その時、シャーロットの悲鳴が聞こえてくる。(段々大きく。)
2人、上を見る。
ビリー「え?」
アレック「何だ!?」
ビリー「わぁーっ!!」
アレック「えーっ!!」
ビリー「兄貴!!人が落ちて来る!!」
アレック「子どもだ!!」
ビリー「女の子だ!!」
シャーロット「キャーッ!!」
アレック「ビリー、受け止めるぞ!!」
ビリー「ガッテンだ!!」
アレック「わーっ!!」
シャーロット、アレックとビリーの上へ落ちる。
アレックとビリー、シャーロットを受け止めようと
するが倒れる。
アレック「いってぇ・・・」
ビリー「イテテテテテテ!!兄貴・・・兄貴ー!!痛いよ!!腕が!!
(腕を押さえて飛び跳ねる・)」
シャーロット「ごめんなさい!!ごめんなさい!!」
アレック「ビリー!大袈裟なんだよ、おまえは!!」
ビリー「だって兄貴!腕がグニャって!!きっと骨が折れて・・・」
アレック「馬鹿!骨が折れてたら、そんな風に動かねえよ!」
ビリー「あ・・・そっか・・・へへっ・・・」
アレック「それよりおまえ・・・(上を見て。)どっから落っこちて
来たんだ?」
シャーロット「あの・・・さぁ・・・私にもよく分からないの・・・」
アレック「ふーん・・・(不思議そうに上を見ている。)ま・・・
いいか・・・。そうだ、先ず名乗んねぇとな。俺はアレック!
こっちは弟分のビリー。訳あって今は無職だ!で?おまえは・・・」
シャーロット「あっそ・・・(周りをキョロキョロ見回している。)」
アレック「あっそ?あっそって一体何だよ・・・ははーん・・・何か?
おまえの名前はあっそ・・・」
ビリー「(笑う。)」
シャーロット「ねぇ!それより・・・ここはどこ?」
アレック「え・・・?ここか?ここは・・・」
音楽流れる。アレック、ビリー、歌う。
(途中、紗幕開く。)
アレック゛ここは俺達の居場所
貧乏暮らしでも
ただの田舎者さ
だけどいい村なのさ
あの山の 上の城
この国を守る者が暮らす
俺達に 関係は
ないかも知れないがそのお陰だと
こうして平和に暮らしているのは
皆が感謝しているこの国の全て”
ビリー゛守られてることが
だから俺達も
人の役に立つ生き方をするんだよね?”
アレック゛迷惑ばかりかけることが
駄目だと分かったんだ“
ビリー゛そんな風に 考えてたの
ちっとも知らなかったよ”
アレック゛成長しないとな”
ビリー゛見直したよ これからは俺も心を新たに“
アレック゛この村に住む俺達は
皆と同じよう
村が幸せになる為に働くぞ
これからは この村の
中に住む者同士力を
合わせよう そうすれば
おのずと国全体が平和になる
この国を守る誰かの為に
皆が協力することこそが
皆幸せになると言うこと
誰もが誰かの為になること
幸せの輪が出来る筈さ
その中心に 誰も知らない
守る者がいる国さ”
シャーロット「へぇ・・・それで・・・あのお城に住む誰が、この国を
守っているって言うの?」
ビリー「さぁ・・・」
アレック「それは分かんねぇ。ただの言い伝えだけかも知れねぇしな。
それよりおまえ、俺達の質問にまだ答えてねぇだろ?一体おまえは
どっから落っこちて来たんだよ。(上を見る。)」
シャーロット「あ・・・えっと・・・それは・・・多分あのお城の先の森の
中で・・・イタチさんに教えられた木の幹に開いてた穴を
覗いてたら・・・あーっ!!それより私こんなところで遊んで
る暇なんてなかったんだわ!!私、お城へ戻らなきゃ!!
