りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“ジェフリー” ―全11場― 3

2012年04月29日 18時34分13秒 | 未発表脚本


  アイリーン「そんなこと・・・ないわ・・・。確かにショックは受けた
         ・・・。だけど私も心に固く誓って、ここへ来たんです
         もの・・・!!(固い決心を持っているかのように、瞳
         を輝かせて彼方を見詰める。)」
  ジェフリー「(アイリーンを見詰める。)・・・余程・・・固い決心を持
        って来た・・・って訳だ・・・。」
  アイリーン「(ジェフリーを見て、照れたように微笑む。)頭の中じ
         ゃ、もっと上手く踊れる予定だったんだけど・・・。」
  ジェフリー「(思わず、つられるように微笑み返す。)・・・さっきの
        ワルツみたいに・・・?」
  アイリーン「(下を向く。)」
  ジェフリー「・・・社交ダンスでも習ってたか?」
  アイリーン「・・・母が元々踊りの好きな人ですから・・・。私も小さ
         い頃から、その影響で・・・。」
  ジェフリー「・・・コツを掴めば、屹度踊れるようになるだろう・・・。
         」
  アイリーン「・・・え・・・?」
  ジェフリー「あれ程、ワルツでは軽やかに舞うことが出来るんだ
        ・・・。屹度、踊り慣れていないだけで、どんな踊りでも
        こなせる筈だ。」
  アイリーン「・・・本当・・・に?」
  ジェフリー「・・・ああ・・・。」

         ジェフリー、アイリーンを見詰めながら歌う。
         途中、アイリーン、呼応するかのように復唱
         する。(2人のデュエット。)

     ジェフリー“夢見たことが現実に
           夢を夢で終わらせない為に
           誰もが自分の人生を
           無意味なままに済ませぬ為に
           成功と言う名の山頂に
           登り詰めるその時までは
           努力と言う名の階段を
           一段一段踏み締める・・・”

     ジェフリー“夢見た自分があるように”

     アイリーン“夢見た自分があるように”

     ジェフリー“過去に願った些細なことが”

     アイリーン“過去に願った些細なことが”

     ジェフリー“今日と言う日の幸せならば”

     アイリーン“今日と言う日の幸せならば”

     ジェフリー“それは夢の現実と”

     アイリーン“それは夢の現実と”

     2人“人生の舞台の上に登り切った
        夢見た一時を
        スポットライトに包まれたい・・・”

         見詰め合った2人。フェード・アウト。

    ――――― 第 6 場 ―――――

         音楽変わって、下手スポットにダイアナ浮かび
         上がり、今の思いの丈を切なそうに歌う。
         ゆっくり上手方へ。

         “ずっと見ていたあなただけを・・・
         私だけが知っている
         あなたの優しさを・・・
         ずっとあなた以外の誰も・・・
         私の心を動かしは
         しなかったのだから・・・
         スポットライトに包まれた
         昔のあなたは輝いて
         近寄り難い高貴に
         ただ憧れていただけだった・・・
         けど今は・・・
         手を伸ばせば何時も
         そこにいるあなたが
         やっと側にいると
         私を見てくれるなんて・・・
         甘い・・・
         ただ夢を・・・見ていただけなの・・・?
         あなたがとても遠くて・・・”

         フェード・アウト。

    ――――― 第 7 場 ―――――

         カーテン開く。と、稽古場。
         ジェフリー、アイリーンのダンス稽古に
         付き合っている。横にモーリス、座り込んで
         その様子を微笑ましく見ている。
         (アイリーン、初めて踊った時に比べ、見違
         える程、上達し、踊りらしく見えるようになって
         いる。)

  ジェフリー「違う、違う!!何度言ったら分かるんだ!!そこは
        こうだろ!!」

         ジェフリー、踊って見せる。

  モーリス「だけど、最初の頃に比べたら、随分上手くなったじゃ
       ないか。元々、踊れるものを持ってたんだな。」
  ジェフリー「甘いな。まだこんな踊りじゃ、入団テストすら突破で
        きるか分からないんだぞ。」
  モーリス「いくら、将来有望で、振り付け主任のおまえがOK出し
       ても、今踊れなければお偉方に認めてもらえないって訳
       か・・・。」
  ジェフリー「そう言うことだ・・・。」
  アイリーン「私、頑張りますわ!!入団テストまで後3日・・・。何
        が何でも合格したいんです!!」
  ジェフリー「(アイリーンを見て。)・・・分かってる・・・。力を貸して
        やると約束したんだ・・・。」
  モーリス「おいおい、一体何時、そんな約束を交わしたんだ?ほ
       んの一週間程前までは、あんなに下手糞だの何なの・・
       ・。ま、けど良かったな、アイリーン。こいつに任せとけば
       もう俺達の仲間になったも同然だ。(笑う。)」
  ジェフリー「好い加減な奴だな・・・。」
  モーリス「生まれつきでね。そうだ、アイリーン・・・。一度聞きた
        かったんだけど・・・如何してこの劇団を選んだんだい
        ?同じニューヨークには、ここより数倍規模のでかい、
        S・Y・Kだってあるし・・・。同等ならいくらだって・・・。」
  アイリーン「(微笑んで。)それは・・・」

         その時、上手よりハドソン、走り登場。

  ハドソン「大変だー!!ダイアナさんが!!」
  モーリス「ダイアナが!?」
  ジェフリー「如何したんだ!?」

         そこへ上手より、ジョナサンに抱き抱えられた
         ダイアナ、心持ちぐったりしたように登場。
         ジェフリー、モーリス駆け寄る。ジョナサン、
         ゆっくりダイアナを下へ下ろす。ダイアナ、
         苦痛に顔を歪める。

  モーリス「如何したんだ、一体!?」
  ジョナサン「それが、舞台練習の最中にリフトを失敗して、足首
         を捻ったみたいなんです!!」
  ジェフリー「(膝を付いて、ダイアナの足首を手で触ってみる。)
        見せてみろ・・・。」
  ダイアナ「痛いっ!!痛いわ!!痛い・・・(泣く。)」
  ジェフリー「骨に異常はなさそうだ・・・。多分、筋を違えただけだ
        ろうから、一週間もすりゃ、直ぐに良くなるだろう。だが、
        当分の間は・・・」
  ダイアナ「明日のオーディションは如何なるの・・・!?ねぇ・・・、
        皆、黙ってないで何とか言ってよ!!(泣き叫ぶ。)私
        は明日の為に、頑張ってきたのよ!!“ダンサー”を
        やる為にずっと努力してきたって言うのに!!如何し
        てこんな日に・・・!!」
  モーリス「・・・ダイアナ・・・」
  ジェフリー「ダイアナ・・・明日は諦めるんだ・・・。おまえが今日ま
        で、明日の為に頑張ってきたのはよく知ってる・・・。だ
        がここで無理をして、一生俺のようになりたいか?」
  ダイアナ「・・・ジェフリー・・・」
  ジェフリー「ちゃんと治せば、またチャンスは必ず巡ってくる・・・。
        今は悔しいだろうが、それがおまえの為だ・・・。」
  ダイアナ「ジェフリー・・・ジェフ!!(ジェフリーに抱き縋り、泣く。
        )」

         ジェフリー、一時ダイアナが泣き治まるまで
         そっと抱き寄せている。

  ジェフリー「ジョナサン、バーンズ先生の所へ連れて行ってやっ
        てくれ・・・。」
  ジョナサン「分かりました。」
  モーリス「俺も行こう!」

         ジョナサン、ダイアナを抱き抱えて下手へ
         去る。モーリス続く。

  ハドソン「こんなことになるなんて・・・。でも・・・もし明日のオー
       ディションを受けた所で、合格する見込みがなかったん
       なら・・・これでよかったのかな・・・。」
  ジェフリー「(溜め息を吐いて。)幾等、向こうが決めたことでも・・・
        あいつなら実力で主役を奪い取ることが可能だったさ
        ・・・。」
  ハドソン「じゃあ・・・」
  ジェフリー「最初は無理だと思っていた・・・。けど、今のダイアナ
        は、絶対に何とかしたいと思う執念で、100%の実力
        ・・・いや、それ以上の力を漲らせていたからな・・・。」
  ハドソン「・・・そうなんですか・・・。」
  ジェフリー「残念だよ・・・。」
  アイリーン「あの・・・、さっき・・・俺のようになりたいか・・・って・・・
         。」
  ジェフリー「(アイリーンを見て。)・・・馬鹿な話しさ・・・。3年前・・・
        丁度、公演の幕が開いて間もない頃・・・膝の異常に気
        が付いた・・・。だが、俺は一ヶ月間、痛めた膝で、その
        公演を遣り抜いたんだ・・・。俺にとっては、ダイアナが
        憧れ続けた“ダンサー”のような舞台だった・・・。俺には
        途中で降板する勇気がなかったんだ・・・。」
  アイリーン「・・・3年前・・・?その時の作品・・・って・・・」
  ジェフリー「・・・フォーエバー・・・」
  アイリーン「フォーエバー・・・」

