『おれに関する噂』(by筒井康隆)、読了。
昭和49年作。全11話の短編集。
表題の作品は、比較的有名だろう。
「日本中のマスコミが自分について報道している」。
当時でも現在でも、妄想の典型的症状の一つとされるが、
この作品では、それが実際に起こっているという異常事態。
主人公以外の医療関係者の方が現実を認められずに狂う流れには、
真っ黒な笑いが満ちている
『心臓に悪い』も、精神的病理がテーマ。
今で言うパニック障害を当時、既に書いている事に恐れ入る。
『幸福の限界』は、書かれた当時の時代性を痛烈に感じる。
昭和50年代くらいまでは、レジャーと言えばまず海だった印象。
21世紀のソシャゲレベルで全員が海水浴行ってた。
『講演旅行』の序盤には、にやにやしてしまった。
作品にかこつけて、奥さんにのろけまくる筒井さん、可愛いです(笑)。
それでは。また次回。