もう直ぐ私の15歳の戴冠式が始まっちゃう!!」
アレック「お城?」
ビリー「戴冠式?」
アレック、ビリー笑う。
アレック「何言ってんだか。あの城に、おまえみたいに15になるって言う
娘はいねぇよ。今はシャーロット王女があの城の当主で・・・
だけどシャーロット王女はとっくの昔に戴冠式を済ませたんだ。
おめぇみたいなガキじゃねぇよ。」
シャーロット「シャーロット王女?シャーロット王女ですって!?」
アレック「あ・・・ああ・・・」
シャーロット「何言ってるのよ!!シャーロット王女は私・・・」
その時、上手後方、机の前に座っていた占いの老女、
顔を上げる。
老女「お嬢さん・・・!何か困り事ですか?」
シャーロット「え?」
音楽流れる。
老女「私があなたの困り事を占って差し上げましょう・・・」
老女、大きな虫眼鏡を取り出し、シャーロットの側へ。
シャーロットを覗き込むように。
老女゛何か見える 影だ 背後 何かよからぬ影がある
これは一体 何の 印 なんて不吉な影
見えないのか? 恐ろしくで 得体の知れぬもの
(アレック、シャーロットの背後を覗き込むように。)
邪悪なもの 気配に満ち 周りを渦巻いて”
シャーロット゛私に何か良くない影がある?”
老女゛その通り 見えるぞ見える”
老女「今からその影の取り去り方を占ってしんぜよう。ごにょごにょごにょ
・・・うむ・・・うむ・・・おお・・・おー・・・」
ビリー「(老女の背後を驚いたように見て。)ば・・・ば・・・ばあちゃん
尻尾・・・?尻尾だ!!」
アレック「ん?」
老女「煩い!!(虫眼鏡でビリーの頭をコツンと叩く。)」
ビリー「あ・・・れ・・・?俺・・・」
老女「ふん!黙っとれ!!」
アレック「ビリー?どうかしたか?」
ビリー「ううん・・・」
老女゛あの城の頂にある 恐ろしい黒い雲
あれこそがそなたの元凶
取り払わねば
今直ぐに城に赴き
住む者を追い出して
城を浄化しないと
悪い事が起こる
そなたの影も消えぬ”
シャーロット「分かったわ!直ぐにお城へ戻って、お父様お母様にお願い
してみるわ!!」
シャーロット、下手へ走り去る。
アレック「あ・・・おい!!そんな城に勝手に行ったって、中に入れて
もらえる訳・・・!!」
ビリー「兄貴・・・」
アレック「仕方ねぇな!!待てよ!!おい待てったら!!一緒に行って
やるよ!!おーい!!」
ビリー「兄貴ー!!」
アレック、シャーロットの後を追って下手へ走り去る。
ビリー、続く。
老女゛我が魔族を封じ込めた
我が魔力の源を
それを奪い 我らやっと
自由になりえるぞ”
老女、笑いながらゆっくり上手へ去る。
紗幕閉まる。
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(どら余談^^;)
気付けば今年も後わずか・・・
皆様、如何お過ごしでしょうか(^.^)
リトルパインは27日に年内最後の練習日を終え、僅かな冬休みへと
突入致しました。
休みが明けると早々に小学校公演があります。
人形は前回の本公演のを使いまわして出来るように書いた新作なので、
洋服を着替えさせるだけで大丈夫だったりするのですが・・・
矢張り初めての作品と言うのは、動きの練習もイロイロと大変で、
メンバー一同、今年は暖冬傾向であるのも加わり、大汗をかきながら
練習に励んでおります^^;
それでは・・・
これからも少しでも皆様の心に留めて頂けるような作品を、
書いていきたいと思っていますので、引き続きリトルパインを
よろしくお願い致します<(_ _)>
今年一年、応援諸々ありがとうございました!
よいお年をお迎えください(^_^)/
ミュージカル人形劇団リトルパイン
どら
゛海の向こうに”より