         アイリーンの戸惑った表情、スポットに浮かび
         上がる。

  アイリーンの声「(彼方を見遣りながら。)彼に初めて出会って
            ・・・あの日から私は彼のようになりたいと・・・ず
            っと心に思ってきた・・・。なのに・・・その作品が
            彼の運命を変えただなんて・・・!!」

         フェード・アウト。

    ――――― 第 8 場 ―――――

         上手スポットにモーリス浮かび上がり、
         切なそうに歌う。

         “手の届きそうな直ぐ目の前に
         今まで願い夢見たことが
         腕を広げて待つのが見える・・・
         手を差し出し思い切り
         力強く握り締めた
         そう思った瞬間に
         指の間を擦り抜ける
         一滴の甘い思い・・・
         そんな思いが胸に
         一杯広がって今は
         苦い憂いが唯空しい・・・
         そんな・・・
         おまえの心を思って胸が痛む・・・”

         彼方を見遣るモーリス。
         フェード・アウト。

    ――――― 第 9 場 ――――― A

         カーテン開く。と、稽古場。
         中央ジョナサン、ハドソン、肩を寄せ合って
         座り、一枚の新聞に見入っている。

  ハドソン「・・・“ダンサー”の主役に見事・・・劇団S・Y・Kのレイ
       チェル・グランド決まる・・・か・・・。やっぱり・・・。」
  ジョナサン「畜生・・・、ダイアナさえ出てたら・・・。」

         そこへ下手よりダイアナ、杖を突いて
         足を引き摺るように登場。

  ダイアナ「おはよう・・・。(ゆっくり2人の側へ。)」

         ジョナサン、ハドソン、ダイアナに気付いて
         慌てて新聞を丸めて隠し、立ち上がる。

  ジョナサン「・・・お・・・おはよう・・・!」
  ハドソン「おはようございます!!」
  ダイアナ「・・・いいのよ、隠さなくたって・・・。もう知ってるわ。今
        朝のニュースで大きく報じてたもの・・・。」
  ハドソン「なんだ・・・」
  ジョナサン「大丈夫・・・?」
  ダイアナ「(大きく頷いて。)ええ・・・。何とかね・・・。ジェフリーに
        言われた一言は効いたから・・・。」
  ジョナサン「・・・俺のようになりたいか・・・って言う、あれ?」
  ダイアナ「ええ・・・。だってあの時のジェフリーの落ち込みようを
        知ってたら・・・。尋常じゃなかったものね・・・。」
  ハドソン「もう二度と踊れないなら、死んだ方がいい!!とまで、
       言ってたっけ・・・。」
  ジョナサン「本当に死に兼ねなかったぜ・・・。」
  ダイアナ「それを、彼は持ち前の努力で、あそこまでしたんだわ
        ・・・。そりゃ、二度と舞台には立てなくなったけど・・・。
        本当なら、立つことすらできなくなってたって、可笑しく
        なかったのに・・・。」
  ジョナサン「そうだな・・・。アイリーンが、ジェフリーさんをここの
         スターと間違えた程だもんな・・・。」

         ダイアナ、心なしか“アイリーン”の名前を
         聞くと、顔が強張る。そこへ上手より、稽古着
         姿のアイリーン登場。続いてリン登場。

  ハドソン「(アイリーンに気付いて。)やぁ、おはようアイリーン。」
  アイリーン「おはようございます、皆さん。」
  ジョナサン「こんな早くから朝練かい?」
  アイリーン「(恥ずかしそうに下を向いて。)もう直ぐ、入団テスト
         だと言うのに、まだまだ踊れなくて・・・。」
  ジョナサン「ジェフリーがついているんだから、大丈夫さ。な!(
         ハドソンに同意を求めるように。)」
  ハドソン「そうそう。」

         アイリーン、心配そうにダイアナの側へ。
         ダイアナ、一点を見詰め、その顔は怒りで
         紅潮している。

  アイリーン「ダイアナさん、大丈夫ですか?怪我の方は・・・」
  ダイアナ「・・・あなたに心配してもらわなくても結構よ・・・。(静
        かに、だが口調は厳しく。)」
  アイリーン「・・・え・・・?」
  ジョナサン「ダイアナ・・・?」
  ダイアナ「・・・私が何故、こんな怪我を負ったと思ってるの・・・
        !?」
  ジョナサン「如何したんだよ、ダイアナ・・・。何言って・・・」
  ハドソン「ダイアナさん・・・」
  ダイアナ「だってそうでしょ・・・?あなたが来てから、ジェフリー
        はあなたに付きっきりだった・・・。それまでは、何時も
        私の稽古に付き合ってくれていたのよ!!それなの
        に・・・!!だから私は仕方なしに他の団員と練習する
        しかなかったんだわ!!その為に私は足を・・・!!
        如何責任を取ってくれるつもりなの!!」
  アイリーン「・・・私・・・」
  
         リン、心配そうにアイリーンの側へ。
         ハドソン、オロオロと。

  ジョナサン「ダイアナ・・・それは言い過ぎだよ・・・。何もアイリー
         ンはダイアナに怪我をさそうと思って、ジェフリーに
         ダンスのレッスンを受けてた訳じゃないさ・・・。」
  ダイアナ「あなたなんか来なけりゃよかったのよ・・・!!あなた
        なんか今直ぐ辞めればいいのよ!!」
  アイリーン「・・・私・・・(下を向く。)」
  ダイアナ「あなたが辞めないのなら、私が辞めるわ!!」

         ダイアナ言い捨てて、上手へ足を引き摺り
         ながらも早足で去る。













       ――――― “ジェフリー”4へつづく ―――――










 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


     (おまけフォト^^;)

     


     


    クリフくん作品にも、ジュリーちゃん作品にも登場する
   “森に住む魔法使い”・・・(^.^)
   始め、エリィちゃん作品に登場した、顔のない魔法使い
   を使用するつもりだったのですが、団員から“鷲鼻の
   魔法使い”のリクエストがあり、急きょ作ってみました^^;

   分かり難いですが、お鼻の上にちゃんと“イボ”も付けて
   みました(^^)v
   ついでに・・・歯も抜けています^^;

   今日は病院で、松葉杖に立てかけて乾かして、帰って
   来ました~^_^;




   
   
   (どら私的余談^^;)

   今日は、外泊許可をもらって、子どもが帰宅しています(^^)
   
   朝迎えに行って、看護師さん達に退院かのようなお見送りを
   して頂き、ワクワクして帰って来た・・・のは、他でもないこの
   私なのでした~^^;



   あまり色々な工夫も出来ず・・・ただ少しの更新しか出来ない
   日もあり・・・それでも会いに来て下さる皆さん・・・ホントに・・・

   「ありがとうございます<(_ _)>私も出来る限り頑張ります♥」

   










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“ジェフリー” ―全11場― 2

2012年04月22日 21時06分29秒 | 未発表脚本


         モーリス、ジョナサン話しながら上手方へ。
         そこへ上手よりアイリーン登場。其々お互い
         に気付いたように。

  アイリーン「こんにちは。」
  モーリス「やあ、アイリーン。買い物かい?」
  アイリーン「(肩を窄めて。)ただブラブラしてただけ。」
  ジョナサン「君が一人でいるなんて珍しいね。」
  アイリーン「え?」
  ジョナサン「ほら、何時も側にいる・・・」
  モーリス「リンなら、今さっきロマンスグレー風の紳士と一緒に
       何処かへ行ったよ。(少し探るような面持ちで、アイリー
       ンを覗き込むように。)」
  アイリーン「(しどろもどろに。)え・・・あの・・・多分・・・あれは・・・
         お兄様・・・そう、彼女のお兄様なんです!!」
  モーリス「・・・兄さん・・・?」
  アイリーン「ええ!!2人兄妹で、とても仲がいいの!!」
  モーリス「へぇ・・・。えらく歳の離れた兄妹なんだね・・・。」
  アイリーン「・・・ええ・・・。そうなんです・・・。」
  ジョナサン「(腕時計にチラッと目を遣り、モーリスを突く。)モー
         リスさん!そろそろ行かなけりゃ!」
  モーリス「ああ。そうだ!(アイリーンに。)これから何処かへ行く
       用事でも?」
  アイリーン「・・・いいえ・・・。(不思議そうに。)」
  モーリス「よかったら、これからジェフリーの家で、ダイアナの誕
       生日パーティをやるんだ。一緒に如何だい?」
  アイリーン「ジェフリーさんの家で・・・?」
  ジョナサン「ジェフリーさんの家は、団員達の溜り場みたいなも
         のなんだ。ね、モーリスさん!」
  アイリーン「でも私・・・プレゼントも何も・・・」
  モーリス「そんなこと気にしなくていいんだよ。仲のいい奴らが
       集まって、ワイワイやるだけだから。さ、行こう!」

