りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“パピ―不思議の森シリーズより―” ―全6場― 

2011年09月30日 19時26分41秒 | 未発表脚本


     
     

     クルトの名前が下の方に書かれているのは、今作品
     ではクルトと長老は“オマケ”的に登場するからです(^^♪
     

 


 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


     〈主な登場人物〉

    パピ  ・・・  足の悪い少年。

    ドルト  ・・・  紫色の羽を持つ小鳥。

    バーム  ・・・  魔法使い。

    クルト  ・・・  不思議の森に住む、青い羽を持つ小鳥。

    長老  

    その他


 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


         客電落ち、開演アナウンスが流れる。

      ――――― 第 1 場 ―――――

   声「昔々あるところに、不思議の森がありました。その森に、
     ずっと以前から住んでいる一羽の青い小鳥は、なんでも
     望みを叶えてくれるのでした。この幸せを導く小鳥の名前
     はクルト・・・クルト・・・クルト・・・(木霊する。)」

         明るい音楽流れ、ライト・インする。と、森の風景。
         中央に、一羽の青い小鳥(クルト)、ポーズを取り
         立っている。
         クルト、楽しそうに森の中を気儘に踊る。
         一頻り踊った後、クルト上手へ去る。
         一時置いて、下手より車椅子に乗った少年(パピ)
         、不思議そうに回りを見回しながら、ゆっくり登場。
         中央へ。

   パピ「(回りを見回しながら。)・・・ここは・・・どこかな・・・。(何か
      に気付いたように。)もしかして、ここがママの話してくれた
      不思議の森・・・?じゃあ、クルトが居る筈だ!!どこに居る
      んだろう!!クルト・・・!?クルト!?」     ※

         パピ歌う。

         “クルト クルト何処にいるの?
         不思議の森に住む 不思議の小鳥
         クルト クルト 君に会いたいんだ
         僕には叶えて欲しい願いがあるんだ
         だから出て来ておくれよ
         僕の前に・・・”

         そこへ下手後方より、一羽の黒い小鳥(ドルト)
         意地悪そうな顔付きで登場。
         ゆっくりパピの方へ。

   ドルト「・・・私のこと・・・呼んだ?」
   パピ「(振り返り、ドルトを認める。)え・・・?君は・・・」
   ドルト「さっきから“クルト”“クルト”って、私の名前を呼んでたじゃ
       ない。」
   パピ「君が・・・クルト・・・?」
   ドルト「そう、私がクルト・・・。」
   パピ「でも・・・ママの話しじゃ、クルトは青い小鳥だって・・・」
   ドルト「それはあなたの勘違いよ。クルトの羽は、青くも赤くも
       ないわ。黒いの!(羽を広げて見せる。)どう?分かった
       ?」
   パピ「じゃあ・・・君が、何でも願いを叶えてくれるの・・・?」
   ドルト「・・・願い?」
   パピ「そう!!僕はどうしてもクルトに頼みたいことがあって、
      この森にやってきたんだ。僕、小さい時に足を怪我して、
      それ以来、歩くことが出来ないんだ・・・。何をする時にも
      この車椅子がなけりゃ、一人で動くことも出来ない・・・。
      病院の先生やママは、嘘吐きなんだ・・・。“あなたの足は
      もう治ってるんだから、後は歩く練習をすればいいのよ”
      って言うけれど・・・いくら頑張ったって、歩けるようになん
      てなるもんか!!だからお願い、クルト!!僕の足を元
      通り歩けるようにして!!クルトなら治せるんでしょ!?
      僕を皆と一緒に走れるようにしてくれよ!!」
   ドルト「ふうん・・・。確かに私はクルト・・・。でも願いを叶える訳
       にはいかないわ。」
   パピ「どうして!?」
   ドルト「私には願いを叶える力なんてないもの。」
   パピ「・・・え?」
   ドルト「でも、願いを叶える力を持つ人は知っているわ。」
   パピ「・・・叶える力を持つ人?」
   ドルト「そう・・・。」
   パピ「・・・それは誰?」
   ドルト「会いに行く?」
   パピ「うん・・・。だって僕は願いを叶える為に、この森に来たん
      だもの・・・。」
   ドルト「(ニヤリと微笑み、客席上方を指差す。)見てごらん、
       あの山の向こうに、ボロ小屋のわらぶき屋根が見えるで
       しょう?」
   パピ「・・・どこ?(探すように。)」

         その時、カミナリの音が辺りに響き渡る。

   パピ「わあっ!!(耳を塞ぐ。)」
   ドルト「ほら、あそこよ。」
   パピ「(恐る恐る客席上方を見上げる。)あっ・・・あそこにわらぶ
      き屋根の家が・・・。」
   ドルト「あそこに、あなたの会いたがってる人がいるわ。あそこに
       住むバームなら、どんなくだらない願いでも、魔法の力で
       ちょちょいのちょいよ。」
   パピ「魔法・・・使いなの?その人・・・」
   ドルト「案内してあげるわ!!さ、行きましょう!!バームの所
       へ!!」

         ドルト、パピの手を引っ張るように。
         2人、上手へ去る。

         暗転。

      ――――― 第 2 場 ―――――

         静かな音楽流れ、舞台明るくなる。
         と、中央に一本の大木(バーム)が立っている。
         辺りは嵐の前触れのような、不気味な様子。

         バーム歌う。

         “ああ くそう 忌々しい!!
         ああ くそう なんて様なんだ!!
         なんで私がこんな姿で立ち尽くすんだ
         この私が何をしたってんだ
         ただこの森で自由にしてただけ
         ちょっと自由に振舞ってただけ”

   バーム「このバーム様の自由を奪う権利なんて、誰にもないん
        だ!!」

         “ああ 畜生 忌々しい!!
         ああ 畜生 腸煮えかえるこの思い!!”

