレックス「キャシー!!子ども相手にそんなムキにならなくて
         も・・・!!」
  キャシー「余計なお世話だわ!!」
  アレックス「そんなんじゃ、いつまでたっても君のクラスのいざこ
         ざはなくならないぜ。」
  キャシー「・・・酷い・・・」
  アレックス「あ・・・ごめん・・・」
  キャシー「そのことで私がどれだけ悩んでるか、あなたが一番
        知ってる筈なのに・・・あんまりだわ・・・(泣きながら走
        り去る。)」
  アレックス「キャシー!!」
  マリア「早く追い掛けた方がいいわ、アレックス!!でないと取
      り返しのつかないことになっても・・・」
  アレックス「・・・キャシー・・・(キャシーが去った方と逆の方へ去
         る。)」
  マリア「アレックス!!」

         マリア、ジョー、呆然と立ち尽くす。

  ジョー「ねぇ、マリア・・・矢っ張り無理なんじゃないかな・・・2人
      を結婚させるのは・・・」
  マリア「まだ大丈夫よ!!結婚式まで、まだ日があるわ!!私、
      どうしてもあの2人を結婚させたいの!!」
  ジョー「でも・・・僕達の世界では、あの2人の今の喧嘩はなかっ
      た・・・。それでも結婚は出来なかったんだよ。マリアの思
      いとは反対に、状況は悪くなる一方だ・・・。」
  マリア「そんなことないわ!!だってあの2人は愛し合っている
      んだもの!!ただ、2人とも感情を口にするのが上手くな
      いだけよ!!屹度大丈夫・・・!!」
  ジョー「でも・・・もしそうなったら君が・・・」








      ――――― “アレックス”2へつづく ―――――









 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


     (どら余談^^;)

     実はこの作品、とっても古い作品であるのですが、
     だからか・・・言葉使いなどに気になる部分が多々
     見つかり、その度に手直しながら書き進めている為、
     少しばかり、いつもに比べて進み具合がスローに
     なっております・・・(^^;
     皆様にはお待ち頂くこともあるかと思いますが、
     お許し下さいm(_ _)m








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“ドンのハッピーサンタクロース” ―全8場―

2012年12月26日 19時27分06秒 | 未発表脚本



    〈 主な登場人物 〉

    
    ドン   ・・・   泥棒。

    マックス   ・・・   少年。

    デン   ・・・   ドンの弟分。

    サンタ   ・・・   サンタクロース。占い師をしている。

    トナ   ・・・   トナカイ。

    シスター   ・・・   孤児院の先生。

    ラリー   ・・・   孤児院に住む。


    その他。



― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


         クリスマスソングが流れ、幕が上がる。
         (街の中。)

    ――――― 第 1 場 ―――――

         雪がチラチラ舞う中、楽しそうな人々が
         行き交う。
         そこへ一人のサンタクロースの格好を
         した男(ドン。)、上手より大きな袋を
         抱え、重そうに持ち登場。歌う。

         “メリーメリークリスマス
         街中浮かれたハッピークリスマス
         誰もが心踊る
         明るく楽しいクリスマス
         街中煌くイルミネーション
         色とりどりの眩い灯りに
         目も開けられない”

  ドン「(袋を下へ下ろし、中を覗き込む。)へっへっへ・・・この時
     期は、どこの家も全く無用心ときたもんだ。皆、浮かれて、
     外から来る者は誰しもサンタクロースだと思い込んでいや
     がる。お陰で俺たちみたいな盗みを生業としてるような者
     にとっちゃ、とんと都合がいいってことさ。」

         “ハッピーハッピークリスマス
         一年で一番浮かれた時
         誰も人のことなんて
         構やしないぜメリークリスマス!”

         そこへ上手後方より、一人の少年
         (マックス。)登場。
         ドン、袋の中から宝石を取り出し、
         嬉しそうに眺めている。

  マックス「(ドンを認める。)サンタさん!!サンタさんだ!!(ド
       ンに駆け寄る。)サンタさん!!あなたサンタさんでしょ
       !?やっと見つけた!!」
  ドン「お・・・(慌てて宝石を袋に入れる。)え・・・?(マックスを認
     め。)なんだ、餓鬼か・・・」
  マックス「ねぇ、サンタさん!!今、皆の家を回って、プレゼント
       を配ってるんでしょ!?僕ンところには、いつになったら
       来てくれるの!?僕ずっと待って・・・」
  ドン「(面倒臭そうに。)うるせぇなぁ・・・」
  マックス「僕、サンタさんが中々来てくれないから、体から抜け
       出して、こんなとこまで捜しに来っちゃったよ!!」
  ドン「え・・・体?ばぁか!ベッドから抜け出した・・・だろ!それよ
    り・・・(回りを見回し。)ホントだ・・・おまえこんな時間にベッド
    から抜け出して、夜の街をウロウロするなんて、とんだ不良
    子どもだな。」 
  マックス「ねぇ!僕、どうしてもサンタさんにお願いしたいことが
       あるんだ!!早く、僕のところへ来てよ!!」
  ドン「ああ・・・はいはい、分かった分かった・・・分かったから、さ
     っさと自分の家へ帰って、ベッドへ入りな!いいか?サンタ
     クロースってのは、クリスマスイブの夜にやって来るんだ!
     それに子どもが、寝静まってからそっと来るんだからな。お
     まえみたいに目、煌煌と光らせて、こんなとこウロウロして
     る餓鬼のとこには来てくんねぇぞ。」
  マックス「そんなこと言わないで、早く僕のところへ来てよ!僕
       時間が・・・」
  ドン「時間・・・?時間って何だよ。可笑しな餓鬼だな・・・。クリス
    マスはまだ明後日だぞ。」
  マックス「僕、大切なお願いがあるんだ・・・!!」
  ドン「お願いお願いって・・・そんなものは父ちゃん、母ちゃんに
     言えよ・・・。」
  マックス「だっておじさん、サンタさんなんでしょ?サンタさんは
       1年間いい子にしてた子どもに、何か一つプレゼントを
       くれるんでしょ?」
  ドン「(溜め息を吐いて。)それはだなぁ・・・大人が勝手に・・・」
  マックス「だから、僕、早くサンタさんが来てくれないかなぁ・・・
       って、ずっと待って・・・」
  ドン「はいはい・・・じゃあその願いとやらを、さっさと言って、と
     っとと帰れよ・・・」
  マックス「本当!?」
  ドン「ああ・・・」
  マックス「本当に?」
  ドン「ああ、だから早く言えよ・・・」
  マックス「僕・・・僕ね・・・!!(何かに気付いたように、上手方を
       見て。)あ・・・誰か来る・・・」
  ドン「え・・・?(回りを見回す。)