         モーリス、アイリーンの背中を軽く押して、
         エスコートするように上手へ去る。
         ジョナサン、2人に続く。
         暗転。

    ――――― 第 5 場 ―――――

         紗幕開く。と、舞台はジェフリーの家。
         下手よりに、一つのソファーとテーブルが
         置かれている。
         ソファーにダイアナ、腰を下ろして雑誌を
         膝の上へ置きパラパラと捲っている。
         側へハドソン、ポップコーンの入ったバケツ
         を片手に抱かえ、ポップコーンを口へ放り
         込みながら。

  ハドソン「皆、遅いなぁ・・・。」
  ダイアナ「でもまさか、皆で私の誕生日パーティを開いてもらえ
        るなんて。」
  ハドソン「俺、お腹空いたなぁ・・・。」
  ダイアナ「私には、あなたがさっきからずっと、何か食べてたよ
        うに思えたけど・・・。(クスクス笑う。)」
  ハドソン「そんなことないっすよ。嫌だなぁ、ダイアナさん。(相変
       わらず口は動いている。)」

         そこへジェフリー、片手にカクテルグラスを
         数個乗せた盆、もう片手に酒瓶を持って、
         下手奥より登場。

  ジェフリー「おい、ハドソン、好い加減にしとけよ。(テーブルへ盆
        と酒瓶を置く。)」
  ダイアナ「(本をテーブルの上へ置き、立ち上がる。)何か手伝い
        ましょうか?」
  ジェフリー「今日はダイアナが主役なんだから、ゆっくり座っとけ
        ばいいんだよ。(グラスに飲み物を注いで、ダイアナに
        差し出す。)」
  ダイアナ「ありがとう。(グラスに口を付ける。)」

         その時、入口の呼び鈴の音が響く。
         3人、一斉に下手方を向く。

  ジェフリー「やっと御出座しだ。」
  ハドソン「俺、出て来ますよ!」

         ハドソン、走って下手へ去る。

  ダイアナ「ジェフリー・・・今日はありがとう・・・。まさかここで私の
        誕生日パーティをしてもらえるなんて・・・。あなたが声
        を掛けてくれた時、私・・・」
  ジェフリー「モーリスの奴が、如何してもダイアナの為にパーティ
        を開こうって言いだしてね。(笑う。)」
  ダイアナ「・・・そう・・・モーリスが・・・」
  ジェフリー「あいつは何時も、君のことになると熱心だよな。余程
        ダイアナのことが・・・」
  ダイアナ「(ジェフリーの言葉を遮るように。)ジェフリー、私は・・・
        !!」
  ジェフリー「・・・え?」

         そこへ下手よりハドソン、モーリス、ジョナサン、
         アイリーン登場。

  モーリス「遅くなって悪かったね。ジョナサンの奴がモタモタして
       てさ。」
  ジョナサン「すんません。(頭を掻く。)」
  ジェフリー「(アイリーンに気付いて。)・・・彼女は・・・?」
  モーリス「飛び入りだ!構わないだろ?来る途中、偶然出会っ
       たんだ。」
  アイリーン「お邪魔します。(頭を下げる。)」
  ダイアナ「・・・嬉しいわ、こんな沢山の人に祝ってもらえるなん
       て!さ、アイリーン!こっちへ来て座って!」

         アイリーン、頷いてダイアナの側へ。
         ジョナサン、袋から箱を取り出し、テーブル
         の上へ。箱を開けるとケーキが入っている。

  モーリス「おめでとう、ダイアナ!(電気のスイッチを押すように。
        部屋が薄暗くなる。)」

         音楽流れ、皆歌い出す。
         ジョナサン、ローソクの火を点ける。

         “おめでとう!ダイアナ!
         今日だけは
         君の為に歌おう
         皆で声揃え    
         おめでとう!ダイアナ!
         願い事を
         心に決めて共に祈ろう      
         今日は
         君の為だけにある!!”

  モーリス「さぁ、ダイアナ!」
  
         ダイアナ、嬉しそうに頷いて、ローソクの
         火を消す。
         皆、口笛を吹いたり拍手したり歓声を上げる。

  ダイアナ「ありがとう!」

         曲が大きく流れる。
         
  モーリス「(ダイアナの前へ立ち、手を差し出す。)今日の女王様
       に、一曲お相手願えますか?」
  ダイアナ「(一瞬、戸惑ったような面持ちで、チラッとジェフリーを
        見るが、微笑んでモーリスに向く。)喜んで・・・。(手を
        差し出す。)」

         モーリス、ダイアナ、前方へ行って、曲の流れ
         に乗り、ワルツを踊る。

  ジョナサン「ちぇっ!上手いことやってら!(咳払いをして、服を
         整え、アイリーンの前へ立ち、手を差し出す。)お嬢
         さん、僕と一曲、お相手願えませんか?」
  アイリーン「私でよければ・・・(微笑んで、手を差し出す。)」

         ジョナサン、アイリーンの手を取って前方へ。
         ワルツを踊る。と、アイリーン、優雅にワンピ
         ースの裾を翻しながら、たじろぐジョナサンを
         リードするように踊る。

  ハドソン「(踊っているカップルの方を見ながら。)もしかして、ア
       イリーンって・・・リンが言ってた通り、ワルツは凄く上手
       いのかも・・・。(笑って。)ジョナサンの奴、アイリーンに
       リードされてら・・・。」

         ソファーに座って、グラスを傾けていた
         ジェフリー、その声に踊っているカップルの
         方へ視線を遣り、アイリーンを見詰める。
         踊っていたモーリス、ダイアナ、踊りを止めて
         半ば呆然とアイリーンを見詰める。

  モーリス「・・・へぇ・・・ワルツを踊っている時のアイリーンって、
       稽古場とは全くの別人なんだ・・・。」
  ダイアナ「・・・そうね・・・」

         2人、再び踊り出す。
         アイリーンの身のこなしに付いていけない
         ジョナサン、突っ掛かったりする。

  ジョナサン「(踊りを止めて、アイリーンを離す。)ごめん、付いて
         いけないや・・・。ワルツ、本当に上手いんだね。」

         その時、ソファーから立ち上がって、2人の
         側へ来たジェフリー、ジョナサンの肩を掴む。

  ジェフリー「彼女相手に、おまえの踊りじゃ無理だ。」
  ジョナサン「(振り返って。)ジェフリーさん・・・」
  ジェフリー「(アイリーンの前へ立ち、正式にダンスを申し込むよ
        うに、胸に手を当て頭を下げる。)一曲お相手願えます
        か?」
  アイリーン「(嬉しそうにジェフリーを見詰め、お辞儀をする。)喜
         んで・・・」
  
         ジェフリー、アイリーンの手を取って踊り出す。
         音楽豪華に。2人の踊りは丸で舞踏会の紳士    
         淑女のように、流れるように綴られていく。
         ジョナサン、ハドソン、憧れの眼差しで2人に
         見入る。踊っていたダイアナ、2人に気付き、
         踊りを止めて呆然と2人を見詰める。

  モーリス「ダイアナ・・・?(ダイアナの視線に気付き、ジェフリー
       とアイリーンを見る。)ジェフリー・・・アイリーン・・・」

         暫くの踊りの後、曲の終わりと共にジェフリー、
         アイリーン、礼を交わし離れる。ジョナサン、
         ハドソン、拍手を贈る。

  ダイアナ「(モーリスに。)疲れたわ・・・。休んでいい?」
  モーリス「大丈夫かい?」
  ダイアナ「ええ・・・。」

         ダイアナ、ソファーへ腰を下ろす。

  ジョナサン「お疲れ。それにしてもアイリーン、素晴らしかったよ
         !ワルツなんか、何処で習ったんだい?昨日今日、
         行き成り踊った訳じゃないだろ?」
  ジェフリー「・・・あんなに稽古場じゃ、手の付けようがない程の、
        落第者のおまえがね・・・。ワルツだけは褒めてやるよ
        ・・・。」
  モーリス「また、そんなつっけんどんに・・・。本当は驚いて、心臓
       なんかバクバク言ってるんじゃないのか?」
  ジェフリー「・・・確かに、驚いているのは事実だがね・・・。」
  モーリス「(意外そうにジェフリーを見て)へぇ・・・。今日はまたや
       けに素直じゃないか・・・。」

