りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“ジ―ク(その前)” ―全6場― 2

2011年12月06日 20時37分27秒 | 新作(人形劇用)


    ――――― 第 3 場 ――――― B

         紗幕開く。と、ジ―クの家の居間。

  ルーク「僕、奥からミルクとクッキーを取って来るね。ちょっと待っ
       てて。」
  ルータ「うん・・・。」

         ルーク、下手へ去る。

  ルータ「そうだ!お食事のマットを用意しよう。」

         ルータ、椅子の上へ上り、机の上へ
         マットをひく。

  ルータ「うん・・・っと・・・向こうの方が届きにくい・・・。よいっしょ
       ・・・っと・・・あ・・・(机が少し揺れる。)」

         その時、チュー吉の声が聞こえる。

  チュー吉の声「危ない!!それ以上、机の上に乗るんじゃない
           よ!!」

  ルータ「え・・・?(椅子から下り、回りを探すように。)誰かいるの
       ・・・?ねぇ・・・?誰?」

  チュー吉の声「やれやれ・・・この家には、ジ―ク以外にも薬入り
           のミルクを飲んだ子どもが、まだいたのか・・・」

  ルータ「ねぇ!!誰よ!?」

  チュー吉の声「はいはい・・・姿を現すよ。その変わり・・・」

         チュー吉、下より登場。

  ルータ「(チュー吉を認め。)わあーっ!!あなたなの!?私に
       お話ししてくるのは!?(チュー吉を抱き上げる。)」
  チュー吉「わ・・・わあーっ!!離して・・・離してくれよ!!」
  ルータ「可愛いー!!お兄ちゃん!!お兄ちゃーん!!」

         ルーク、下手より慌てて登場。

  ルーク「どうしたの!?」
  ルータ「見て見て、お兄ちゃん!!可愛いお友達よ!!」
  ルーク「友達・・・?(ルータが抱き上げているチュー吉を認め。)
       わっ!!わあーっ!!ネズミだ!!離すんだ、ルータ!
       !噛み付かれるぞ!!」
  ルータ「嫌よ!!」
  チュー吉「(溜め息を吐いて。)噛み付かないよ・・・」
  ルーク「噛み付くさ!!」
  チュー吉「噛み付かない・・・」
  ルーク「え・・・?誰が喋ったの・・・?」
  チュー吉「僕だよ・・・」
  ルーク「僕って・・・」
  チュー吉「僕!!」
  ルーク「ネ・・・ネズミが・・・!?」
  チュー吉「君もミルクを飲んだんだ・・・。」
  ルーク「わあーっ!!ネズミが喋ってる!!何でネズミが人間
       の言葉を話すの!?」
  チュー吉「君もジ―クと同じだね・・・。(笑う。)」
  ルーク「兄ちゃんと同じ・・・?」
  ルータ「可愛い!!(チュー吉を抱き締める。)」
  チュー吉「く・・・苦しいよ!ねぇ、好い加減、僕のこと離してくれ
        る・・・?」
  ルータ「逃げない?」
  チュー吉「逃げないよ。」
  ルータ「本当ね。」
  チュー吉「約束する。」

         ルータ、チュー吉を離す。

  チュー吉「ああ、やれやれ、やっと自由になれた。」
  ルータ「小さいのねぇ・・・。」
  チュー吉「そりゃ、ネズミだからね。」
  ルーク「ど・・・どうして話せるの?」
  チュー吉「(歌うように。)それは森の奥深く~・・・って、もう説明
        はいいよ。ジ―クにでも聞いて。」
  ルータ「私に、机に上っちゃ危ない!って教えてくれたのよ。」
  ルーク「え?」
  チュー吉「この机、足がグラついてるよ。ジ―クに言って、直して
        もらった方がいいな。」
  ルーク「(机を押してみる。)本当だ・・・。ありがとう。」
  チュー吉「いいってことさ。じゃあ僕はそろそろ屋根裏に・・・」
  ルータ「嫌よ!!」
  チュー吉「え?」
  ルータ「行かないで!!(チュー吉の尻尾を掴む。)」
  チュー吉「は・・・離して!!尻尾は止めてくれ!!」
  ルータ「じゃあ、ここにいて一緒にお留守番してくれる?」
  チュー吉「えー・・・嘘だろ・・・」
  ルータ「ねぇ、一緒に遊んで!!でないとずっと尻尾を離さない
       !!」
  ルーク「ルータ!」
  チュー吉「わ・・・分かったよ!!分かったから尻尾を離して!!
        僕は尻尾を触られるのが、一番苦手なんだ・・・」
  ルータ「いいわ。(手を離す。)」
  チュー吉「はぁ・・・助かった・・・。それで・・・?何して遊ぶんだい
        ?僕はこんな体だから、トランプなんか持てないよ。(
        笑う。)」
  ルータ「あなたの話しが聞きたいわ!!」
  ルーク「うん、僕も聞きたい!!」
  チュー吉「話し・・・?」
  ルータ「うん!今までどんな冒険をして来たの!?」
  ルーク「僕達の見たこともない場所のこと、知ってるんでしょ?」
  チュー吉「冒険かぁ・・・そうだなぁ・・・。それは昔々、僕がまだ
        小さい頃・・・」

