電車は3時間遅れで西安に到着。
西安駅に着き、まず真っ先にしなければならない事。それは次の目的地までの切符を事前に買っておく事である。早速売り場へいくが、寝台車の切符はもうない。硬座のみである。仕方なく硬座の切符で我慢することにした。
次は早速宿の確保である。駅前でホテルの勧誘している女の人の押しがあまりにつよいので、とりあえず無視し続けるのもどうかと思い、話だけでも聞いてみる事にした。曰く宿代は160元(130元くらいだったかもしれない)だという。しかも駅から徒歩で5分くらいの場所である。非常にリーズナブルだったのでそこに決めた。
どうやら、この女の人はホテルの従業員ではない。一日バスツアーなどの旅行案内のスタッフであるようだ。彼女らは私のような旅行者を、さっさと安そうな宿に案内し、バスツアーに勧誘しようとしているワケである。私としても西安に兵馬俑を見にきたので、バスツアーを利用しようと考えていた。
結論から先に書こう。バスツアーは使ってはいけない。
バスツアーの寄る場所は、驪山北麓、おまけ、おまけ、おまけ、鴻門の会跡、兵馬俑です。このおまけを含めると実に5~6箇所回ることになりますが、このおまけが限りなくヒドイ。まず土産物屋2店に寄る。昼飯屋にも寄る(高い)。子供だましのテーマパークに連れて行かれる(世界七不思議ハリボテテーマパーク)。これがおまけの正体である。
さて、このバスツアーの値段だが、ここで私は騙されてしまったかもしれない。というか多分騙された。ツアーの料金はバス代とは別で、バス代は40元なのだが、ツアー料金は280元もするのである。勿論このツアー料金は、入場料金も含まれている。兵馬俑は90元。驪山はロープーウェイに乗るのだが、この入場料はいくらかは分からない。鴻門の会跡の入場料金も分からない。おまけの入場料金も分からない。だが5箇所で280元なら、ひとつ平均で50元だ、お得だ、と思わせる戦法だったのだ。実は兵馬俑以外はクソで、おまけに至っては、金を払うのもバカバカしいものであった。特に世界七不思議ハリボテ博物館(?)のヒドさといったら、筆舌に尽くしがたいほど陳腐で幼稚だ。こんなものは子供騙しですらない。子供ですら騙せないほどの代物である。バス代40元+ツアー代280元=320元(4160円)はまったくありえない。さらにキタナイ事に、このツアー代の徴収は、ツアーバスが走り出してから20分後ぐらいに行うワケである。バスが走り出す前にこの話がでれば、全てご破算にしてバス代40元すらも解約することも出来たと思うが、走り出してからだともう遅い。乗客は、私と、日本人のバックパッカー、韓国人のバックパッカー、そして中国人の家族4人の計7名であった。日本人と韓国人のバックパッカーは「話が違う」と言い出した。私とまったく同じ境遇である。彼らも40元で兵馬俑の往復バスとして利用したらしい。驪山も鴻門の会跡もどうでも良いのである。私もまったく同感だったので、彼らと野合して「兵馬俑にしか行かない」と一点張りを通し、バス代の40元だけで乗り切ろうとした。が、ツアーのガイドのねーちゃんは呆れたようにため息をつくばかりだ。ねーちゃんは英語が話せない。しきりに中国語でいろんなことを話すが、どうやらバス代だけの40元ではダメのようだ。兵馬俑の一点張りを続けると、しまいにはねーちゃんはご立腹のご様子である。「おいおい、逆切れかよ。ご立腹なのはこっちだっつーの」という思いでイッパイになったが、サービスレベルが低いのは中国に来る前から覚悟しておいたので、ジッと堪えながら交渉を続ける。だがまったくの平行線である。すったもんだの挙句、驪山と兵馬俑とおまけ(七不思議博物館)おまけ(西安歴史博物館?)で200元という事で妥協した。(この時点では七不思議と西安歴史博物館?のヒドさの正体を知らない。正式名称はナンタラ博物館という大層な名前になっているので、4箇所で200元という内容しか頭に入らなかった。兵馬俑が入場料90元なので、あとの三つが110元で見られる。つまり一つあたり35元程度で見られるという計算である。ガイドのネーチャンはかなり不服そうだったが、その姿を見ていると気分が悪くなるので、私はここから無関心を決め込むことにして相手にしないことにした。 結果的には、この後の結末を知っていたら、この時激怒していたハズであった。
