りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“スティーブ・ドガー” ―全10場― 2

2012年03月26日 22時07分37秒 | 未発表脚本



  スティーブ「(何か思い出したように。)そうだ・・・。(ジャケットの
         内ポケットから携帯電話を取り出しかける。)」

         暫くの呼び出し音の後、相手が出る。
         (声の主はアイザック警部。)
         紗幕閉まる。

    ――――― 第 3 場 ――――― B

         紗幕前。

  アイザックの声「はい・・・。」

  スティーブ「・・・アイザック警部?」

  アイザックの声「スティーブか!?」

  スティーブ「ああ。」

  アイザックの声「馬鹿野郎!!今、何処にいるんだ!?昨日か
            ら行方知れずで心配したんだぞ!!」

  スティーブ「一昨日の夜、仕事が済んで帰宅する途中、何者か
         に命を狙われたんだ。」

  アイザックの声「なんだって!?それで大丈夫なのか!?」

  スティーブ「(笑って。)だから今電話してるんだろ?」

  アイザックの声「(ホッとしたように。)ならよかった・・・。」

  スティーブ「少し腕に掠り傷を負ったがね・・・。親切な娘に助け
         てもらったよ。」

  アイザックの声「娘?」

  スティーブ「ああ、今、その娘の家にいる・・・。」

  アイザックの声「それで、その何者かの顔は見たのか?」

  スティーブ「いや・・・。暗がりの路地で、行き成りだったから・・・。
         」
  
  アイザックの声「だから言ってあっただろ!!必ず出歩く時は、
            ボディガードを付けろって!!・・・命が助かった
            からよかったようなものの・・・。で、機密書類は
            無事なんだろうな?」

  スティーブ「肌身離さず持っているよ。あいつが捕まるまではね。
         」

  アイザックの声「そうか。兎に角、2、3日中にはクラウニーをお
            まえの護衛として、そこへやるからジェラルドを
            捕まえるまで、そこで大人しくしてろ!!いいな
            !?」
  
  スティーブ「了解。」

  アイザックの声「・・・それから、如何やら警察内部に内通者が
            いるらしいんだ。だからここへ気軽に電話はして
            くるな。」

  スティーブ「内通者・・・?一体誰が・・・?」

  アイザックの声「馬鹿!それが分かれば直ぐ様解決だ!」

  スティーブ「成る程ね・・・。」

  アイザックの声「で、どこにいるんだ?」

  スティーブ「アボンリー・・・」

  アイザックの声「アボンリー・・・?あの小説にでてくるアボンリー
            のことか?馬鹿野郎!あれは空想の村だろう
            が!!」

  スティーブ「キャベンディッシだよ。」

  アイザックの声「・・・キャベンディッシ村か・・・。えらく遠くまで逃
            げたんだな。綺麗な村じゃないか・・・。」

  スティーブ「ああ・・・。住んでる人間もね・・・。」

  アイザックの声「住んでる人間・・・?何、可笑しなこと言ってる
            んだよ!あ・・・誰か来たから切るぞ!!こっち
            のことは心配するな!!いいな!!」

         電話切れる。スティーブ電話をポケットへ
         仕舞う。スティーブ、スポットに浮かび上が
         り歌う。

         “如何したんだろう・・・
         美しい空の下で美しい空気に
         心まで洗われたのか・・・
         傷付いた腕の痛みも忘れさせる・・・
         あの優しい指使いが
         忘れられない・・・
         如何したんだろう・・・
         美しい村で出会った美しい者に
         心まで奪われてしまったのか・・・
         今までただ我武者羅に生きてきた
         恋愛すらゲームと同じ
         損得なしには進めない
         そう考えてきた 
         それに納得してきた・・・
         それは間違いだったのか・・・
         如何したんだろう・・・
         何かが心の中で変わりゆく・・・”

         フェード・アウト。

    ――――― 第 4 場 ―――――

         紗幕開く。と、アナベルの家の前。
         小鳥の囀りが、遠くに聞こえる。
         下手より籠に野菜を入れて持ったアナベル、
         アヴェリーと話しながら登場。

  アヴェリー「ローラ小母さんに聞いたんだ・・・。君の所へ、見ず
         知らずの男が滞在してるって・・・。」
  アナベル「見ず知らずには違いないけど、とても紳士な方よ。何
        も心配いらないわ、アヴェリー。」
  アヴェリー「でも、如何して君ん家へ・・・?」
  アナベル「キティが怪我してたその人を、偶然見かけて家へお
        連れしたの。」
  アヴェリー「僕は心配だな・・・。いくら紳士な奴でも、若い姉妹だ
         けの所へ・・・。」
  アナベル「アヴェリー、余計なお喋りしてないで、早くローラ小母
        さんの所へ薬草を届けなけりゃ、またどやされるわよ。
        」
  アヴェリー「分かってるよ。けど、知ってるだろ?僕は君を愛して
         いるんだって・・・。一体何時になったら、プロポーズ
         を受けてもらえるのか、気になるだけさ。」
  アナベル「・・・だから言ってるでしょ・・・。私はまだ結婚をするつ
        もりはありません・・・。私のことは忘れて、もっと他に、
        いい人を見つけて下さい・・・。」
  アヴェリー「君以外になんて、考えられないよ・・・!」
  アナベル「・・・ごめんなさい・・・。」
  アヴェリー「・・・君を困らせるつもりはないんだ・・・。僕の方こそ
         ごめんよ・・・。けど、君を愛しているって気持ちは、
         本当なんだ・・・。」
  アナベル「・・・分かってる・・・。」
  アヴェリー「じゃあ行くよ・・・。」
  アナベル「さよなら・・・。」

         アヴェリー、下手へ去る。
         アナベル、その方を見ている。音楽流れ、
         アナベル歌う。
         途中、下手よりスティーブ、片手に薪を提げて
         登場。アナベルを認めると、側にあった岩の上
         へ腰を下ろし、微笑ましく見詰めている。

         “暖かな気持ちが優しく私を包んでいく・・・
         それは守られた確かなもの・・・?
         爽やかな微風が頬をそっと過ぎるのは・・・
         偶然見つけた幸せの予感・・・
         木々の緑が目に染みて
         涙が訳もなく溢れそうなのは
         心で感じた幸福の為・・・?
         待つ者を見つけた・・・
         今 そんな気がするの・・・
         それは遠い昔から憧れ夢見ていたもの・・・
         確かな確信は持たなくとも
         心の何処かで
         何時も願い思い描いていたもの・・・
         森に降り注ぐ光の雨が
         キラキラ輝く朝露のごとく・・・
         小鳥の囀りが
         私に少しの勇気をくれる・・・
         それは新たに誓った
         未来への希望の通り道・・・”