         ドン、スポットに残し、マックス消える。

  ドン「おい・・・!?(回りを捜すように。)あれ・・・?」

         その時上手より、サンタクロースの格好を
         したデン、走りながら息を切らせ登場。

  デン「兄貴ー!!兄貴ー!!いたいた・・・一体どこ行ったかと
     思ったじゃない・・・」
  ドン「あ・・・?ああ、デンか・・・」
  デン「どうしたんだよ、そんな気の抜けた顔してさ・・・」
  ドン「え・・・あ・・・いや・・・別に・・・。それより、今そっちの方へ、
     少年が走って行かなかったか・・・?」
  デン「少年・・・?」
  ドン「ああ・・・」
  デン「さぁ・・・オイラ、一本径を走って来たんだけど、人っこ一人
     ・・・犬コロにだって出会わなかったぜ。」
  ドン「・・・そっ・・・か・・・」
  デン「何?その少年がどうかしたのかい?」
  ドン「・・・いや・・・」
  デン「それより兄貴!今の時期は稼ぎ時なんだから、こんなとこ
     で呆けてないで、早いとこ次の家に・・・プレゼントを届けに
     行こうよ!」

         音楽流れ、デン歌う。

         “ハッピーハッピークリスマス!
         街中浮かれたメリークリスマス!”

  ドン「・・・そうだな!!」

         ドン、歌う。

         “夜はこれから
         サンタの出番はまだまだだ”

         2人、歌う。

         “皆が寝静まり
         辺りはひっそり闇の中
         待ってましたとサンタが飛び出す
         待ちわびる子ども達に届け物
         袋一杯のプレゼント
         だけど・・・
         闇の中でこっそりと・・・
         動き回るは働き者のサンタさん
         ホントの仕事は・・・
         大泥棒!”

         ドン、デン、笑い合う。
         暗転。(カーテン閉まる。)

    ――――― 第 2 場 ―――――

         カーテン前。
         音楽流れ下手より、何かを探しているように
         マックス登場。歌う。

         “どこにあるの・・・
         僕の探し物・・・
         一体いつになれば
         見つかるの・・・”

         そこへ上手より、仲良さそうな親子(父、母
         子ども“マリィ”。)登場。話しながら下手方へ。
         (マックス、淋しそうな面持ちで、その様子を
         見詰めている。)

  マリィ「ねぇ、パパ、ママ!今年はサンタさん、どんなプレゼント
      を持って来てくれるかしら!」
  母「そうねぇ・・・マリィはいい子にしてたから、きっとどんなプレ
    ゼントでも持って来てくれるんじゃないかしら・・・。」
  父「そうだな・・・。マリィは何が一番欲しいんだったかな?きっと
    それがサンタさんのプレゼントだと思うな。」
  マリィ「本当?クリスマスイブは早くベッドに入るわ、私!」
  父「それはいいアイデアだ、マリィ。」
  マリィ「フフフ・・・(笑う。)ママ!クリスマスには、こんな大きなケ
      ーキを焼いてね!」
  母「ええ、分かってるわ。それにとびきりのご馳走も、用意しまし
    ょうね。」
  マリィ「わあーっ!!パパ!ママ!早くお家へ帰りましょう!!
      (下手方へ走り出す。)」
  父「こら、そんなに走ると危ないぞ!」
  母「マリィ!待って頂戴!」

         3人、笑い合いながら下手へ去る。
         マックス、歌う。

         “僕には来ないのサンタさん・・・
         どこにいるの待っているのに
         こんなに待ちわびて
         昼も夜もただひたすら待って・・・
         早く来てお願いだサンタさん
         僕にはどうしても・・・
         見つけて欲しいものがあるんだから・・・”

         マックス、上手前方(舞台縁。)へ、腰を
         下ろす。
         そこへ下手より、ドン、デン、重そうに袋
         を抱え、登場。

  ドン「楽勝、楽勝!(笑う。)」
  デン「本当だね、兄貴!(笑う。)見てくれよ、この袋!!この宝
     の山を売り捌けば、一体いくらになるんだろう・・・!」
  ドン「ああ!」

         ドン、デン、上手方へ行きかける。
         ドン、舞台縁に座るマックスを認める。

  ドン「ん・・・?あ・・・あいつはさっきの餓鬼・・・」
  デン「・・・ガキ・・・?」
  ドン「ああ!なんか矢鱈とサンタのプレゼントを欲しがる、やや
     こしい餓鬼なんだ!見つかると厄介だぞ!気付かれない
     うちに・・・(抜き足差し足で、マックスの後ろを通り、ゆっくり
     上手方へ。)」
  デン「(マックスの方を見て。)・・・ガキなんてどこに・・・可笑しな
     こと言うんだな、兄貴。(笑う。)さぁ、お次はあそこに見える
     豪邸だ!!(上手方を指差し、ドンのことは気にせず、上
     手へ走り去る。)」
  ドン「あ・・・おい!!デン!!待て・・・待てよ・・・」
  
