Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2013年11月号 ソマリア人の本国帰還

2014年05月28日 | 人権
本国帰還は、ソマリア人難民の問題を解決する一助になるのだろうか。

ケニア政府は長い間、ソマリアや他国の難民を受け入れてきたが、現在ソマリア人難民を国から追い出そうとしている。2012年5月、ムワイ・キバキ前大統領は、ダダーブ・キャンプには収容不能であり、国際社会はソマリア人難民を母国に帰還させるよう支援すべきだと話した。

2012年9月にハッサン・シェイク・モハムッドが大統領に就任して以来、ソマリアの治安は安定したといわれている。2013年7月、アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官はケニアを訪問し、ケニア内務大臣ジョセフ・オレ・レンクとソマリア人が帰還した場合のソマリアの安全状況を協議した。

国連難民高等弁務官はソマリアでの人権を取り巻く状況は芳しくないとした上で、ケニアやほかの国々はUNHCRや難民自身と協力し、難民とその家族全員にとっての永続的な解決策を見つけ出すべきだと強調した。

ケニアとソマリアの政府はUNHCRと協力し、自主的本国帰還のための基準と順序について三国間の委員会を立ち上げる。グテーレス高等弁務官はケニアの政府関係者に対し、「ソマリア人難民の帰還は自主的に、安全と尊厳を確保して行われなければならない」と話している。

2013年5月31日、在ケニアのソマリア大使モハメッド・アリ・ヌールがカクマ難民キャンプを訪問した。ケニアからモガディシュへの安全な帰還を支援するためである。大使の訪問は、母国への自主帰還により、現状にピリオドを打ちたいと望むソマリア人難民を勇気づけた。

2013年6月4日(火)、ケニア難民省は「ソマリア人の本国自主帰還」の開始を通告した。その中に、ソマリアへの帰国を望むソマリア人難民は「キャンプ管理者が帰還を公的に支援するので、キャンプ管理事務所を訪ねること」という文言があった。

突然の通告は、母国にただちに帰還することを望まない一部のソマリア人難民たちに衝撃を与えた。多数派部族の難民リーダーの中には、本国帰還への呼びかけは時期尚早だと言う者もいる。「モガディシュへ帰る気にはなれませんね。我々のコミュニティーもそういう気分ではない。まだ安全ではないんですよ」と、M・ガボさんはカネレに話した。

関連機関からの情報提供の不足が主な要因で、キャンプの難民たちは混乱している。

キャンプのヘルプ・デスクは、安全な帰還についての情報を十分に提供していない。「モガデュシュは安全な場所だと言われましたが、どの程度なのかは聞いていません」と、本国帰還についてアミナ・ジャマルさんは言う。

一部の難民は、質問があっても回答がすぐに得られず、数十年経ってからソマリアへ帰還することについて個人や家族の意思決定に支障が出ているとこぼす。

内戦後の土地権利について疑問を持つ人もいる。帰還後について、「自分の土地や所有物はここだよと伝えたくても、そのときに一緒についてきてくれる武装組織はあるのでしょうか」と問うフセイン・アブディナシルさんも、帰還すべきか迷っている。

〈帰還する理由と支援〉
「UNHCRは帰還するソマリア人に支援金をくれるのでしょうか」。本国自主帰還が通達されて以来、この疑問が回答されないまま何ヶ月も経過している。
 
カクマ2のソマリア人リーダーは、「帰りの旅程や支援について、帰還する人には選択の権利があるのでしょうか」と問う。

本国帰還を前に難民たちは混乱している。物品や資金の援助のほかに、継続的なカウンセリングを必要とする人もいる。
 
以前住んでいた場所への旅程の間、国連世界食糧計画に栄養強化ビスケットを提供してもらいたいという声があったが、回答はないままだ。KANERE記者が数回にわたり国連世界食糧計画に問い合わせたが、結果は同じだった。

あるUNHCR職員(匿名希望)によれば、難民認定された難民が帰還のための無条件助成金を希望する場合、一人につき200米ドルが提供されるという。

一方では、合計806人のソマリア人がドブレー、ベレット・ハーウォ(Belet Xaawo)、セールワークを通って帰還し、モガディシュ、キスマヨ、アフマドゥ、バイドア、バールデール(Baardheerr)、ベレット・ウェンの故郷に向かったと人道支援関係者が7月末に伝えている。10月末までに、少なくとも3万人の難民がUNHCRの支援の下、または自力で帰還したとのことである。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