         アナベル、遠くを見遣る。

  スティーブ「(微笑んで。)ただいま。(立ち上がる。)」
  アナベル「(振り返って、スティーブを認める、驚いたように。)ス
        ティーブ・・・。おかえりなさい!(恥ずかしそうに。)やだ
        ・・・何時帰って来たの・・・?聞いてた・・・?」
  スティーブ「綺麗な歌声だな・・・って、うっとり聞き惚れてたんだ
         よ。」
  アナベル「・・・冗談ばっかり・・・。」
  スティーブ「本当さ・・・。(薪を見て。)何処へ置こうか?」
  アナベル「ありがとう!重かったでしょう?(スティーブに駆け寄
        り、薪を取る。)後は私が・・・(重そうに。)あなたは中
        で、お茶でも飲んで、休憩してて下さいな・・・。」
  スティーブ「(微笑んで、アナベルから薪を取る。)貸してごらん。
         片腕でも、君よりずっと力はあると思うよ。」
  アナベル「ごめんなさい・・・。」
  スティーブ「何処へ置く?」
  アナベル「(ある方を指して。)そこの角にでも、置いといて頂け
        ますか?」
  スティーブ「OK!(言われた所へ薪を持って行く。)」
  アナベル「ありがとう・・・。あなたが来てから、力仕事は全てあ
        なた任せで申し訳なくって・・・。」
  スティーブ「タダで置いてもらって、食事までさせてもらってる・・・
         。おまけに主治医までついて、傷の手当てまでして
         もらってるんだ。力仕事くらい、何てことないさ。こう
         見えても、学生の頃はアメフト部のキャプテンをやっ
         てて、腕力には自信がるんだ。」
  アナベル「まぁ・・・。でも主治医は大袈裟よ・・・。」
  スティーブ「大袈裟なものか。君は名医だよ。(微笑む。)それに
         どんどん用事を言いつけてくれた方が、美味しい食
         事を遠慮なく、腹一杯ご馳走になれるって寸法さ。(
         笑う。)」 
  アナベル「スティーブったら・・・。(クスクス笑う。)」
  スティーブ「それにしても、そんなに薬草の勉強をして、将来は
         店でも持つつもりなのかい?」
  アナベル「(首を振る。)私なんか・・・」
  スティーブ「アナベル・・・、そうやって“私なんか”・・・と、最初か
         ら諦めるのはよくないよ。謙虚なのもいいが、時には
         勇気を持つことも必要なんだ。」
  アナベル「・・・勇気・・・」
  スティーブ「そう、勇気だ。君の夢はなんだい・・・?」
  アナベル「・・・夢?」
  スティーブ「ずっとこんな田舎で・・・いや、確かにここは、命の洗
         濯をするには素晴らしい環境だと思うが・・・。もっと、
         都会に出て何か大きいことをやろう・・・なんて思った
         ことは・・・?」
  アナベル「・・・ありません・・・。私は生れてからずっと、ここで暮
        らしてきたの・・・。このキャベンディッシの中が私の世
        界・・・。あなたから見れば、本当にちっぽけな世界で
        しょうね・・・。あなたの言う勇気がなくて、飛び出したく
        ても飛び出せなかったのかも知れない・・・。けど・・・
        キティがいて・・・父や母の思い出の一杯詰まったこの
        村は、私にはどんな場所にも代え難い、心の平穏を与
        えてくれる場所なんです・・・。」
  スティーブ「・・・そうか・・・そんな場所の持てる君は幸せなんだ
         ね・・・。僕にも、そんな場所があれば・・・と思うよ・・・。
         」
  アナベル「・・・あなたの家は・・・?」
  スティーブ「僕は学生の頃から、ずっと一人暮らしさ・・・。生家に
         父母は健在だがね・・・。僕にとって、必ずしも居心地
         のいい場所ではなかったんだ・・・。一人で生活する
         には、十分過ぎる程の援助を宛がわれ・・・だが、心
         は何時も独りぼっちだったような気がするよ・・・。」
  アナベル「そう・・・。あなたが如何言う暮らしをしてきたのか、私
        には分からないけれど・・・。ここにいる間は、今まで得
        られなかったものを、感じてもらえたら嬉しいわ・・・。」
  スティーブ「・・・(微笑んで。)ありがとう、アナベル・・・。」

         アナベルを優しく見詰めるスティーブ。
         恥ずかしそうに下を向くアナベル。
         その時、キティのアナベルを呼ぶ声が
         聞こえる。

  キティの声「お姉さん!!ちょっと手伝って!!」

  アナベル「(声の方を見て。)直ぐ行くわ!!(スティーブに微笑
        んで。)私は、キティが素敵なパートナーを見つけて、
        私のことを必要ないと思うようになった時・・・(思いを
        馳せ、言葉が止まる。)」
  スティーブ「・・・思うようになった時・・・?」
  アナベル「・・・なんでもない・・・!ゆっくりしてて下さいね!」

         アナベル上手へ走り去る。スティーブ、
         その方を見詰めている。
         音楽で紗幕閉まる。

    ――――― 第 5 場 ―――――

         紗幕前。
         下手より、手に持っていた上着に素早く
         腕を通しながら、足早にクラウニー登場。
         続いて、クラウニーを追い掛けるように、
         シャロン登場。

  シャロン「待って!!待ってったら、クラウニー!!」
  クラウニー「俺は今、忙しいんだ。後にしてくれないか。」
  シャロン「ねえ、スティーブの居所が分かったんでしょ!?今か
       らそこへ行くんでしょ!?」
  クラウニー「(立ち止まって、溜め息を吐く。)全く・・・。相変わら
         ず君は情報が早いな・・・。」
  シャロン「やっぱり!!大体私に黙って、スティーブの所へ会い
       に行くなんて出来っこないのよ!!さあ、早く彼に会い
       に行きましょう!!(上手方へスタスタと。)」
  スティーブ「おい、シャロン!!あいつの居所は飽く迄、極秘な
        んだ!そんな所へ町の情報局のような君を、連れて
        行けると思うのか?」
  シャロン「(立ち止まって振り返る。)大丈夫!!私だって馬鹿じ
       ゃないのよ!言っていいことと悪いことの区別くらいつ
       くわよ!」   
  クラウニー「・・・本当かね・・・?(疑わしそうに。)」
  シャロン「さ!!スティーブは何処にいるの!?早く行きましょう
       !!」

         シャロン、さっさと上手へ去る。クラウニー、
         呆れたように溜め息を吐いて、シャロンに
         続いて去る。

    ――――― 第 6 場 ――――― A

         音楽で紗幕開く。と、森の風景。
         スティーブ、アナベル、キティ、話しながら
         上手奥よりゆっくり登場。

  スティーブ「本当にここは綺麗な所だね。幼い頃、無理矢理母に
        読んで聞かされた“小説”が、その当時は興味がなく、
        熱心に読んでくれた母の言葉を、上の空で聞いていた
        んだ・・・。だけど、好きになれなかったその物語の、風
        景描写だけは、何故か今も鮮明に覚えている・・・。そ
        れが正に、今自分が立っているこの場所なんだ・・・。」
  アナベル「気に入った・・・?」
  スティーブ「ああ・・・勿論・・・。」
  キティ「見て!お花がこんなに咲いてるわ!!少し摘んで帰っ
      て、部屋に飾りましょうよ!!」
  アナベル「そうね。(微笑む。)」

         キティ、2人から一寸離れた所へ、後ろ向き
         に座り込んで花を摘んでいるように。

  スティーブ「そうだ、アナベル・・・。この間言い掛けた、キティが
         君を必要ないと思うようになった時・・・その後に続く
         言葉は・・・?」
  
         アナベル、一時考えるようにキティを見詰める。

  アナベル「それは・・・」
  スティーブ「君があの後、何を言おうとしたのか気になってね・・・
         。」
  アナベル「・・・やりたいことがあるの・・・。」
  スティーブ「・・・やりたいこと?」
  アナベル「(微笑んで頷く。)」
  スティーブ「それは今は出来ないことなのかい?」
  アナベル「今は・・・キティのことを一番に考えたいの・・・。」
  スティーブ「例えば、今直ぐに君が愛する人を見つけて、結婚し
         たとしても、キティは屹度、そのことを心底喜んで、祝
         福してくれると思うけど・・・。」
  アナベル「・・・分かってる・・・。でも私は・・・キティの幸せが私の
        幸せだと思ってる・・・。」
  スティーブ「アナベル・・・。君がキティの幸せを願う気持ちはよく
         分かる。けど、君は君だよ・・・。キティの母親じゃない
         ・・・。それに今まで十分、その役目は果たしてきたん
         じゃないかな?この間・・・今の言葉を飲み込んだ君
         の瞳が、一瞬遠くを見たような気がしたんだ・・・。何
         か自分だけの心の中に、秘めた誓いのようなものを
         感じて・・・。それで君が何の思いに縛られているの
         か聞きたかったんだ・・・。」
  アナベル「それは誤解よ、スティーブ・・・。私は何にも縛られてな
        んかいないわ・・・。これは私の心からの願いよ・・・。」
  スティーブ「アナベル・・・。君がキティの幸せが自分の幸せだと
         思っているように、キティもまた、君の幸せは自分の
         幸せだと思っているに違いないだろう・・・。だから、お
         互いが其々幸せにならなければいけないんだ・・・。」

         スティーブ、アナベルに訴えるように、アナベル
         の手を取り歌う。
         途中、キティ気付いて振り返り、嬉しそうに
         微笑み、一時2人を見ている。
         (キティ、下手へ去る。)

         “幸せを見つけよう・・・
         誰の為でもない自分の為に・・・
         幸せになりたくはないのか?
         自分自身がより輝けるように・・・
         幸せは自分の手で掴むもの・・・
         その気になれば
         いつでも幸せはこの手の中に・・・
         自分が幸せになって初めて
         相手の幸せを思い願えるもの・・・
         幸せを見つけよう
         誰の為でもない自分の為に・・・”











    ――――― “スティーブ・ドガー”3へつづく ―――――










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    (どら余談^^;)

    私が学生の頃、私の母が本の虫で、よく昔読んで面白かっ
    たと聞かされた本を、私も読んでみたりしてた影響で、昔な
    がらの作品の言葉使いがとても好きで、この頃の私の作品
    では、古めかしい言葉表現を好んで使用しているが、よく分
    かりますね・・・^_^;