   バーム「森の長老だか何だか知らないが、あんな年寄りが私を
        拘束するなんて、これっぽっちも出来ないんだ!!大体
        ちょっと位悪戯したからって、あの爺にどんな迷惑を掛
        けたって言うんだい!!それを偉そうに“その姿で暫く
        の間反省しろ”だなんて、私をこんな格好にしやがった
        !!(何かに気付いたように。)・・・おや・・・?向こうか
        ら、紫色の羽を持つ、一羽の小鳥がやって来た・・・。
        よおし・・・あいつを上手いこと騙して、この封印のリボン
        を解かせてやろう。これさえ解いてもらえれば、こっちの
        ものだからな・・・。おーい!!おーい、そこの紫色の羽
        を持つ、綺麗な小鳥さん!!」

         紫色の小鳥(ドルト)、上手より登場。

   ドルト「(回りをキョロキョロ見回しながら。)今、確かに誰かが私
       のことを呼んだような・・・。」
   バーム「ここよ!!ここ!!」
   ドルト「(大木を認める。)・・・まぁ、大木さん!あなただったのね
       、私のことを呼んでいたのは。」
   バーム「そうなの・・・。私、今とっても困っていたところだったの
        よ。そこへ丁度、あなたが通り掛かって、助けを求めた
        って訳・・・。」
   ドルト「どうかしたの?」
   バーム「あなたの名前は?」
   ドルト「ドルトよ。」
   バーム「じゃあドルト、この森に住む、悪戯ばかりして皆を困ら
        せる魔法使いのこと、知ってるかしら?」
   ドルト「・・・ええ、長老にお仕置きをされて、森から追放された
       って言う、バームのことかしら?」
   バーム「そのバームが、また悪戯に魔法を使って、私をこんな
        姿に変えてしまったの・・・。」
   ドルト「まあ!!酷いわ!!」
   バーム「それで、ドルトにお願いがあるの。」
   ドルト「何かしら?」
   バーム「私の体に巻き付けてあるリボンを、解いてもらえるかし
        ら?それさえ解ければ、私は元の姿に戻れるって言う
        訳。」
   ドルト「お安いご用よ。(大木の側へ。)これを解けばいいのね
       ?」
   バーム「ええ・・・。」

         ドルト、大木に結んであるリボンを解く。

   バーム「それを解いてさえくれれば・・・私は元の姿に戻れる
        のさ!!」

         その時、カミナリの音が響き渡り、煙が立ちこめる。

   ドルト「キャアッ!!」

         一瞬の内に、大木の姿は消え去り、魔法使い
         の姿に戻ったバームが立つ。

   バーム「おまえさんは知らなかったようだね。その長老に、お仕
        置きをされたバームは、こんな森の外れの淋しい場所
        で、大木の姿に変えられていたことを!!」
   ドルト「あなたがバーム・・・!?」
   バーム「でも、おまえさんのお陰で元の姿に戻れたんだ。ちゃん
        と礼はするよ!!一生、私の側で働けるように、おまえ
        を私の家来にしてやろう!!(声を上げて笑う。)」

         カミナリの音が轟き、バームの笑い声を残して
         暗転。

      ――――― 第 3 場 ―――――

         明るい音楽流れ、舞台明るくなる。と、木漏れ日
         溢れる森の様子。可愛い花達が、咲き乱れて
         いる。花達歌う。

         “ようこそ可愛いお花畑へ
         いらっしゃい不思議の森
         陽の光 降り注ぎ
         暖かな木漏れ日
         素敵な時間が流れてく
         ようこそ可愛い私達の森へ”

         一時置いて、嬉しそうに急いで下手より、
         車椅子のパピ登場。下手方を向いて、手を振る。
  
   パピ「おーい!!こっちだよ!!早くおいでよ!!先に行っちゃ
      うよ!!」

         花達、パピを認めて声を掛ける。

   花1「こんにちは、パピ。」
   花2「こんにちは!!」
   パピ「え・・・?(回りを見回す。)」
   花3「ここよ!」
   パピ「(花達に気付く。)あ、お花さん達・・・こんにちは。驚いた
      なぁ・・・。ここは何でもありの森なんだね。でも、お花さん、
      どうして僕の名前を知ってるの?」
   花1「知ってるわよ。あなたのことは、ずーっと前からね。」
   花2「それより、どこへ行こうとしてたの?(上手方を見て。)
      あなたの行こうとしている方向には、何もないわよ。」
   花3「あるのはバームの古い小屋だけ。」
   花1「言っといてあげるわ。バームの古小屋には、近寄らない
      方がいいわ。」
   パピ「どうして?」
   花2「あそこに行くと、ろくなことがないの。」
   花3「今まで行って、戻って来た人はいないって言う話しよ。」
   花1「あら、いるわ。」
   花3「誰?」
   花1「小鳥のドルトよ!」
   花3「・・・そう言えば・・・」
   花1「私達も見たことはないけれど、たった一羽だけ戻って来た
      ドルトも、その様子は随分変わったって言う噂だから。」
   花2「兎に角危ないわ。」
   パピ「変わったって・・・?」
   花1「羽の色が・・・」