         マックス、振り返りドンを認める。

  ドン「あ・・・しまった・・・」
  マックス「サンタさん!!やっと会えた!!(嬉しそうに立ち上
       がり、ドンに抱き付く。)」
  ドン「は・・・離せよ!!離せってば、餓鬼!!畜生・・・!!なん
     で俺なんだよ!!離せ・・・」
  マックス「サンタさん!!僕、ずっと待ってるんだよ!!早く来て
       よ!!」
  ドン「あああ、もう煩い餓鬼だなぁ・・・。来て来てって、おまえン
     家、一体どこなんだよ。そんな風に闇雲に言われたって、
     サンタって言うのは順番通りに皆の家を平等に渡り歩いて
     んだ!おまえン家も順番が来りゃあ、行ってやるさ!」
  マックス「それじゃあ駄目なんだ!!僕には時間がないから・・・
       」
  ドン「それそれ、その時間ってのもだぜ?大体サンタのプレゼン
     トってのは、クリスマスの朝に届くもんなんだ。こんなクリス
     マスイブイブに、誰よりも真っ先にプレゼントを欲しがるな
     んざ、それが“いい子”の取る行動か?サンタはいい子の
     家にしか行かねぇんだぜ!(自分で自分の言ったことに感
     心するように。)うん・・・我ながらいい説明だ・・・(笑う。)」
  マックス「僕・・・僕ね、“心の種”が欲しいんだ!」
  ドン「・・・え・・・?“心の種”・・・?なんだ、そりゃ。そんなの聞い
     たことが・・・」
  マックス「僕、うっかり“心の種”をなくしちゃって・・・それがない
       と僕!!」
  ドン「種なんか、そこら辺の花屋に行きゃあ、いくらでも売ってる
     だろ?」
  マックス「そんな種じゃないんだ!!僕の心の種でなきゃ、僕・・・
       !!」
  ドン「(溜め息を吐く。)はいはい・・・分かった分かった。おまえの
     希望のプレゼントは、このサンタ・・・然と聞き受けた!!」
  マックス「本当!?」
  ドン「ああ、だからさっさと家へ帰って、ベッドへ入るんだ!!」
  マックス「本当の本当だね、サンタさん!!」
  ドン「ああ・・・」
  マックス「僕、待ってるからね!!(消えるように、カーテン後ろ
       へ去る。)」
  ドン「(溜め息を吐く。)・・・はいはい・・・(マックスがいないことに
     気付いて。)・・・あれ・・・?おい・・・少年・・・?(回りを捜す
     ように。首を傾げて。)・・・心の・・・種・・・って・・・」

         暗転。(カーテン開く。)

    ――――― 第 3 場 ―――――

         占いの家。
         中央テーブルに占い師(サンタ。)、大きな
         虫眼鏡を覗き込み、前に座る夫婦をマジマジ
         と見ている。

  サンタ「ふむふむ・・・それであんた方は、何故こんな状況に陥っ
      てしまったのか・・・それが知りたいと・・・?」
  夫「はい・・・」
  妻「私達はどうもここのところ、ついていなくて・・・」
  夫「仕事は上手くいかず・・・母は病に倒れ、息子は学校にも行
    かずブラブラと・・・一体、何が原因でこんな良くないことが続
    くのか・・・一度、街で評判の、よく当たると噂される占い師さ
    んに、見立てをして頂こうと・・・」
  サンタ「ふむ・・・成程・・・分かりました・・・。それでは見て差し上
      げましょう。その前に、先ず見立て代のご相談を・・・」
  夫「見立て代・・・そ・・・それはもう・・・いくらだって、街で評判の
    占い師さんだ・・・あなた様の言い値で構やしませんよ。」
  サンタ「いや・・・うちの支払いは金ではない・・・」
    
         








  ――――― “ドンのハッピーサンタクロース”
                        2へつづく ―――――











― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



   (どら余談^^;)

   YouTubeで、“J”2幕の回想場面~を公開致しました♪
   またよければご覧下さいm(_ _)m







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“ドンのハッピーサンタクロース” ―全8場― 2

2012年12月26日 19時26分44秒 | 未発表脚本



  夫「金でない・・・?とすると・・・一体・・・」
  サンタ「先ずは握手を・・・(手を差し出す。)」
  夫「はあ・・・(サンタの手を握る。)」
  サンタ「これで正式に契約は結ばれた。」

         夫婦、不思議そうにお互い顔を見合わせる。

  サンタ「(机の上のファイルの中から、1枚紙を取り出し、夫婦の
      方へ差し出す。)ほれ・・・」
  夫「(紙を受け取り。)・・・これが・・・何か・・・」
  サンタ「あんたはクリスマスの日の朝、一人の子どもにクリスマ
      スプレゼントを届けるのじゃ。」
  夫「プレゼント・・・?」
  サンタ「プレゼントの希望と、届ける場所はその用紙に書いてあ
      る。」
  夫「(紙を見る。)はあ・・・」
  サンタ「人が喜ぶ顔を見る・・・と言うのは、いいもんじゃよ。」
  夫「それが・・・お代・・・?」
  サンタ「ふむ・・・」
  妻「あの・・・私たちの占いは・・・」
  サンタ「おお、そうじゃった。(笑う。コソッと小声で。)いかん、い
      かん・・・つい自分の仕事を減らすことで、頭が一杯になっ
      ておったわ・・・(咳払いをして。)ゴホン・・・では、そなた
      達に、これをやろう・・・(机の上の大きな瓶の中から、何
      かを取り出し、2人の方へ差し出す。)」
  夫「(サンタの差し出したものを、受け取り見る。)これは・・・」
  サンタ「気分が晴れるキャンディじゃ。」
  夫「キャンディ・・・?」
  サンタ「そうじゃ。まあ、騙されたと思って、一口舐めてみるとい
      い。気分が晴れて、今まで悩んでおったことが、何てちっ
      ぽけで馬鹿馬鹿しいことじゃったか・・・分かると思うぞ。」
  夫「は・・・はあ・・・(思わず手にしていたものを見る。)」
  サンタ「ほれ・・・」
  夫「(頷く。袋を開け、中の一つを妻に手渡す。)」
  妻「(それを受け取り、夫と顔を見合わせる。。)」