 

   
       (おまけフォト^^;)

       


      いかにも病院のベッドの上です・・・的な写真で失礼
      します^^;

      春公演作品の主人公“ジュリー”ちゃんを、病院で
      付き添い中に作ってみました♥
      ・・・が、写真を撮る場所がなく、途中経過のものが
      全くありません(>_<)せめて仕上がり状態だけでも
      見て頂こうと、子どもを横に寄らせ、ベッドの上で一枚
      ・・・撮影してみました^^;
      分かり難いかも知れませんが、結構手の込んだ仕上
      がりになっています(^^)



              

       無茶苦茶画像が良くないので、小さ~くした写真
       をご覧下さい<(_ _)>
       これは、ジュリーちゃんをベッド横の椅子に座らせ、
       撮った一枚です^_^;
        




















http://milky.geocities.jp/little_pine2012/performance.html

         http://ritorupain.blogspot.com/

     http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
 







“マリオン王子&トッド” ―全7場― 完結編

2012年03月19日 22時07分09秒 | 新作(人形劇用)



         マリオン王子、切りつけてくるトッドを、軽く
         あしらう。

  トッド「畜生!!(再び切りつける。)」
  家臣「マリオン王子!!」
   マリオン「(トッドの腕を掴む。)おまえごときに遣られるような僕
        ではないよ。(笑う。)」
  トッド「くっそう!!離せ!!離しやがれ!!俺はどうしても、お
     まえを殺さなきゃならないんだ!!」
  マリオン「えらく物騒な話だな。金貨200枚分の仕事が、僕の
       殺害とは・・・。」
  トッド「俺はどうしても金貨200枚がいるんだ!!離せ!!」
  マリオン「(トッドの短刀を取り上げ、手を離す。)一体誰から、そ
       んなつまらない仕事を頼まれたんだ?」
  トッド「その短刀を返せよ!!」
  マリオン「(溜め息を吐いて。)仕事の代金なら、僕が払ってやる
       よ。」
  トッド「・・・え・・・?」
  マリオン「だから、そのつまらない頼み事をした奴のところへ、僕
       を案内するんだ。その代金が、金貨200枚だ。」
  トッド「・・・本当・・・に・・・?」
  マリオン「僕はこの国の王子だよ。一度交わした約束を破るよう
       な人間じゃないさ。」
  トッド「・・・(マリオンを見詰める。)分かった・・・おまえを信じる。」
  マリオン「ありがとう。」

         音楽流れ、マリオン王子、トッド歌う。

       マリオン“小さな切っ掛けで
             知り合った僕達”

       トッド“もしかしたら
           憎しみ合う筈だった”

       マリオン“でも協力し合おうと
             お互いに歩み寄ったから”

       2人“力を合わせて理を求め
          共に目指すものが違っても
          つながることは出来る筈
          そして共に歩もうどこまでも”

         マリオン王子、トッドの方へ手を差し出す。
         トッド、その手を見、力強く握り返す。
         見詰め合う2人、下がる。

    ――――― 第 6 場 ―――――

         紗幕開く。と、森の中の様子。
         木に寄り掛かり、レオン苦しそうにしている。
         その横に、物売りの老婆、退屈そうにして
         いる。

  ゾード「ああ・・・遅いねぇ・・・。おまえの連れは・・・。全く・・・つま
      らないことを頼んじまったよ・・・。」
  レオン「痛い・・・よ・・・」
  ゾード「そんなに痛いのかい?だが、おまえさんの連れが本当
      に、マリオン王子の命を奪ったと分かるまでは、薬はやら
      ないよ・・・っと・・・何も、薬を本当にやる必要はないじゃ
      ないか!!私ゃ馬鹿だねぇ!!あんな約束を間に受け
      て、こんな所でいつまでも律儀にあいつが帰って来るのを
      待つことは・・・ないじゃないか!!(笑う。)じゃあな!!
      そこの病人さん!!」
  レオン「え・・・?」
  ゾード「連れが帰ったら言っとくれ、“仕事ご苦労さん”とな。(笑
      う。)」
  レオン「・・・ちょ・・・ちょっと・・・待って・・・痛・・・」

         ゾード、上手方へ行き掛ける。
         と、下手よりトッド登場。

  トッド「待てっ!!」
  ゾード「おまえ・・・」
  トッド「やい、糞婆!!薬はどうしたんだ!!」
  ゾード「何だ、もう戻ったのか・・・」
  トッド「薬をよこせ!!」
  ゾード「ふん、誰が婆じゃ!!それより、おまえの方はちゃんと
      仕事を済まして来たんじゃろうな?」
  トッド「(手に持っていた袋を、ゾードの方へ差し出す。)金貨200
     枚用意した!!これで文句はないだろう!!だから薬を早
     くよこしやがれ!!」
  ゾード「・・・用意しただと・・・?」
  トッド「ああ!!」
  ゾード「どこで一体、そんな大金を・・・」
  トッド「どこだっていいだろ!!だから早く薬を・・・!!」
  ゾード「まさか・・・マリオン王子・・・?私はマリオン王子の命と引
      き替えに薬をやると言ったんじゃ!!金などいらんわ!!
      」
  トッド「冗談言うなよ!!その薬の値段は、金貨200枚なんじゃ
     なかったのか!?」
  ゾード「私にとって、金貨200枚など何の価値もないわ!!マリ
      オン王子がまだのうのうと生きておるんじゃ、取引は決裂
      じゃ!!(上手方へ行く。)」
  トッド「(レオンに駆け寄り。)ま・・・待ってくれよ、婆さん!!こい
     つ、こんなに痛がってるじゃないか!!」
  レオン「・・・兄貴・・・」
  トッド「その万能薬を俺に売ってくれ!!頼む!!」
  ゾード「知らん知らん・・・!(知らん顔して行こうとする。)」

         その時、マリオン王子の声が聞こえる。

  マリオン王子の声「待て、ゾード!!」

  ゾード「ん・・・?(立ち止まり、振り返る。)」

         そこへ下手より、マリオン王子登場。

  マリオン「薬を金貨200枚で売ると約束したんじゃないのか!!
       その約束を破る気か!!」
  ゾード「・・・マリオン王子・・・!!」
  マリオン「おまえは国を追放されてもなお、悪いことを続けてい
       るんだな。」
  ゾード「ふん!!おまえに今は国外にいる私の行動までとやか
      く言われる筋合いはないわ!!」
  マリオン「懲りない奴だ、全く・・・。おまえはなぜ我が国を追放さ
       れたのか。まだ分かっていないようだな。」
  ゾード「分かっていない・・・?ふざけるな!!私は国民が欲して
      いるものを、親切に提供してやっていただけのこと!!」
  マリオン「自分の至福を肥やす為に、法外な金額で・・・な。」
  ゾード「な・・・何を・・・。私は適正な金額で・・・」
  マリオン「ただの腹痛薬が金貨200枚だと・・・?それが適正な
        金額と言えるのか!!」
  ゾード「金貨200枚のどこが悪い!!ええい、全く煩い王子め
      !!(サッと取り出した吹矢を、マリオンに向かって吹く。)
      」
  マリオン「(一瞬の内に避けるが、矢が腕を掠める。)」
  トッド「マリオン王子!!」
  マリオン「大丈夫、掠めただけだ。(腕を押さえる。)トッドに僕の
       命を狙わせた割に、そんな吹矢でこの僕が殺せると思っ
       ているのか?」
  ゾード「(ニヤリと笑う。)随分と自信満々の王子様だ・・・。一度
      は大人しく黙って出て行ってやったが・・・私を甘く見るん
      じゃないよ。私のことをただの物売り婆だと思っていたな
      ら大きな間違いだ!!私は何百年も昔から、この森に住
      む闇の薬売りじゃ!!私の薬はどんな者をも苦しめる魔
      法の秘薬・・・!!」
  トッド「苦しめる・・・秘薬・・・?」
  ゾード「(笑う。)さあて・・・、そろそろマリオン王子の体にも異変
      が現れてきたんじゃないのかい・・・?」
  マリオン「・・・え・・・?あ・・・体が・・・(膝を付く。)」  
  ゾード「(笑う。)私の一番の自信作!!しびれ薬の威力はどう
      だ!!」
  マリオン「・・・し・・・びれ・・・薬・・・?」
  トッド「マリオン王子!!」

         マリオン王子、倒れる。

  トッド「マリオン王子!!おい!!大丈夫か!!マリオン王子!
      !」
  ゾード「(笑う。)それじゃあ今度は私が・・・(鞄から、一つの瓶を
      取り出し、その中身を飲み干す。と、巨大な人食い熊の姿
      に変わる。)」
  トッド「ク・・・クマだ!!」
  マリオン「(体が動かないように。)ち・・・畜生・・・」
  ゾード「さあ、今度こそ、この私の手で偉そうなおまえらを始末し
      てやろう!!(両手を大きく広げ、吠える。)ガオーッ!!
      ガオーッ!!」
  トッド「わあーっ!!王子!!危ない!!(マリオン王子に駆け
     寄り、助けるようにマリオン王子に覆い被さる。)」     

         その時、一発の銃声が響き渡る。(ズキューン!!)