         その時、下手より急いで飛んで来たように、
         ドルト登場。

   ドルト「ちょっとパピ!!先々行かないでくれる!?私は空を
       飛んでるんだから、森の木陰に隠れられると、見失っちゃ
       うのよ!!」
   パピ「ごめんよ。でも、もう少しで歩けるようになると思ったら、
      嬉しくてつい・・・」
   花1「(ドルトの顔を見て。)・・・ドルト?」
   花2「ドルトじゃないの・・・?」

         ドルト、気不味い顔付きになり、慌てて花達に
         背を向ける。

   ドルト「ドルトって誰のことよ!!私はドルトなんて名前じゃない
       わ!!」
   パピ「そうだよ。この小鳥さんはクルトだよ。」
   花3「クルトですって!?」
   花1「クルトって、青い羽の・・・」
   ドルト「煩いよ!!それ以上、余計なことを喋ったら、おまえ達
       を根っこごと、引っこ抜いてしまうよ!!」
   花2「まぁ、怖い!!」

         花達、目を閉じて黙り込む。

   パピ「そんな酷いこと、言っちゃ駄目だよ!!お花さん達は、
       僕に色んなことを教えてくれてただけなんだよ。」
   ドルト「それが余計なお世話だって言うの!!」
   パピ「余計なお世話・・・」
   ドルト「さ!!こんなとこで愚図愚図してる暇はないのよ!!
       早く行きましょう!!」

         と、回りの様子、時が止まったように。
         パピ、スポットに浮かび上がる。









    ―――――“パピ―不思議の森シリーズより―”2へ
                              つづく―――――










   ※ パピ君のママ・・・クルトの話しをしてくれた・・・ってことは、
     はい、明記されてませんが、キャシーです(^^)v



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



      “パピ”に限らず、以前の脚本を読んでいて、意外と
      同じ名前を使用している時が・・・多々あります^^;
      私の中で、名前と言うのは重要性が低いのかも知れ
      ません(^_^;)




                                どら。






        http://www.geocities.jp/littlepine2005/ 

      http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
 
         http://blog.goo.ne.jp/axizgoo7227







“願いを叶える白い花をさがして” ―全7場― エンディング

2011年09月28日 23時27分40秒 | 脚本


  
  


  
  ポロン「(ピッピから花を受け取り、高く掲げる。)白い花よ!!
       願いを聞いておくれ!!湖の底に沈んだ、ナナの大切な
       宝物のネックレスを探して!!」

         ネックレスが浮かび上がり、ナナの手元へ。


  


  


  
                      ※



  ナナ「ネックレスが・・・。ありがとう・・・ありがとう2人共・・・。私の
     為に、願いの花を使ってくれて・・・。」
  ポロン「また今度、僕達の花は探せばいいよ・・・。ね、ピッピ。」
  ピッピ「・・・うん・・・。僕の方こそ・・・帽子の為に、大切な石を・・・
      ありがとう・・・。」

         3人、寄り添うように下手へ去る。
         入れ代るように、上手より3人の子ども達を見ていた
         春の国の精、登場。

  春の国の精「優しい子ども達ね・・・。願いを叶えて枯れてしまった
          白い花を、元に戻してあげましょう・・・。」


  
                  春の国の精。



     ――――― 第 7 場 ―――――

         音楽流れ、ポロン、ナナ下手より登場。

  ナナ「願いを叶える花・・・なくなっちゃったわね・・・。」
  ポロン「願いを叶える白い花は、願いを叶えたいと思う、皆の心
       の中に、いつも咲いているんだと思うよ・・・。」
  ナナ「そうね・・・。」

         ピッピ、白い花を持って、上手より走り登場。

  ピッピ「ポロン!!ナナ!!見てくれよ!!枯れてた花が、また
      咲いたんだ!!」
  ポロン「え?」
  ピッピ「また願いが叶うのかなぁ・・・?」
  ポロン「ねぇ、ピッピ、ナナ・・・願いは白い花に叶えてもらうんじゃ
       なくて、自分達の力で叶えるんだ。その方が願いが叶っ
       た時の喜びが、ずっと大きいと思うよ!!」
  ナナ「・・・そうね。」
  ピッピ「うん。」
  ポロン「だからこの白い花は、このことを教えてくれたおじいさん
       に、あげよう!!」
  ピッピ、ナナ「うん!!」

         3人歌う。
         順番に全員登場する。

         “ああ 僕らは夢を叶える
         ああ 皆が持ってる白い花
         大きく咲かせ この両手に入れる
         誰の心にも咲いてる白い花だろう
         ああ 皆で心を一つに
         願い持ち 夢は叶うだろう”

  ポロン「僕達は、誰の心の中にも、必ず白い花の種を持っている
       んだ!!だから皆も、その花をいつの日か咲かせてね
       !!さようなら!!」

         音楽盛り上がり、辺り一面、白い花が咲き誇る。

  
  


   




            ――――― 幕 ―――――













   ※ これは、某100円均一で購入した、釣り糸を使用し、
     確か釣り竿の要領で、ネックレスを吊り上げてたと・・・
     思うのですが、随分前のことで定かではありません^^;