         紗幕閉まる。

    ――――― 第 4 場 ―――――

         音楽流れる。(紗幕前。)
         上手よりジ―ク登場。歌う。

         “ほんの少し生活が
         以前のそれとは違うけど
         ただその事実だけ
         誰にも受け入れられないで
         誰にも心を開かない・・・
         だけどほんの少しだけ
         味方が変わればお互いに
         歩み寄れることもあるかも知れない・・・”

         下手より、3人の少年登場。

  少年4「あっ、ジ―クだ!!」
  少年5「本当だ!!」
  ジ―ク「・・・ボール遊び・・・するのか・・・?」
  少年6「関係ないだろ!!」
  少年4「馬鹿!!返事するな!!」
  ジ―ク「・・・俺も・・・入れてくれないか・・・?」
  少年5「えー!?」
  少年6「おまえ早く帰んなきゃ、なんないだろ!?(笑う。)」
  少年4「遊ぶ時間なんかないじゃないか。(笑う。)」
  少年5「俺達は、日が暮れる前に帰りゃいいんだ。だから、それ
       までゆっくり公園でボール蹴りやるんだよ!!」
  少年6「急いで帰るおまえとは遊べないのさ!!」

         音楽流れ、少年達歌う。

         “仲間なんか入れるもんか
         おまえは俺達とは違う
         仲間外れじゃない
         仲間に入れないおまえが悪い
         俺達と遊びたきゃ
         俺達のルールに従え
         それを守れないなら
         おまえは仲間に入る資格がないんだ”

         ジ―ク歌う。

         “違う仲間に入れないんじゃない
         扉を閉めたおまえらがいけないんだ
         歩み寄ろうとする者を拒否する
         そんな狭い心のおまえ達が・・・”

  少年4「何とでも言えばいいさ!(笑う。)」
  少年5「俺達はおまえとは遊ばない!!(笑う。)」
  少年6「行こうぜ!!」
  少年4「ああ!!」

         3人の少年、笑いながら上手へ去る。

  ジ―ク「俺が・・・何したんだよ・・・」

         そこへ下手より、一人の婦人、走り登場。

  婦人「ジ―ク!!やっと見つけた!!」
  ジ―ク「おばさん・・・」
  婦人「大変だよ!!お母さんが仕事中に倒れて、家に運び込
      まれたんだよ!!」
  ジ―ク「母ちゃんが!?」
  婦人「早く家に!!」
  ジ―ク「母ちゃん!!」

         紗幕開く。

    ――――― 第 5 場 ―――――

         ジ―クの家の中。上手方ベットにジ―クの母
         寝ている。横にルーク、ルータ心配そうに佇み
         歌う。

         “母ちゃん・・・
         母ちゃん・・・
         僕らの大切な
         お母ちゃん・・・
         早く目覚めて
         僕達を見て・・・
         お願い
         早く元気になって・・・”

         その時、下手よりジ―ク、走り登場。

  ジ―ク「母ちゃん!!」
  ルーク「ジ―ク兄ちゃん!!」
  ルータ「お母ちゃんが・・・(泣く。)」
  ジ―ク「母ちゃん・・・!!」
  ルーク「お兄ちゃん、母ちゃん大丈夫なの・・・?」
  ジ―ク「(母の横へ。)母ちゃん・・・」
  ジ―クの母「(目が覚める。)・・・あ・・・おまえ達・・・」
  ルーク、ルータ「お母ちゃん!!」
  ジ―ク「母ちゃん・・・!!」
  ジ―クの母「・・・ジ―ク・・・おまえ達も・・・ごめんよ・・・。母ちゃ
          ん、頑張りすぎちゃったね・・・。」
  ジ―ク「母ちゃん・・・」
  ルータ「お母ちゃん・・・」
  ジ―クの母「母ちゃん・・・父ちゃんの分まで働かなくっちゃ・・・
          って・・・。反対に、おまえ達に心配かけてしまって
          ・・・」
  ジ―ク「・・・ううん・・・ううん、母ちゃん!!ごめんよ!!俺の方
       こそごめん・・・!!」
  ジ―クの母「ジ―ク・・・」
  ジ―ク「俺・・・友達と遊べないのを、全部母ちゃんのせいにして
       た・・・。母ちゃんが悪いんじゃないのに・・・。俺・・・これ
       からは一杯、家の仕事するよ!!ルークやルータの面
       倒もちゃんと見る!!靴磨きだってやるよ!!だから・・
       ・だから母ちゃん・・・早く元気になってくれよ・・・。お願い
       だ・・・」
  ジ―クの母「ジ―ク・・・ありがとう・・・」
  ルーク「お兄ちゃん・・・」

