前回、ユウガオについて書きましたが、ヒョウタンとの区別が、あいまいでした。
植物学上、ユウガオとヒョウタンは、同一の植物ですが、胴がくびれているものを一般にヒョウタンと呼ぶとのことです。また、ヒョウタンは苦くて食べられませんが、ユウガオは食用。ちなみに、福井県の鳥浜貝塚から見つかった一万年前のものは、くびれのないユウガオ型です。また、ヒョウタンという表現は、室町時代になってから用いられるようになったといいますから、縄文時代の遺跡から発見されたこうした殻を、短絡的にヒョウタンと呼ぶには難がありましょう。
縄文時代のものが、食用であったか調査されているのかは不明ですが、アメリカ農務省のページには、「ユウガオ( Bottle gourd )は、食用であり薬用でもあり、実用的な作物として育成された熱帯地方に普遍的な植物で、一万年前には、アジア、アメリカに到達していた。...」とあります。(USDA)
南アフリカ国立植物園のMienkie Welmanによると、アフリカの南部では、苦みのない種類のヒョウタンを水入れに用るとあります。また、アフリカの南部からはユウガオの野生種が見つかっています。
South Africa National Biodiversity Institute
In rural southern Africa and elsewhere in developing countries, the calabash fruit is still widely used for various kinds of household containers and utensils. Non-bitter types are used to store water, milk and beer...
Mienkie Welman National Herbarium, Pretoria June 2005.
ユウガオはアフリカからインド~東南アジア~中国で、古くから食用として用いられてきた事が知られていますし、種子も、脂肪やたんぱく質に富み、食用とされています。ともあれ、ユウガオ、ヒョウタンの類は、海を通じて世界に広まった事だけは、確かなようです。
つづく....
<<前回の記事
-ご参考-
・UCLAによるユウガオ属の解説 >>>
・Purdue Universityの Timothy J. Ngは、.ユウガオ(Lagenaria siceraria )は、 ペルーでは、 12000年 BCから, タイでは、 8000年 BCから, ザンビアでは around 2000年 BCから栽培していたというEsquinas-Alcazar and Gulick 1983の説を紹介しています。 >>>
ユウガオの種を食べるとは知りませんでした。
まったく、食の世界は複雑怪奇・・・。
ところで鳥浜の「リョクトウ」はリョクトウではなくて、ヤブツルアズキなどアズキ近縁の野生豆の可能性が高いモノと考えられているようです。
松本豪「鳥浜貝塚、桑飼下遺跡出土のマメ類について」1994
山口裕文「照葉樹林文化が育んだ雑豆“あずき”と祖先種」2003
うり類の種子は、栄養価が高く、あちこちで食材として利用されています。沖縄の「ゴーヤーチャンプルー」も、ゴーヤの種がカリカリと香ばしい所が、人気です(^^)。。
>鳥浜の「リョクトウ」はリョクトウではなくて、ヤブツルアズキなどアズキ近縁の野生豆の可能性が高いモノと考えられているようです。
京都大学、京都薬科大学の調査によりますと、seed coat patternを調べていますが、ヤブツルアズキと、リョクトウのパターンは、かなり似ていたのですね!!
小豆の先祖の方が、情況からして自然だと思います。お知らせくださり、ありがとうございました。参考文献、拝見させて頂きます。ワクワク^^。