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



    それでは、次回は現在リトルパイン作品として公開出来る、
    最後の作品・・・と思ったのですが、少し寄り道をします^^;
    “勇気の石”より、写真だけお見せした、“ロボティとルナ”
    の場面・・・その後、“勇気の石”より“ミカエルとピエローラの
    勇気”をご紹介したいと思います(^^♪

    “ミカエルとピエローラの勇気”は文字通り、“勇気の石”の
    その後のお話しで、台詞練習まで終わっていましたが、
    録音まで行き着くことのできなかった、未発表作品です。
    意地悪ヒョウ君も、名前が付いて登場する“ミカエルと
    ピエローラの勇気”・・・お楽しみに♥




                                 どら。












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“願いを叶える白い花をさがして” ―全7場― 2

2011年09月28日 11時52分51秒 | 脚本


  
                      ※



  ナナ「待って!!そんな帽子より、これをあげるわ!!(ポケット
     から、キラキラ光る石を差し出す。)ほら!!これは東の海
     で見つけた、いつもキラキラ輝く石よ!!」
  ピッピ「・・・え・・・?」
  ポロン「ナナ、それは君の宝物なんじゃ・・・」
  ナナ「この石は、滅多に見つからないのよ!!私だって、何日も
     かけて探し回って、やっと見つけたんだもの!!はい!!
     (差し出す。)」
  少年2「(石を受け取る。)ふうん・・・(空に翳す。)本当だ・・・キラ
       キラ綺麗に光ってる・・・」
  少年1「へぇ・・・(覗き込む。)本当だ・・・綺麗だなぁ・・・」
  ナナ「じゃあ、秋の国に行く道順を教えてくれる?」

         2人の少年、夢中で石に見入っている。

  少年2「いいよ・・・」

         2人の少年、下手方を指差す。
 
  少年2「あっちに真っ直ぐ行くんだ。そうすれば秋の国さ・・・」
  ナナ「ありがとう!!」
  少年1「綺麗だなぁ・・・」

         2人の少年、石に見入りながら上手へ去る。
         (音楽流れる。)

    ――――― 第 4 場 ―――――

  ポロン「ナナ、いいのかい?あの石、やっと見つけたって喜んで
       たじゃないか・・・。」
  ナナ「だって、ピッピの大切な帽子をあげる訳にいかないでしょう
     。さ、行きましょう!!」
  ポロン「うん!!」  

         ポロン、ピッピ、ナナ歌う。

         “行くんだ次
         行くんだ国へ
         願いを叶えてくれる一輪の花
         見つける為に
         皆で心をひとつに合わせて
         白い花を見つける為に”

         3人、下手へ走り去る。

    ――――― 第 5 場 ――――― 

         音楽流れる。
         上手、下手より秋の国の精、冬の国の精
         其々登場。
         中央でお互い気付いて、そっぽを向く。


  
            (左)冬の精、(右)秋の精。


  
  冬の国の精「早くどきなさい、秋の精!!」
  秋の国の精「いやよ!!冬の精の出番はまだまだよ!!」
  冬の国の精「いつまでも秋の精が、そんな風に踏ん反り返ってい
          ると、皆が待ち望んでいる冬の訪れが、どんどん先
          に延びていってしまうわ。」
  秋の国の精「あら、そうかしら・・・。」

         秋の国の精、歌う。

         “冬なんて寒いだけの
         凍えそうな季節だわ
         冬なんて全て凍る
         冷たい季節”

  秋の国の精「寒くて暗い冬が、早く来て欲しいなんて、そんな人
          一人もいやしないわよ。」
  冬の国の精「秋の方こそ、夏と冬に挟まれて、あってないような
          物じゃない。さっさと、おどきなさい!!」
  秋の国の精「なんですって!?秋は実りの秋よ!!」
  冬の国の精「秋程、中途半端な季節はないと思うけど・・・」

         冬の国の精、歌う。

         “秋なんてどっち付かずで
         中途半端な季節だわ
         秋なんて夏と冬の
         つなぎの季節”

  秋・冬の国の精「なんですって!!ふんっ!!」

         下手より、ポロン、ピッピ、ナナ登場。

  ポロン「こんにちは!」
  秋の国の精「誰?」
  ポロン「僕達、春の国のお花畑へ行きたいんだ・・・。」
  冬の国の精「それどころじゃないわ!!」
  秋の国の精「秋か冬のどちらが、この世にとって大切な季節か
          って、話し合ってたの!!」
  ポロン「2人共、そんな風に言い争うのはやめてよ。秋には秋の
       、冬には冬の良さが、其々あるんだと思うよ。」
  秋・冬の国の精「其々の良さ・・・?」
  ポロン「そうさ!秋は食物や草木がたわわに実る、収穫の季節
       、冬は疲れた体を癒し、心穏やかに過ごす静寂の季節
       ・・・。」            ※2

 
  



         秋の国の精、歌う。

         “そんな風に思えない全然”

         冬の国の精、歌う。

         “あなたの思い違いよ多分”

         ポロン歌う。

         “そんなことはないよ
         どちらも大切な
         なくてはならない季節だよ”

         ポロン、ピッピ、ナナ歌う。

         “秋は実り多い季節
         冬は静寂もたらす季節
         秋も冬も巡り来る大切な季節だよ
         みんなで輪になって踊り明かそう”

         全員で歌う。

         “秋は実り多い季節
         冬は静寂もたらす季節”

         秋の国の精、歌う。

         “そう言われれば
         まぁ確かにあなたの言うとおり”

         冬の国の精、歌う。

         “私達くだらない言い合いしてた”