  ゾード「ギャーッ!!(銃の玉が当ったように。下手へ走り去る。
      )」

         人々の怒鳴り声が聞こえてくる。

  声「クマだーっ!!クマを仕留めたぞーっ!!」
  声「逃がすなーっ!!」
  声「向こうへ行ったぞーっ!!」
  声「わあーっ!!」
 
         再び、銃声が響き渡る。

  トッド「(呆然と下手方を見ている。)・・・あ・・・行った・・・。(マリ
     オン王子の様子に気付き。)おい・・・おい!!大丈夫か!
     ?マリオン王子!!(マリオンを抱き起こす。)」
  マリオン「ああ・・・大丈夫だ・・・少し・・・しびれているだけさ・・・。
       それより・・・レオンに薬を・・・」
  トッド「あ・・・ああ!!(ゾードが置いて行った鞄の中を、ガサゴ
     ソ探す。)えっと・・・あ・・・あった・・・これだ!!(レオンに駆
     け寄る。)おい!!レオン!!大丈夫か!?長いこと我慢
     してエラかったな!!これでもう大丈夫だ・・・。(レオンに瓶
     の薬を飲ませる。)」
  レオン「あ・・・兄貴・・・ありがとう・・・」
  トッド「馬鹿!」

         紗幕閉まる。

    ――――― 第 7 場 ――――― A

         紗幕前。
         村人達、話しながら下手より登場。上手方へ。

  村人1「今度、村外れに出来た雑貨屋さん、知ってる?」
  村人2「知ってる!知ってる!」   
  村人3「えらく安売りをしてる店だろ?」
  村人1「そう!何でも以前の物売り婆さんの店より、品揃えは変
      わらないのに、値段は半分以下でしょ?」
  村人3「すごく繁盛してるみたいだぜ!」
  村人2「へぇ・・・」
  村人1「私達も行ってみましょうよ!」
  村人2「そうね!」

         村人達、上手へ去る。

    ――――― 第 7 場 ――――― B

         音楽流れ、紗幕開く。と、村外れの様子。
         トッドとレオン、色々な品物を手に歌う。

       トッド“ようこそ”

       レオン“いらっしゃいませ”

       2人“我らが店へ
 
       トッド“何でも揃う”

       レオン“豊富な品揃え”

       2人“さあどなたも大満足請け合いだ
          我らが店へようこそおいでなさい”

  トッド「さあ、いらっしゃいませ!!何でも必要とあらば、ご用意
     いたしますよ!」
  レオン「我らが店に、ない物はございません!さぁ、いらっしゃい
      いらっしゃい!」

         上手より村人達登場。
         後方、店の中へ嬉しそうに入って行く。

  トッド「いらっしゃいませ!!」
  レオン「いらっしゃいませ!!兄貴!!大繁盛ですね、俺達の
      店!」
  トッド「ああ!!あの物売り婆さんの鞄が、何でも出てくる魔法
     の鞄だったなんて!全く、凄い物を手に入れたもんだぜ。」
  レオン「本当!本当!」
  トッド「マリオン王子に安売りの店をやってくれないかと言われ
     、それまでやってた泥棒稼業から足を洗う、丁度いい機会
     だと引き受けたものの・・・安売りの店じゃあ二束三文だと
     思っていたのが、まさかこんなに儲かる店になるとはね。
     (笑う。)」
  レオン「本当っすよ!」

  声「ねぇ、店員さーん!!」

  レオン「あ!はーい!!只今!!」

         レオン、後方店の中へ入る。

  トッド「全く、俺達が店を持つようになるとはね・・・。(笑う。)」

         その時、馬の蹄の音が聞こえ、上手より
         マリオン王子登場。

  マリオン「トッド!」
  トッド「あ!マリオン王子!」
  マリオン「どうだい?店の方は。」
  トッド「もう、ご覧の通り・・・(後方店を指差す。)」・・・大繁盛です
     よ!」
  マリオン「そうか。村人達も、よい品が安くで手に入ると、大喜び
        しているぞ。」
  トッド「本当、持ちつ持たれつお互いが、いい具合に作用して、
     俺達も村人達も皆が喜ぶことの出来るこの店の開店は、全
     くマリオン王子、いい案でしたよね。」
  マリオン「この村だけに留まらず、国中の人々が幸せに少しでも
       近付くことが出来れば、屹度誰もが笑顔で暮らせる筈だ
       ろう。その為には、皆で協力し合うことが、肝心なんだ!
       !」

         音楽流れ、マリオン王子歌う。

         “何が出来るかなんて
         分からないかも知れない
         それがどんな風に幸せに
         つながるのかも手探りで
         けど皆の笑い声に包まれた
         暖かな温もりが側にあれば
         屹度そこは平和な場所に違いない
         そんな国に必ずなると
         信じ皆で力を合わせよう!”

  トッド「微力ながら、お手伝い致します!」
  マリオン「(頷く。)うん!ありがとう!!」

         2人、彼方を見遣り







        ――――― 幕 ―――――















   それでは、また少しのお時間を頂いて、何度たびと戻って
   くるまで、しばしこのページの投稿お待ち下さいませ<(_ _)>


                                どら。
    



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    (おまけフォト^^;)

    

    今日は、新作の台詞練習でした(^^)v
    これは、その練習場所です^_^;メンバーが
    揃うまで、退屈だったので撮ってみました^^;
     
    ・・・練習して待ちなさい・・・ってね^^;

    今日から台詞メンバーが増え、新たに6名スタート
    となった新作・・・中々面白い出来ではないかと・・・^^;
    ちょっと大人な“J”作品と一緒に公演するのに、
    ちょうどバランスよく可愛い出来の新作、どうぞ
    お楽しみに♥
    
 
    

    (どら余談^^;)

    明日はエリオットくんの短縮バージョンで、小学校での
    ボランティア公演です(^^♪
    エリオットくんを短縮するのに、結構思い切ってバッサリ
    と、色んな場面をカットしたので、内容は変わってない
    ですが、トットと進んで行くので、私にすると「あれれ・・・?」
    感があるのですが・・・意外と短くなった分、分かりやすくな
    ったかも知れません^^;
    頑張って行ってきます♥

  
    そろそろグーグル版“ワールド”で、少しグー版とは違った
    感じの作品をご覧頂こうと、書き始めていたのですが、
    子どものことなどがあり、中々書き進めて行くことが出来
    ませんでした(>_<)・・・が、ようやく少し形になってきたので
    、登場人物達の名前が決まれば、まだ書き上がってはいま
    せんが、少しずつ紹介して行こうと考えています(^.^)

    少しだけ予告的なことを申しますと・・・
    人形劇用ではない、普通の舞台用脚本であって、そんなに
    大人チックではない・・・私ワールドは残した・・・まあ言えば
    グー版の“未発表作品”ページの新作・・・と言った所ですね
    ^^;へへへ・・・^_^;

    またよければ、そちらもご覧になってください(^^)v
    今日はまだ載せていませんので・・・あしからず
  




    2012年3月16日(金)

    グーグル版“ワールド”に、新作投稿し始めました♥
    よければ、またご覧下さい(^^)v

    本日の小学校公演の公演日記は、また順次紹介して
    いく所存ですので、今しばらくお待ち下さい












http://milky.geocities.jp/little_pine2012/performance.html

         http://ritorupain.blogspot.com/

     http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
 


“スティーブ・ドガー” ―全10場―

2012年03月18日 20時19分41秒 | 未発表脚本

    


       