         夫婦、ゆっくりキャンディを口に放り込む。

  サンタ「どうじゃ・・・?」
  夫「・・・おや・・・?」
  妻「・・・あら・・・?」
  夫「何だか心がポカポカしてきたぞ・・・」
  妻「本当・・・私も何だか心が温かく感じられるわ・・・」
  夫「おまえ・・・」
  妻「あなた・・・」
  夫婦2人「俺(私)たち、今まで何てくだらないことにクヨクヨして
        きたんだ!」

         明るい音楽流れ、夫婦、立ち上がり歌う。

         “晴れるぞ晴れる
         気分が晴れる
         忽ち明るく陽が差し始めた”

         夫、歌う。

         “何だこれは”

         妻、歌う。

         “何て不思議”

         2人、歌う。

         “今まで掛かった雲全て
         風に流され飛んでった
         やれ気分がいいぞ
         何もかもが上手く行きそう!”

  夫「どうも、ありがとうございました!(サンタの手を握る。)」
  妻「これでもう大丈夫ですわ!(夫の手の上から、サンタの手を
    握る。)」
  夫「お代は必ずクリスマスの朝に!」
  サンタ「ホッホッホ・・・頼んだぞ。」
  夫「では!」

         夫婦、微笑み合い、下手へ去る。
         夫婦と入れ代わるように、上手より
         トナカイ(トナ。)登場。

  トナ「ねぇ、サンタさん!」
  サンタ「しっ!!わしがサンタであることがバレたらどうするんじ
      ゃ。」
  トナ「(回りを見回して嬉しそうに。)もう誰もいないよ・・・。」
  サンタ「・・・ああ・・・そうか。」
  トナ「それよりサンタさん、また楽しようと思ってるでしょ!」
  サンタ「ふん、何を人聞きの悪いことを言っておるんじゃ。わしは
      人の為に何かをすると言うことが、どれだけ気持ちのいい
      ことか教えてやっておるんじゃ。」
  トナ「そんなこと言って、この時期、目が回る程忙しいサンタさん
     の仕事の手伝いを、なんやかんや言って、皆に振り分けて
     るだけじゃない。」
  サンタ「煩い、煩い。おまえの方こそソリの点検は終わったのか
      ?クリスマスの夜に、ソリの不具合が見つかったとなれば
      、大変じゃからな。(笑う。)」
  トナ「失礼だな、サンタさん!大丈夫に決まってるだろ!僕の点
     検は完璧だからね!」
  サンタ「そうか・・・?」
  トナ「ねぇ、サンタさん!さっきの人達にあげた、そのキャンディ
     は一体何なの?(机の上を指差す。)」
  サンタ「これか?これはなぁ・・・世にも不思議な・・・」
  トナ「・・・世にも不思議な・・・?」
  サンタ「ただのジンジャーキャンディじゃよ。」
  トナ「ジンジャーキャンディ!?」
  サンタ「ああ、そうじゃ。」
  トナ「なあんだ、ただの“生姜飴”か。だからあの人達、心がポカ
     ポカしてきただなんて・・・。けど、どうしてそんなもので・・・
     ?」
  サンタ「なあに、人の感情と言うのは、何事も心の持ちようで、
      いいにも悪いにも転がると言うことじゃよ・・・。ホッホッホ
      ・・・」
  トナ「ふうん・・・人間って複雑なんだね。僕らトナカイには分から
     ないや。」
  サンタ「さぁて・・・そろそろプレゼントを配る、準備でも始めるか
      の。夜も更けてきたことじゃし、もう今日はわしの手伝い
      をしてもらえそうな客人も来んじゃろうて・・・」
  トナ「そうだね!僕も手伝うよ。」
  サンタ「ああ・・・」

         サンタとトナ、灯りを消して上手へ去る。
         一時置いて、下手より回りを見回しながら
         ドン、懐中電灯を片手にゆっくり登場。

  ドン「へっへっへ・・・お宝はどこにあるかな・・・っと・・・」

         ドン、壁際のタンスの引き出しを開ける。

  ドン「あった、あった・・・(引き出しから何かを取り出す。)ん・・・?
     何だ、これ?暗くてよく見えないぜ・・・。まぁ、いっか、一先
     ず何だって頂いていくとするか・・・」

         ドン、袋の中へタンスから取り出したものを
         次々放り込む。
         その時、突然灯りがつき、上手よりトナ登場。

  トナ「誰!?」
  ドン「あ・・・しまった・・・!!(トナに背を向けたまま、ゆっくり立ち
     上がる。)・・・ホッホッホ・・・わしはサンタクロースじゃ・・・」
  トナ「サンタクロース・・・?」
  ドン「いい子にしておる子ども達に、プレゼントを届けに来たんじ
     ゃよ。(振り返り、トナを認める。)ト・・・トナカイ!?あれ・・・
     今、子どもがいたと思ったが・・・」
  トナ「何してるの、偽サンタさん!!」
  ドン「ニセ・・・!?ニセだと、この・・・わ・・・わあ・・・ト・・・トナカイ
     が、しゃ・・・しゃ・・・喋ったーっ!!(腰を抜かす。)」
  トナ「あなた、失礼だね!!トナカイが喋っちゃ悪いかよ!!」

