樵(きこり)の日記

福岡県の奥八女に棲む一人の樵が、田舎から発信する「自分発行き先不明」の情報切符。

カーリングのワールドカップ

2018年12月27日 | スポーツ

平昌オリンピックで大注目されたカーリングだが、今年から北京オリンピックまでの間、カーリングのワールドカップが行われるようになった。その第2節がアメリカ・オマハで行われ、見事日本(チーム藤沢=ロコソラーレ)が優勝した。

その決勝戦の模様がYoutubeにアップされていたので観たけど、いや~~、シビれる試合だった。
決勝戦の相手は韓国。平昌オリンピックのメンバーなのかと思いきや、若い選手達だ。可愛らしい女の子ばかりだが、その実力は相当なもので、国内大会で優勝しての参加だから若いとは言えホントに強い。総当たり戦を4勝2敗で決勝に進んだのだから。

さて試合だが、序盤からアイスの状態が掴めなくてミスショットの連発。対する韓国代表も苦労しながら試合を作っていく。試合会場に観客が少なかった事、そして試合が1シートしか行われないということで比較的寒かったことで滑りやすくなっていたようだ。

第2エンドで4点を失う苦しい展開。この試合は通常の10エンド形式では無く8エンドまで。5エンド終わった時点で3-6とかなり劣勢だ。相手に1ポイントでも取られちゃうと残り3エンドだからギブアップもあり得る苦しい展開。

しかし、ここからの試合運びが若いチームとの違いなんだろうか。というよりもカーリングという競技の醍醐味なのかも知れない。徐々にアイスを読んでいき、6,7エンドに1点ずつを取り5-6で最終エンドを迎える。

最終エンドは日本が先攻。
一般的に、カーリングにおいて先攻で点を奪うのは難しい。ラストストーンを持つのは後攻のチームだから圧倒的に強いのだ。だから「フリーガードゾーン」といって、リード(最初に投げる人)が投げたガードの石を相手のリードが弾き出せないようなルールが設けてある。
つまり石が溜まりやすい状況を作る事が出来れば、たとえ先攻であってもチャンスが巡ってくるのである。

ラストエンド、藤沢のラストショット。

真ん中の黄色のストーンがそれ。中心に入って来れないような位置に置く。これで左側からの進路を塞いだ。相手は右側のコースを使って中心を狙ってくるしかない。もしくは右側の黄色に当てて、より中心に持っていければ、韓国の勝ちである。ハウスの中には黄色が3個。でも右側の進路は空いてるから普通にドローショット(置きに行くショット)をすれば韓国が1点を追加して7-5で勝てるというワケだ。

だが結果は違った。

簡単に決められるショットであったにもかかわらず、大きく滑って黄色の石よりも外側に外れてしまった。結果、12時と3時方向にあった黄色の石が得点となり、7-6で日本の逆転勝利となった。

劇的な幕切れ。
いくら藤沢のショットが決まったと言っても、韓国のラストストーンが真ん中に決まればそれでジ・エンドだったのだ。ただ不安定な氷の状態を読み切れていない中で、藤沢のショットが相当なプレッシャーになったのは言うまでも無い。相手に簡単なショットをさせない位置まで持って行ったチーム全員の思いが勝利を呼び込み、相手のミスを誘ったのだ。

まさに心理戦。
韓国も6エンド以降、いや、5エンド以降思うような試合運びが出来なかった。突き放すチャンスがあったにもかかわらずジワジワと詰め寄ってくる日本に焦りを覚えていたのかも知れない。ラストエンドのラストショットも、思いの外早く投げたので大丈夫かな?と思ったら狙いから大きくはずれた。あの場面に若さが出たのかなァ…と思ったりもするのだが。

普通に投げれば真ん中に置くだけの技術は持っている。
だが、それが出来なかった。
外から見てるだけでは分からない、精神的重圧。

それがカーリングなのかも知れない。