         アイリーン、恥ずかしそうに下を向く。
         ダイアナ立ち上がる。
         
  モーリス「ダイアナ・・・?」
  ダイアナ「(微笑んで。)少し外の空気、吸ってくるわ・・・。」
  ジェフリー「如何した?」
  ダイアナ「あ・・・、来週のオーディションのことを考えると、最近
        余り眠れなくて・・・。さっき飲んだシャンパンが利いて
        きたみたい・・・。」
  モーリス「オーディションなんて、そんな堅苦しく考えることない
       んだよ。ダイアナには実力があるんだから大丈夫!!
       もっと自信を持ってごらん!!」
  ダイアナ「ありがとう・・・。直ぐに戻るから心配しないで・・・。」
  モーリス「一緒に行こうか?」
  ダイアナ「大丈夫よ。」

         ダイアナ、下手へ去る。

  アイリーン「大丈夫かしら・・・?私見て来ましょうか?」
  モーリス「・・・いや・・・。大丈夫だろう。風に当たれば、直ぐに酔
       いも醒めるさ・・・。」
  ジェフリー「・・・優しさだけが、男の勲章じゃあないぜ・・・。」 ※
  
         モーリス、ジェフリーを見る。

  ジェフリー「・・・全く、相変わらず甘い奴だな・・・。」
  モーリス「(鼻で笑って。)甘い奴・・・?じゃあ、おまえみたいに
       冷たく突き放すことが、本当の優しさだと思っているの
       か?(笑う。)」
  ジェフリー「そう言う場合も無きにしも非ず・・・ってことさ・・・。」
  モーリス「じゃあ、おまえは彼女に実は“ダンサー”のオーディシ
       ョンは単なる体裁に過ぎない!!主役はもう、某劇団
       のプリマドンナに決まってるんだってことを、馬鹿正直
       に教えろと言うのか!?」
  アイリーン「・・・え・・・?」
  ジョナサン「もう・・・決まってる!?」
  ハドソン「えーっ!!」
  ジェフリー「安易に“大丈夫”なんて言葉で、その場凌ぎをするん
        じゃない・・・って言ってるんだよ・・・。本当のことを教え
        てやって、次のチャンスに賭けた方がいい・・・と、助言
        してやる方が、よっぽど親切だと俺は思うね・・・。」
  モーリス「そんなこと・・・!!“ダンサー”は、彼女の夢だったっ
       て言うのに!!」
  ジョナサン「どう言うことですか!?“ダンサー”の主役が、もう
         決まってるって!!」
  ハドソン「じゃあ、ダイアナさんは如何なるんですか!?」
  ジェフリー「こう言う世界では、よくある話しさ・・・。K・ハーマン・
        ブライスカンパニーをスポンサーに持つ劇団、S・Y・K
        の差し金で、皆買収されてるのさ!!」
  アイリーン「・・・カスト・ハーマン・・・ブライスカンパニー・・・」
  ジェフリー「上演場所が、K・ハーマン所有の劇場じゃ、仕方ない
        さ・・・。」
  モーリス「仕方ない!?仕方ないだと!?よくもそんな・・・!!
       (思わずジェフリーの襟元を掴む。)」
  ジェフリー「・・・おまえがダイアナのことで、むきになるのはよく
        分かる・・・。だが、今までも日常茶飯事で行われてき
        てたことだ・・・。」
  モーリス「(手を離す。)・・・分かってるんだ・・・。だけど・・・!!」
  ジョナサン「(呆然と。)金のある奴が、夢を手に入れることが出
         来るなんて・・・」
  モーリス「ダイアナの様子を見てくるよ・・・。(下手へ行きかけて
       止まる。)ジェフリー・・・ついカッとなって、悪かったな・・・
       。」
  ジェフリー「・・・いや・・・。」

         モーリス、下手へ去る。

  ハドソン「・・・俺達が頑張ってることが、無意味に思えてくるよ
       ・・・。」
  ジェフリー「ハドソン!!・・・無意味なことなんて、何もないんだ
        ・・・!!(静かに、だが口調は激しく。)」

         ジェフリー、遣り切れなさに堪える思いを、
         呟くように歌う。
         ジェフリーとアイリーン残して、紗幕閉まる。
         アイリーン物悲しそうにジェフリーを見詰める。

         “夢見たことが現実に・・・
         夢を夢で終わらせない為に・・・
         誰もが自分の人生を・・・
         無意味なままに済ませぬ為に・・・
         成功と言う名の山頂に・・・
         登り詰めるその時までは
         努力と言う名の階段を・・・
         一段一段踏み締める・・・”

         ジェフリー、空しそうに上手方へ行こうとする。

  アイリーン「・・・あの・・・!!」

         ジェフリー、ゆっくり振り返る。
         アイリーン、躊躇ったように口籠る。

  ジェフリー「・・・なんだ。」
  アイリーン「・・・本当に・・・そうなんですか・・・?さっきの話し・・・
         。本当に・・・そんな風に・・・夢をお金で買うなんて・・・
         。」
  ジェフリー「(両手をポケットに突っ込んで。)言っただろ・・・?甘
        い夢にも、必ず見えない裏側があるんだってことを・・・
        。」
  アイリーン「・・・そんな・・・」
  ジェフリー「・・・だが、俺達はそんなことに屈することは出来ない
         んだ・・・!!いいか!?夢を叶えるとはそう言うこと
         だ!!どんな試練を目の前に突き付けられようと、
         それを乗り越えて突き進んで行く!!夢を叶える為
         には・・・。(アイリーンを見て。)・・・夢を・・・叶える為
         に来たんだろ・・・?それとも、見たくない部分を目の
         当たりにして、今まで“夢”だなんて甘い響きに酔って
         いただけの自分の本心が分かったか・・・?」










          ――――― “ジェフリー”3へつづく ―――――
 










        ※ 何と古めかしい台詞でしょうか・・・^^;



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



    (どら余談^^;)

   今日からグーグル版“ワールド”Only作品の投稿を始めまし
   た(^^)v
   まだ趣味的に書いていた頃の作品なので、とっても未熟感一
   杯の作品ではありますが、またよければ、そちらもご覧下さい
   ね(^.^)

   さて、子どもの入院生活も早40日・・・(>_<)
   結構一杯一杯の毎日を過ごしております(-"-)
   ブログの更新も、眠い目を擦りながら・・・の状態の為、皆さん
   には不満足な作品をご覧頂いているかも・・・と、申し訳なく思
   っていますが、それでも毎日来て頂いている皆さんには、ホン
   ト、見えない応援をして頂いているようで、感謝の気持ち一杯
   です<(_ _)>

   春公演も目前に迫って来て、準備などにも追われる日々では
   ありますが、頑張って皆さんの気持ちに応えることが出来るよ
   う、少しでも努力して行く所存ですので、これからもヨロシクお
   願い致します<(_ _)>



                






http://milky.geocities.jp/little_pine2012/performance.html

         http://ritorupain.blogspot.com/

     http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
 







“ジェフリー” ―全11場―

2012年04月15日 19時58分30秒 | 未発表脚本


   
      

        少しピンボケですが・・・お許し下さい^^;



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    〈 主な登場人物 〉

    ジェフリー  ・・・  ある劇団の振付師。

    アイリーン  ・・・  その劇団に入団希望でやって来た娘。

    モーリス  ・・・  ダンサー。ジェフリーの友人。

    ダイアナ  ・・・  劇団のスター。ジェフリーに思いを寄せる。

    リン

    その他


 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    ――――― 第 1 場 ―――――

         幕が上がる。と、其々ポーズを取った男女、
         順次飛び出すように登場。歌い踊る。

         “夢見たことが現実に
         夢を夢で終わらせない為に
         誰もが自分の人生を
         無意味なままに済ませぬ為に
         成功と言う名の山頂に
         登り詰めるその時までは
         努力と言う名の階段を
         一段一段踏み締める