         (皆で手をつないで踊る。)

  ポロン「だから、この世の中にいらない物なんてないんだよ。」
  秋の国の精「そうね・・・」
  冬の国の精「分かったわ・・・」
  秋、冬の国の精「春の国のお花畑は、この道を真っ直ぐ行った
             ところよ。(上手方を指差す。)」
  ポロン「ありがとう!!」

         ポロン、ピッピ、ナナ上手へ走り去る。
         秋、冬の国の精、見送るように手を振る。

    ――――― 第 6 場 ―――――  

         花が咲き誇る、春の国のお花畑。
         上手よりポロン、ピッピ、ナナ登場。


  
  


  ナナ「わぁ・・・ここが春の国のお花畑・・・?」
  ピッピ「この中に白い花があるんだな・・・」
  ポロン「皆で手分けして探そう!」
  ナナ「うん!」

         ポロン、ナナ、後ろの方を探す。
  
  


  ピッピ「(独り言のように。)2人より早く見つけて、1人で願いを叶
      えるんだ・・・」

         ピッピ、花を掻き分け探しているように。

  ピッピ「あっ!!(白いハンカチを拾い上げる。)なぁんだ・・・ただ
      のハンカチか・・・。(ハンカチを放り投げる。)あっ!!(白い
      紙切れを拾い上げる。)なぁんだ・・・ただの紙切れか・・・。
      (紙切れを放り投げる。)おかしいなぁ・・・。一体どこにある
      んだよ・・・。(ポロン、ナナの方を向いて。)白い花なんか
      ないじゃないか!!本当にここが、春の国の花畑なのか
      !?」
  ナナ「こんなにお花が咲いているんだもの、きっとそうよ!」
  ポロン「もっと、じっくり探して・・・(何かを見つけたように。)あった
       !!ピッピ!!ナナ!!あったよ!!白い花を見つけた
       よ!!」

  


  ピッピ「本当か!?」
  ナナ「本当に?」
  ピッピ「ちえっ・・・」
  ナナ「やったわね、ポロン!!」
  ポロン「春の国の妖精さん・・・白い花を一本下さい。(花を手に
       取る。)」
  ピッピ「その花・・・僕にもちょっと見せてくれよ・・・」
  ポロン「いいよ。(花を差し出す。)」
  ピッピ「(花を受け取る。)ふうん・・・この花が本当に願いなんて
      叶えてくれるのかな・・・。試しに一つ、俺様の願いを・・・」
  ポロン「ピッピ!!」

         音楽流れる。

  ナナ「駄目よ!!その花は3本見つけて、初めて皆が一つずつ
     願いを叶えるのよ!!」
  ピッピ「おじいさんが何本もないって言ってたんだ!!白い花が
      3本もある筈ないだろ!!これは俺の願いを叶えるんだ
      !!」
  ポロン「ピッピ!!ナナの言う通りだよ!!皆で後2本の白い花
       を探そうよ!!」
  ピッピ「いやだ!!(逃げようとして、ナナにぶつかる。)」
  ナナ「キャッ・・・(ヨロけた拍子に、何かが湖に落ちる音がする。)
     あっ!!ママに貰った私の大切なネックレスが湖の中に・・・
     !!」
  ポロン「大変だ!!早くしないと沈んじゃう!!そうだ!!ピッピ
       !!その白い花で、願いを叶えてもらおう!!ネックレス
       を探すんだ!!」
  ピッピ「いやだ!!何、勝手なこと言ってんだ!!」
  ポロン「ナナの大切な宝物なんだよ!!君のその帽子のように
       ね・・・」
  ピッピ「ポロン・・・」
  ポロン「君のその帽子の代わりに、ナナは大切にしてた東の海
       で拾った、キラキラ光る石を、夏の国の精にあげたんだよ
       。」
  ピッピ「そんなこと・・・頼んでないや・・・」
  ポロン「頼んでなくても、友達のピンチに手を差し伸べるのは、
       当たり前だろ!!」

         ポロン歌う。

         “僕達は皆 友達じゃないのか”

  ピッピ「分かったよ!!この花を使ってネックレスを探せばいい
      んだろ!!(白い花を差し出す。)
  ナナ「ピッピ、ありがとう!!(ピッピの手を取る。)」
  ピッピ「ナナ・・・」


  
             「ピッピ!!ありがとう!!」








  
       白い花を使って、ネックレスは無事にナナの手元に
       戻ってくるのでしょうか・・・?
       それではエンディングです・・・。
       (この、ネックレスが湖からナナちゃんの手元に届く・・・
       を、どうすればそれらしく見せることが出来るか・・・と、
       色々と考え、次回掲載する写真のようになりました。)









   ※ ナナちゃんが手に、キラキラ光る石を持っているの・・・
     分かるでしょうか・・・?