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


     〈 主な登場人物 〉


    スティーブ・ドガー  ・・・  エリート出世してきた議員。

    クラウニー  ・・・  スティーブの友人。警察官。

    アナベル  ・・・  村の娘。

    キティ  ・・・  アナベルの妹。

    アヴェリー  ・・・  アナベルに想いを寄せている青年。

    シャロン  ・・・  スティーブに想いを寄せる。

    アイザック  ・・・  警部。

    ジェラルド・マクレーニ  ・・・  政治家。



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    ――――― 第 1 場 ――――― A

         開演ベル。音楽流れる。
         スティーブの台詞に被せて、音楽段々大きく。

  スティーブの声「・・・見つけたぞ・・・。これで、マクレーニ氏の汚
            職の事実が判明する・・・。長年、信頼してきた
            人物の裏を暴くような真似はしたくなかったが・・・
            。マクレーニ氏のしてきたことは・・・決して許さ
            れることではない・・・。何時までも隠し通せるも
            のではないんだ・・・。」

         幕が開く。
         フェード・インする。と、森の風景。スーツ姿の
         一人の男(スティーブ)下手より、腕を押さえ
         ながら息を切らせ、走り登場。後ろを気にする
         ように歌う。

         “悪に手を染めるのは
         容易いこと・・・
         自尊心を殺し
         私利私欲の赴くまま
         ただ突き進めばいい・・・
         少しの正義も
         持ち合わせていないなら
         それを見て見ぬ振りすることなど
         何の造作もないこと・・・
         人の生きる道から外れた
         それが自分の人生と思うなら・・・
         俺はそれを正すまで・・・
         例えこの命を賭けての
         大仕事であろうとも・・・”

         小川の流れる音が静かに聞こえる。
         スティーブ小川に寄り、膝をつき、片手で
         水をすくい口に含む。
         一息ついて上着を片方脱ぎ、シャツの腕
         を捲くり上げ、腕に負った傷を水で濯ぐように。
         苦痛に顔を歪める。
         上手より、髪を無造作に結んだ一人の娘
         (キティ)、桶を抱えて登場。

  スティーブ「・・・いっ・・・た・・・(後方に人の気配を感じて。)誰だ
         !!(振り返る。)」
  キティ「・・・ごめんなさい。」
  スティーブ「・・・(溜め息を吐く。)なんだ・・・餓鬼か・・・。」
  キティ「餓鬼じゃないわ!!もうれっきとしたレディよ!!昨日
      で16になったんだもの!!」
  スティーブ「(ぶっきら棒に。)そりゃ、おめでとう・・・。(再び傷を
         洗うように。)」
  キティ「私はキティ!あなたは?」
  スティーブ「・・・狼男・・・。」
  キティ「狼男?(クスクス笑う。)」
  スティーブ「・・・ママに教わらなかったか?見知らぬ男に声を掛
         けるな・・・。そいつらは皆、狼男に変身するんだぞ・・・
         って。」
  キティ「(楽しそうに聞いているように。)へぇ・・・知らないわ!だ
      ってパパもママもいないもの!」
  スティーブ「(振り返って、キティを見る。)・・・あ・・・そりゃあ悪か
         ったな・・・。」
  キティ「平気よ!(背後から、スティーブを覗き込むように。)如何
      したの?怪我してるの?」
  スティーブ「ああ・・・。」
  キティ「痛そう・・・。(何か思いついたように。)ねぇ!(スティーブ
      の腕を引っ張って。)家へいらっしゃいよ!!」
  スティーブ「(溜め息を吐いて。)おい・・・。俺のことは放っておい
         てくれないか?」
  キティ「駄目よ!!怪我してる人を、放ってなんておけないわ!
      !ね!!家には名医がいるのよ!!」
  スティーブ「・・・名医・・・?」
  キティ「そう!!(嬉しそうに。)だから来て!!(スティーブ
         の腕を引っ張るように。)」
  スティーブ「おい!!」

         スティーブ、キティに引っ張られるように、
         上手へ去る。

    ――――― 第 1 場 ――――― B
 
         入れ代るように、下手より一人の青年
         (アヴェリー)登場。歌う。  

         “なんて清々しい日和なんだ
         丸で全ての生き物の
         息吹が間近に感じられるよう・・・
         君の肌の温もりが
         頬を過ぎ去っていくよう・・・
         君の為に世界は回る・・・
         君の為に全ては始まる・・・
         明るい日差しが眩しいように
         君の瞳に映る朝露の雫が
         キラリと光った宝石よりも
         美しいT感じるのは
         屹度僕だけでない筈・・・
         ・・・君は僕のもの・・・”

         フェード・アウト。
         紗幕閉まる。
 
    ――――― 第 2 場 ―――――
   
         紗幕前。
         曲調変わり、上手スポットにクラウニー、
         浮かび上がり歌う。ゆっくり中央へ。

         “悪に手を染めるのは容易いこと
         自尊心を殺し
         私利私欲の赴くまま
         ただ突き進めばいい・・・
         少しの正義も持ち合わせていないなら
         それを見て見ぬ振りすることなど
         何の造作もないこと・・・
         人の生きる道から外れた
         それが自分の人生と思うなら・・・
         俺はその道に沿うまで
         たとえ神の心に背いた
         罰せられることだとしても・・・!!”

         クラウニー、スポットのまま、一人の男(政治家
         ジェラルド・マクレーニ)の声が、重々しく響く。

  ジェラルドの声「まだ見つからないのか!!」

  クラウニー「・・・はい・・・。」

  ジェラルドの声「一体何処へ逃げたんだ!!あの書類が世間
            に流れたら如何なるのか分かっているのか!!
            私の政治生命はおろか、おまえの警察での出
            世街道も、間違いなく断たれるんだぞ!!」
 
  クラウニー「分かっています・・・」
  
  ジェラルドの声「・・・だが、まさかあいつが裏切るとはな・・・。一
            番信頼して、今まで全てを任せてきたと言うの
            に・・・!!兎に角、一刻も早くスティーブを捜し
            出して、書類を取り返してこい!!あれがなけ
            れば、いくらあいつが言いたいことを言おうが、
            私の力で如何にでもなる!!」

  クラウニー「・・・はい!!」

         フェード・イン。
         クラウニー、何かホッとしたように、大きく
         溜め息を吐いて、下手方へゆっくり歩いて
         行くと、下手よりシャロン登場。

  シャロン「(クラウニーを認めて、足早に近寄る。)ああ、クラウニ
       ー!!いい所で会った!!」
  クラウニー「やあ・・・」
  シャロン「スティーブが行方不明なんだって!?今、彼の事務所
       へ寄って来たら、昨日から連絡が取れなくて困ってるっ
       て・・・!!あなたなら知ってるんでしょ!?彼の行きそ
       うな所!!教えて頂戴!!会いに行くんだから!!」
  クラウニー「・・・ちょ・・・ちょっと待ってくれよ・・・。そんなに捲し立
         てるなよ・・・。君がスティーブの心配をするのは分か
         るけど、俺だって知らないんだ!こっちが知りたいよ、
         全く・・・。」
  シャロン「嘘!!」
  クラウニー「嘘なんか吐かないよ・・・。(溜め息を吐く。)」
  シャロン「じゃあ一体、何処へ行ったって言うの!?」
  クラウニー「(意地悪そうに。)何処かで、いい女でも見つけて、
         上手いことやってるんじゃないのか?」
  シャロン「まあ!!何てこと!!彼がそんなことする筈ないでし
       ょ!!私がいるんだから!!」
  クラウニー「おいおい・・・。一体いつから君がスティーブに、そう
         言える女になったんだい?昔からあいつのことを知っ
         てて、あいつが付き合ってきた女の名前も全部言え
         る俺としちゃ・・・君の発言は問題だなぁ・・・。」
  シャロン「いいでしょ!!その内そうなるんだから!!私の名前
        もちゃんと入れておいてよ!!それより本当に何処行
        っちゃったのかしら・・・。そうだ!!あなたの所で捜索
        願い出してよ!!ね!!あなた刑事なんだし、出来る
        でしょ!?」
  クラウニー「・・・それで俺に捜せってか・・・?」
  シャロン「そう言うこと!!」
  クラウニー「やれやれ・・・。」
  シャロン「早く行きましょ!!」

         シャロン、クラウニーの腕を取って、足早に
         下手へ去る。

    ――――― 第 3 場 ――――― A

         音楽で、紗幕開く。
         と、家の様子。中央に椅子とテーブル。
         上手よりスティーブの腕を引っ張って、
         キティ登場。

  キティ「(スティーブの手を引っ張って、椅子に座らせる。)さあ、
      ここへ座って!ちょっと待っててね!!(回りを見回して、
      大声で叫ぶ。)アナベル!!アナベル姉さん!!」
  スティーブ「・・・姉さん・・・?」