         夢見た自分があるように
         過去に願った些細なことが
         今日と言う日の幸せならば
         それは夢の現実と
         人生の舞台の上に登り切った
         夢見た一時を
         スポットライトに包まれたい”

         再びポーズで、曲調変わり、踊っていた男女、
         ゆっくり左右へ去ると、中央後方、バックポーズ
         の男(ジェフリー)振り返る。
         稽古着に身を包み、首にタオルを巻いたジェフリー、
         歌いながらゆっくり前方へ。

         “優しい思いが心を過り
         温かな温もりが頬を過ぎる・・・
         胸を締め付けられるような
         未来への期待が
         迸る泉のように溢れ返る・・・
         それが今生きている一つの証
         過去に残した思いの丈を
         今新たに見詰め直す・・・
         その時側に期待に包まれ
         明るい明日への
         道案内に導かれ
         希望の扉を今開こう・・・”

         何かに取り付かれたように、激しく踊るジェフリー。
         (途中、タオルを放す。)
         決めのポーズで、息を切らせながら、放したタオル
         をゆっくり拾い、払う。
         と、下手奥より、ジェフリーの踊りを見ていたように
         興奮した様子で、拍手しながら一人の娘(アイリー
         ン)登場。ジェフリーの側へ。

  アイリーン「あなた、ここのスターさんですわね!!」
  
         ジェフリー、怪訝そうにアイリーンを見る。
  
  アイリーン「だって今のあなたの踊り、もう素晴らしくって感動し
         ましたもの!!ほら、胸がこんなに!!(思わずジェ
         フリーの手を取って、自分の胸に当てる。)」
  ジェフリー「おい!!(驚いて、手を引っ込める。)」
  アイリーン「あ・・・私ったら!!ごめんなさい!!(自分のした
         ことに初めて気付いたように、恥ずかしそうに下を
         向く。)」
  ジェフリー「・・・何か用か・・・?」
  アイリーン「(瞳を輝かせて、ジェフリーを見る。)私、アイリーン
         と申します!!ここに入れてもらいたくて!!入団
         希望者です!!私、あなたのように上手く踊れるよ
         うになりたくて来ましたの!!」
  ジェフリー「(アイリーンを頭の天辺から足先まで、怪訝そうに見
        詰めて。)・・・おまえが・・・?」
  アイリーン「ええ!!(ジェフリーの視線に気付いて、自分の姿
         を見る。)・・・何か・・・可笑しいですか・・・?」
  ジェフリー「・・・別に・・・。(上手方へ汗を拭きながら、行こうとす
        る。)」
  アイリーン「待って!!どうしたら私も、入れて頂けるのかしら!
         ?」

         ジェフリー、振り返ってアイリーンを見る。
         アイリーン、返事を待つようにジェフリーを
         見詰める。
      
  アイリーン「あの・・・?」
  ジェフリー「(溜め息を吐いて。)奥の事務局へ行って、所定の
        用紙を貰って来い・・・。全てはそれからだ。ただし、誰
        でも入れる訳じゃない・・・。2週間の研修期間を置い
        て、それから試験をする・・・。入団テストだ。それに合
        格して初めて、団員になれるチャンスを与えられる研
        究科生に名を連ねることが出来る・・・。」
  アイリーン「そうしたら、私もあなたのように踊れるようになるの
         ね!!(瞳を輝かせ、彼方を見遣る。)」
  ジェフリー「(呆れたように溜め息を吐いて。)おい・・・、分かって
        るのか?入団する為には・・・」
  アイリーン「私、ずっと夢見てたの!!」

         アイリーン、期待に胸膨らませるように、彼方を
         見遣り歌う。
         途中、ジェフリー首を傾げて、呆れたような面持
         ちで、上手へ去る。
         アイリーン、スポットに浮かび上がる。

         “何時か大空へ飛び立つことを・・・
         何時か羽根を大きく広げ
         夢と言う名の大空へ・・・
         大空へ飛び立つことを
         幼い頃から憧れた
         夢見続けたちっぽけな
         心に抱いた
         溢れんばかりの私の理想・・・
         夢は叶える為に見る・・・
         夢を本当に変えてこそ
         夢見た昨日が輝き増す・・・
         夢と言う名の大空へ
         大空へ今飛び立とう・・・”

         フェード・アウト。

    ――――― 第 2 場 ―――――

         紗幕前。フェード・インする。と、左右に稽古着に
         身を包んだモーリス、ダイアナ、其々ポーズして
         いる。2人、見詰め合い思いを込めて“ラヴ・ソン
         グ”を歌う。ゆっくりお互いを求めるように、手を
         差し出し中央へ。

     モーリス“君と知り得たことに
           運命の出会いと心からの感謝を・・・”
   
     ダイアナ“あの時の感動を
           何時までも胸に抱きながら・・・”

     モーリス“偶然で済ますには余りにも・・・”

     ダイアナ“一体どれ程の高鳴りを・・・”

     2人“あなたが側にいるだけで
        世界は丸で2人の為に・・・
        宇宙の果てが永遠であるように
        2人が共にいる限り
        星の輝きが2人を祝福する・・・”

         手を取り合い、彼方を見遣る。
         曲が終わると、2人さっと離れる。

  モーリス「あのさ、今の最後のとこ・・・」
  ダイアナ「何?」
  モーリス「(再び最後のポーズを取る。)これでもいいんだけど、
        この方が(ダイアナを胸に抱く。)思いが込められてる
        ような気がしないかな?今までの誤解が解けて、漸く
        結ばれたって言うのに、手を取り合っただけで、俺なら
        我慢できないと思うけどね。」
  ダイアナ「そうね・・・。」

         モーリス、ダイアナ考えている風に。
         そこへジェフリー、上手より憤慨したように
         登場。

  モーリス「(ジェフリーを認め。)ジェフリー!丁度よかった!!」
  ジェフリー「俺は今、忙しいんだ、後にしてくれ!!(2人の前を
         通り過ぎてスタスタと。)」
  モーリス「(ジェフリーを追い掛けるように。)忙しいって・・・?出
        掛けるのか?デート!?」
  ジェフリー「(立ち止まって溜め息を吐く。)何の用なんだ!早く言
        えよ!」
  ダイアナ「荒れてるのね。」
  モーリス「(笑って。)こいつは元々短気な奴だから。どうせまた、
        くだらないことにイライラしてるんだろ?」
  ジェフリー「くだらない・・・?ああ、本当にくだらないことさ!!今
         度来たあの女・・・!!」
  モーリス「あの女・・・?」
  ダイアナ「アイリーンのこと・・・?」
  ジェフリー「何が入団希望者なもんか、全く!!」
  モーリス「(笑って。)如何したんだよ。」
  ジェフリー「俺は今まで色んな奴を見てきたが、あんな踊りらしく
         ない踊りを踊る奴を見たのは生れて初めてだ!!」
  モーリス「(声を上げて笑う。)何だそんなこと・・・。」
  ジェフリー「そんなこと!?」
  ダイアナ「私だってここへ来るまで、ダンスなんてしたことなかっ
        たのよ。それをあなたがここまでにしてくれたんじゃな
        い。」
  ジェフリー「俺は元々持っている素質を引き出してやることなら
        できる!だが、あいつのは・・・!(溜め息を吐いて、首
        を振る。)下手糞なんてもんじゃないんだぞ・・・!!」

         モーリス、ダイアナ、顔を見合わせ、肩を窄める。

    ――――― 第 3 場 ―――――

         前場から3人残したまま。
         音楽で紗幕開く。と、稽古場。
         中央、団員ジョナサン、ハドソン、踊りの
         練習をしている。一寸離れてアイリーン、
         見様見真似で踊っている。
         アイリーンの脇に、心配そうに佇むリン。
         それを見て、モーリス、ダイアナ踊りに加わる。
         ジェフリー、一寸脇へ寄り、腕組しながら、皆
         の踊りを見ているが、アイリーンを認めると、
         呆れたように顔色を曇らせる。
         途中ジェフリー、見ているのが歯痒いように、
         踊りに加わり激しく踊る。
         それまで踊っていた団員、付いていけないと
         いった風に、横へ避ける。
         ジェフリー、暫く踊った後、苦痛に顔を歪め、
         膝を押さえる。

  モーリス「(駆け寄り。)ジェフリー!!」

         他の団員達も、ジェフリーの側へ。

  ジェフリー「何でもない・・・。(手を差し出すモーリスを避けて、団
        員達を見る。)悪かったな。練習を続けてくれ。」
  ジョナサン「ジェフリーさん・・・」

