樵(きこり)の日記

福岡県の奥八女に棲む一人の樵が、田舎から発信する「自分発行き先不明」の情報切符。

面倒な仕事がもうひとつ

2006年03月06日 | Weblog
 柳川の仕事とは別に、もう一つの面倒な仕事がつい先日終わった。
僕はもともと「彫り師」では無い。また、俗世間でゆー「チェンソーアーティスト」でも無い。ただの「樵(きこり)」である。

 「夫婦恵比寿を作って欲しい。」

中年の紳士からの依頼だ。恵比寿とは七福神のあの恵比寿さんである。

んなもん、作れるワケ無いだろう・・・と断ったが、是非作って欲しいと聞かない。それも分かる気がする。本物の彫り師に依頼すればウン十万はかかるだろう。チェンソーでパパッと作る僕に頼めばそれほどの予算はいらないだろうと踏んでいるからだ。
 かなりナメられていると思ったが、作れないから断ったと思われるのは癪に触る。作れる見込みは全くなかったが(笑)とりあえず引き受けてしまった。ま、客の罠にまんまとハマった感じがしないでもないが、出来上がったら踏んだくってやろう・・(笑)くらいの気持ちである。

 僕の場合、本物そっくりのリアルに作るのは基本的にアタマに無い。カワイイものを作る。それが今の僕のモットーだ。

 作品作りの場合、そのデザインに多くの時間を費やす。木を刻み始めると、もう迷いはない。ひたすらイメージのように彫り込むだけだ。ただ恵比寿さんは多くのモデルがありイメージは出来るが、問題は恵比寿さんの奥様だ。どんな衣装を着せてどんな髪飾りを乗せればいいのか・・・モデルになる資料が無い。

 その結果、写真のようなものが出来上がった。

まだサンダーで仕上げをしていない状態だが、雰囲気は分かっていただけるだろう。お客さんに渡す前に写真を撮っておくべきだったが、忘れていた(泣) 自分ではなかなか可愛らしく出来たつもりだったが、クライアントがどう見るか・・。
僕が作ったのは「ご神体」では無く、これまた「マスコット」だ。それが依頼主の意向に沿うものであるかどうか・・・・。

 合格である。

一目見て大変気に入っていただいた。客も僕の作風は十分承知の上で依頼していたのだ。「思っていた以上のもので感動してます。」と、ハゲるくらい悩んだ僕にとって有り難いお言葉だった。

 ん~・・アタマの痛い仕事は・・・どうにか終わった・・・。

ようやく・・・終了

2006年03月06日 | Weblog
 しばらく休んだが、また再開です(笑)

ここ最近は、とあるお店の開店準備に追われ、その依頼品の制作に専念していた。もちろん木彫りのフクロウも注文がたまっているため気が気じゃない毎日だった。いつ催促の電話がかかってくるのか不安な毎日・・・。開店に全部の依頼品は揃わなかったが、先週の日曜日の夜、最後の依頼品を納入した。

 今回の仕事は、オーナーの「好きなように作ってもらっていい。」という、制作者にとっては非常に有り難く、しかもやりやすい環境の中で仕事させて頂いた。が、それは同時に、プレッシャーのかかる事でもあったが。

 僕なりに依頼者の意向を聞き、それをもとに自分のアイディアを織り込んで制作に取り組んだ。

まず店の妻壁にかける看板。


文字を彫り込み、そのお店で販売される果実を隣に配置した。下部両側に、その果実の茎を配置。ホントは右側も2本茎を配置したのだが、制作途中に折れてしまった・・・(泣) でもくどいかもしれないので、これはこれでいいかも・・。

次は店の中に置く棚。

丸太で棚を何段か作って欲しいとの事だったので、丸太に棚をあしらった。一見良さそうだがこの作りの場合、前面に加工部分が多いので、棚の間が細い分だけ割れやすい。その割れを考慮して背面に予め「背割り」を入れて割れを逃がすようにしている。が、それでもある程度の割れは発生する。その事は依頼者にも告げておいている。背の高い方は約2m。不安定になるので、壁掛け用のフック穴を設けた。

 そしてマスコット。


まだ目を入れていない状態だが、制作途中の写真。
高さ140cm、直径45cmの、僕にしては、かなりでかい木を使用した。マスコットを作るのだからそれなりに大きい方が目立つワケで、奮発してみた。当初は看板を・・・という事だったが、フツーに看板作っても面白くない。見る人にインパクトがあって、なおかつ老若男女にウケるような・・・と考えると、やはりカワイイマスコットかな~?ということで、無いアタマをひねりにひねってデザインした。写真は女の子だが、男の子バージョンも制作しており、お店の両側を飾ることになった。

 こうして僕の大仕事はひとまず終了。初めて作るようなものもあり、それなりに大変だったが、とてもチャレンジングな仕事だった。「出来ない。」というのは簡単だ。だがそれをやらないと、いつまでも自分のテリトリーから足を踏み出せない。今回この仕事をやったことで、少し自信がついた。

 ひょっとしたら・・・一皮剥けたかも・・・(笑)