         ジ―クを残して、ジ―クの母、ルーク、ルータ
         下がる。

  ジ―ク「(涙を拭うように。)よし・・・、これからは母ちゃんの分ま
       で一杯仕事するぞ!!俺がメソメソして、いじけてたん
       じゃ、母ちゃんが悲しむもんな!!」     ※ 
  
         音楽流れ、ジ―ク歌う。

         “俺が守る大切な家族
         いつまでも後ろ向いてちゃ
         進めない
         前には続く道があるんだ
         進む為に見える限り
         後ろには何もないんだ
         だから行こう 
         ただ前だけを見て!!”

         その時、チュー吉の声が聞こえる。

  チュー吉の声「ジ―ク!!ジ―ク!!」

  ジ―ク「チュー吉・・・?」

         チュー吉、下から登場。

  チュー吉「お母さんの具合はどうだい?」
  ジ―ク「え・・・?」
  チュー吉「ルークやルータと遊んでたら、急に大勢の人が君の
        お母さんを運んで来て、大騒ぎだったんだぜ。」
  ジ―ク「ルークやルータと・・・?」
  チュー吉「うん。あの2人も、ジ―クと同じミルクを飲んだから、
        僕の声が聞こえるんだ。(笑う。)」
  ジ―ク「そうか・・・。ありがとう、チュー吉・・・。俺の変わりに弟や
       妹の面倒を見てくれて・・・」
  チュー吉「何だよ、改まって・・・。照れるじゃないか。(笑う。)あ
        ・・・それより、ほらこれ!(小さな袋を、ジ―クへ差し出
        す。)」
  ジ―ク「何・・・?(受け取る。)」
  チュー吉「お母さんの薬だよ。」
  ジ―ク「え・・・?」
  チュー吉「どんな病気でも、治す薬さ!」
  ジ―ク「どんな病気も・・・?」
  チュー吉「森の薬屋に行って来たんだ。」
  ジ―ク「また、盗みに行ったの!?」
  チュー吉「盗み・・・!?人聞きの悪い言い方しないでくれるかな
        ぁ・・・。ちょいと拝借して来たまでさ!」
  ジ―ク「だって・・・。じゃあ僕が行って・・・」
  チュー吉「ジ―クが行ったところで、欲張り婆さんの薬売りだよ。
        お金のない君に、薬をタダでくれる訳がないよ。それよ
        り、その薬でお母さんの病気が治るといいだろ?元気
        になって、一杯稼いで、いつかお金払えばいいじゃな
        いか。“後払い”って奴さ。(笑う。)それに沢山ある中
        の、ほんの一粒さ!!気にするな!早くそれをお母さ
        んに、飲ませてやりなよ。」
  ジ―ク「・・・うん・・・うん、ありがとう!!」

         音楽流れ、ジ―ク、チュー吉残し、紗幕閉まる。

    ――――― 第 6 場 ――――― A

         紗幕前。ジ―ク、チュー吉歌う。

      ジ―ク“ただの偶然が重なった
           この新しい出会いに
           心からの感謝を・・・”

      チュー吉“偶然じゃないよ
            この出会いは・・・”

  ジ―ク「え・・・?」

      チュー吉“いつも君と出会えることを
            夢見てた僕が考えた
            一つの希望・・・”

  ジ―ク「夢見て・・・?」
  チュー吉「僕・・・ジ―クのこと、ずっと捜してたんだ、屋根裏から
        ・・・。君はいつも、扉の陰に君のおやつのビスケットを
        半分、僕の為に置いてくれてたね・・・。いつも僕にビス
        ケットを分けてくれたのが、どんな人なのかずっと気に
        なって、それでいつも捜してた・・・。それがある日、ジ
        ―クだと分かって・・・僕・・・どうしても君と、友達になり
        たかったんだ。どうしても僕の言葉で君に“ありがとう”
        が言いたくて・・・それで、ずっと前に、ある人から聞い
        て知った、森の薬屋のところへ、何かいい薬がないか
        探しに行ったんだ・・・。」         ※2










     ――――― “ジ―ク(その前)”3へつづく ―――――
 











    ※ この台詞、春公演作品につながっています(^^)v
      覚えておいてくださいね(^.^)

    ※2、この部分の内容は、次回掲載予定の“チュー吉”くん
      作品の内容につながるように、少し書き変えました^^;



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪

     
      (どら余談^^;)

      この“チュー吉”くん、みょうに魅力的なキャラです♥

      なので、このページの次回作、是非この“チュー吉”くん
      を主人公にして、書いてみたいと思っています(^^)v









         http://www.geocities.jp/littlepine2005/ 

       http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
 
          http://blog.goo.ne.jp/axizgoo7227