         団員達、心配そうに顔を見合わせながら、
         ジェフリーの言葉に従い兼ねている。

  アイリーン「(嬉しそうに、ジェフリーに近寄って。)矢張りあなた
         の踊り、何て素敵なんでしょう!!如何して、あなた
         は舞台に立たないんですの!?そんなに上手なの
         に・・・。」
  ジェフリー「(汗を拭いながら。)関係ないね・・・。」
  ハドソン「今の見てて分からなかった?」
  アイリーン「え・・・?」
  ハドソン「膝を悪くしたからなんだよ。」
  ジェフリー「ハドソン!!」

         ハドソン、“仕舞った”と言う風に、肩を
         窄める。

  アイリーン「・・・まぁ・・・そうでしたの・・・。私ったら、何も知らなく
         て・・・。ごめんなさい・・・。」
  モーリス「何も君が謝ることじゃないさ。な、ジェフリー!」
  ジェフリー「おまえが何に憧れて、甘い夢を見てるのか知らない
        が、その夢にも裏側があるんだと言うことを、よく覚え
        ておけ・・・。如何して俺が、振付師なんて抑えた職業
        に甘んじているのか・・・。」
  モーリス「ジェフリー・・・」
  ジェフリー「あんな踊りしか踊れないのなら、夢は見るだけにし
        といた方がいいってことだ。」
  モーリス「ジェフ!!」
  アイリーン「だって・・・こんな踊りは生れて初めてで・・・」
  リン「アイリーン・・・は、ワルツなら得意ですのよ!!」

         他の団員、聞いていた風に声を上げて
         笑う。

  ジョナサン「ワルツだってさ。」
  アイリーン「リン・・・」
  リン「すみません・・・。」
  モーリス「(リンに)君は?何時もアイリーンの側にいるけど・・・。
       入団希望者でもなさそうだし・・・。」
  アイリーン「あの・・・親友なんです!!昔からの友達で・・・!!
         それで私に付いて・・・。リンがいては迷惑でしょうか
         ・・・?」
  モーリス「いや、構わないよ。(微笑む。)」
  ジェフリー「踊りもまともに踊れないなら、生活の面倒まで見ても
        らうお守がいる訳だ・・・。(下手方へ行こうとする。)」
  モーリス「ジェフリー!(ジェフリーの後を追うように。)」

         リン、アイリーンを慰めるように、上手へ去る。

  モーリス「ジェフリー!何でおまえは女性にもう少し優しく接する
       ことが出来ないんだよ!況してや彼女はまだ昨日来た
       ばかりじゃないか。」
  ジェフリー「俺は嘘は吐けないんでね。」

         ジェフリー、下手へ去る。

  モーリス「ジェフリー!!」

         モーリス、ジェフリーを追い掛けるように
         下手へ去る。

  ジョナサン「ダイアナ!来週の“ダンサー”のオーディション、受
         けるんだって?」
  ハドソン「へぇ。」
  ダイアナ「ええ・・・。ここの公演が迫って来てるし、どっちつかず
        になるのは嫌だったから、迷ったんだけど“ダンサー”
        は、私の小さい頃からの夢だったの!だって、私が今
        この世界にいるのは、小さい頃見た“ダンサー”の舞台
        があるからなんだもの。」
  ハドソン「そうだったんだ。“ダンサー”か・・・。踊りが好きで好き
       で堪らない娘が、貧乏な家の為にダンス教室に通えな
       くて、何時も教室に楽しそうに通う友達を、羨ましく見て
       たある時、偶然知り合った老紳士に気に入られ、とんと
       ん拍子に運と実力を持って、出世街道を伸し上がってい
       くと言う話し・・・。現代のシンデレラストーリーですよね。
       」
  ジョナサン「ダイアナなら絶対ものに出来るさ!」

         ジョナサン、ハドソン、肩を組みながら
         嬉しそうに歌う。

         “何時も人一倍の努力を惜しまず
         陰でコツコツ練習に明け暮れる
         決して人前に現れず
         裏で流した涙のことも
         朝陽が昇れば笑顔と共に
         掻き消える
         ダイアナ ダイアナ
         いよいよ幕が上がりスポットが当たる
         スターを夢見て唯ひたすら待ったチャンスの時
         ダイアナ ダイアナ
         君なら屹度未来を手に入れる筈
         誰よりも努力することを惜しまない
         君だから・・・”

         ダイアナ、呼応するように彼方に夢を
         馳せながら歌う。

         “私なら・・・
         ずっと頑張ってきた証・・・
         私なら屹度
         夢を叶えることが出来る・・・
         努力だけは誰だって
         私に敵う者はない
         希望に満ちた未来をこの手に入れるまで
         何時までだって踊り続けるの・・・”

         紗幕閉まる。

    ――――― 第 4 場 ―――――

         紗幕前。
         車の通行音や、人々の往来が聞こえる。
         リン、上手後方客席より登場。ゆっくり誰かを
         捜すように、前方へ。立ち止まる。
         一時置いて、下手よりモーリス走り登場。

  モーリス「(腕時計を見ながら。)遅くなったな・・・。急ごう。」
  リン「(モーリスには気付かずに、上手方を見たまま。)Mr.ブライ
     アン!」
  モーリス「(前方へ行き掛けてリンを認める。)・・・あれ・・・?あの
       子は確か・・・。」
  
         リン、手を上げて、舞台上手へ去る。
         モーリス、上手を覗き込むように。

  モーリス「・・・歳は60前後・・・白髪の紳士・・・か・・・。恋人?・・・
        いや、まさか・・・(笑う。)父親・・・?には見えなかった
        なぁ・・・。(ゆっくり前方へ行きながらブツブツと。)」

         そこへ下手よりジョナサン、両手に荷物を
         提げて、息を切らせながら走り登場。
         上手方を見ているモーリスを認め、不思議
         そうに近寄り、モーリスの肩を叩く。

  モーリス「(驚いたように振り返る。)おまえか・・・。」
  ジョナサン「如何したんですか?(嬉しそうに上手方を見て。)
         いい女でもいたのかな?」
  モーリス「馬鹿!(ハッとしたように。)それより遅かったじゃない
       か!こっちの方が遅れたと思って、慌てて走って来たっ
       てのに!」
  ジョナサン「あ・・・すみません。(両手に持っていた袋を見せる
         ように。)買い物に手間取っちゃって。」
  モーリス「ほら、半分貸せよ・・・。(ジョナサンの持っていた袋を
        一つ取る。)早く行かないと、皆がお待ちかねだ。」

              










      ――――― “ジェフリー”2へつづく ―――――











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“ミーナ” ―全○場―

2012年04月14日 22時22分13秒 | 新作(人形劇用)



   最近、私的なことでバタバタしてた為、頭が中々物書き
  モードに入らなかったのですが、そんな中、少し書き始めた
  作品が半分程度まで進んだので、そろそろ皆さんにご覧
  頂こうかと思います(^^)v
  
  今回は、春公演で“犬の国”のお話しをご覧頂くのに対し、
  “猫の村”のお話しなんかを書いてみようかな・・・と^^;

  どの作品でもそうですが、私の中にあるテーマの一つが
  この“姿形は違っても”・・・と言う、誰でも生きる者全てが
  平等なんだよ・・・と言ったことであり、今回もそんな思い
  を組み込んだお話しに書き上げようと・・・(思わなくても、
  勝手にそう仕上がるんですけどね・・・^^;)考えています
  ので、また、皆さんも一緒に読み進めて頂けると嬉しいで
  す♥



                              どら。




 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ 


    〈 主な登場人物 〉

   ミーナ  ・・・  本編の主人公。
             人間に生まれたかった子猫。

   一番ネコ  ・・・  自分は、猫の村の村長の次に偉いと豪語
               している。

   ネコ吉  ・・・  ミーナの父親。

   ミータ  ・・・  ミーナの母親。

   老ネコ  ・・・  村の年寄りネコ。


   その他


 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    ――――― 第 1 場 ――――― A

         静かに音楽流れ、幕が開く。
         と、真っ暗な舞台中央スポットに、一匹の
         子猫(ミーナ)、丸まって横になっている。

  ミーナ「うーん・・・(ゆっくり起き上がり、何かを見ているように。)
      わぁー・・・ここが、私が今から生まれる世界なのね・・・。
      へぇ・・・皆、楽しそうに行き来してるのねぇ・・・。早く、私も
      あんな風に素敵な格好で、颯爽と道を歩きたいわ!」

         その時、車の急ブレーキの音(“キキーッ”)が
         響き渡る。

  ミーナ「キャーッ!!(頭を抱え、座り込む。)」

         ミーナ、フェード・アウト。
         人々の声が聞こえる。

  人間の声「馬鹿野郎!!」
        「猫だ!!」
        「ゴミ箱をあさってた猫が、車の前へ飛び出したぞ!!」
        「全く・・・危うく引いちまう所だったじゃないか・・・。」
        「やれやれ・・・」
        「最近、この辺りはノラ猫が多いわねぇ・・・。」

    ――――― 第 1 場 ――――― B

         舞台明るくなる。と、猫の村の風景。
         ポーズを取ったネコ達、楽しそうに歌い踊る。

         “ネコ ネコ ネコ!!
         ネコの村へようこそいらっしゃい
         ネコ ネコ ネコ!!
         我らがネコのネコの為の村
         ここにいれば平和で安全
         何も怖いことはない
         我らが築いた安らぎの場所
         人間世界と隔絶された
         我らがネコの村!!”