さて驪山だが、この日は生憎の雨。驪山全体は雨と霧で視界がまったく悪く、観光としては見るべきものはまったくなかった。写真は大雨なので一枚も残っていない。
次に土産物1である。宝石・石屋である。すでに大勢のお店スタッフがツアー客を入り口で待ち構えている。ツアー客の7人よりも従業員数のほうが圧倒的に多い店で、買え買えオーラがほとばしっている。ガイドもつまらんところに連れてきたものである。
次にメシ屋に寄る。メニューも通常の1.5倍くらいの値段で辟易した。日本人と韓国人のバックパッカーと料理をシェアして極力安く済ませる。
次はいよいよ悪名高き「七不思議博物館もとい展示場」である。
中国西安の土地に、明らかに場違いな建物が建っている。
よくよくみてみると、写真には「世界八大奇跡館」と書いてあって世界7大ではなかったが、そんな細かい当方の間違いはどうでもよろしい。この奇跡館の内部はお化け屋敷のように暗く、うっすらと照明が当たっている程度である。理由はすぐ分かった。そうしないとハリボテすぎてただでさえ陳腐な作りが、もっと陳腐に見えて金を取れないからであろう。案の定、お客さんは我々以外には殆どいない。
ここを解説するのも馬鹿馬鹿しいことなのだが、要は世界の7不思議に兵馬俑をいれて、8大奇跡にしたのである。ちなみに7不思議とは、ピラミッド、アレクサンドリアの灯台、バビロンの空中庭園、ギリシャのゼウス像とか、そういったものである。それに自国中国の兵馬俑を取り入れているワケで、ジョークとしてもアトラクションとしても全然笑えない。
次に行ったのは、また土産物屋。
ここの土産物屋の棚の配置は失笑ものである。普通売店の棚の配置というのは、コンビニのような回遊性を考えて作るものだが、この店はどうやら回遊性よりももっと拘るものがあるらしい。まず図を見ていただこう。
汚いイラストで失礼。上の迷路のように一本道になっているのが棚である。入り口を入って、まず客は右側から商品棚を見る。そして棚をくまなく回る事によって、ようやくレジ付近から出られるのである。
彼らが意識している事柄は一目瞭然だ。「全部見ていってくれ」「なんか買ってくれ」「買わないで出て行かないでくれ」という無言の言葉を感じる。あまりの浅ましさと浅はかさに失笑するしかない。
土産物の次は、西安の歴史博物館?展示場?ハリボテ?である。ここも先ほどと同様に館の内部は暗く、うっすらと照明があたる程度である。金を取るならもっと金をかけろと言いたくなる。
写真はよく分からないと思うが、始皇帝の墓を再現したものである。細長い蛍光灯のような又ヘビのような地面の光は、始皇帝の墓に水銀の川が流れていたことを再現したものである。石棺の形と色は想像上のものだろう。始皇帝が眠る石棺が発掘されたという話は、少なくとも私は聞いたことがない。よってレプリカといえどもこんな形でこんな色で、こんな内装だったのかは一切分からないのである。物語というよりもおとぎ話レベルであり、学問的な価値は全くない。そのあまりの馬鹿馬鹿しさに、iphoneで撮影してしまった程である。