         そこへ上手よりサンタ登場。

  サンタ「どうしたんじゃ?トナ・・・(腰を抜かしているドンを認め。)
      ん・・・?こんな時間に、お客かな?」
  トナ「違うよ、こいつはサンタさんのフリをした泥棒だよ!!」
  ドン「ち・・・違う・・・俺・・・いや、わしはサンタクロース・・・」
  サンタ「ホッホッホ・・・サンタクロースにしては、ちと若いのぉ・・・
      」
  ドン「あ・・・(付け髭が取れかかっているのに気付き、慌てて付
     け直す。)」
  サンタ「ジンジャーキャンディが好きかの?」
  ドン「・・・え・・・?」
  サンタ「袋にそんなに詰め込んでおるじゃないか。」
  ドン「ジンジャーキャンディ!?(袋の中を覗き込み、1袋取り出
     す。)ただの飴!?」
  サンタ「残念じゃが、この家にはおまえさんが欲しがるような物
      は、なぁんも置いとらんよ。(笑う。)ジンジャーキャンディ
      なら、山程あるがの・・・」
  トナ「あるのは子ども達へのプレゼントだけさ!」
  ドン「なんでぇ・・・しけた家へ入っちまったぜ・・・(ハッとして。)
     って・・・俺は何も泥棒しようだなんて・・・俺はサンタクロー
     ス・・・」
  サンタ「ホッホッホ・・・わしには分かっておるよ。」
  トナ「嘘吐きサンタクロース!」
  ドン「嘘吐きだと!?」
  トナ「だってそうでしょ?本物のサンタクロースは、ここにいるも
     の!」
  ドン「本物のって・・・!え・・・?え・・・?えーっ!?冗談だろ!?
     サンタクロースって北極の・・・」
  トナ「違うよ!そんなところからやって来てたんじゃ、沢山のいい
     子達に、クリスマスの日にプレゼントを配り終わらないでし
     ょ?だからサンタさんは、冬の間子ども達の近くで間借りし
     て、クリスマスを迎えるんだよ!プレゼントの準備をしなが
     らね。」
  サンタ「おまえさんもサンタになりたいようじゃから、わしの仕事
      を手伝わせてやるぞ。」
  トナ「サンタさん!」
  ドン「え・・・お・・・俺は・・・その・・・いや・・・別にサンタになりたく
     て・・・」
  サンタ「ホッホッホ・・・そうか?」
  トナ「ね、サンタさん!この時期になると、サンタさんの名を語っ
     た偽サンタがゴロゴロ街中に現れるね。中にはこいつみた
     いに、悪いことをしようとする奴だっているんだ。」
  ドン「お・・・俺は・・・あ・・・そ・・・そうだ!!俺、ある子どもから、
     サンタにプレゼントの希望を伝えて欲しいと頼まれて・・・!
     それでわざわざサンタの家を探してまでやって来たと言う
     訳さ・・・!!」
  トナ「え・・・?」
  サンタ「プレゼントの希望・・・?」
  トナ「嘘吐き!」
  ドン「う・・・嘘じゃない!!ホントだぜ!!その子は俺を本物の
     サンタと間違えて、ずっとプレゼントが欲しいって付き纏っ
     て・・・」
  トナ「サンタさん!こんな奴もう放っといて、プレゼントの準備の
     続きをしようよ。」
  ドン「ホントなんだ!!」
  サンタ「その子どもが欲しいと願った物は何じゃ・・・?」
  トナ「サンタさん!」
  ドン「あ・・・ああ確か・・・えっと・・・種・・・種だ!!」
  トナ「種?何の?」
  ドン「こ・・・心の種だ!!」
  サンタ「心の・・・」
  ドン「ああ!!そんな“心の種”なんてもんが、あるのかどうか、
    俺は知らね・・・けど・・・」
  サンタ「その子は・・・間もなく死ぬぞ・・・」
  ドン「死・・・?え・・・何言って・・・」
  トナ「サンタさん・・・?」
  サンタ「その子の命の炎は、今にも消えそうな筈じゃ・・・」
  ドン「だ・・・だって・・・あんなに元気そうで・・・俺のことも力強く
     掴んで・・・!!」
  サンタ「おそらく・・・おまえさんの前に姿を現すその子どもは、そ
      の子自身の影じゃ・・・」
  トナ「影・・・?」
  ドン「まさか・・・」
  サンタ「現に、消えたり現れたりが上手い筈じゃよ。(笑う。)」
  ドン「何、笑ってんだよ、ジジイ!!冗談ばっかり・・・あ・・・そう
    言えば・・・デンの奴も見えていなかったような・・・で・・・でも
    影って・・・そんな・・・それに、あの子が死ぬって・・・死にそう
    ってどう言うことなんだよ!!」
  サンタ「その子は意識のない状態で、今、どこかにおる筈じゃ・・・
      」
  ドン「・・・嘘だ・・・嘘だ、そんな・・・」
  サンタ「その子はどうしておまえさんの前に現れるようになった
      んじゃったかな?」
  ドン「え・・・?あ・・・ああ・・・少年は俺のことを、本物のサンタク
     ロースだと信じて・・・心の種を探してくれと・・・」
  サンタ「そう・・・心の種を探してくれ・・・」
  ドン「種がどうかしたのかよ・・・。そんな“心の種”なんて・・・俺
     は見たことも聞いたことも・・・花の種みたいなもんじゃねぇ
     んだろ・・・!?」
  サンタ「心の種・・・即ちそれはその子自身のことじゃよ。」
  ドン「・・・あの子自身・・・?」
  サンタ「その子は、自分の体に帰ろうとしておるんじゃ・・・」
  ドン「一体どう言うことなのか、ちゃんと説明してくれよ!!」
  サンタ「その子はきっとどこかで・・・助けが来るのを待っている
      筈じゃ・・・自分の力では抜け出せないような、どうしよう
      もない場所で・・・。」
  ドン「そんな・・・」
  サンタ「最後の力を振り絞り、今、生きようと懸命に戦っておる
      んじゃろう。そしてサンタだと信じたおまえさんに、助けを
      、求めておるんじゃ。」
  ドン「お・・・俺に・・・?」
  サンタ「(頷く。)」
  ドン「そ・・・そうだ・・・時間がない・・・ずっとそう言ってたんだ・・・
     あいつ・・・」
  サンタ「時間が・・・?」
  ドン「ああ・・・」
  サンタ「それはいよいよ急がなければ駄目じゃの・・・。」
  ドン「・・・(何かを悟ったように。)・・・わ・・・分かった!!俺、行
     って来る!!先ず、どうすりゃいいんだ!?少年は心の種
     を探してくれって・・・あいつ自身がその種だとすりゃあ一体
     ・・・」
  サンタ「あの子の体を探してやることじゃ。」
  ドン「探す・・・どこを・・・?」
  サンタ「きっとこの町のどこかで行方不明になっておる子がいる
      筈じゃ。」
  ドン「あ・・・ああ!!そ・・・それで?」
  トナ「馬鹿だなぁ!その子の存在が分かれば、後は探すだけだ
     ろ。」
  ドン「トナカイに馬鹿呼ばわりされる覚えは・・・!!」
  サンタ「早く行け!!その子の命が消える前に、その子を見つ
      け出して来るんじゃ!!クリスマスでは間に合わんと言っ
      ておったんじゃろう?」
  ドン「あ・・・お・・・おう!!ガッテンだ!!」