         下手より、粗末な服装だが、透き通るような肌の、
         黒髪を解き流した美しい娘(アナベル)登場。

  アナベル「如何したの、キティ?そんな大きな声で・・・。(スティ
        ーブを認めて。)どなた・・・?」

         スティーブ、アナベルを認め、その美しさに
         一瞬息を飲む。

  スティーブ「(立ち上がって。)・・・突然すまない・・・。僕は・・・」
  キティ「(口を挟むように。)狼男さん!(クスクス笑う。)」
  スティーブ「キティ!」
  アナベル「狼男・・・?」
  スティーブ「いや、違うんだ!僕はスティーブ・ドガー。」
  キティ「まあ!姉さんになら、さっさと自分から名乗るのね!!
      スティーブ!!」
  スティーブ「レディに対しての礼儀だからね、おちびちゃん!」
  キティ「失礼ね!!“キティ”よ!!」
  スティーブ「(声を上げて笑う。)いたっ・・・(苦痛に腕を押さえる
         。)」
  キティ「(怪我を思い出して。)そうだ、姉さん!!スティーブ、怪
      我してるの!!診てあげて!!」
  アナベル「・・・まあ・・・。」

         アナベル、スティーブの側へ。腕を取って診る。
         
  スティーブ「・・・君が・・・名医・・・?(腰を下ろす。)」
  アナベル「(不思議そうに。)・・・名医?」
  キティ「そう!!アナベルはこの村で、唯一薬草の勉強をして
      いる名医なの!!ね!!」
  アナベル「キティったら・・・。またそんな冗談ばっかり・・・。」
  キティ「だって本当じゃない!この前だって、隣のローラ小母さ
      んが蛇に噛まれて死にそうになった時、姉さんの調合した
      薬草で、命拾いしたんじゃない!」
  アナベル「あれは・・・」
  キティ「それより早く診てあげて!」
  アナベル「そうだった・・・。(スティーブの腕を診る。)・・・銃・・・?
        」
  スティーブ「・・・悪いが・・・聞かないでくれ・・・。君達の為だ・・・。
         」
  アナベル「(スティーブを見詰める。テーブルの上の籠の中から、
        数本の瓶を出し、同時に出した小さいボールの中に
        合わせ入れ、そこへガーゼを浸すように。)・・・弾は抜
        けているようですから心配いりませんわ・・・。(ガーゼ
        をスティーブの腕に当て、包帯を巻く。)」
  スティーブ「手際が良いんだね。」
  アナベル「そんな・・・。(恥ずかしそうに。)」
  キティ「来てよかったでしょ?スティーブ!」
  スティーブ「(微笑んで。)ああ・・・。2人でここに・・・?」
  アナベル「ええ・・・。(瓶などを籠へ仕舞いながら。)」
  キティ「父さんも母さんも、私が小さい頃に亡くなったの!それ
      からずっと、姉さんが私の親代わり・・・。」
  アナベル「(首を振る。)ううん。私の方がキティがいるお陰で頑
        張ってこれたのよ・・・。(スティーブに。)何か飲み物で
        もお持ちしますわ・・・。と言っても、傷に効くようなもの
        って、果実酒くらいしかないですけど・・・。(微笑む。)
        キティ、蔵から樽を出すの、手伝ってくれる?」
  キティ「はーい!(スティーブに。)姉さんの作った果実酒は、どれ
      もこれも絶品よ!何かお好みは?」
  スティーブ「(思わず立ち上がって。)あの・・・!!」
 
         アナベル、キティ、不思議そうにスティーブの
         方を見る。

  キティ「如何したの?果実酒、嫌い?」
  スティーブ「そうじゃないんだ!・・・迷惑は分かっている・・・!!
         迷惑を承知で頼みたいんだ!!」
  キティ「頼み?」
  スティーブ「・・・暫くここへ置いてくれないか・・・?」
  アナベル「・・・え・・・?」
  キティ「何だ、そんなこと!!いくらでもいたって構わないわよね
      お姉さん!!私達2人しかいないんだし!!」
  アナベル「・・・(少し困惑したように。)でも・・・。」
  スティーブ「君達の迷惑になるようなことは絶対しない・・・。だか
         ら頼む・・・!」
  キティ「わあ!お兄さんが出来たみたいで嬉しいなぁ!!私、家
      の中に男の人がいたこと、全然知らないでしょ?ね、お姉
      さん!!構わないわよね!?」

         アナベル、キティの様子を見て、少し考える
         ように。

  キティ「お姉さん?」
  アナベル「・・・(微笑んで。)そうね・・・。何もお構いは出来ませ
        んけど・・・。」
  スティーブ「ありがとう!!(思わずアナベルの側へ駆け寄り手
         を取る。)」
  アナベル「あの・・・。(驚いて。)」
  スティーブ「(ハッとして手を離す。)ごめん!!」

         キティ、嬉しそうにそんな様子を見ている。

  アナベル「あ・・・飲み物入れてきますね・・・。キティ。」
  キティ「はい!」

         アナベル、キティ上手へ去る。
         スティーブ、思わず握った手を見て、照れた
         ように首を傾げる。               
         











    ――――― “スティーブ・ドガー”2へつづく ―――――













    この“アナベル”さんと言う名前の登場人物が、春公演
   作品にも登場します(^^)v・・・が、春公演のアナベルさんは、
   とっても勝気なお嬢さんです^^;こちらのアナベルさん・・・
   楚々とした感じですね~^_^;




 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪




   
     (どら私的余談^^;)

    子どもが入院したことはお話ししましたが、全く動いては駄目
    な為、朝一から21時の消灯まで病院で付き添って、そこから
    一駅先の家まで自転車をぶっ飛ばして・・・(ホント、ぶっ飛ば
    す・・・と言った表現がピッタシだと、自分で思うのですが・・・)
    帰って来るのです・・・^_^;
    が・・・その帰り道が、どのルートを通っても真っ暗の・・・淋し
    い道なのです(>_<)今日も少しでも明るい道を・・・と思い、
    昨日とは別の道を通ってみたのですが・・・やっぱり暗くて・・・
    永遠に続く訳ではない、今だけのことだから・・・と、自分に言
    い聞かせ、また明日も別の道を探してみようと思っています
    (-"-)

    病院にいる間、余りにも暇なもので・・・その内パソコンを持っ
    て行こうと考えてみたり・・・今日は、春公演のお人形作りを
    少しでも進めようと、作り掛けで放ったらかし状態だった、
    犬の村長さんを持って行って仕上げたのですが・・・如何せん
    ・・・病院の為、写真を撮ることが、非常に難しく・・・一枚だけ
    ・・・ベットに腰かけたまま食事が出来る・・・よくテレビなどで
    見かけるテーブルの上に置いて撮ってみましたが・・・大きさ
    やアングルなどが全くなってなくて・・・すみません(>_<)



        
       


    看護師さん達に、「病院でもやって欲しいわ~」などと
    言われ、子ども達が辛い思いをして泣いているのを身近
    に聞いて・・・ベットの上の狭い空間で、親も子もストレス
    が溜まり気味で怒り怒られしてるのを見てると、ひょっと
    して、この何てことない荒っぽい作りのお人形でも、何か
    の役に立てることがあるのではないか・・・と・・・また、
    新たな可能性を模索するには、丁度よい機会になった
    ような気がしています(^.^)




    2012年3月18日(日)
   
    最近は、病院にいる間、ズーッと脚本ばかり書いています。
    ・・・と言っても、まだ1作目が書き終わろうか・・・と言った
    ところですが・・・^^; 
    そちらは、現在グーグル版“ワールド”で紹介させて頂いて
    いますが、またグー版の新作も書いて行こう・・・と思ってい
    ます(^^)
    今、非現実的な世界があると言うのは、何だか息抜きに
    なって、とっても助かっています~(>_<)













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“ロベルトの旅” ―全9場― 完結編

2012年03月11日 19時52分18秒 | 未発表脚本



         音楽流れ、剣を振り回すフリード、素手で応戦
         するロベルト、戦いの踊りになる。

  アース「ロベルト!!」

         ニルス、堪り兼ねたように加勢するが、
         フリードの振り下ろした剣で、足を切られ
         引っ繰り返る。

  ニルス「わああっ!!」
  ロベルト「ニルス!!」
  アース「ニルス!!確りしろ!!」

         フリード、ニヤリと微笑み、大きく剣を振り上げ
         ゆっくりロベルトの方へ。じわじわと追い詰める
         ように。フリード、ロベルトの頭上へ剣を振り
         下ろそうとした時、ロベルト、何か思い出した
         ように、ズボンのポケットから双子の妖精に
         貰った、光る砂を一つまみ取り出し、フリード
         の方へ向かって投げ付ける。