さて、この日11時から始まったツアーだが、このようなクソつまらない所と、お土産屋などを回った為に、兵馬俑に到着したのは午後5時だった。兵馬俑の閉館は午後6時。一時間でこの博物館を見てくれとガイドはぬかす。さらに待ち合わせ場所はココではなくて、チョット歩かせた場所にするという。こんな時間の少ない時にさらに時間を削る発言をしたのである。そらに集合場所も中国語でウダウダいっているので、位置がよく分からない。時間はどんどん過ぎていく。さすがにここで私はキレた。兵馬俑は私は少なくとも2時間は見ようと思ったのに、こんな下らないものを見させられて、肝心要のものが一時間という有様である。まさに本末転倒という言葉こそふさわしい。ガイドといっても、彼女は最初の観光場所から一貫して入場口から先へは一切中に入ってこないのである。解説なんぞしないのだ。バスの中でウダウダしゃべっているだけである。モタモタやっているので、「はやく入場券を買って来い!」「集合場所は、あそこでいいんだな、早くしろ」と怒りを爆発させて、ツアーの観光客の双方を完全シカトして、さっさと本命の博物館に入って行った。走らないと時間が勿体無い。走らせなければいけない状況を作ったガイドとツアーに心底腹が立った。他人を待っている余裕などはないのだ。西安に立ち寄ったのはただ「兵馬俑」を見るためだけといっても過言ではなかった。翌日の朝には西安を立つ。兵馬俑が見えなければ、西安に時間をかけて寄った意味が全くなくなる。そういう思いで一杯になり、心の余裕が失われていたのである。さて中国人の家族は、娘1人だけが兵馬俑を見たいとか言っており、両親は我々3人に(私、日本人と韓国人のバックパッカー)娘も一緒に連れて行ってくれと言う。
この時私は完全に無視状態だった。そんなのを一緒に連れてみていたら、それこそ時間がまったくなくなるのである。
その行為は後に「娘はどうしたんだ?一緒じゃないのか?」という話になり、揉め事に繋がるのであるが、もうそんなことはこの時は知った事ではなかった。ガイドのねーちゃんも、それに文句をいわない中国人家族にも正直うんざりしていた。この家族はひょっとしてサクラなのではないかともこの時は疑っていた程である。
さらに、ガイドのねーちゃんは信じられない事をサラっと言った。6時15分までは待つが、それ以降になったらバスは出発するとか言って、タイムリミットをつけやがった。「遅れてバスを逃したら自分で帰れ」という事である。「はぁぁぁ???」って感じだが、問答などしている暇はないのである。
午後6時ギリギリに1人バスに帰ってきたときに、その母親からツッコまれたが、「しらん」の一言で放っておくことにした。ガイドにも同様の質問をされたが、同じく「しらん」でほうっておいた。私は「娘を連れて行ってくれ」という要求に「YES」とは答えていない。それを説明するのももはや面倒くさかったので「時間がなかった」「私は走ってみて回ったので知らん」の一点張りを通した。10分くらい経っても一行は帰ってこないので、ガイドはまた不愉快モードになって、私になんか言ってくる。ここでまた、私はキレモードに入った。もう英語を使って話すのもバカバカしくなったので、日本語で文句を言うだけ言った。ガイドは私がキレたのを少々驚いたようで、これ以降には私に対してはおとなしくなった。よろしい、これが外国流だ。日本では私の行為ははなはだ「ワガママ」に当たるのだが、外国ではここまでやらないと付込まれる元となるからである。まずかったのは、キレするが遅かった事だ。200元払う時にやっておくべき儀式(キレること)だったと反省している。
というワケで、兵馬俑にもし行かれる方がいるなら、一つだけ提案したい。
一日バスツアーは止めておいたほうが良い。それは「気分が悪くなるから」という理由ではない。明らかに値段が高くつくことと、時間が無駄になるからである。
すでに中国の旅を終えた今となってみると、合計240元というのはとんでもない金額の高さであることが分かる。利用はしていないが、市内から出ているバスを利用すれば、兵馬俑まではおそらく片道5元とか7元くらいしかかからないはずである。3時間か4時間も時間があれば、入場料も含めて僅か100~105元くらいの間で兵馬俑を2時間以上も満喫することが出来るのである。
一般のバスを利用することは難しくはない。実際、この後の旅程において、私は様々なバスを使った。そのどれもが1時間乗っても10元は超えない金額で収まるのである。
兵馬俑の写真と内容については次号で紹介します。