   ※2、なんとな~く・・・難しい台詞を喋ってるポロンくん・・・
     一体いくつなんでしょうね^^;



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


   (どら余談^^;)

   私のお話しの中には、“お花畑”だったり、“花の妖精”さん
   だったり、お花に関係するものがよく登場します(^^)
   お花って、カラフルで子ども達に目で楽しんでもらいやすい
   アイテムの一つとして、使いやすいからなのですが、
   実は・・・当の私・・・ここだけの話し・・・お花にあまり興味が
   ありません~^^;私のママが昔お花の先生で、家の中に
   はいつもお花があったにも関わらず・・・(>_<)お花好きの
   主人が「綺麗な~・・・」と、お花を見て感動している横で・・・
   「ふ~ん・・・だから・・・?」と、つれない返事を返す私です^^;
   “花より団子”・・・とはよく言ったものだな・・・と(^_^;) 

   そんな私も、最近はちょっとだけ一輪差しのようなお花は
   可愛いかな・・・と、たま~にピンク色のお花を一輪飾って
   みたりするのですが・・・それをまたまた写メする主人に、
   冷た~い視線を送る私です~・・・^^;

   昔から、おばあちゃんに「あんたは男みたいやから・・・」と、
   よく言われていた私の、内緒のお話しでした・・・(>_<)











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“ブラック” ―全9場― エンディング

2011年09月27日 15時09分43秒 | 未発表脚本


    ――――― 第 9 場 ―――――

         コーラス流れる。

         “地上の上に使わされた神々の
         使命の源 其々の
         我々の無償の愛を受け取らん・・・”

         下手客席より、スティーブ走りながら登場。

   スティーブ「ブラック!!ブラック!!」

         ブラックを捜すように、上手方より舞台へ。

   スティーブ「ブラック!!」

   ブラックの声「サリーと上手くいったんだね。」

   スティーブ「ブラック?何処にいるんだ、ブラック!おまえなんだ
          ろう?サリーに忠告したのは!」

   ブラックの声「・・・彼女が決めたことだよ・・・。」

   スティーブ「一体何処に・・・?」

   ブラックの声「ここにいるよ・・・。あなたの直ぐ横に・・・。」

   スティーブ「横って・・・(横を見る。)」
  
   ブラックの声「幸せになったあなたには、もう僕は見えないん
           だ・・・。」

   スティーブ「・・・どう言うことなんだ?消滅しちまったのか?
          誰も連れて行けなかったから・・・」

   ブラックの声「違うよ。僕は死神ではなく、天使だったんだ・・・。」

   スティーブ「・・・天使・・・?」

   ブラックの声「そう・・・。あなた“死にたい”じゃなく、“幸せになり
           たい”・・・と思ってたんだね・・・。僕は本当に、心か
           ら幸せを願う者にしか見えないから・・・。」

   スティーブ「・・・ブラック・・・」

   ブラックの声「よかったね、スティーブ・・・」

   スティーブ「・・・もう・・・会えないのか・・・?」

   ブラックの声「人間は皆、そうやって幸せになっていくんだ・・・。
           僕達のことを忘れて・・・。さよなら・・・そして・・・
           ありがとう、スティーブ・・・」

   スティーブ「・・・ブラック・・・ブラック?ブラック!!」

         その時、風が一瞬吹き抜ける。

   スティーブ「ブラック・・・いっちまったか・・・。ありがとう・・・
          ブラック・・・。」

         スティーブ歌う。

         “幸せは・・・
         誰の横にも転がる         
         些細な切っ掛けと
         ほんの少しの勇気があれば・・・
         誰でも手にすることが出来る・・・
         見えない者からの贈り物・・・”      ※
         


         彼方を見遣るスティーブ。
         音楽盛り上がり。






         ――――― 幕 ―――――
  







   ※ この部分に、スティーブの歌が欲しくて、即興で短い“詩”
     を付けてみました~^^;




 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


     それではここで、毎回恒例・・・
     次回作品のご紹介をしておきたいと思います(^^♪
     次回は、皆さんご存じの“クルト”くんが登場するお話し、
     “不思議の森シリーズ”とでも言いましょうか・・・^^;
     主人公は“パピ”と言う名前の、足の悪い男の子です。
     この“パピ”と言う名前は、リトルパインで来年公演予定
     4作品のうちの、1作品の主人公と同じ名前ですが、
     来年作品のパピちゃんは、妖精の可愛い女の子です(^^)

     それでは次回からの“パピ”もお楽しみに♥




                                どら。




       あ・・・余談ですが・・・
       いつも下に付いてるアドレスの真ん中は・・・
       3年程書き続けている、私の雑談日記です^^;
       因みに一番上は“リトルパイン”のホームページ・・・
       一番下は・・・リトルパイン関係ではありませんが、
       ・・・私の弟です^^;
       
       「“怪しい・・・”と思われるで」・・・と、指摘がありまし
       たので、付け加えて説明させて頂きました(^_^;)









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“ブラック” ―全9場― 3

2011年09月27日 13時45分01秒 | 未発表脚本


   ブラック「彼女・・・僕が見えるなんて、死にたいと思ってるのか
         なぁ。」
   スティーブ「馬鹿な・・・」
   ブラック「けど、分かったでしょ?僕のことが見えない人間もいる
         んだってこと・・・。」

         スティーブ、中央ベンチへ腰を下ろす。

   スティーブ「・・・死神か・・・」
  
         その時、下手より乳母車を押した母親と、その後
         を付いて、ボールを持った少女登場。ゆっくり上手
         方へ。上手より登場した一人の婦人と母親、立ち
         話しを始める。
         そこへ、いつの間にか下手客席より登場したエル、
         デイ、舞台の縁に腰を下ろし、少女の方を見ている。

