52014年3月号 憂慮すべきトゥルカナの人的災害

長引く干ばつに対し、ケニア気象庁は警報を出し、政府は遊牧民に家畜をケニア食肉委員会（KMC）に売るよう促している。

トゥルカナは、地理的には半乾燥地域に位置しているが、乾燥・半乾燥地（ASAL）に分類されている。ここでは一年以上不幸な干ばつが続いており、トゥルカナ現地人およびカクマで二番目に大きい難民キャンプでUNHCRの保護下にある難民、合わせて数千人がその被害を受けている。これら数千の難民たちは、2013年秋以降、配給食糧をカットされるという影響も受けている。

家畜と共に遊牧生活を送っていたトゥルカナ人は、より豊かな牧草地と水を求めて家畜が国境を越えることについて隣国ウガンダの合意を得ていた。それにもかかわらず、遊牧民はエチオピア、南スーダン、ウガンダとの国境付近で強盗による攻撃に直面していた。この状況下、ケニアとウガンダの政府は、国境付近に住む牧畜民社会の便益のため、12月に国境の町、ロイマで協定を結ぶこととなった。

これを受け、トゥルカナ郡知事、ジョスファット・ナノクやその他の指導者は政府や人道支援団体の介入を求め、影響を受けている被害者に救援食糧を提供するよう要請した。 「我々は、行き場を失い餓えに苦しむ数千の人命を救うため、人道支援を求めている」とジョスファット・ナノクは言った。


【写真】　干ばつの被害を受けるトゥルカナの人びと

トゥルカナ中央行政官はロドワーで、政府が救済物資を提供することを発表した。これは、２月初旬に救援物資を載せた数台のトラックがトゥルカナへ向け出発したという、災害管理を担当する権限委譲省秘書官、アン・ ワイグルからの情報により証明された。ワイグルと農務省で同等の立場にあるフェリックス・コスゲイはさまざまな報道会議でこの災害の問題について言及している。しかし、この問題全体が政府への批判を呼んだ。

家族が明日を生き延びるため犬の肉を食事に出したという女性が報告され、ひとつの国家的人的災害が明らかになった。 1月25日の日曜日、二人の子供が重度の栄養失調によってロドワー地区病院で死亡した。また、何ヶ月もの間、他にも多くの子供達が病院に収容されている。ケニアデイリーポストのインタビューでトゥルカナの栄養管理官、アリス・ジェミモは昨年12月から数人の患者が重度の栄養失調により同病院に収容されていると語った。


【写真】　子供たちがカメラに笑顔を向ける一方、大人たちは心配そうな表情を浮かべる・・・
犬の肉を食事に出さざるを得ない家庭は他にも多くあるのかもしれない。

さらにジェミモは、トゥルカナのほとんどの地域では数ヶ月間干ばつが続き、通常は降るはずの短時間の雨も降らないため、動物も人間も水不足となり、飢えをしのぐために地域の老人たちは犬の肉を食べるしかないと説明した。

2月、KANEREのレポーターはトゥルカナの郡区当局に接触したが、彼らは、深刻な人的過失だと発言したものの、発言者の名前を出さないよう求めた。「報道機関に公的見解として話をすることはできない。なぜなら、これは国家にとってもっとも恥ずべきことだからだ」と、一人の役人は電話口で話した。

政府は権限委譲省秘書官、アン・ワイグルを通して、乾燥・半乾燥地域全域が深刻な問題に直面していると発表した。ケニア北部のさまざまな地域では、人口の半分が餓えに苦しみ、死に瀕している。しかし、政府がこれらの乾燥・半乾燥地域での人的災害解決に向け取り組む動きは鈍かった。政府が遊牧民に向けて言った最大のアドバイスは、彼らの家畜をケニア食肉協会に売るように、ということだった。

それよりも、政府は食糧の安全と生産についての永続的な解決策を提示すべきである。これらの災害はしばしば繰り返されるが、いつも「自然災害」と呼ばれる。ケニアの農業省と権限委譲省の幹部やその他の主導者たちは、他の発展途上国の取った方法を学び、それらを取り入れるべきである。2014年は世界農業年であるが、この国はまだ飢餓災害や災害に伴って行われる残虐行為を監視するのに遅れをとっている。大切な質問はまだ答えられないままだ。:なぜケニア人は飢餓や食糧不足で死に続けるのか？