西安駅に着き、まず真っ先にしなければならない事。それは次の目的地までの切符を事前に買っておく事である。早速売り場へいくが、寝台車の切符はもうない。硬座のみである。仕方なく硬座の切符で我慢することにした。
次は早速宿の確保である。駅前でホテルの勧誘している女の人の押しがあまりにつよいので、とりあえず無視し続けるのもどうかと思い、話だけでも聞いてみる事にした。曰く宿代は160元(130元くらいだったかもしれない)だという。しかも駅から徒歩で5分くらいの場所である。非常にリーズナブルだったのでそこに決めた。
どうやら、この女の人はホテルの従業員ではない。一日バスツアーなどの旅行案内のスタッフであるようだ。彼女らは私のような旅行者を、さっさと安そうな宿に案内し、バスツアーに勧誘しようとしているワケである。私としても西安に兵馬俑を見にきたので、バスツアーを利用しようと考えていた。
結論から先に書こう。バスツアーは使ってはいけない。
バスツアーの寄る場所は、驪山北麓、おまけ、おまけ、おまけ、鴻門の会跡、兵馬俑です。このおまけを含めると実に5~6箇所回ることになりますが、このおまけが限りなくヒドイ。まず土産物屋2店に寄る。昼飯屋にも寄る(高い)。子供だましのテーマパークに連れて行かれる(世界七不思議ハリボテテーマパーク)。これがおまけの正体である。
さて、このバスツアーの値段だが、ここで私は騙されてしまったかもしれない。というか多分騙された。ツアーの料金はバス代とは別で、バス代は40元なのだが、ツアー料金は280元もするのである。勿論このツアー料金は、入場料金も含まれている。兵馬俑は90元。驪山はロープーウェイに乗るのだが、この入場料はいくらかは分からない。鴻門の会跡の入場料金も分からない。おまけの入場料金も分からない。だが5箇所で280元なら、ひとつ平均で50元だ、お得だ、と思わせる戦法だったのだ。実は兵馬俑以外はクソで、おまけに至っては、金を払うのもバカバカしいものであった。特に世界七不思議ハリボテ博物館(?)のヒドさといったら、筆舌に尽くしがたいほど陳腐で幼稚だ。こんなものは子供騙しですらない。子供ですら騙せないほどの代物である。バス代40元+ツアー代280元=320元(4160円)はまったくありえない。さらにキタナイ事に、このツアー代の徴収は、ツアーバスが走り出してから20分後ぐらいに行うワケである。バスが走り出す前にこの話がでれば、全てご破算にしてバス代40元すらも解約することも出来たと思うが、走り出してからだともう遅い。乗客は、私と、日本人のバックパッカー、韓国人のバックパッカー、そして中国人の家族4人の計7名であった。日本人と韓国人のバックパッカーは「話が違う」と言い出した。私とまったく同じ境遇である。彼らも40元で兵馬俑の往復バスとして利用したらしい。驪山も鴻門の会跡もどうでも良いのである。私もまったく同感だったので、彼らと野合して「兵馬俑にしか行かない」と一点張りを通し、バス代の40元だけで乗り切ろうとした。が、ツアーのガイドのねーちゃんは呆れたようにため息をつくばかりだ。ねーちゃんは英語が話せない。しきりに中国語でいろんなことを話すが、どうやらバス代だけの40元ではダメのようだ。兵馬俑の一点張りを続けると、しまいにはねーちゃんはご立腹のご様子である。「おいおい、逆切れかよ。ご立腹なのはこっちだっつーの」という思いでイッパイになったが、サービスレベルが低いのは中国に来る前から覚悟しておいたので、ジッと堪えながら交渉を続ける。だがまったくの平行線である。すったもんだの挙句、驪山と兵馬俑とおまけ(七不思議博物館)おまけ(西安歴史博物館?)で200元という事で妥協した。(この時点では七不思議と西安歴史博物館?のヒドさの正体を知らない。正式名称はナンタラ博物館という大層な名前になっているので、4箇所で200元という内容しか頭に入らなかった。兵馬俑が入場料90元なので、あとの三つが110元で見られる。つまり一つあたり35元程度で見られるという計算である。ガイドのネーチャンはかなり不服そうだったが、その姿を見ていると気分が悪くなるので、私はここから無関心を決め込むことにして相手にしないことにした。 結果的には、この後の結末を知っていたら、この時激怒していたハズであった。