   スティーブ「平和だな・・・。おまえにはどう映っているんだ・・・。
          幸せそうに見えないか・・・?その幸せは永遠に
          続くものと信じて疑わないだろう・・・。俺もそうだった
          ・・・。ついこの間までは・・・。何が幸せか・・・幸せで
          ないのか・・・人其々、考えるところは違うかも知れ
          ない・・・。たとえ今がその時ではなくとも、必ずやっ
          てくる幸せを・・・俺は信じることができるのか・・・。
          一緒に・・・行ってやろうか・・・?」
   ブラック「・・・え?」
   スティーブ「一人の人間も連れて帰れなきゃ、消滅しちまうんだ
          ろう・・・?」
   ブラック「何言って・・・(エルとデイに気付く。)エル・・・デイ・・・」

         ブラック、エルとデイが少女の方を見詰めていること
         に、不審そうに3人を交互に見る。

   スティーブ「おまえと初めて会った時、“死にたいと思ってる”と
          言われて、少し焦ったよ・・・。本当に自分は今、そん
          な風に考えてたんじゃないだろうかって・・・。(笑う。
          )俺が一緒に行けばおまえは・・・」
   ブラック「(何かに気付いたように。)あの子を助けて・・・」
   スティーブ「え?」
   ブラック「あの子を助けて、スティーブ!!(叫ぶ。)」

         その時少女、転がったボールを追い掛けるように
         上手へ走り去る。スティーブ、ブラックの叫び声に、
         慌てて上手へ少女を追い掛け走り去る。
         母親、婦人驚いて悲鳴を上げ、上手方を見る。
         車の急ブレーキの音が響き渡る。
         一時置いて、上手より少女、走りながら登場し、
         母親に抱き縋る。

   少女「ママ!!」

         上手よりスティーブ登場し、微笑みながら見詰める。
         母親、スティーブに深々と頭を下げる。
         その様子を見ながら、悲しそうなエル。呆れたような
         デイ。音楽で暗転。

    ――――― 第 6 場 ―――――
   
         音楽流れ、上手スポットに意地悪そうに微笑む
         バス浮かび上がる。

   バス「駄目だな・・・。折角、エルとデイが兄さんの為に力を貸し
       てくれたのに・・・。それをものにするどころか、助けちまう
       なんて死神の風上にも置けない。中途半端なお前なんか
       ・・・グレーで十分だ!!(声を上げて笑う。)」

         下手スポットに、ブラック浮かび上がる。

   ブラック「・・・僕はブラックになり切れない・・・。消滅するのが、
         僕の運命なんだ・・・。」

         バス、ブラック其々歌う。

     バス“僕らは死の神 天使じゃない
        誰が死のうが生きようが
        僕らは仕事を遣り遂げる”

     ブラック“僕は死の神 天使じゃない
          胸が痛んで辛いんだ
          黒にもなれず白でもない”

     バス“なろうと思ってなるんじゃない
        生まれた時から身についた
        遣るべきことを知っている
        中途半端なおまえはグレー
        黒にもなれず白でもない!!”

         バス、フェード・アウト。

     ブラック“僕はグレー・・・”

   ブラック「・・・それならいっそ・・・最後に一度くらい・・・今まで
         中途半端なことしかできなかった僕ができること・・・」

         暗転。

    ――――― 第 7 場 ―――――

         舞台明るくなる。
         上手よりアンナ、一寸置いてサリー登場。

   アンナ「(鞄を振り回しながら。)とうとうスティーブ、姿見せなか
        ったわね・・・。」
   サリー「・・・そうね。」
   アンナ「折角、アタックしようと思ってたのになぁ。それにしても
        毎年毎年、同じことの繰り返し・・・。独り身には退屈な
        パーティよねぇ。その点、サリーはいいわよねぇ。ダニエ
        ルのはしゃぎようったら・・・(思わず吹き出す。)ごめん
        ・・・。(再び吹き出す。)余程、あなたと結婚できることが
        嬉しいのね!ダニエルって変わってるけど、悪い人じゃ
        ないかも・・・。こんな所の御曹司に、碌なのいやしない
        と思ってたけど・・・。あ・・・ごめん。」
   サリー「ううん・・・」
   アンナ「どうしたの?浮かないなぁ・・・。分かるわよ、あなたの
        気持ち。そりゃあ、自由気儘な独身生活とも今日でおさ
        らば・・・明日からは自分の人生であって、自分のもので
        ない・・・。結婚とは、そう言うものよ・・・。(自分で自分
        の言ったことに納得するように。)」

         その時、下手よりブラック登場。
         ゆっくりサリーの方へ。        

   サリー「(ブラックを認めて。)あなた・・・」
   ブラック「矢っ張り、僕が見えるんだ。」
   サリー「・・・見えるって・・・?」
   アンナ「やだ、どうしたのサリー?独り言?(下手方を見る。)」
   サリー「・・・見えないの?」
   アンナ「何言ってるのよ!(溜め息を吐く。)まぁ、最後の夜だ
        もの、思いっきり後悔のないようにやって頂戴!(サリ
        ーの両肩に手を掛ける。)悪いけど、私は先に帰らせ
        てもらうわ・・・。2日続きのドンチャン騒ぎは、この歳
        になると体が持たないのよねぇ・・・。じゃあね、サリー
        !」