         ドン、下手へ走り去る。

  サンタ「トナ、プレゼントの準備はいいから、あの偽サンタを助け
      てやりなさい・・・。」
  トナ「え?」
  サンタ「あれも立派なサンタの仕事じゃよ。(微笑む。)」
  トナ「サンタさん・・・うん!!分かったよ!!」

         トナ、下手へ走り去る。
         下手方を温かく見詰めるサンタ。
         フェード・アウト。(カーテン閉まる。)
    






   ――――― “ドンのハッピーサンタクロース”
                          3へつづく ―――――







    








 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



    (どら余談^^;)

    “J”の2幕、佳境部分の動画投稿を致しました(^-^)
    只今、YouTubeと、ヤフー版でご覧頂けるので、また
    よければ見にいらして下さい♪
    ハリーさんの乱れた髪・・・笑って下さい・・・(^_^;)

    今日は子どもが風邪で学校をお休みしているので、
    買い物もネットで済ませ、家で籠り生活中です・・・(>_<)












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“ドンのハッピーサンタクロース” ―全8場― 3

2012年12月26日 19時26分24秒 | 未発表脚本


    ――――― 第 4 場 ―――――

         カーテン前。音楽流れる。
         下手よりドン、急いで登場。続いてデン、
         ドンを追い掛けるように登場。

  ドン「急げ!!デン!!時間がないんだ!!」
  デン「待ってよーっ!!兄貴ー!!そんなに急いで・・・時間が
     ないって、何の時間だよ・・・!!(息を切らせて。)兄貴っ
     てば・・・一体どうして急に行方不明の子どもを捜すだなん
     て・・・こんな広い街の中から、どうやって捜すんだよ・・・」
  ドン「煩い!グズグズ言ってないで、兎に角捜せばいいんだよ
     !!」

         ドン、デン、歌う。

      ドン“助けを求められたのは
         この俺だ
         サンタクロースだと信じて
         疑うこともしなかった”

      デン“兄貴の話しはよく分からない
         突然沢山の
         ジンジャーキャンディと共に
         戻ったかと思えば
         街中子どもを捜し回る”

      ドン“希望を叶えて夢を与える
         それがサンタの努め!”

  デン「兄貴・・・いつから本物のサンタクロースに目覚めたの・・・
     ?一人で入ったあの家の中で何があったんだよ。しかも何
     故か・・・(恐々、下手方を見て、コソッと。)喋るトナカイも一
     緒だなんて・・・」
  ドン「さぁ!捜すぞ!!」
  デン「・・・うん・・・」

         ドン、デン、通りすがりの街の人達に、
         何かを聞いて回るように。
         その時、上手方の人達の間に、マックス
         の顔を見つけたドン、慌ててその方へ
         走り寄る。

  ドン「あ!!おい!!待ってくれ!!どこにいるんだ、少年!?
     おい!!おまえは一体どこにいるんだ!!」

         その時、上手より走り登場した、一人の
         子ども(ラリー)が、ドンにぶつかる。

  ラリー「あっ!!(尻餅をついて泣く。)えーん・・・!!」
  ドン「あ・・・悪い!!怪我しなかったか?(泣いているラリーを立
     たせ、服を払う。)ほら、こいつをやるからもう泣くな・・・(ポ
     ケットからジンジャーキャンディを一つ取り出し、ラリーへ差
     し出す。)」
  ラリー「(泣き止み、ドンを見る。)」
  ドン「ほら・・・」
  ラリー「(キャンディを受け取り、微笑む。)ありがとう、サンタさん
      !!」

