Eos5D写真三昧 格安の海外旅行記と国内旅行のすすめ

海外旅行の情報を旅行記として綴った記録。EOS5Dとiphoneで撮った写真をあげております。

3:中国電車事情

2010年09月03日 21時51分47秒 | 中国旅行記2010年8月
iphone
中国の列車事情をここで一つ。
中国の長距離列車は全て指定席である。○月○日のこの時間の列車の切符と指定して窓口で買わないとダメなのである。さらに中国の鉄道駅は、飛行場のシステムと良く似ている。勝手にホームに入ることは許されない。乗車する列車がホーム到着して、初めてホームに入場することが許されるのである。それまでは「候車室」と呼ばれる駅の待合室で列車の到着を待たされるワケなのだが、この待合室には切符を持っていない人は入れないし、入るにはX線検査を受けなければならない。笑ってしまう事に、鉄道の駅で荷物をX線検査機に入れないといけないのだが、このX線検査をモニターで見ている係官はだれもいないし、そもそもモニターなどがない。だが、このX線検査機の周りには鉄道公安がおり、「荷物を検査機に入れろ」といつも言うのだ。先進国から来た人にとってはまさに子供だまし、いや中国人だましとでも言おうか。浮浪者対策?テロ対策?タダ乗り対策?私としては3番目の対策が最も大きいと睨んでいる。2番目のテロ対策だとすれば、モニターがないというのはあまりにもオソマツである。ひょっとしたら、この検査機は形だけX線検査機に模しただけで、X線など出ていないのかもしれない。なにせ、この検査機は全中国の駅(地下鉄も含む)に設置されているからである。そんな数のX線検査機を入れるカネがあるとは思えないし、あったとすればモニターを置くのは当然ではないか。
つまり、推論ではあるが、この検査機の目的の対象は我々のような外国人ではなく、自国内の中国人を対象にしていることは明らかである。とすると、駅構内に入れない、待合室に入るにも切符・X線の検査がいるという制約をつけている理由は、浮浪者対策とタダ乗り防止対策くらいしか理由としては考えられない。

中国の長距離列車の座席の種類は5つ。硬臥(一等寝台車)、軟臥(二等寝台車)、硬座(日本の各駅停車のような座席)、軟座(日本の特急のような座席)、無座(立ち)である。切符は発車の10日前から窓口売り出しているが、需要が多すぎで(列車の本数が少ないので)いつも切符は入手が困難な状況である。長距離列車の場合、硬臥、軟臥の寝台車の切符の入手が難しく、一日前などではまず手に入らない。その他の座席にしても、出発2~3時間前に買おうとするのは無謀である。私の場合、出発の10~13時間前に窓口で買うことが多かったのだが、それでも希望の切符はほぼ買えなかった。寝台車の切符を4回買おうとして、成功したのは2回のみである。
さて次に、切符の買い方である。切符売り場は中国語で「集票処」(集の下のつくりが「木」ではなく「口」になっている)である。窓口が開いている時間は午前7時~午後21時くらいである「らしい」のだが、意外とこの時間はあてにならない。午前6時くらいから開いている場合もあるからだ。さらに24時間空いている窓口が、駅の中に一つはだいたいある。だから窓口の勤務時間などはさほど気にかける必要はない。気にすべきことはむしろ切符入手の困難さである。
窓口での会話は英語はまず通じないので、筆談で行うことになるが、中国の切符売り場の窓口は、たいて長蛇の列が出来ているので、あらかじめ紙に書いたものを窓口の係官に渡さないと、窓口の係官が全く相手にしてくれないという可能性があるので注意が必要だ。しかも前述したように需要過多・供給不足なので、切符入手の倍率は非常に高いので、候補をいくつも書いておかねば、係官から「没有(メイヨー:ない)」と一蹴されて、追い出されるハメになる。なので、少なくとも第5希望くらいは書いて置かないと、希望する座席の切符どころか、切符そのものすら手に入らないということになりかねない。では、私はどのように紙に自分の候補を書いたのか?以下にそれ書くことにする。