  ロベルト「母さん!!」
  フリード「(その砂に驚いたように。)わ・・・わあああっ!!やめ
       ろ!!(怯えて。)早く捨てろ、そんなもの!!」
  ロベルト「(一瞬不思議そうに。何か気付いたように、光る砂を
        再び取り出し、フリードの方へ投げる仕種をする。)早く
        ・・・早く何処かへ行け!!そして二度と僕達の前に、
        その姿を現すな!!」
  フリード「やめろ・・・!!やめてくれ・・・!!」
  ロベルト「それなら僕に約束しろ!!もう二度と悪いことはしな
       いって!!」
  フリード「(観念したように。)・・・わ・・・分かったよ・・・!!分かっ
       たからやめてくれ!!その砂を、それ以上俺に近付け
       ないでくれ!!」
  ロベルト「約束するか!?」
  フリード「ああ、約束する・・・約束するよ!!」
  ロベルト「・・・本当だな・・・。」
  フリード「(大きく頷く。)」
  ロベルト「(溜め息を吐いて。)いいだろう・・・。(光る砂をポケット
       へ仕舞う。)」
  フリード「(普通に戻り。)やれやれ・・・助かった・・・。(手に持って
       いた剣を見て、放り投げる。)・・・ふん・・・!!人間の思
       い・・・って言うのは・・・なんてくだらねぇんだ!!」

         フリード、上手へ走り去る。
         ロベルト、思わずその場に座り込む。

  アース、ニルス「ロベルト!!」
  ロベルト「(2人に気付き、側へ駆け寄る。)アース!!ニルス!
       !・・・怪我、大丈夫かい!?」
  アース「ああ、心配することないさ!なぁ、ニルス!」
  ニルス「うん!・・・ちょっと痛いけど・・・。(笑う。)」
  アース「それよりロベルト・・・急がないと・・・!」
  ロベルト「(チラッと花を見て。)うん・・・でも・・・(2人の怪我が気
       になるように。)」
  アース「走れロベルト!!俺達に構わずに!!」
  ニルス「うん、そうだよロベルト!!」
  ロベルト「アース・・・ニルス・・・」
  アース「24時間しかないんだぞ!!」
  ロベルト「・・・うん・・・。うん!!そうだね!!」
  アース「行け!!ロベルト!!」

         ロベルト頷き、上手へ走り去る。
         音楽大きくなり、アース腕を押さえながら
         立ち上がり歌う。
         ニルス、足を引き摺りながら立ち上がり
         歌う。

         “今こそ叶う時
         必ずと信じた
         夢見た希望が
         叶う時
         屹度 花が開く”

         音楽盛り上がり、アース、ニルス、力強い瞳で
         遠くを見遣る。暗転。

  ロベルトの声「母さん・・・今帰るからね!!」

    ――――― 第 8 場 ―――――

         音楽流れ、舞台明るくなる。と、中央ベット
         (ソファー)にリリア、横になっている。
         (3場の風景。)
         上手よりロベルト、一輪の花を手に、走り
         登場。

  ロベルト「(息を切らせて。)ただいま、母さん!!今戻ったよ!!
       (息が荒く。花を見て。)花が・・・枯れてる・・・。(呆然と
       ゆっくりリリアの方へ。)間に合わなかったの僕・・・?母さ
       ん・・・母さん・・・死なないでくれよ・・・。僕だよ、母さん・・・
       。望みを叶えてくれる、白い花を見つけて帰って来たん
       だよ・・・。」

         ロベルト、涙を堪え歌う。

         “願いを叶える 自分の力で
         思いは叶うだろう 信じて誓う
         今届け愛 溢れる思い
         遥か遠い未来の彼方へと向かった
         必ず叶える夢見た明日の陽
         何時でも前を向き歩いていたい”

         ロベルト、花を立たそうとするが、花は萎れた
         まま。

  ロベルト「立ってくれよ・・・。元気になってくれよ!!どうしたん
       だよ!!さっきまであんなに立派に咲いてたじゃないか
       ・・・。願いを叶えてくれよ・・・。お願いします!!神様・・・
       !!母さんを・・・母さんを助けて下さい・・・。(跪き祈る。
       )」
 
         その時、下手よりユリア登場。
         ロベルトの側へ。肩に触れる。

  ロベルト「(ユリアに気付き。)ユリア・・・」
  ユリア「貸して・・・その花を・・・。」
  ロベルト「え・・・?」
  ユリア「(花を取って見る。)・・・まだ大丈夫・・・。私には願いを叶
      える力はないけれど・・・花を生き返らせることくらいは出
      来るの・・・。」

         ユリア、歌う。

         “あなたの心が
         必ず叶うと信じて
         願うわ いつでも・・・”

         ユリア、花を撫でると、今まで首を垂れて
         萎れていた花が、すっくと伸び、生き返る。
         ユリア、その花をロベルトの方へ差し出す。
         ロベルト立ち上がり、ゆっくりユリアの方へ。
         その花を受け取り、呆然と見詰める。

  ロベルト「・・・花が・・・」

         ユリア、優しく微笑む。
         リリア、ゆっくり目覚める。

  リリア「・・・ロベルト・・・」
  ロベルト「(振り返り、リリアを認める。)・・・母さん・・・?母さん!
       !(ベットに駆け寄り伏す。)母さん!!」

         暗転。

    ――――― 第 9 場 ――――― (フィナーレ)

         音楽流れ、舞台明るくなる。
         一時置いて、下手よりロベルト、一輪の枯れた
         白い花を手に登場。
         その時、上手よりアース、ニルス登場。
         ロベルトを認め、嬉しそうに駆け寄る。

  アース「おーい、ロベルト!!」
  ロベルト「アース!ニルス!もう怪我はいいのかい?」
  アース「ああ、この通りさ!!(腕を上げて見せる。)」
  ニルス「まだ持ってるの?その花・・・」
  ロベルト「うん・・・。一つの願いごとが叶ったら、萎れちゃったん
        だ・・・。」
  アース「大人になれなかったな!(笑う。)」
  ロベルト「煩いな・・・!だって仕方ないだろ?大人になるより大
       切な願いごとが出来たんだから・・・。」

         リリア、子ども達の話しを聞いていたように
         下手より登場。

  リリア「あなたが早く大人になったら、母さんは悲しいわ・・・。」
  ロベルト「(リリアを認め。)母さん・・・。」
  リリア「だって、あなたの成長を毎日少しずつ見れるのが、母さ
      んの楽しみなのよ・・・。昨日より今日・・・今日より明日・・・
      一年後にはどんな風に、お兄さんになっているのかしら
      ・・・。10年後には、どんなに逞しい青年になっているの
      かしら・・・。そう思えることが、母さんの幸せなの・・・。」
  ロベルト「母さん・・・」
  リリア「だから、あなたはあなたが今出来ることで、母さんを喜
      ばせて頂戴。」
  ロベルト「・・・今出来ること・・・?」
  リリア「はい!(紙を差し出す。)」
  ロベルト「・・・何?」
  リリア「そこに書いてあるものを買って来てね。」
  ロベルト「ちぇっ!」

         アース、ニルス笑う。
         リリア、上手へ去る。

  ロベルト「・・・願いを叶える・・・って大変なことなんだ・・・。どんな
       ちっぽけな願いでも・・・叶うかどうか分からない大きな
       願い事でも・・・。でも願いを叶える為に努力出来ること
       は、とても素晴らしいことだと思うよ・・・。僕は今回色ん
       な人と出会って・・・実際に旅して来て・・・心の宝物を手
       に入れたと思うんだ・・・。それは友情だったり・・・思い遣
       りだったり・・・優しい心だったり・・・。でも・・・この思いは
       僕にとっても・・・君らにとっても・・・掛け替えのないもの
       だと思わないか・・・?」
  アース、ニルス「ロベルト・・・」

         3人、嬉しそうに笑いながら、一旦上手へ
         去る。そのまま順番に出演者達、上手、下手
         より其々登場し、客席への挨拶になる。
         ロベルト登場した所で、全員の合唱となる。

         “遥か遠い空の果て
         まだ見ぬ憧れを胸に抱き
         さぁ行こう!
         彼方 遠い道の果て
         希望の夢求め・・・”






        ――――― 幕 ―――――










 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    (どら余談^^;)

    さて、ではボチボチ次回掲載作品の、紹介をしておきたいと
    思います(^^)v
    次回は・・・あまり政治のことはよく分かりませんが・・・その
    よく分からない政治家さんのお話しを・・・一つ・・・^_^;
    “スティーブ・ドガー”お楽しみに♥