         そこへ上手より、慌てた様子のシスター
         登場。

  シスター「ラリー!!(ラリーを認め。)ラリー!!」
  ラリー「(振り返り、シスターを認める。)あ!先生!」
  シスター「(ラリーに走り寄り。)急に走り出すから驚いたわ・・・(
        ドンを認め。)あ・・・ラリーが何かしたんじゃありません
        か?」
  ドン「いや、別に・・・。じゃあな、坊主・・・(ラリーの頭に手を置き
     、他の人の方へ行く。)」
  ラリー「キャンディをありがとう、サンタさん!!(手を振る。)」
  シスター「どうしたの、ラリー。血相を変えて走って行ったけれど
        ・・・」
  ラリー「だって先生!沢山の人の中に、マックス兄ちゃんがいた
      んだ!!」
  シスター「え・・・?」
  ラリー「あれは確かにマックス兄ちゃんだったよ!!本当さ!!
      」
  シスター「でもマックスがこんな街の中にいる筈は・・・」
  ラリー「だって・・・!!」
  シスター「・・・マックスは森へ入って行って、行方不明になった
        のよ・・・」
  ドン「(耳に入ったその言葉に顔色を変え、シスターを見る。)今
     なんて・・・!?」
  シスター「え・・・?」
  ドン「今、何て言ったんだ、シスター!!」
  シスター「あの・・・」
  ドン「森で行方不明とか何とか・・・!!」
  シスター「・・・ええ・・・」
  ドン「教えてくれ、シスター!!その話しを詳しく!!」
  シスター「(頷く。)・・・1週間程前・・・となり村のセント・ジョセフ
        孤児院で暮らすマックスが、森で行方不明になったの
        です・・・」
  ドン「本当に!?」
  シスター「はい・・・」
  ラリー「マックス兄ちゃんは、クリスマスツリーが欲しいって言う
      皆の為に、モミの木の変わりになる木を探して来るって言
      って、森に入ったんだ・・・」
  シスター「始めは村の人達が捜しに、森へ行ってくれたんですけ
        れど・・・ここ数日の冬の訪れと共に・・・これ以上は危
        険だからと、捜査を打ち切ってしまわれて・・・」
  ラリー「もしかしたら、どこかで見かけた人がいるかも知れない
      からって、こうやってホームの皆で兄ちゃんの似顔絵を書
      いて、街の掲示板に貼ってもらいに来たんだ!!(似顔
      絵の書いた紙を、ドンの方へ差し出す。)」
  ドン「(ラリーから紙を受け取り、食い入るように見詰める。)」
  シスター「この寒さです・・・もうきっとマックスは・・・」
  ドン「・・・生きてる・・・」
  シスター「え・・・?」
  ドン「マックスは生きてる!!」
  ラリー「・・・本当に!?」
  ドン「ああ!!」
  ラリー「先生!!サンタさんは嘘を吐かないよ!!やっぱりマッ
      クス兄ちゃんは、どこかで助けを待っているんだ!!」  
  シスター「マックスが生きてるって・・・(涙声で。)」
  ドン「ああ、間違いない!!マックスが俺に助けを求めてるんだ
     !!マックスが行方不明になった、その森へ案内してくれ
     !!この俺がマックスを助けに行く!!」
  ラリー「サンタさん・・・!!」
  デン「兄貴・・・」

         音楽流れ、ドン、スポットに浮かび上がり
         歌う。

         “待ってろ今直ぐ
         駆け付けるそれまで
         消すな命の灯
         どこかで待ってる
         誰にも気付かれず
         ただ一人サンタが来るのを
         そんな奴がいることを
         知らずにいた俺
         曲がりなりにもサンタの真似を
         してきたこの俺!”

  ドン「さあ、急がねぇと、隣り村まで歩いて行くとなれば・・・こりゃ
     あ時間がかかるぞ・・・!!でも・・・そんなこと言ってる場合
     じゃねぇな!!」

         ドン、下手方へ行こうとする。
         その時、下手スポットにトナ、登場。

  トナ「偽サンタさん!」
  ドン「誰が偽だ!!・・・あ・・・おまえは・・・」
  トナ「僕のソリに乗って行きなよ!」
  ドン「え・・・?(下手奥を見て。)」
  トナ「サンタクロースはトナカイの引くソリに乗って、子ども達の
     元へ駆け付けるんだぜ!」
  ドン「おまえ・・・」
  トナ「このトナカイのトナ様が、隣り村まで連れてってあげるよ!
     !」
  ドン「・・・いいのか・・・?」
  トナ「さぁ、早く!あなたのことを信じて待っている子がいるんだ
    。」
  ドン「ああ・・!!ありがとう・・・トナ!!」

         暗転。

    ――――― 第 5 場 ―――――

         カーテン開く。と舞台は森の様子。
         (中央に2本の分かれ道がある。)
         音楽流れ、中央奥よりマックス登場。
         歌う。

         “僕はここだよ・・・
         ここにいる・・・
         ずっと待っているんだ
         サンタさん・・・
         時間がないんだ
         もう僕には・・・
         サンタさんが来るまで
         待てないよ・・・僕・・・”

         マックス、再び森の奥へ去る。
         一時置いて、下手よりドン、手に持った
         紙を見ながら登場。

  ドン「シスターに聞いた話しだと・・・そろそろ分かれ道が・・・(顔
     を上げ2本道を認める。)あった!!ここだここ・・・よーし、
     後はマックス坊やが右へ行ったか左へ行ったか・・・(左右
     の道を交互に見て。)ん・・・ん・・・んーっ・・・?全く、分かん
     ねぇ!!一体どっちへ行きゃあいいんだよ!!畜生・・・トナ
     の野郎も“僕はここで待ってるからね”なーんて言いやがっ
     て、温々、孤児院で子ども達と遊んでいるなんて・・・!“あ
     りがとう”の言い損じゃねぇか、全く!!トナカイはサンタク
     ロースを乗せて、子どもの待つ場所まで行くのが役目なん
     じゃねぇのかよー!!(中央にあった立て看板に気付く。)
     ん・・・?何々・・・(下手を見て。)こっちは恐ろしい道・・・(上
     手を見て。)こっちは楽しい道・・・なぁんだ、ちゃーんと書い
     てるじゃねぇか!左は恐ろしい道なんだろ?そんな道に行
     くわきゃねぇよな!きっと、マックスは右の楽しい道っての
     に行ったんだ!!(勢いで立て看板を叩く。と、看板倒れる
     。)あ・・・れ・・・?(立て看板を拾って。)えっ・・・えーっ!?
     何だよ、この看板!根元が腐って折れてたんじゃねぇか!
     !それを誰かが適当に突っ込んでたんだな!!なんでぇ
     !これじゃあ、役に立たないぜ、こんな看板!・・・って・・・
     待てよ・・・と、言うことは・・・本当はどっち向いて立ってたか
     分からないってことじゃねぇか!!(看板を裏表、逆にした
     り戻したりして立てて見る。)えーっ・・・どっちが正解なんだ
     よーっ!!あっ、そうか・・・(下手方を指差して。)こっちか
     ら来たんだから、こっち側から見えるように・・・(看板を表向
     きで立てる。)こうか!!よしっ!!俺って頭いい!!」