         そこへ、ミーナの父(ネコ吉)に抱えられた
         ミーナの母(ミータ)登場。
 
  ネコ吉「みんな!!大変なんだ!!」
  ネコ1「ネコ吉!!どうしたんだ?」
  ネコ吉「子猫が生まれそうなんだ!!」
  ネコ達「えーっ!!」
  ネコ2「予定日は来月でしょう!?」
  ネコ吉「それが、さっき車に轢かれそうになって、そのショックで
      ・・・」
  老ネコ「ネコ吉!!早くミータを家の中へ!!」
  ネコ吉「あ・・・老ネコ!!ああ!!ミータ!!確りしろよ!!」

         老ネコ、後方家の中へ去る。
         ミータ、ネコ吉に抱えられるように
         老ネコに続いて去る。
         ネコ達歌う。

         “大変だ!!大変だ!!
         子猫が生まれる
         大変だ!!大変だ!!
         予定より早いけど
         でも大丈夫!!
         老ネコが付いている!!
         生まれる 生まれる ネコの村の住人が
         増えるんだおめでたい
         生まれる 生まれる 可愛い子猫!!”

         その時、子猫の泣き声が聞こえる。
         (“ニャー・・・ニャー・・・”)

  ネコ達「やったー!!」
      「生まれたぞー!!」
      「おめでとう!!」
      「バンザーイ!!」

         ネコ達下がり、紗幕開く。と、家の中。

    ――――― 第 1 場 ――――― C

         中央ミータ、膝に寄り掛かり子猫(ミーナ)、
         眠っているよう。横にネコ吉、その様子を
         微笑ましく見詰めている。

  ミータ「可愛いわねぇ・・・」
  ネコ吉「ああ、本当だ・・・。綺麗な毛並みは、ミータそっくりだ・・・
      。」
  ミータ「この気高そうな耳は、あなた似ね・・・。」
  
         上手より老ネコ登場。

  老ネコ「よお頑張ったな。」
  ミータ「老ネコ・・・」
  ネコ吉「ありがとうございました。」
  老ネコ「だがしかし、そんな体で人間の所へウロウロと出て行く
      など以ての外じゃ。今回は何事もなく、こんな可愛い子猫
      が無事生まれたから、よかったようなものの・・・」
  ミータ「はい。」
  ネコ吉「すみません。」
  老ネコ「まぁ、ゆっくり休んでいなさい。」

         老ネコ、上手へ去る。
         その時ミーナ、目覚める。

  ミーナ「ニャー・・・ニャー・・・」
  ミータ「目が覚めたわ!」
  ミーナ「うーん・・・」
  ネコ吉「おはよう。」
  ミーナ「(ネコ吉とミータを交互に見る。)・・・誰・・・?」
  ミータ「あなたのパパとママよ。」
  ミーナ「パパと・・・ママ・・・?」
  ミータ「ええ。さぁミーナ、こっちへいらっしゃい。毛づくろいをして
      あげるわ。」
  ミーナ「・・・え・・・?毛づくろいって・・・」
  ミータ「子ネコは生れて直ぐ、母ネコからこんな風に毛づくろいを
      してもらうのよ。」
  ミーナ「ネコですって!?」
  ネコ吉「ああ、その通りさ。(笑う。)さぁ、綺麗にしてもらいなさい
      。」
  ミータ「(ミーナの体を撫でるように。)」
  ミーナ「や・・・止めてよ・・・!」
  ミータ「変な子ね。そのままじゃ、毛並みが目茶苦茶よ。」
  ミーナ「毛並み・・・って・・・私・・・ネコなの・・・?(自分の体を見
      る。)」
  ネコ吉「当たり前じゃないか。」
  ミーナ「嫌よ・・・!!私は人間に生まれてくる筈だったのに!!
      如何してネコなの!?」
  ミータ「ミーナ・・・」
  ネコ吉「・・・人間だと・・・?」
  ミーナ「ずっとママのお腹の中から見てたのよ!!私はあんな
      風にスラッとした2本の足で歩いて、笑って楽しそうにお
      話しをする人間に生まれてくるんだって!!そう信じてた
      のに!!」
  ネコ吉「何を馬鹿なことを言ってるんだ!!」
  ミータ「あなた!この子は私がエサを探す為に、ネコの村を抜け
      出して、人間の町へこっそり出掛けていたのを、お腹の中
      から見てたんだわ・・・。」
  ミーナ「あの憧れた世界が、全部夢だったなんて!!嘘よ!!
      ニャア!!」

         ミーナ、下手へ走り去る。

  ミータ「ミーナ!!(追い掛けようとする。)」
  ネコ吉「放っておきなさい!!」
  ミータ「でも、あなた!!あの子はまだ生まれたばかりなのよ!
      !」
  ネコ吉「生まれたばかりでも、我々ネコは人間とは違う・・・。自
      分一人で生きていく力を、つけていかなければいけない
      のだから!!」
  ミータ「あなた!!」

         紗幕閉まる。

    ――――― 第 2 場 ――――― A

         紗幕前。
         音楽流れ、上手より一匹の大人ネコ(一番ネコ)
         登場。歌う。

         “俺はこの村の一番ネコ
         誰よりも偉い 誰もが一目置く存在
         迷いがあれば
         誰もが俺の意見を聞きに来る
         俺の考えを聞きたがる
         村長よりも頼りになる
         みんなの指南役
         この村の一番ネコ!”

         一番ネコ、舞台中央ゴロンと横になる。
         曲調変わり、下手よりミーナ登場。歌う。

         “如何して私はネコなの・・・
         体中毛だらけで短い足・・・
         何処から見ても憧れた
         姿形とあまりにも
         違い過ぎてショックが大きいの・・・
         如何して私は人間じゃないの・・・”

    ――――― 第 2 場 ――――― B

         紗幕開く。と、村外れの森の入口の様子。

  一番ネコ「ネコも悪くないぜ・・・。」
  ミーナ「え・・・?(振り返って、一番ネコを認める。)」

         一番ネコ、立ち上がりミーナの側へ。

  一番ネコ「よぉ、おチビさん。一人で何処へ行こうとしてるんだい
        ?」
  ミーナ「・・・誰・・・?」
  一番ネコ「俺・・?俺様かぁ・・・。俺様はここで困ったネコの仲間
        に声を掛け、手助けする役目を、ネコ村の村長からお
        おせ使った、村長の次にエライ一番ネコだ!」
  ミーナ「じゃあ一番ネコさん!!私に教えて頂戴!!私、人間に
      生まれ変わりたいの!!如何すれば人間になれるかしら
      !?」
  一番ネコ「人間に生まれ変わる・・・?」
  ミーナ「ええ!!」
  一番ネコ「おまえ、人間になりたいだなんて、変わった奴だなぁ
        ・・・。人間になったって、いいことなんてありゃしないぜ
        。やめとけ、やめとけ。」
  ミーナ「嫌よ!!私は如何しても人間になるの!!」

         ミーナ、歌う。

         “人間になって2本の足で走り回るの”
  
  一番ネコ「ネコのままでも走れるじゃないか。」

         ミーナ、歌う。

         “長い髪を風になびかせ
         スラリと延びた長い足”

  一番ネコ「(自分の足を見て。)俺様には、この長さで十分だと
        思うがね。」

         ミーナ、一番ネコを睨み、歌う。

         “誰もが振り返るような素敵なレディに”

  一番ネコ「レディだって・・・。(笑う。)」
  ミーナ「もう!!」

         ミーナ、歌う。
 
         “人間になりたいのよ私は!!”