さて驪山だが、この日は生憎の雨。驪山全体は雨と霧で視界がまったく悪く、観光としては見るべきものはまったくなかった。写真は大雨なので一枚も残っていない。
次に土産物1である。宝石・石屋である。すでに大勢のお店スタッフがツアー客を入り口で待ち構えている。ツアー客の7人よりも従業員数のほうが圧倒的に多い店で、買え買えオーラがほとばしっている。ガイドもつまらんところに連れてきたものである。
次にメシ屋に寄る。メニューも通常の1.5倍くらいの値段で辟易した。日本人と韓国人のバックパッカーと料理をシェアして極力安く済ませる。
次はいよいよ悪名高き「七不思議博物館もとい展示場」である。
中国西安の土地に、明らかに場違いな建物が建っている。
よくよくみてみると、写真には「世界八大奇跡館」と書いてあって世界7大ではなかったが、そんな細かい当方の間違いはどうでもよろしい。この奇跡館の内部はお化け屋敷のように暗く、うっすらと照明が当たっている程度である。理由はすぐ分かった。そうしないとハリボテすぎてただでさえ陳腐な作りが、もっと陳腐に見えて金を取れないからであろう。案の定、お客さんは我々以外には殆どいない。
ここを解説するのも馬鹿馬鹿しいことなのだが、要は世界の7不思議に兵馬俑をいれて、8大奇跡にしたのである。ちなみに7不思議とは、ピラミッド、アレクサンドリアの灯台、バビロンの空中庭園、ギリシャのゼウス像とか、そういったものである。それに自国中国の兵馬俑を取り入れているワケで、ジョークとしてもアトラクションとしても全然笑えない。
次に行ったのは、また土産物屋。
ここの土産物屋の棚の配置は失笑ものである。普通売店の棚の配置というのは、コンビニのような回遊性を考えて作るものだが、この店はどうやら回遊性よりももっと拘るものがあるらしい。まず図を見ていただこう。
汚いイラストで失礼。上の迷路のように一本道になっているのが棚である。入り口を入って、まず客は右側から商品棚を見る。そして棚をくまなく回る事によって、ようやくレジ付近から出られるのである。
彼らが意識している事柄は一目瞭然だ。「全部見ていってくれ」「なんか買ってくれ」「買わないで出て行かないでくれ」という無言の言葉を感じる。あまりの浅ましさと浅はかさに失笑するしかない。
土産物の次は、西安の歴史博物館?展示場?ハリボテ?である。ここも先ほどと同様に館の内部は暗く、うっすらと照明があたる程度である。金を取るならもっと金をかけろと言いたくなる。
写真はよく分からないと思うが、始皇帝の墓を再現したものである。細長い蛍光灯のような又ヘビのような地面の光は、始皇帝の墓に水銀の川が流れていたことを再現したものである。石棺の形と色は想像上のものだろう。始皇帝が眠る石棺が発掘されたという話は、少なくとも私は聞いたことがない。よってレプリカといえどもこんな形でこんな色で、こんな内装だったのかは一切分からないのである。物語というよりもおとぎ話レベルであり、学問的な価値は全くない。そのあまりの馬鹿馬鹿しさに、iphoneで撮影してしまった程である。