    ところで・・・子どもが足の病気で、来週火曜日から入院
    することになりました(;_;)
    完治までには年単位での日数が必要だそうです。

    この“ワールド”、楽しみに毎日、覗きに来て頂いてる皆さん
    の為に、極力間は開かないように頑張る所存ではあります
    が、もし、そう言った日があった時には、上のような理由から
    と・・・大目に見て頂けると嬉しいです

    私的なことなので、あまり言い訳的な理由には使いたく
    ないので、お話ししようかどうか迷ったのですが、折角
    沢山の方々に可愛がって頂いているこの“ワールド”なので、
    もしも・・・の時の為にお伝えしておきます(>_<)


                                  どら。
  











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“公演日記” ―楽しい森の仲間たち&ピンクのももちゃん―

2012年03月09日 19時33分00秒 | 公演日記



      




          2012年2月7日(火)

   
     今日は朝から生憎のお天気でしたが、人形劇公演日
    としては、先ず先ずの日和の中、大阪市内から飛び出し、
    関西空港に程近い・・・?和泉市の保育園に、ボランティア
    公演に出掛けて来ました(^.^)

    今回は簡易舞台を使用しての公演だったので、会場となる
    保育園に到着したのは、開演40分前くらいです(^^)v


    

          8時30分  ・・・  出発

         9時40分  ・・・  保育園着

    

    

     始まる前に、チュンコちゃんと記念撮影してるのは・・・
     私です^^;



    

           ご存じ、簡易舞台の中です(^^)v
       上の写真から、私がどれか分かりますね~^^;



    

       まだ開演前です^_^;
       決して時間があり余ってた訳ではありません^^;  
  


          10時20分  ・・・  開演


     “楽しい森の仲間たち”
    
    


    

     何が可笑しいのか、子ども達にはこのクマさんの登場が、
    エラいウケテました^_^;



    

     すると、このチュンコちゃん登場にも、大喜びでした^_^;


    
        

      でも、このヒョウ君は・・・怖かったみたいです(>_<)

    この作品では、主人公のクマさんでも・・・自分が声担当の
    チュンコちゃんでもなく・・・私はこのヒョウ君人形の担当でし
    た~(^^)v
    ちょっと悪い子なので、“フンッ”と言った感じの動きなので
    すが、元々お顔が上向き加減のお人形なので、敢えて演技
    させなくても、“ツンツン”した感じは出しやすかったです^^;

    たまには悪い子の気持ちも分からないとね・・・^_^;
 

    
    

     このヒョウ君、短縮バージョンでは何の切っ掛けもないの
    に、ただお腹を空かせてフラフラ登場し、勝手に“岩”の間に
    挟まるのです(^_^;)

    この“岩”、以前は画用紙で出来ていたのですが、団員が
    新たにフェルトで作り直してくれ、より“岩”っぽくなりました♥
    片手でヒョウ君の本体と岩を持ち、ヒョウ君の左手だけ、もう
    一方の手で動かしているので、本体と岩を持っている方の
    腕は・・・ダルかったです^_^;
    でも前回のエリオットくん2本を乗り切った後なので、楽勝♥
    でした~(^^)v・・・なんてね・・・^^;



    

    手持ちビデオからの写真なので、時々アップがあります^^;

    近くで見ると・・・チュンコちゃん・・・ホント“ひよこ”みたいです
    ね~(>_<)・・・もしくは“アヒル”・・・?どちらでもないんです
    けど・・・(-_-;)


   
    

     ヒョウ君アップです(^.^)
    
    “挟まってる雰囲気”出てますか・・・?



     

     クマさん岩をどかそうと、頑張っているところです^^;



    




    
     “ピンクのももちゃん”
    

     何となく全体像が分かりますか・・・?
    舞台全体は分かっても、ももちゃん・・・全然分かりませんね。



    

     上の場面の写真のアップが、この写真です^_^;
    ここまで近寄ると、ももちゃん・・・分かりますね^^;頭の上に
    リボンが付いています♥


   
     

      サメのおじさん登場(^.^)



    

      タコのおばさん登場(^^)


    
    

     私・・・ももちゃんを持って、下に置いてある“岩”もどきの
    画用紙を探しています^^;
    分かり難いですね・・・(>_<)



    

     その“岩”もどきの画用紙を、後ろの絵の洞窟(・・・もどきの
    ^^;)に蓋をする役目だったのですが・・・あの後ろのカーテン
    は、壁に沿っているのではなく、壁とカーテンの間に少し隙間
    があったのです^^;でも、そんなことは始まってしまえば・・・
    忘れてますよね~・・・(>_<)堅い物にペタッと貼り付けられ
    るものと思って押さえたら、カーテンが後ろにフワ~ッと・・・

    上の写真は、分かり難いですが、無茶苦茶焦っている私・・・
    の“手”です^_^;    
    

    
    

     私が貼れなかった“岩”もどきの画用紙を、他の団員が
    貼り付けてくれました^^;



    

     ももちゃんが出てないこの場面は、先生と小魚さんの2体
    (・・・と言うのでしょうか・・・^^;)持ちしている私です^_^;



    
  
     黄色い小魚さん・・・どうしても横を向いてしまいます(>_<)
    


    



    

     「ばいば~い!!」と手(・・・は振れないので、体を振って
    ました^^;)を振るももちゃんに、子ども達の「ばいば~い」
    と言う可愛い声と、小さな手が見えました♥





     
     さて、今回も沢山の方々のご協力により、無事に終了する
    ことが出来ました(^.^)
    久しぶりに小さい子ども達の公演で、どんな感じか忘れてい
    るところもあり、喜んでもらえるのか不安な部分もありました
    が、蓋を開ければ最初から、沢山の元気な笑い声に包まれ
    た、すごく賑やかな公演で、演じ手の私達も、とても楽しめた
    公演となりました♥
    
     また来月、違う保育園での公演、小学校のひと学年公演
    と続きます。
    その後、春公演の準備に追われる日々を迎える訳ですが、 
    その前に沢山の子ども達から元気を貰い、チョー多忙な日々
    を乗り切りたいと思っています(^^)v   

    それでは、
    色々とお世話して下さった方々に、心より感謝致します♥
    「ありがとうございましたまた公演でお会いしまし
    ょう(^^♪」    




     
              ミュージカル人形劇団“リトルパイン”
                                  代表 どら。








 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ 



    今日は、グーグル版“ワールド”に、“楽しい森の仲間たち”
   の撮りたてを、少し動画掲載してみました^^;
   が・・・こちら、そこにも書いていますが、訳あって手持ち撮影
   しています(>_<)よって・・・あまり質としては良くありませんが、
   楽しい雰囲気をご覧頂きたくて、敢えてマズイビデオを公開
   致しました^^;
   また、雰囲気だけでも楽しみに、いらしてみてください^_^;


  
                                 どら。



    (おまけフォト^^;)
    
          ↑

     終演後、挨拶に出る為に慌てて移動している・・・私の背中
    です^_^;







 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



   
      2012年3月7日(水)
 
  
      今日は先月公演させて頂いた保育園と、わりと近い場所
     にある保育園で、公演させて頂いて来ました(^^)v

     一人、メンバーが欠席だった為、多少ドタバタした本番では
     ありましたが、子ども達がとても喜んでくれ、演じての我々
     もすごく楽しく公演できた一日でした(^^)




    

                本日の舞台です(^^)


    
    

      ご覧の通り、舞台の足は“三脚”を使用しています^^;

    
                                      ↑
                                  わたしです^^;
    
     今日は、ビデオを撮るメンバーがいなくて、舞台裏に設置
     したままビデオから、少し写真にしてみました^_^;


   
    


            ヒョウ君、スタンバッています(^^)v                                                                                                    
    
  

    
 

       チラッと見えてる“ももちゃん”操作が私です^_^;


    
    




   今回は、同じようなアングルの写真ばかりですみません(>_<)

  


    毎回そうですが、今回もとても子ども達が喜んでくれ、私達
    に“ちょっとした人気者”・・・と言った感じに接してくれ、何だ
    か恥ずかしいような嬉しいような・・・
    車が出て行くまで「ばいば~い!!」と手を振って見送って
    くれた子ども達の、素直な反応に、とても感動した一日でし
    た♥

    協力頂いた皆様、熱心に見てくれた子ども達・・・
    本当にありがとうございました<(_ _)>



                ミュージカル人形劇団“リトルパイン”
                              代表 どら。










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