  一番ネコ「如何しても・・・と言うなら・・・。」
  ミーナ「如何してもと言うなら!?」
  一番ネコ「いい薬屋を教えてやろう・・・。」
  ミーナ「お薬屋さん・・・?」
  一番ネコ「ああ・・・。この森をずうっと先に進んだ場所に、願い
        を持つ誰もが尋ねる・・・願いを叶えてくれる薬を売る、
        薬屋があるんだ・・・。」
  ミーナ「願いを叶えてくれるの!?私みたいに人間になりたいと
      か!?」
  一番ネコ「まあ、待て。そう慌てなさんな。願いを叶えてくれるに
        はくれるが・・・そいつは人間の願いに限ってのことだ
        。俺達ネコの願いを叶える薬を作ってくれるような、良
        心的な薬屋じゃあないぜ。それにたとえ人間だとして
        も、べらぼうに高い値で売り付けるとか・・・。」
  ミーナ「そんな・・・じゃあ如何すれば・・・」
  一番ネコ「そうだなぁ・・・。ちょいとこの身軽な体で、こっそりと小
        屋の中に忍び込み、その望みの薬を頂戴するしか・・・
        方法はないだろうなぁ・・・。」
  ミーナ「一緒に行ってくれるの!?」
  一番ネコ「ええ!?おいおい、冗談だろ?俺はおまえが方法を
        知らないかと聞くから、そう言えば、こんな話しがあっ
        たぜ・・・と教えてやっただけ・・・」
  ミーナ「(一番ネコの話しは聞いていないと言った風に。)嬉しい
      !!心強いわ!!何でも知ってて、村長さんの次に偉い
      あなたが一緒に来てくれたなら、100人力だもの!!」
  一番ネコ「いやあ・・・そりゃあ、俺様が行きゃあ・・・」
  ミーナ「じゃあ直ぐに行きましょう!!その薬屋へ!!」
  一番ネコ「え・・・あ・・・おい!!」

         ミーナ、一番ネコの腕を取り、上手方へ。
         音楽流れ、2人歌う。

      ミーナ“いよいよ道が見えてきたわ
          私の夢叶う”

      一番ネコ“やれやれ何だかエライことに
            巻き込まれたようだ”

      ミーナ“心強い仲間も出来た
          屹度願い叶うわ 人間になれる”

      一番ネコ“何てことだろう俺様は
            ただ面白ければそれでいい”

      2人“夢があれば叶えればいい
         それが不可能か如何かなんて
         やってみなきゃ分からない
         前を向いて先を見て一歩ずつ
         歩いていけば屹度目指す場所!”

  ミーナ「さあ、行きましょう!!」
  一番ネコ「(溜め息を吐いて。)エライことになっちまったぜ・・・。」

         2人、上手へ走り去る。
         紗幕閉まる。












          ――――― “ミーナ”2へつづく ―――――








    


                       

     (お詫び<(_ _)>)

     昨日は「眠いので・・・」と言い訳も出来ないくらい眠くて
    ・・・“ジェフリー”の更新をしたところでバタンキューでした。
    待って下さってた方が、いらっしゃったなら、本当にごめん
    なさいm(__)m



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ 



       (おまけフォト^^;)
       

         春公演作品の端役の犬くんです^^;
      
       顔色が緑の為、分かり難いですが、意外と男前
       くんに仕上がったかな・・・と(^.^)
       飽く迄“端役”なので、簡単な服に、足は勿論
       ありません^^;


      
       

             犬の国の住人達(^.^)

       後方中央は主人公ジュリーちゃんの愛犬プッチ
       くん、前方右の少しエラそう(?)な犬が、村長
       さんです(^^)



       

          ジュリーちゃんとプッチくん(^^)v

      当初、ジュリーちゃんは同じ人形を3体作るつもり
      でした^^;(3パターンで登場する為。)・・・が、
      とても凝って作ってしまった為、ちょっと同じもの
      を3体も作る自信がなくなったので、このジュリー
      ちゃんに、小物を付けて変身させようかな・・・と、
      考えています^_^;中々美人さんに出来たのでは
      ないかと・・・(^^)v如何ですか・・・?

  
      


   今日は、グーグル版“ワールド”に、前に音声だけお聞き頂いた
   練習場面の完成音声を投稿致しました(^^)v
   またよければお聞き下さい(^^♪








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“公演日記” ―光の国のエリオット―

2012年04月08日 14時54分38秒 | 公演日記



    2012年3月16日(金)

    
    朝の始業前の時間に、人形劇のミニ公演に、近くの
    小学校へ行ってきました(^^)v

    この日は“光の国のエリオット”の短縮バージョンの公演
    でした♥




    


     後ろの時計の時間を見て頂ければ、その早さがお分かり
     頂けるのではないか・・・と^^;

     背景はエリィちゃんの時の、ラスト場面のものを、変換ナシ
     の一枚で行きました(^.^)



    


     分かり難いかも知れませんが、エリオットくん、赤色の素敵
     なマントを着用しています(^^)
     ご存じ、エリオットくんはグリーンのベスト姿だったのですが、
     最近加入のお針子さんが作って来て下さり、本番当日に
     いきなりで、大丈夫かな・・・と思ったのですが、可愛いマント
     だったので、着せてみました^^;
     結果、とても見栄えするエリオットくんになったのではないで
     しょうか♥

     私の操作的には・・・少し手の動きが・・・(マント着用が突然
     だった為)制限され不自由な感じはしましたが、何とか変な
     動きも少なく済んだのではなかな・・・と^_^;

     その辺は、グーグル版“ワールド”の動画でご覧下さい^^;
    


    


     


    


    左から2つ目のお花、エリオットくんの動きが激しく、上の写真
    と比べて頂くとお分かりでしょうが、少しずつ前に倒れてきて
    います(>_<)
    それを、一旦引っ込んだ時に、起き上がらせたのです^^;


    


    ね!お花、立ち上がっているでしょう^^;

    上の写真で見えていた時計、この写真では分からなくなって
    います(^.^)ビデオカメラで撮って下さっていた方が、カメラの
    向きを途中で変えて下さってたのです(^^)



    



    


    左端・・・なんとな~く、白い花が・・・見えるでしょうか・・・^^;



    


    大分この、チャンチャンバラバラの場面も慣れてきた感じが
    するものの・・・まだまだぎこちない剣術です^_^;



     


             「みんな!また会おうね!!」








       (おまけフォト^^;)

       


      開演の挨拶をしている・・・私が、本当はこの
      右側に写っているのです・・・^^;
      
      真正面からのビデオ写真では、後ろの背景が
      綺麗に納まっているように見えますが、斜めから
      見ると、こんな感じに、両サイドは何もありません^^;






    手元に、舞台裏フォトが届いたので、数枚、ご覧頂こうと思い
    ます(^^)v

    

    今回は、短時間での公演だったので、ライトは持って行かず、
    学校の教室にある蛍光灯を、舞台側だけ点けて行いました。  
    向こうに、光が見えているのは、カーテンの間から日光が差し
    込んでいるのです^^;




    

    ちょっとは上手くなった感のある、チャンチャンバラバラ場面
    の裏側・・・(^.^)




    

    格好付けているエリオットくんを余所に、見えない所では他の
    団員達は、次の場面の準備に余念がありません(^_^;)






    
          ↑
    私の後ろ姿大公開^^;

    「いらんわ・・・」って・・・?^^;はい、いらんと思ったのですが、     
    こんな風に、帰って行く子ども達をお見送りしているんですよ      
    ~・・・の写真でした(^.^)

    頭巾は両肩に、安全ピンで止めているので、こんな風に背中
    にぶら下がっているのです^_^;何故、安全ピンで止めている
    のか・・・って、前にも書いたかも知れませんが、止めてないと、
    公演最中に頭巾がクルクル回って、突然視界がゼロになること
    があるのです~・・・(>_<)その時の焦りようときたら・・・^^;






 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪

   

    (どら余談^^;)

    今回、公演中の舞台の中の写真を撮って頂いていたので、
    そちらも、いずれ紹介させて頂こうと思っていますが、まだ
    手元にない為、ビデオからの写真で一先ずお許し下さい^^;


  
    もう一つ・・・
    今日は日曜日なので、主人が病院で付き添ってくれている
    為、久しぶりに私は自宅で色々と雑用に追われていました。
    よって“ワールド”更新も、いつもより早くの時間に出来てい
    るのです(^^)v