さて、この日11時から始まったツアーだが、このようなクソつまらない所と、お土産屋などを回った為に、兵馬俑に到着したのは午後5時だった。兵馬俑の閉館は午後6時。一時間でこの博物館を見てくれとガイドはぬかす。さらに待ち合わせ場所はココではなくて、チョット歩かせた場所にするという。こんな時間の少ない時にさらに時間を削る発言をしたのである。そらに集合場所も中国語でウダウダいっているので、位置がよく分からない。時間はどんどん過ぎていく。さすがにここで私はキレた。兵馬俑は私は少なくとも2時間は見ようと思ったのに、こんな下らないものを見させられて、肝心要のものが一時間という有様である。まさに本末転倒という言葉こそふさわしい。ガイドといっても、彼女は最初の観光場所から一貫して入場口から先へは一切中に入ってこないのである。解説なんぞしないのだ。バスの中でウダウダしゃべっているだけである。モタモタやっているので、「はやく入場券を買って来い!」「集合場所は、あそこでいいんだな、早くしろ」と怒りを爆発させて、ツアーの観光客の双方を完全シカトして、さっさと本命の博物館に入って行った。走らないと時間が勿体無い。走らせなければいけない状況を作ったガイドとツアーに心底腹が立った。他人を待っている余裕などはないのだ。西安に立ち寄ったのはただ「兵馬俑」を見るためだけといっても過言ではなかった。翌日の朝には西安を立つ。兵馬俑が見えなければ、西安に時間をかけて寄った意味が全くなくなる。そういう思いで一杯になり、心の余裕が失われていたのである。さて中国人の家族は、娘1人だけが兵馬俑を見たいとか言っており、両親は我々3人に(私、日本人と韓国人のバックパッカー)娘も一緒に連れて行ってくれと言う。
この時私は完全に無視状態だった。そんなのを一緒に連れてみていたら、それこそ時間がまったくなくなるのである。
その行為は後に「娘はどうしたんだ?一緒じゃないのか?」という話になり、揉め事に繋がるのであるが、もうそんなことはこの時は知った事ではなかった。ガイドのねーちゃんも、それに文句をいわない中国人家族にも正直うんざりしていた。この家族はひょっとしてサクラなのではないかともこの時は疑っていた程である。
さらに、ガイドのねーちゃんは信じられない事をサラっと言った。6時15分までは待つが、それ以降になったらバスは出発するとか言って、タイムリミットをつけやがった。「遅れてバスを逃したら自分で帰れ」という事である。「はぁぁぁ???」って感じだが、問答などしている暇はないのである。
午後6時ギリギリに1人バスに帰ってきたときに、その母親からツッコまれたが、「しらん」の一言で放っておくことにした。ガイドにも同様の質問をされたが、同じく「しらん」でほうっておいた。私は「娘を連れて行ってくれ」という要求に「YES」とは答えていない。それを説明するのももはや面倒くさかったので「時間がなかった」「私は走ってみて回ったので知らん」の一点張りを通した。10分くらい経っても一行は帰ってこないので、ガイドはまた不愉快モードになって、私になんか言ってくる。ここでまた、私はキレモードに入った。もう英語を使って話すのもバカバカしくなったので、日本語で文句を言うだけ言った。ガイドは私がキレたのを少々驚いたようで、これ以降には私に対してはおとなしくなった。よろしい、これが外国流だ。日本では私の行為ははなはだ「ワガママ」に当たるのだが、外国ではここまでやらないと付込まれる元となるからである。まずかったのは、キレするが遅かった事だ。200元払う時にやっておくべき儀式(キレること)だったと反省している。
というワケで、兵馬俑にもし行かれる方がいるなら、一つだけ提案したい。
一日バスツアーは止めておいたほうが良い。それは「気分が悪くなるから」という理由ではない。明らかに値段が高くつくことと、時間が無駄になるからである。
すでに中国の旅を終えた今となってみると、合計240元というのはとんでもない金額の高さであることが分かる。利用はしていないが、市内から出ているバスを利用すれば、兵馬俑まではおそらく片道5元とか7元くらいしかかからないはずである。3時間か4時間も時間があれば、入場料も含めて僅か100~105元くらいの間で兵馬俑を2時間以上も満喫することが出来るのである。
一般のバスを利用することは難しくはない。実際、この後の旅程において、私は様々なバスを使った。そのどれもが1時間乗っても10元は超えない金額で収まるのである。
兵馬俑の写真と内容については次号で紹介します。