好事家の世迷言。

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EP49 伊集院隼人編(JC第29巻)考察。

2023-07-30 | 『シティーハンター』原作考察
『伊集院隼人氏の平穏な一日』

ある意味、大いなる実験作。
まず、『シティーハンター』(以下CH)原作中、唯一の1週完結。
前後編だった『シンデレラ編』より短い。
他エピソードと有機的に絡む外伝というわけでもなく、ほぼ完全に独立している。

次に、トラブルに巻き込まれた依頼人を護るという定型から外れている事。
そして、主要人物たる獠&香が完全に脇役に押しやられている事。
描く内容を、殺伐とした「事件もの」から、ありふれた日常に寄り添った「人情もの」へシフトしたいという、作者自身の意識が感られる。

が、このエピソードでも、結局「CHといえば事件」という図式から逃れられなかったのは残念な点。
逃走中の銀行強盗という、およそ非現実的な存在が、文字通り乱入するのを転機に、暴力的かつ破壊的なオチで終わってしまう。
せめて、もっとデフォルメされた素朴な絵柄なら笑えたかもしれないが、少し前に血みどろの銃撃戦を描ききっている精緻極まる画風では、少なくとも私は笑えなかった。

なお、余談ながら、このエピソードのアニメ版は、(そのまま30分では尺が合わないため)アニメオリジナル展開が多々加えられている。
中でも、年配の女性客を中心にしたシークエンスは、長きにわたる純愛というCHらしいテーマを丁寧に描いている。
ご興味ある方はどうぞご視聴を。

それでは。また次回。

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