第一候補
北京西→西安
T43/T46次   (列車番号)
軟臥 或 硬臥  (座席の種類)
 1張

  或

第二候補
北京西→西安
 1363次
軟臥 或 硬臥
 1張

このようにして、第5希望くらいまで書いておくのである。ここで「軟臥 或 硬臥)とあるが、これは「軟臥か硬臥」という意味であり、流動性をもたせた内容にしている。軟臥と一点張りで書いてしまうと、即座に「没有(メイヨー)」といわれて終わってしまう可能性があるからだ。そして第一希望と第二希望の間にも「或」という文字を挟んでいる。これによって欲しい切符は一枚とわかり、第一希望がなければ第二希望、第三希望でお願いするという意味が相手に伝わる。繰り返すが第5希望くらい書いておかないと、切符そのものが手に入らない可能性が高い。
なお、ここで書いた筆談の例は繁体字だが、中国では簡体字を使用しているので、「候補」とか「軟」「張」という文字は、ひょっとすると相手にわからないかもしれないので、簡体字で書くことをお薦めする。ここでは文字化けするのであえて書かなかった。

EF24-105mmF4L


さて、一夜明けて8月17日。予定ではこの日の夜には西安行きの夜行列車に乗ることになっている。そこで私は早朝の6時に起床して、駅の切符の窓口に向かう事にした。驚くべきことは、朝の6時にも関わらず人の通りが多い事である。日本の昼間のように人が歩いている。中国の人の多さに最初に気づいた瞬間であった。
写真は北京西駅の建物。とても大きな建物であるが、駅の周りの光景と状態は、目を覆うものがあった。まずその臭いである。駅周辺は公衆便所のような小便の臭いが立ち込めている。そして、駅の入り口の周りには大勢の座り込んだ人達がいるのだ。それは貧乏旅行者の風体の者もいれば、出稼ぎ労働者のようなものもいるし、浮浪者のようなものもいる。それらの人々は、地面に座り込んだり、ダンボールを敷いて寝転がっていたり、寝ていたり、疲れきった顔で座っていたりと様々であったが、衛生状態はあまりよろしくない。前述したように、切符を持たないものは待合室に入ることができないので、このように屋外で座っている人もいるのだろう。この人達は切符を買いそびれた人なのか、それとも切符をこれから買おうと待っている人なのか、それとも待合室に入って待つには早すぎる時間なので、時間をそこで潰しているか、どれなのかは分からない。多分、それらを全てひっくるめた人達なのだろう。私はこの時この光景を見て、旅行という非日常生活がぶっ飛んでしまったことを覚えている。「エラいところに来てしまったな」と半ば中国旅行を後悔しかかったことが記憶に残っている。

さて、窓口に来ると、そこは人、人、人で溢れ返っていた。午前6時にも関わらずである。窓口は1~25くらいまであり、1~20くらいまでの窓口が開いていた。その20のレーンにはそれぞれ30メートルくらいの人の列が既に出来ていたのである。思わず我が目を疑った。「嘘だろ、朝の6時でこの行列かよ!」と思った。これが中国かと、改めて思い知らされた。噂には聞いていた。ネットなどでも切符の窓口は混むと書いてあったのを見た。だから6時に来てみたのだが、それでも混んでいる。いや混みまくっている。20レーンの全てが30メートルの人の列を作っているとは想像すらしなかった。結局30分ほど待ってようやく窓口についた。手に入った切符は、第三希望のものだった。しかも一等寝台車は手に入らず、二等寝台車になったし、発車時間も21時ではなく16時のものになってしまった。恐るべし中国。予定が立たない。私の旅行計画は北京からウルムチまで列車で向かうというものだったが、はやくもその計画が遅滞なく実行できるかという点に、中国列車事情は大きな課題を突きつけてきたのである。


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駅のホーム。ここには3分くらいしか滞在できない。ここは始発駅だったので、比較的長くいられたので、写真をとる余裕があった。