         その時、上手方から声が聞こえる。

  声「じゃあ、こっち側から来た人はどうなるの・・・?」

  ドン「あ・・・そうか・・・(上手方を指差して。)こっちから来た奴ら
     には看板は・・・こうでなくちゃ・・・(看板を裏向きに立てて
     みる。)よし!これで見やすくなった・・・って違うだろ!!こ
     れじゃあ、あっちから来た奴とこっちから来た奴・・・来る方
     向が違えば、恐ろしい道と楽しい道も逆になるってことじゃ
     ねぇか!!頭悪いぜ、全く!!」

  声「あはははは・・・」

  ドン「何、笑ってんだ、馬鹿!!・・・ん・・・?(回りを見回す。)え
     ・・・?だ・・・誰だ・・・?」

         その時、上手方から雪の精、登場。

  雪の精「こんにちは。」
  ドン「あ・・・ああ・・・」
  雪の精「あなた、さっきから面白いわね。(笑う。)」
  ドン「う・・・うるせぇ・・・だ・・・誰だよ、おまえ・・・」 
  雪の精「私は雪の精!!」
  ドン「雪の精・・・?」
  雪の精「ええ。今、順番に村や街を回って雪を降らせ、ホワイト
       クリスマスを迎える準備をしているの。」
  ドン「・・・ホワイトクリスマスだと・・・?」
  雪の精「ええ!雪を沢山降らせて、辺り一面の銀世界・・・なん
       て素敵なクリスマスなの・・・!あなたもそう思うでしょ?
       」
  ドン「ま・・・待ってくれ!!」
  雪の精「・・・え・・・?」
  ドン「もう一日!!いや・・・もう半日でいい!!俺がマックスを
     見つけ出すまで、雪を降らせないでくれ・・・!!」
  雪の精「マックス・・・?」
  ドン「でないとあいつ・・・こんな山ン中で雪に埋もれて、それで
     なくても今にも命の灯が消えそうな時に、雪なんて降って
     きやがったら、あいつ、真っ先に死んじまうだろ!?頼む・・・
     頼むよ!!」
  雪の精「駄目よ。こんな場所で道草を食ってる時間はないのよ
       。早く雪を降らせて回らなきゃ、全部の街がホワイトクリ
       スマスにならないわ。皆が楽しみに待っているって言う
       のに。」
  ドン「分かる!!分かるぜ、その気持ち!!だけどこちとら、一
     人の少年の命がかかってるんだ!!だから頼む!!お願
     いだ!!(土下座する。)」

         音楽流れ、ドン、正座したまま歌う。

         “お願いだ・・・
         今まで人に頼みごと
         したことなんて一度もねぇ・・・
         そんな俺が一生に
         一度きりのお願いを
         頭を下げて頼むんだ・・・”

  ドン「なぁ!!皆が幸せになるクリスマスなんじゃねぇのか!?
    そんなクリスマスに一人の少年の命が消えていい訳ねぇだ
    ろ!?」
  雪の精「・・・そうねぇ・・・分かったわ。あなたの必死さに免じて
       ・・・じゃあ後、3時間だけ待ってあげてもいいわ。」
  ドン「3時間・・・あ・・・ああ、それでも構わねぇ!!恩に着るぜ
     !!3時間待ってくれて、ありがとうよ!!(行きかけて左
     右に迷う。左右を見比べて。)えっと・・・」
  雪の精「どっちへ行くのかしら・・・?そのマックスを捜しに・・・。」
  ドン「あ・・・えっと・・・そうだな・・・こっちだ!!(左方を指差す。)
     」
  雪の精「本当に・・・?」
  ドン「迷ってる暇はねぇ!!(行きかける。)」
  雪の精「でも間違った道に行ってしまったら、3時間では戻って
       これないわね。」
  ドン「そんなこと言ったって・・・じゃあ、どうすれば・・・!!」
  雪の精「右の道と左の道・・・少し進めば大人のあなたなら、簡
       単に分かると思うけれど・・・明らかにどちらが正しい道
       なのか・・・。」
  ドン「あ・・・そうか!(左右の道、少しずつ進んでみる。)お!!
     ホントだ!!左っ側はあの角を曲がると、明らかに道が険
     しくなってるみてぇだ!!それに比べて右っ側は・・・よーし
     !!分かったぞ!!危うく間違った方へ行くところだったぜ
     !!マックス少年は右の楽しい道へ行ったんだ!!な!?
     そうだろ?」
  雪の精「・・・馬鹿ねぇ・・・」
  ドン「ば・・・馬鹿だと!?何で俺が馬鹿なんだよ!!ちゃんと、
     立て看板の向きを当てたんだぞ!!」
  雪の精「もう・・・世話が焼けるわねぇ・・・。いいことを教えてあげ
       ましょうか・・・?」
  ドン「いいこと・・・?あ・・・ああ、教えてくれ、いいことなら何だっ
     て!!」
     
     

        






   ――――― “ドンのハッピーサンタクロース”
                         4へつづく ―――――













 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


     (どら余談^^;)

     この“ドン”さん、書き進める度、魅力が増し、素敵な
     サンタさんへと成長中です♥








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