『天使のほほえみ』
シリーズ全エピソードにおいて、最も平和な内容ではなかろうか。
このエピソードには明確な敵役が存在せず、戦闘シーン自体ほとんど無い。どちらかと言うと異色な内容。
舞台になるのは、獠たちの家の隣に建ったハンバーガーショップ。
連載当時、年少の読者にとって憧れの場所。
「行こうと思えば行ける」という、やや現実的な場所でもある。
今回護るべき美女は、その店で勤め始めたお嬢様・皆川由貴。
今までの美女たちは明らかに方向性が異なる。
彼女は、過去からのしがらみのような
「憑き物」も持たず、未来だけを見ている。
他人を疑う事を知らず、つまり一人で生きる力をまだ持てず。
よって獠が取ったのは、言ってみればマッチポンプ的な行動。
由貴に(試行錯誤しながら)恋心を植えつけた後、
美しい形で去り、彼女の成長を促す。
中途半端な愛情を与えて失敗した『松村渚編』から得た、
アンサーを実践したわけだ。
ところで、このエピソードで登場した「貞操帯」。
あらゆる意味で間違ってるこの代物の実状を、
年取ってから知って唖然としたのは、私だけではないだろう。
それでは。また次回。