         アンナ、手を上げて下手へ去る。

   サリー「・・・あなた・・・アンナには見えないの!?(怯えたよう
        に。)幽霊・・・?」
   ブラック「(笑う。)お好きなように!」
   サリー「でも変・・・。あなた、ちっとも怖い感じがしないもの・・・。
        何故、私の前に現れるの・・・?」
   ブラック「お姉さん、スティーブのことが好きなんでしょ?」
   サリー「え・・・?」
   ブラック「今でもスティーブのことを愛しているくせに、ダニエル
        と結婚しようとしてる・・・。」
   サリー「ち・・・違うわ・・・。」
   ブラック「嘘吐いたって、僕にはお見通しだよ。スティーブも、
        お姉さんのことを愛してる・・・。愛し合っているのに、
        お互い意地を張りながら、このまま生きていくつもり?」
   サリー「・・・だって・・・だって仕方なかったのよ!!最初は、
        スティーブへのあてつけのつもりでダニエルと付き合い
        だしたのに、回りの皆が、私の気持ちを無視して、乗り
        気になって!!まさか、こんなにトントン拍子に・・・!」
   ブラック「男心を弄ぶからだよ。」
   サリー「弄ぶだなんて!」
   ブラック「今、自分の気持ちに素直にならないと、お姉さん一生
        後悔するよ。素直になるには勇気がいるかも知れない
        ・・・。だけど・・・」

         ブラック歌う。

         “素直になってサリー・・・
         自分の気持ちに正直に・・・
         これから続く永遠の幸せの為に・・・”

         サリー、呼応するように歌う。
         サリー、スポットに浮かび上がる。

         “素直になって私・・・
         たとえ今が辛くとも・・・
         あなたがいれば乗り越えられる
         何時も側にいた温かな微笑み
         優しさだけが私を包み
         心の自由が満ち溢れて
         屹度幸せになれる
         素直になろう私・・・!!”

   サリー「私、正直になる!!(振り返ってブラックを見るように。
        ブラックがいないのに気付き、回りを捜すように。)
        ねぇ・・・何処に行ったの・・・?幽霊さん・・・?ねぇって
        ば!!」

         暗転。

    ――――― 第 8 場 ―――――

         人々の慌てる声が聞こえる。

   人々の声「えっ?花嫁がいない!?」
         「何処に行ったんだ!!もう式まで時間がないって言
          うのに!!」
         「サリー!?」
         「サリー!!」

         下手方、スポットに燕尾服姿のダニエル、
         手に紙を握り締めて浮かび上がる。

   ダニエル「サリー!!そんな・・・今になって結婚を止めるだな
         んて!!こんな手紙だけ残して!!サリー!!帰って
         来ておくれよ!!サリー!!(叫ぶ。)my sweet 
         honey!!」

         ダニエル、フェード・アウト。
         同時に、上手方スポットに、跪き両手を合わせた
         ブラック、薄ら浮かび上がる。

   ブラック「さぁ、父様・・・僕は約束の3日間を守ることができま
        せんでした・・・。けど、たとえ何年・・・いや、何十年、
        父さんに時間を貰おうとも、意気地なしの僕には、どう
        しても人間を不幸になど、できそうにありません・・・。
        こんな役立たずの僕を、どうか今直ぐ消滅させて下さい
        ・・・。」

         上手よりバス、デイ、エル登場。と、同時に舞台
         明るくなる。(ブラック、衣装が白に変わっている。)

   エル「おはよう、ブラック兄・・・(ブラックを認めて、驚きの悲鳴
      を上げる。)キャアッ!!ブラック兄様が白い!!」
   ブラック「(エルの叫び声に驚いて立ち上がる。)・・・どうしたん
        だよ・・・?」

         バス、デイ、ブラックを見、驚いたように。

   デイ「白だ・・・」

         エル、デイ、恐々ブラックに近付く。

   エル「・・・お兄様・・・真っ白・・・」
   デイ「(ブラックの回りを回り、ブラックの背に付いている、小さな
      羽に気付く。)何だい、これ?」
   バス「・・・羽?」
   エル「変なの!(笑う。)」
   バス「・・・天使・・・」
   エル、デイ「てんし・・・?」

         その時、天の女神の声が、響くように聞こえる。

   女神の声「そうです・・・。ブラックは死の神ではなく、天の神の
          子・・・即ち、天使なのです。」

   ブラック「・・・天使・・・」
   
   女神の声「ある時、天国へ届けられる筈の一人の天使を、配達  
          人がうっかり落としてしまったのです。ずっと捜して
          いたのですが、今日、ブラックの変身を見るまで、誰
          も見つけることはできませんでした・・・。人間界に落
          ちていたら、もう見つかりはしないと、諦めかけたの
          ですが・・・まさか、死の神の下で育っていたとは・・・。
          あなたの仕事は、人間の魂を導くことではなく、人間
          を幸せにすること・・・。今、一人の人間を幸せに導い
          たことによって、あなたは完全なる天の神へと、変身
          を遂げたのです。」

   エル「それでブラック兄様は、一つも魂を集めることができなかっ
      たのね!」
   
   女神の声「さぁ、ブラック・・・死の神に別れを告げてお戻りなさい
          ・・・。今こそあなたの役割で、人々を幸せへと導くの
          です。」

   ブラック「(嬉しそうに、遠くを見上げる。)はい・・・!!」

         音楽で暗転。









   ――――― “ブラック” エンディングへつづく ―――――









 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    (どら余談^^;)

    最後に「え~・・・そうやってんや~!!」と言ったお話しの
    書き方がとても好きで、毎回、どんな風に“ラスト”を締め
    括ろうかと・・・ワクワクしながら書き上げる一時が、何かを
    書く時の醍醐味だな・・・と、その時を満喫している私です♥

    










      
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